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グランプリ・名古屋2014

観戦記事

第6回戦:工藤 耕一(東京) vs. Lee Shi Tian(香港)

By Tetsuya Yabuki

 悠然とフィーチャー・マッチ・エリアに足を踏み入れたリー・シー・ティエン。先のプロツアー『神々の軍勢』で「ブルー・ムーン」を繰り、トップ8入賞を果たした姿がまだ記憶に新しいことだろう。

 新機軸を打ち出したモダン構築での活躍はもちろん、プロツアー・サンデーに進出したということは、つまり『テーロス』と『神々の軍勢』で行われたドラフトでも好成績を収めたということだ。本日行われているのはシールドだが、彼はこの環境のリミテッドにおける実力を遺憾なく発揮し、ここまで全勝を守っている。

 リーに対峙する工藤 耕一もまた、慣れた様子でフィーチャー・テーブルに腰を下ろした。昨年夏のグランプリ・北九州2013で決勝まで上り詰めた彼は、当時用いたスタンダードのデッキさながらに攻め手の速いデッキを今大会でも組み上げ、全勝でこの試合を迎えている。

 先攻を決めるダイス・ロールで両者とも1の目2つの「2」を出し、思わず噴き出す両者。気まぐれな神々のいたずらに一瞬緩んだ空気が流れたが、それはすぐに切り裂かれることになる。

R6_kudo_lee.jpg

試合

 2度目のダイス・ロールで先攻を得た工藤が《蒸気の精》から《ヘリオッドの試練》と軽快な滑り出し。リーは《ニクス生まれの狼》を繰り出し、ターンを渡す。

 順調に+1/+1カウンターを載せ空から襲いかかる《蒸気の精》に対処できないリーは、《恭しき狩人》を追加し、殴り合いの方針をとった。「試練」が達成されライフの後押しを受けた工藤は、《潮流の合唱者》を追加後さらに《ニクス生まれのトリトン》を「授与」し、飛行クリーチャーで攻め立てる。リーは《層雲歩み》と《蛮族の血気》でなんとか《蒸気の精》を相討ちに取るが、工藤は続けて《天馬の乗り手》と《戦識の重装歩兵》を盤面へ加えた。強烈な布陣を前に《海神の復讐》でしのぐリーだが、その後も緩まぬ工藤の電撃の攻めを打開するすべはなかった。


工藤 耕一

 2ゲーム目は工藤がマリガン・スタート。リーも初手に頭を悩ませるが、キープを宣言。初動はリーの《潮流の合唱者》に工藤が《無効化》を合わせるゆっくりとした立ち上がり。しかし、両者とも土地を並べたのちにゲームは素早い展開を見せた。

 工藤が《レオニンの投網使い》に《雨雲のナイアード》を「授与」し、空から攻撃。リーは《ニクス生まれの狼》と《定命の者の宿敵》を送り込み、高い打点で勝負する。

 工藤は《先見のキマイラ》を追加し、飛行戦力による攻撃を続けた。リーの反撃後、戦場には《恭しき狩人》が降り立ち、5/5が2体という強力な盤面が組み上がった。

 工藤も負けじと《散兵の精鋭》を追加。両者のライフが急速に0へと向かう。

 5/5クリーチャー2体の攻撃に対し、《トリトンの戦術》で勝機を掴みにかかった工藤。《散兵の精鋭》の「英雄的」が誘発するが、リーはブロッカーをタップされる前に《撤回のらせん》で工藤の《先見のキマイラ》をバウンスし、1体攻撃を通すことに成功した。これで工藤のライフは残り7に。


リー・シー・ティエン/Lee Shi Tian

リー「Seven?」

 慎重に攻撃を進め、リーのライフもあと1ターンというところまで追い詰めた工藤にこの質問――

 フルタップからの《霧裂きのハイドラ》が、戦場を駆け抜けた。

 地上と空中、それぞれの攻め筋はほとんどぶつかり合うことなく、ライフを削り合う戦いとなったこの試合。

 スピードで勝る工藤。

 サイズで勝るリー。

 勝つのは工藤の「速度」か、リーの「力」か。

 第3ゲームが始まるなり、工藤は《深海の催眠術師》から《天馬の乗り手》、さらに《蒸気の精》と軽量クリーチャーを次々と叩きつけた。《突然の嵐》で時間を稼ぐリーだが、工藤はさらに《先見のキマイラ》を続かせ、攻撃の手が緩むことはない。

 リーは《黄金の木立ちの蛇》で4点のライフを取り戻すものの、戦場に溢れんばかりの工藤の軍勢を前には焼け石に水か。《フィーリーズ団の略奪者》が《無効化》されると、リーはひとつ頷き、右手を差し出した。

工藤 2-1 リー

「このデッキのベスト・ムーブを見せちゃいましたよ」

 試合後、第3ゲームの猛烈な攻めを振り返り、工藤は笑顔を見せた。激戦を終えた両者は互いに「Good Luck」と声をかけ、次の試合へ臨む。

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