読み物
準々決勝: 八十岡 翔太(東京) vs. 山本 昇平(広島)
By Kenji Tsumura
長い長い15回戦を終え、トップ8が出揃った。その中から2006年度のプレイヤー・オブ・ザ・イヤー八十岡翔太と、2006年度の日本代表である山本昇平の対決をお届けしよう。
ここからはデッキが公開されるトップ8ということで、まずはお互いのデッキリストを入念にチェックした両者。どちらも独自の調整が光るデッキリストに仕上がっており、特に山本のリストは《》無しで《》が4枚と、他の「フェアリー」デッキとは一線を画している。
今までに何百、何千回と繰り返されてきたであろう「フェアリー」ミラーマッチ。準決勝にコマを進めるのは八十岡か、それとも山本か。
Game 1
ダイスロールの結果、先攻は八十岡。軽いカードのないハンドを秒でマリガン。一方の山本は、《》《》《》を含む最高に近いハンドなのだが、いかんせん土地が《》と《》しかないため小考する。結局、悩みに悩んだすえにこの7枚をキープ。
マリガン後の八十岡のハンドはと言うと、こちらも《》と《》を含む文句のない6枚。しかも八十岡の土地は山本のそれとは違い、《》、《》と色マナの心配もない。
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八十岡 翔太 |
2ターン目に2マナを出すため、《》を置いてターンを終える八十岡。
ここで黒マナを引ければ《》→《》と動ける山本だが、残念ながら土地は引けず。《》を引いた時のために《》を置いてターンを返す。
八十岡はもちろん《》を設置してターンエンド。ドローも追加の《》と、唯一懸念されてた土地事故も回避できた。
山本はいまだに土地を引けておらず、《》を置いただけで力無くターンを返すしかない。
対象的に八十岡のドローは絶好調で、《》を引き込み、それをセット。これで次のターンの4マナも確保できたため、山本はここで色マナを引けないと間に合わなくなってしまうだろう。
そんな山本の運命のドローは・・・無情にも《》。不安定さと引き換えに得た強さが、ここにきて裏目に出てしまったか。
八十岡はトークンでアタックし、山本のアップキープに《》を戦場へ。このターンのドローも土地でないことを確認して、山本は投了を宣言した。
八十岡翔太 1-0 山本昇平
昨夜八十岡にデッキの特徴を尋ねたところ、メインボードの《》の枚数を挙げてくれた。
一般的な「フェアリー」デッキは《》4枚、《》2枚を入れているが、八十岡は安定性を求めて《》を3枚に減らしたそうだ。《》や《》とシナジーを形成するため、「フェアリー」デッキの《》は4枚採用が当たり前と言われていた。しかし八十岡は誰もが盲目的に答えを出していた部分、色マナという重要な問題と真摯に向き合った。現実世界でもMagic Onlineでも調整することなく、ただただ自らの頭の中で必死に考え、誰もがたどり着けなかった高みへと到達したのである。
Game 2
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山本 昇平 | |
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先攻の山本は初手を見て熟考したが、マリガンすることなくキープを宣言。八十岡は特に悩んだ様子もなく7枚をキープ。
山本の《》から始まったGame 2。八十岡も《》を置くのみの静かな立ち上がり。
2ターン目も《》を置くだけでターンを終えた山本に対し、八十岡は《》で《》を公開。山本のデッキリストに《》がないことを知っているため、躊躇なくこれをキャストする。
《》こそ通ってしまった山本だが、《》を唱えることで、少しでもその差を埋めようとする。八十岡の戦場にある《》を意識して、忠誠度を上げるべく、お互いにドローすることを選択した。
山本の《》の恩恵もあって、非常に手札が充実している八十岡。まずは、といった様子で《》をキャスト。山本の手札は《》《》《》、そしてなんと《》が3枚!
《》のおかげでクリーチャーには不自由しない八十岡は《》を無視し、後々の脅威となりそうな《》をディスカードさせる。そして《》で《》の忠誠度を減らしにかかる。
手札に大量の除去を抱える山本は、《》を守り切れるとの判断から、今回は自分だけドロー。《》でアタックし返して八十岡のライフを削り、俗に言う「《》死」を狙う構えだ。
4枚目の土地をセットし、《》に向かってフェアリー・トークンを攻撃させる八十岡。山本は《》を守るべく、このトークンを《》で除去する。
早いところ《》を引きたい山本だが、通常のドローと《》のドローを合わせても、《》を引くことは叶わなかった。《》を置いて、4マナを起こした状態でターンを終了する。
ここで山本のアンタップ状態の土地が《》《》《》×2だけということを加味して、このエンドステップに八十岡が仕掛けた。
《》をキャストして、山本の反応を伺う八十岡。
仮にこれを対処できても、土地の事情により山本は八十岡のターンに色マナを残せないため、非常に苦しい状況と言える。それを重々承知している山本は、《》を《》で除去した上で、《》をブロッカー用にキャストする。
この《》は《》めがけて突進してきたトークンを討ちとり、山本の唯一の希望とも言えるこのプレインズウォーカーを守る。八十岡は《》を置いただけでターンを返した。
山本は忠誠度1の《》を失うわけにはいかないので、再びお互いドローを選択。
そして山本は《》をキャストする。八十岡はこれに対応して《》をフラッシュ。これは無事に着地したが、誘発能力の解決前に山本は《》を《》へ。しかし八十岡はこれさえも《》で打ち消し、アタッカーを確保した。
《》によって暴かれた山本の手札は、さらなる《》と土地のみで、八十岡はこれを維持。
ここでようやく、山本の《》が解決され、《》《》《》という豪華な3枚の中から、《》を捨てさせる。
少しでも八十岡のライフを削りたい山本は、八十岡のマナが無いうちにと、《》を起動してアタック。ライフが13点の八十岡には通す選択肢もあったが、山本の手札にある《》を意識して、《》を《》と相打ちに。
返すターンで八十岡は《》《》を《》に、フェアリー・トークンを本体へと向かわせる。マナの無い山本に為す術はなく、ついに《》を失ってしまった。
山本は《》でのアタックを繰り返し、八十岡に《》を使わせる。そして、このタイミングでドローした《》を戦場へ。現在のライフは八十岡が12で山本が17だ。
これを受けて八十岡はお互いのライフ推移を計算し、《》で山本のアンタップ状態の《》を破壊するか小考する。ライフシートに書かれた数字を見る限り、どうやら5、6ターン後のことまで考えているようだ。素早く計算を終えた八十岡は、結局《》を起動することなく自身のターンへ。
そして八十岡のドローは100点満点の《》。早速《》能力を起動し、ライバルに更なる差を付ける。山本も返すターンで《》を引き込み、これを対消滅させるのだが、この時点で手札が0枚。対する八十岡は3枚もの手札を抱えており、八十岡が先に《》を出したので、フェアリー・トークンの数でも八十岡が圧倒的にリードしている。
容赦無く攻撃を続ける八十岡に対し、これ以上傷口が広がらないよう懸命にブロックをする山本。ただ守るだけではなく、《》を使って少しでも八十岡のライフを攻めようと試みるが、八十岡が先ほど温存した《》がそれすらも許さない。
《》で山本の手札が《》だけだと確認した八十岡。
《》《》を含めた総攻撃の前に、山本は右手を差し出す他なかった。
八十岡翔太 2-0 山本昇平
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