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グランプリ・北九州2013

観戦記事

第3回戦:星野 洋平(愛知) vs. 黒田 正城(大阪)

By Tetsuya Yabuki

星野 洋平(青白コントロール) vs. 黒田 正城(4色リアニメイト)

『基本セット2014』は、スタンダード環境に一石を投じる怪物を世に送り出した。

 《漁る軟泥》の参入は環境のくさびとなっていたリアニメイトを追いやり、混然としたメタゲームを先へ進めるに至った。勢力を強めるジャンドやトリコフラッシュといったデッキを後目に、次第にリアニメイトへの意識は薄まっていく。

 そこに目をつけたのが日本人初のプロツアー優勝をはじめ数々の戦績を誇る黒田 正城だ。彼は昨日行われた直前トライアルに4色のリアニメイトを持ち込み、見事勝ち抜いた。デッキ選択のきっかけを尋ねると、黒田は次のように語る。

「まず前環境からこのデッキを使い続けていて、他のデッキの経験値がなかった。それに、《漁る軟泥》だけ対処すれば十分やれるんだよね」

 今やリアニメイト対策は、《漁る軟泥》に頼られるようになっている。その隙を突く、というわけだ。

 しかし、そこに光明を見出したのは黒田だけではないようだ。フィーチャーテーブルに座る両者は、前日の空気を感じ取っていた。

「直前トライアルにけっこういたんですよ、リアニメイト」試合後、星野が昨日の様子をそう述べた。

「あと3日早ければなぁ」と、黒田も漏らす。直前トライアルでリアニメイトを目にして、「これはマズイ」と感じたそうだ。

 前日の雰囲気を見て、星野はサイドボードに《安らかなる眠り》を2枚挿したという。そして、その選択は今回の試合でも功を奏する結果となったのだ。

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試合

 第1ゲームの動き出しは同時。青白コントロールの星野が黒田のターン終了時に《熟慮》を唱えると、黒田は《忌まわしい回収》を合わせた。《堀葬の儀式》が黒田の墓地に姿を見せる。

 両者とも立ち上がりはスムーズで、《ボロスの反攻者》と除去で攻める黒田を《アゾリウスの魔除け》と《ボーラスの占い師》でしのぐ星野、という構図が続く。その後黒田の盤面に《スラーグ牙》が2枚並んだところで、転機が訪れた。


星野 洋平

 星野が《拘留の宝球》で《スラーグ牙》を2体とも追放し、続く《至高の評決》で黒田の盤面を根こそぎ流したのだ。

 返しの《堀葬の儀式》が通って《古鱗のワーム》を戦場に出す黒田だが、《アゾリウスの魔除け》が黒田の攻勢を許さない。星野はさらに《スフィンクスの啓示》で手札を補充し、築いた優位を崩さなかった。

 《グリセルブランド》、《スラーグ牙》、《静穏の天使》と次々繰り出される脅威に、打ち消し呪文を合わせ続ける星野。3枚目の《スフィンクスの啓示》を見ると、黒田が投了を宣言した。

星野 1-0 黒田

 真剣な目でサイドボード・プランを練る両者。このとき星野のサイドから《安らかなる眠り》が投入されていた。

 2ターン目《漁る軟泥》、3ターン目《ヴェールのリリアナ》と、2ゲーム目を好発進する黒田。ところが《ヴェールのリリアナ》で《静穏の天使》、《堀葬の儀式》と続けて墓地へ送った返しに、星野の《安らかなる眠り》が突き刺さる。

 それでも黒田の《ヴェールのリリアナ》は忠誠度を伸ばし、熟考を重ねた黒田は土地が4枚で止まっている星野に最終奥義を差し向けた。


黒田 正城

 2色出る土地と《安らかなる眠り》を天秤にかけられ、土地を残す星野。強烈な墓地対策の脅威から逃れた黒田は再び墓地を肥やし始めた。

 と、そこに再び現れる《安らかなる眠り》。星野は2枚採用した《安らかなる眠り》を2枚とも引き込んだのだ。

 しばらく土地が伸び悩んだ星野だが、黒田は後続を繰り出すことができない。少ない土地から飛んでくる打ち消し呪文が要所を守り続ける。

 やがて星野の土地が《スフィンクスの啓示》X=3まで届くと、青白コントロールは息を吹き返した。繰り返される打ち消し、手札が尽きたところで再び《スフィンクスの啓示》、そして《霊異種》の着地――

星野 2-0 黒田

「リリアナ(の奥義)我慢するべきだったかな。でも後続がなかったんだよね」――黒田

「あそこ残されたらキツかったですね」――星野

 試合後、第2ゲームの分水嶺を振り返る両者。それから話題は《安らかなる眠り》へと移っていった。

「それ無ければ有利なマッチアップだったんだけど」と《安らかなる眠り》を指す黒田。リアニメイト対策への意識は、今後様々な試合を占うことになるかもしれない。

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