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グランプリ・広島11

読み物

Round 15: 岩崎 裕輔(兵庫) vs. 大礒 正嗣(広島)

By Takeshi Miyasaka  決勝への細い道をかけた最後のフィーチャーへ呼ばれた二人。最終戦のフィーチャーマッチは、合意の上の引き分け、いわゆる ID ができないラインのテーブルから選ばれることが多い。 岩崎 「とにかく(プロツアー「闇の隆盛」の)権利が欲しいんですよ」  大礒は最後の試合で「下当たり」をしてしまった。同じポイント同士であれば ID も選ぶことができただろうが、この場合ガチるしかない。岩崎自身はプレイオフへの目はほぼなく、「勝っても 9 位」らしいが、ID してしまうと彼が欲しているプロツアーの権利が発生する 16 位以内も怪しいそう。 大礒 「そっちが ID で権利取れるならそれでもいいんですけどね。まあやりますか」  権利が欲しい岩崎と、地元のグランプリでどうしてもプレイオフへ進出したい大礒。それぞれの目標とプライドと生き残りをかけた真剣勝負が、いま、始まる。
Game 1
大礒 正嗣
大礒 正嗣
 先攻は大礒。ハンドを確認してすぐキープ宣言した大礒に対し、何度も首をひねりながら7枚のハンドを吟味する岩崎。十分に検討後岩崎は首を縦に振った。  最初のアクションは岩崎から。《ヴィリジアンの密使》が戦場へ追加されたエンドに、まずは《熟慮》でカードを 1 枚獲得する大礒。十分悩んでからさらにメインで《熟慮》をプレイし、獲得した《》を追加する。  岩崎は《ヴィリジアンの密使》で殴ってから、《月皇ミケウス》をプレイ。+1/+1 カウンターを 2 つ載せて戦場へ登場する。大礒は土地が詰まった模様で、4 枚目の土地をプレイすることなくターンを終える。  押せ押せモードの岩崎は《刃砦の英雄》をプレイするが、これは《雲散霧消》されて実らず。《ヴィリジアンの密使》が戦場を駆け抜ける。  カウンターしたことで引き増しできなかった大礒だが、無事に 3 枚目の《》をプレイしてマナスクリューは回避。ターン終了時に《月皇ミケウス》は 3/3 へ成長する。  《ガヴォニーの居住区》をプレイした岩崎はフルタップで《霊誉の僧兵》をプレイするが、《雲散霧消》の餌食とする大礒。  《月皇ミケウス》と《ヴィリジアンの密使》がレッドゾーンへ送り込まれ 5 点のダメージを受けた大礒のライフはすでに 11 だ。  しかし大礒にできることはドローゴー。  岩崎は大礒とは対照的に毎ターン土地をプレイし、毎ターンクリーチャーをプレイしている。このターンも《刃の接合者》をスタックへ。 大礒 「手札は?」 岩崎 「2 枚ですね」  カウンターするか長考に入る大礒。 大礒 「きついきついわ。マジきつい」 岩崎 「ですよね」  土地が詰まっているということは、逆に言えば手札には呪文があふれているということ。大礒は対応して《破滅の刃》を《月皇ミケウス》へプレイする。《月皇ミケウス》が死にゆく前に能力を起動し、《ヴィリジアンの密使》へ +1/+1 カウンターが置かれて 3/2 となる。その後《刃の接合者》が解決され、3/3 ゴーレム・トークンとともに戦場へ姿を見せる。  大きくなった《ヴィリジアンの密使》が大礒へと襲いかかるが、これは《瞬唱の魔道士》にがっちりキャッチされて土地へと姿を変える。  ゴーレムへの回答として大礒は《漸増爆弾》を。岩崎は当然のようにゴーレムと《刃の接合者》で攻撃するが、《漸増爆弾》でトークンを屠り、《刃の接合者》をテイクしてライフは 10。  戦闘後に《情け知らずのガラク》が登場し、ガラクの能力で 2/2 狼が戦線に追加される。さらに《ヴィリジアンの密使》もプレイする岩崎だったが、これは大礒が《マナ漏出》で許さない。  しかし、すでにライフが半減している大礒は手をこまねいているわけにはいかない。トークン生成装置であるプレインズウォーカーがガンである・・・と思ったかどうかはわからないが、悩みはするものの大礒にできたことはドローゴー。
岩崎 裕輔
岩崎 裕輔
 岩崎は狼を生産してから 2/2 狼と《刃の接合者》でアタック。  ブロック前に《瞬唱の魔道士》をプレイした大礒は、《破滅の刃》を対象に指定する。  岩崎も《ガヴォニーの居住区》を起動し、狼 2 体をそれぞれ 3/3、《刃の接合者》を 2/2 へとサイズアップするが、冷静に大礒は狼を《破滅の刃》し、《刃の接合者》を《瞬唱の魔道士》で相打ちに取ってライフの損失を抑えた。  ビッグターンを乗り切った大礒は、土地をプレイして 5 マナを自由にするとそのままゴーのサイン。さらに岩崎が《情け知らずのガラク》で狼を生産するのに対応して、《飢えへの貢ぎ物》をプレイ! 3/3 の狼が生け贄に捧げられ、大礒は 3 点ライフを獲得してトータルを 13 に引き上げる。  追加の土地が欲しい大礒はメインで《熟慮》をフラッシュバックしたが土地には出会えず。岩崎は余ったマナで《ガヴォニーの居住区》を起動して狼を 3/3 へ。  さらにメインで狼を追加してから《刃砦の英雄》をプレイするが、これはみたび《雲散霧消》の憂き目にあう。  おとなしく 3/3 狼で攻撃し、《ガヴォニーの居住区》を起動してサイズを上げて大礒へ 4 点ダメージ。大礒のライフは 9 点となる。  大礒のドローは待望の土地。6 枚目の土地をセットしてからしばし熟慮する。墓地と手札を確認して熟慮する。  逡巡した後で、吹っ切れたように息を吐いてから《血の贈与の悪魔》をインプレイ。  しかし、大礒の願いもむなしく、悪魔は《忘却の輪》によって追放されてしまうのだった。 岩崎 1-0 大礒
Game 2
 仲がいい友人同士のフィーチャーマッチとは対照的に、二人とも黙ってサイドボードを終え、黙々とシャッフルをする。プレイオフへ進出、あるいはプロツアーへの招待権を手に入れるのはいずれか一人。そのただ一人になるために、勝者の栄光をつかむために、彼らはカードを入れ替え、自身の武器を念入りにシャッフルする。 大礒 「先攻です」  ぽそりとつぶやいた大礒は、さっきよりも大きな声でキープを宣言。ファーストアクションは岩崎の《ヴィリジアンの密使》。そのターン終了時に《熟慮》をプレイする大礒、だが。 大礒 「おいおいおい」 岩崎 「まさか」  《ネファリアの溺墓》《闇滑りの岸》に続く土地をプレイできずターンを返す。岩崎は酔いがあけた《ヴィリジアンの密使》を戦闘へ駆りだし、《ミラディンの十字軍》でプレッシャーをかけるが、さすがにこれは大礒に《マナ漏出》される。大礒は苦笑しながら《水没した地下墓地》をタップイン。  大礒がエンストしている間に岩崎は攻め続ける。《ヴィリジアンの密使》でダメージを累積してから《最後のトロール、スラーン》を戦場へ追加する。大礒は《熟慮》をプレイして迎えたターン、そのまま《禁忌の錬金術》をメインでプレイし、4 つめの土地として《》をプレイしてターンを返す。  《ガヴォニーの居住区》セットから《饗宴と飢餓の剣》をプレイした岩崎は、「さすがにこっちか」とつぶやきながらこれを《最後のトロール、スラーン》へ装備し、《ヴィリジアンの密使》とともにレッドゾーンへ。両方でアタック。一撃 8 点のダメージを受けた大礒のライフは残り 8 となる。大礒のハンドからは《マナ漏出》がこぼれる。  さらにアンタップした土地から《刃の接合者》をプレイ、3/3 ゴーレム・トークンとともに戦場へ追加するとターンを終える。祈るように、手を合わせながら。  もはや後がない大礒は、戦場を眺め、手札を眺め、思慮の海へ。 大礒 「ちくしょーっ!」  そうつぶやいてから、X=2 で《黒の太陽の頂点》を。剣を装備した《最後のトロール、スラーン》とゴーレムがそれぞれ 4/4、1/1 にサイズダウンし、《ヴィリジアンの密使》は《平地》へと変換され、《刃の接合者》は墓地へ。十分なトレードをした大礒は、追加の土地はプレイできずにこのターンを終える。  黒い太陽から生き残ったクリーチャーたちは戦場へとかり出され、《ガヴォニーの居住区》の力で -1/-1 カウンターがそれぞれ一つずつ減じられる。5/5、2/2 となって大礒を襲って、手札とライフをもぎ取った。もはや大礒はライフを支払うことも許されない。  土地をアンタップした岩崎はダメ押しに《ヴィリジアンの密使》を追加。  ここから大礒が戦況をひっくり返すためには、次のドローも《黒の太陽の頂点》である必要があるのだが。  ......大礒は、苦笑しながら土地を片付けた。 岩崎 2-0 大礒 岩崎 「なんかすみません。(目がないのに)ガチっちゃって......」 大礒 「いや、権利がかかってた試合だし、気にしてないすよ」  勝負を終えた二人の元に友人たちが駆け寄り声をかける。二日間、15ラウンドに及んだ予選を経て、岩崎と大礒のグランプリ・広島はここで幕を閉じた。
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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