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グランプリ・広州2016

戦略記事

デッキテク:山本賢太郎の「グリセル・シュート」

by 矢吹 哲也

 今大会も初日を終え、27名の日本人プレイヤーが2日目に進出することになった。初日を8勝1敗と好成績で終えた山本 賢太郎は、2日目初戦の第10回戦も冷静なプレイで着実に勝利を掴み、良いスタートを切っている。

 彼が今大会に向けて選択したデッキは「グリセル・シュート」。モダンで行われる最後のプロツアーとなったプロツアー『ゲートウォッチの誓い』でも使用しトップ8入賞まであと一歩のところに迫った武器であり、山本自身も「かなり感触が良い」と自信を覗かせるものだ。

 今大会でも活躍を見せるこのデッキについて、山本に話を聞いた。

decktech_yamamoto.jpg

「齋藤(友晴)さんみたいにうまく並べられないな......」とつぶやきながら使用デッキ「グリセル・シュート」を並べていく山本。早速その全容を公開しよう。


※写真はメイン・デッキのみ。
山本 賢太郎 - 「グリセル・シュート」
グランプリ・広州2016 / モダン (2016年8月27~28日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
1 《
1 《湿った墓
2 《蒸気孔
1 《血の墓所
4 《汚染された三角州
4 《沸騰する小湖
1 《血染めのぬかるみ
2 《黒割れの崖
2 《忍び寄るタール坑

-土地(20)-

4 《猿人の指導霊
4 《引き裂かれし永劫、エムラクール
4 《グリセルブランド

-クリーチャー(12)-
4 《信仰無き物あさり
4 《血清の幻視
4 《手練
2 《稲妻
4 《御霊の復讐
4 《イゼットの魔除け
2 《集団的蛮行
4 《裂け目の突破

-呪文(28)-
4 《思考囲い
4 《神々の憤怒
4 《神聖の力線
2 《流転の護符
1 《粉砕の嵐

-サイドボード(15)-

――このデッキを作ったきっかけを教えてください。

山本「最初はプロツアー『ゲートウォッチの誓い』のときに津村(健志)さんが教えてくれて、構築部門で8勝2敗だったかな、良い結果を出せたんです。その後は『エルドラージ』デッキが一気に数を増やして、それには勝てなかったので他のデッキを使用していたんですが、《ウギンの目》の禁止で『エルドラージ』の勢力が落ちた。そこでもう一度このデッキを試してみました」

――当時との変更点は?

山本「当時は《ヴリンの神童、ジェイス》を4枚採用していたんですが、このカードに求める役目が果たせなかったんですよね。除去を差し向けられてしまって。だからそこを《手練》に変えました」

――『異界月』からの新戦力もあると聞きました。

山本「メインの2枚だけですけれど、『異界月』から《集団的蛮行》を採用しました。元々《稲妻》が4枚だったところを2枚変えて、手札破壊もできる柔軟性をとっています。最初は《稲妻》を全部《集団的蛮行》にしていたんですが、《野生のナカティル》などが除去できないので、2枚ずつに落ち着きました」

――現在のモダン環境での立ち位置はどう見ていますか?

山本「モダンでは相手に対処を迫るデッキが強いため、このデッキが苦手とする打ち消しを用いるデッキが減っていて、立ち位置的には悪くないかなと思っています。『ドレッジ』が意識されて環境に墓地対策が増えているんですが、このデッキは《裂け目の突破》やサイドボードの《流転の護符》で墓地対策もかわせるので、その点も追い風ですね」

余談だが、山本の《流転の護符》は『ウルザズ・レガシー』版。何度となく対戦相手にテキストを確認される一幕が見られた。

――苦手なデッキとその対策は?

山本「《大祖始の遺産》を持つ『トロン』のようにメインから墓地対策をしてくるデッキや、手札破壊の入った速いデッキ。あとはやっぱり、『デルバー』系や『感染』のような打ち消しの入った速いデッキが苦手ですね。『デルバー』系や『感染』はサイド後に墓地対策がないので、《御霊の復讐》を軸に戦います」

――ありがとうございました。


 こうして山本は、再び今シーズン開幕戦を勝ち抜くべく戦いの舞台へ戻っていった。名手、山本 賢太郎が愛用し自信を見せるこのデッキ。ぜひお試しあれ。

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