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グランプリ・千葉2018

インタビュー

インタビュー:大木 樹彦 ~強い人と戦えることが楽しい~

伊藤 敦

 記録的な猛暑の中での開催となったグランプリ・千葉2018。

 その会場内で、静かな佇まいとは裏腹に、外の熱気に負けず劣らずの熱いマジック愛を身の内に秘めた男を見かけた。

 大木 樹彦 (群馬)。

 つい先日もグランプリ・シンガポール2018で準優勝という成績を収め、自身3度目となるプロツアー権利獲得を果たしたばかりの大木だが、一体どのようなプレイヤーなのか。この機会にインタビューをお願いした。

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『あとちょっと頑張れば行けそうだな』と思ったんですよね

 大木とマジックとの出会いは7年ほど前、『イニストラード』まで遡る。

 もともと、さまざまなカードゲームに手を出していた大木は、大学時代にサークルの先輩に誘われてマジックを始めるに至る。だがそこから数年の間は、プレリリースやタワーマジックをカジュアルに楽しむ程度だったという。

 そんな大木が競技マジックに興味を持ったのは、『マジック・オリジン』の頃。大木に転機が訪れる。

大木「Magic Onlineでスタンダードをやり始めたらそこそこうまく勝てたりしたので、Magic Onlineのプロツアー予選にも出場したんです。そうしたらいきなり決勝まで残ることができて……結果は負けましたが、『あとちょっと頑張れば行けそうだな』と思ったんですよね

 競技マジックに精を出すようになった大木は、その後しばらくして頭角を現す。プロツアー地域予選を突破し、プロツアー『霊気紛争』の参加権利を獲得すると、初出場のプロツアーで11勝5敗という成績を収め、続くプロツアー『アモンケット』の参加権利を手中に収めたのだ。

大木「それから晴れる屋さんに声をかけていただいてHareruya Hopesに入り、今に至る……といった感じです」

 

仲間のおかげというのも明確にあると思います

 そんな大木が、先日ついに初のグランプリトップ8入賞を達成した。競技マジックのキャリアを重ねることで、やはり実力が上がってきているのだろうか。

大木「実力は上がってきていると思います。ただフォーマットがスタンダードだったというのが大きいですね。スタンダードは得意なので」

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大木「それと、仲間のおかげというのも明確にあると思います。少し前までは自分一人で調整していて、精々友達一人か二人くらいと一緒にやることもあるくらいだったんですが、関西のコミュニティと仲良くさせていただくようになって仲間も増えてきましたし、周りも強くなってきたりで、チームワークで効率良く練習できるようになりました」

 

スタンダードだと100リーグは参加します

 スタンダードが得意だという大木だが、その調整方法はどのようなものなのだろうか。

大木「僕の場合は、単純に『Magic Onlineをすごい回数やる』というものになりますね。スタンダードだと100リーグは参加します。もちろんいろいろとデッキを変えて……まだ僕のレベルだと実際に使ってみないとどこがどう強いとかは判断がつかないので、必然的に参加回数が多くなってしまうんですよね」

 1回5マッチのリーグを100回。つまりは500マッチだ。

 練習のためとはいえ、オンラインでそれだけの試合回数をこなすことは辛くはないのだろうか。

大木「あまり苦にならないタイプですね。マジックをやっている時間がやはり楽しいので。いろいろと突き詰めて研究していく楽しさは、カードゲームの醍醐味だと思います」

 

ゴールドレベル以上のプロは、『感覚』が違いますね

 Hareruya Hopesに入る際のインタビューでは、プロツアーに継続参戦できるゴールドレベルを目標に掲げていた大木。グランプリ準優勝でようやく目標が少し現実に近づいたというところだが、はたして到達できそうな実感はあるのだろうか。

大木「来シーズン一発目のプロツアー『ラヴニカのギルド』での結果次第では……といったところですね。ただ実力だけで言うなら、僕自身ゴールドレベルにはまだ及ばないな、と思う部分もあります」

 二度のプロツアー参加の際に肌で味わった、ゴールドレベル以上のプロとの違い。その決定的な差異について問われた大木は、懸命に言語化を試みる。

大木「なんて言ったらいいのか……ゴールドレベル以上のプロは、『感覚』が違いますね。テンポ面や、勝ち筋の見え方などが、キャリアの長い人たちと比べるとどうしても足りないんです」

 尊敬するプレイヤーとして名前を挙げる市川 ユウキもゴールドレベル。「あのタイミングで《王神の贈り物》デッキを持ち込めるのは本当にすごいと思います」と語る大木は、その強さをグランプリの決勝で、まさしく味わったばかりなのだ。

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マジックと出会っていなかったら、こんなにたくさんの人と出会っていなかったと思うんですよ

 しかし、目標に対する実力不足を自覚する大木はむしろ楽しそうですらあった。

 プロプレイヤーを目指す道に飛び込んでみて良かったこと・悪かったことは何かと問われた大木は、迷わずにこう答える。

大木「今まで自分が知らなかったコミュニティともつながりが持てるようになって、自分とは違ういろいろな考えに触れ、それらを取り入れることができるようになったこと。それが良かったことで、悪かったことは特にないです」

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 7年前、マジックと出会った大木。その出会いによって、今こうしてプロプレイヤーを目指す道のりの途上にいる。その現状を踏まえて、マジックとの出会いは良かったものだと思うか。

大木「良かったと思います。だって、マジックと出会っていなかったら、こんなにたくさんの人と出会っていなかったと思うんですよ。それと実は、プロツアー『霊気紛争』でアイルランドに行ったのが初めての海外旅行で、その経験があればこそアジアのグランプリとかにも行くようになりましたが、同様にマジックと出会っていなかったら、きっと海外に行くこともなかったと思います」

 ゲームとは、体験を拡張してくれるものだ。

 マジックによって広がった世界を見据え、しかしそれでもプロツアーへの継続参戦を目指し続ける大木は、そこに何を見ているのだろうか。

大木「プロツアーは、強い人と戦えることがとにかく楽しいんですよ」


 

 「強い人と戦えることが楽しい」。

 国境を越え、言語を越え、世界中で遊ばれているマジックだからこそ味わえる体験がある。

 ゴールドレベルを目指して研鑽を続ける大木の活躍に今後も注目だ。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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