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グランプリ・千葉2015

戦略記事

八十岡翔太の寿司ドラフト

By Sugiki, Takafumi

 今回のグランプリは、『モダンマスターズ 2015年版』の発売記念ということもあり、通常のサイドイベント以外にも様々なイベントが催されている。その中の一つで突発的に開催されたのが、


 寿司ドラフト。

GPChiba15_SushiDraft.jpg

 そして、会場内から募集した7名とともにドラフトを行うのは、寿司ドラフトマスターの呼び声が高い(らしい)プロプレイヤー、八十岡 翔太。プロツアー・チャールストン2006で、斎藤友晴、鍛冶友浩とともにプロツアーを制覇し、またMagic Onlineの世界では「yaya3」のハンドルネームでの両方で世界一になるなど名を馳せているが、寿司ドラフトにおいてもかなりの強豪であるとのことだ。

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 なかなか行われることのない貴重なレギュレーションでのドラフトであり、カバレージチームも寿司ドラフトマスターの八十岡による華麗なるピック間近で見ることができたため、その八十岡のピック譜をお伝えしたいと思う。なお、出来たての寿司による寿司ドラフトを行うため、ウィザーズ社のスタッフが近くの寿司店に走ったのは言うまでもない。

 また、このようにカバレージチームの他、英語版の中継チームは動画を撮影しており、後ほど英語版カバレージにアップされる予定である。

sushi_reporters.jpg

 八十岡の注目される初手は、〈コハダ/Dotted gizzard shad〉。

 東北以南の太平洋側、日本海側、東シナ海等に幅広く分布しており、日本人にとっては非常にオーソドックスな魚である。別名コノシロとも呼ばれている。今回の〈コハダ/Dotted gizzard shad〉はよくある軽く酢で締めてあるタイプであり、非常にさっぱりとした口当たりによる、他のネタとの組み合わせの受けの広さがあると考えたピックであるように感じる。

 なお、八十岡が他に迷ったネタとしては、〈アジ/Jack Mackerel〉であった。八十岡はどうやら光り物、マジックで言えば金属術を好みのアーキタイプとしているのかもしれないが、これは八十岡についての新たな発見である。しかしながら、まだまだ〈マグロ/Tuna〉から赤に入っていくことや、今回のプールは〈なす/Eggplant〉や〈アサツキ/Chive〉が多いこともわかっていることから野菜単タッチ光り物という通常ではあまり見られないマニアックな路線に行くことも考えられる。

GPChiba15_SushiDraft4.jpg

 2手目、八十岡は回ってきたパックの残りネタから、上家のプレイヤーのピックしたネタを推測する。この環境では、〈マグロ/Tuna〉〈イカ/Squid〉〈タコ/Octopus〉ソートがあることが知られており、〈マグロ/Tuna〉と〈タコ/Octopus〉が残っていたことから〈イカ/Squid〉が上家の初手ということが感じられる。

 ここで、八十岡がピックしたのは〈アジ/Jack mackerel〉。どうやら光り物ビートを目指すという主張のようだ。仮に〈イカ/Squid〉をとったであろう上家のプレイヤーが〈イカ/Squid〉、〈タコ/Octopus〉を軸に添えたプリン体ビートを組むのであれば、上家とは完全に棲み分けができることとなる。

 ここから光り物の流れが止まらない。3手目〜8手目までなんと6手も連続で〈コハダ/Dotted gizzard shad〉をピックでき、光り物ビートというよりは卓一のコハダ単の様相を示してくる。そして、運命の9手目。帰ってきたネタにより、今回の8人のプレイヤーの好みのアーキタイプが分かる。光り物系で揃えている八十岡としては、〈アジ/Jack mackerel〉が流れてきてほしいところであるが、残念ながら〈アジ/Jack mackerel〉は流れてこず。〈コハダ/Dotted gizzard shad〉がこれだけ流れてきていることから、光り物ビートは卓一であることは想定されており、5色ドメイン戦略のプレイヤーが〈アジ/Jack mackerel〉をピックしたことも考えられる。そのため、八十岡が9手目で選んだのは、〈なす/Eggplant〉。箸休めとしてもちょうどよく、光り物ビートにも無理なくタッチできる。

 10手目では2手目で流した〈コハダ/Dotted gizzard shad〉も回収でき、以降は順調に〈アジ/Jack meckerel〉をピック。13手目でさすがに光り物が消えていたため〈なす/Eggplant〉、14手目では〈高菜/Mustard〉とピックし、15手目で最後に回ってきたのは、なんと上のネタがなくなってしまっているエラー寿司。どうやら海外からお越しのプレイヤーが軍艦の上のネタだけを取ってしまい、ただの海苔巻き酢飯となってしまっていたようだ。

 結果、八十岡のピックした寿司リストと写真は下記のものである。

yasooka_sushi_deck.jpg
八十岡 翔太の寿司ドラフトデッキ[MO] [ARENA]
8 〈コハダ/Dotted gizzard shad〉
4 〈アジ/Jack mackerel〉
3 〈なす/Eggplant〉
1 〈エラー寿司/Error Sushi〉

-寿司(16)-

-醤油(0)-


-わさび(0)-

 基本は〈コハダ/Dotted gizzard shad〉、〈アジ/Jack mackerel〉を軸に据えた軽めの光り物ビートであり、タッチした〈なす/Eggplant〉と〈高菜/Mustard〉が箸休めとして心憎い。丁寧に寿司ネタをピックしており、芸術点的な加点もあるだろう。

 参考までに他のプレイヤーのドラフトを紹介すると、上家はやはり〈イカ/Squid〉、〈タコ/Octopus〉に加え〈とぴこ/Flying fish roe〉も追加したプリン体ビート。プリン体ビートのキーネタである〈いくら/salmon roe〉は対面あたりで〈いくら/salmon roe〉〈まぐろ/Tuna〉赤単を組んでいるプレイヤーが回収していた。その他には〈アサツキ/Chive〉を軸に据えた野菜単や5色パワーネタドラフトなどもあり、案外奥深いフォーマットであるのかもしれない。

 この企画に協力してくれたジャッジ、プレイヤーの各氏へは最大限の感謝を送りたい。そして、このドラフトはなんといっても、「プロプレイヤー八十岡は光り物が好きだ」という新たな一面が垣間見れる貴重な機会であった。

 なお、わさびと醤油は基本土地と同様に好きなだけ支給されるようだ。


 ドラフト終了後、タイムコールをしていたジャッジから衝撃の一言が。

「You have 45 seconds to eat, You may begin.(45秒間の寿司を食べる時間があります。はじめてください。)」

 プレイヤーが一斉に、「え、食べるの? しかも45秒で???」

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