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グランプリ・北京2018
第9回戦:Alexander Ellis(オーストラリア) vs. 行弘 賢(東京)
8回戦を終え、全勝者はわずかに7名。グランプリ初日も残すところ1回戦というところで、9-0をかけた戦いに臨む日本人プレイヤーの姿があった。
行弘 賢。
今年2月のプロツアー『イクサランの相克』で《虚ろな者》の暴風を吹かせてトップ4に入賞したのも記憶に新しいプラチナレベル・プロが、久しぶりのグランプリトップ8に向けてこれ以上ない好ポジションにつけている。しかも行弘のシールドデッキは「ここまで対戦相手がキレるか呆れるかしかしてない」という、圧倒的なパワーカードの塊だというのだ。
とはいえさすがにこのラインまで来ると対戦相手のデッキも化け物揃い。オーストラリアのエリスも多数のレアを搭載した強力な白黒を駆使し、ここまで1敗にまとめあげている。
ブースタードラフトで行なわれる2日目に向け、少しでも弾みをつけておきたい初日最終戦。行弘、初日全勝なるか。
Alexander Ellis(オーストラリア) vs. 行弘 賢(東京) |
ゲーム1
マリガンしたエリスだが、《セラの信奉者》から《アヴナントの罠師》、さらに行弘の初動《這い回る偵察機》の返しで「英雄譚」《ジェラードの勝利》をプレイ! 4ターン目にして一挙6点を叩き込みつつ、行弘に対処を迫る。
だが返す行弘は落ち着いて《アヴナントの罠師》に《氷結》をエンチャント。エリスも《ジェラードの勝利》のⅡ章目で《セラの信奉者》を育てつつ《エイスサーの滑空機》を展開してクロックを継続しようとするのだが、なおも行弘は《氷の干渉器》から《シヴの火》でエリスのクロックを封殺する。
アレクサンダー・エリス/Alexander Ellis |
だが、これくらいで音をあげるようならエリスは今ここに座っていない。《闇の取り引き》でカードを補充したエリスは《馬上槍》《呪われし者、アルヴァード》《不屈の護衛》《戦慄の影》と次々と畳みかける。
行弘も《密航者、スライムフット》《エルフェイムのドルイド》から《アカデミーのドレイク》を「キッカー」付きで2連打し、《氷の干渉器》を駆使してどうにか反撃の糸口をつかもうとする。
しかし、ここでエリスの切り札が盤面に降臨した。
《黎明をもたらす者ライラ》!
このかつての《悪斬の天使》を彷彿とさせるスペックの天使を前にして、行弘は《アカデミーの修士魔道士》で1回バウンスして飛行8点の痛撃をエリスに叩き込むも、再展開から《不純な捧げ物》を「キッカー」で《アカデミーのドレイク》に打ち込まれると、《氷の干渉器》で攻撃を押しとどめることはできるものの、代わりに《馬上槍》を担いだ《エイスサーの滑空機》が止まらない盤面となってしまう。
それでも、この局面で切り札を握っていたのはエリスだけではなかった。まずは《ウルザの後継、カーン》をプレイして[+1]能力で待望の2枚目の《島》を銀カウンター付きで追放領域に送り込んだ行弘は、続くターンに[-1]能力でこれを手に入れると、逆転の切り札を解き放った。
相手の切り札を寝返らせる《ボーラスの手中》!! エリスに忠誠を誓っていた《黎明をもたらす者ライラ》が、行弘の手に落ちる。
そうして気づけば《氷の干渉器》《ウルザの後継、カーン》《黎明をもたらす者ライラ》《密航者、スライムフット》というとんでもない盤面を作り上げた行弘が、ほどなくしてフルアタックを敢行すると、エリスのライフを一息に刈り取ったのだった。
エリス 0-1 行弘
ゲーム2
《メサ・ユニコーン》から《エイスサーの滑空機》で攻め立てるエリスに対して、行弘は《アカデミーのドレイク》をブロッカーに立てるが、エリスはこれに《不純な捧げ物》を打ち込んでからの《ジェラードの勝利》というブン回りを見せる。
だが行弘は《這い回る偵察機》からサイドインの《菌類感染》でアタックしてきた《メサ・ユニコーン》を打ち取ると、手札がかみ合わずに《多勢の兜》を置いてターンを返すだけのエリスに対し、《最古再誕》で4/3まで育った《エイスサーの滑空機》を屠ることに成功する。
行弘 賢 |
ならばと《ベルゼンロック典礼》を出すエリスだが、《多勢の兜》を《壊れた絆》で割られてしまうと、もはやデーモン・トークンにすべてを託すしかないといった状況。
そんな状況で、エリスにとっては悪夢とも呼べる、行弘にとってのまさしく完璧な解答が戦場に降臨した。
《氷の干渉器》。八十岡 翔太が「宇宙」と評した環境最強のアーティファクトによって、エリスは逆に毎ターンクリーチャーを無意味に生け贄に捧げなければいけないロック状態に陥ってしまう。
その間にも行弘は《ランプのジン、ザヒード》《アカデミーのドレイク》「キッカー」とクロックを展開していく。わずかな望みにかけて《ウェザーライトへの乗艦》で《黎明をもたらす者ライラ》を探すエリスだったが、見つかったのは《エイスサーの滑空機》のみ。
1体、また1体とエリスのクリーチャーが氷漬けのデーモン・トークンへの不毛な生け贄に捧げられていき、ついに行弘が飛行クリーチャーをレッドゾーンに送り出す時が来た。エリスはブロックするとデーモンへの生け贄がなくなってしまうのでブロックができない。だが攻撃を通したところでそれは1ターン死期が延びるというくらいの意味しかなく。
最後のドローを確認したエリスは、力なく右手を差し出した。
エリス 0-2 行弘
行弘「さすがにデッキがせこすぎたね(笑)」
3不戦勝からの6回戦、たったの1ゲームしか落とさず初日全勝を達成したという行弘。せっかくなので、デッキの写真を撮らせてもらった。
はたしてそこには……『ドミナリア』シールドのすべてが詰まった、9-0にふさわしい「怪物」の姿があったのだった。
8 《森》 5 《島》 2 《沼》 1 《山》 -土地(16)- 2 《ラノワールのエルフ》 1 《エルフェイムのドルイド》 1 《荒々しいカヴー》 2 《アカデミーのドレイク》 2 《這い回る偵察機》 1 《密航者、スライムフット》 1 《ベイロスの大喰らい》 1 《アカデミーの修士魔道士》 1 《ランプのジン、ザヒード》 1 《茨の精霊》 -クリーチャー(13)- |
2 《シヴの火》 1 《壊れた絆》 1 《氷結》 1 《予言》 1 《灰からの成長》 1 《臓腑抜き》 1 《氷の干渉器》 1 《最古再誕》 1 《ボーラスの手中》 1 《ウルザの後継、カーン》 -呪文(11)- |
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