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The Finals 2018

観戦記事

準々決勝:渡邉 崇憲(新潟) vs. 太田 翔(東京)

小山 和志
渡邉 崇憲(写真左) vs. 太田 翔(写真右)

 153名の精鋭たちが8人まで絞り込まれ、「The Finals」王者のタイトルを賭けた決勝ラウンドが始まる。

 朝、プレイヤーで埋まっていた会場は今や8人と、ギャラリー……多くは彼らの友人たち、そしてスタッフを残すのみとなった。

「兵どもが夢の跡」

 激戦が繰り広げられたプレイエリアは今やテーブルクロスが取り払われ、残るほんの片隅で、4卓の準々決勝テーブルにプレイヤーたちが着席する。

 ヘッドジャッジ中嶋智哉氏のアナウンスを挟み、プレイヤーたちは対戦相手と互いのデッキリスト交換に入る。

渡邉「《正義の模範、オレリア》が止まらないとか……それぐらいしか(勝ち目が)無いんだよなあ〜(笑)」

太田「ええ、でも本当に止まらないんですよね……」

 グランプリ・静岡2018春でトップ8進出を果たし、大イベント2度目の決勝ラウンド進出となった渡邉崇憲がデッキリストを吟味し、いわく相性が悪い「セレズニア・トークン」を駆る太田翔と雑談を交わす。

 太田は自身が語るところでは、初めての大イベント決勝ラウンドとのことで緊張が隠せないでいる。シャッフルする手はわずかに震え、吐息を漏らしている。

 それでも、ゲームスタートの時間は等しくやってくる。

 マジック25周年を彩る2018年。そのトリとなるタイトル戦の準々決勝が始まった。

ゲーム1

 ともに7枚キープから、渡邉が《追われる証人》から《ボロスの挑戦者》、太田が《協約の魂、イマーラ》という立ち上がり。

 序盤から積極的に攻める渡邉は《不屈の護衛》を追加。だが太田は構わず《協約の魂、イマーラ》で攻撃。さらに《ベナリア史》でブロッカーを確保する。

 だが、渡邉は戦前に「(セレズニアカラーの太田のデッキにとって)止まりにくいだろう」と評していた、まさに勝ちパターンのひとつ《正義の模範、オレリア》!

 太田は2体のトークンで《ボロスの挑戦者》と相討ちを取るが、ダメージが貫通しライフはすでに12となる。太田は2枚目の《ベナリア史》で地上を固めようとする。

 渡邉は《正義の模範、オレリア》と《追われる証人》で攻撃。すでにこの《追われる証人》は4/4というサイズになっており、太田は騎士・トークン2体で相討つが、すかさず渡邉からも《ベナリア史》がプレイされ、ダメージレースでも盤面でもマウントを取る。

 太田は《軍団の上陸》と《苗木の移牧》で地上を固めるが、渡邉の《正義の模範、オレリア》が空から悠々とダメージを通していく。

 太田は《大集団の行進》をX=3でプレイし、兵士・トークン1体がチャンプアタックすることでライフを5に引き上げるが、やはりボロスを象徴する《正義の模範、オレリア》が止まらない以上、渡邉の軍団に蹂躙される他なかった。

渡邉 1-0 太田


渡邉 崇憲

ゲーム2

 太田が《軍団の上陸》から《苗木の移牧》とロケットスタートを切る。いきなり《一番砦、アダント》への変身が見える展開に、渡邉は《トカートリの儀仗兵》をブロッカーに立てるが、やはり太田は構わずアタックし、《軍団の上陸》がその姿を変える。

回転

クリックで変身します

 さらに渡邉は間の悪いことに、土地が《平地》2枚で止まってしまい、追加のクリーチャーを追加することができない。それを尻目に太田は《敬慕されるロクソドン》!

 ここでもまだ土地が引けない渡邉。それを尻目に2枚目の《苗木の移牧》をキッカー込みでプレイし、一気に差を広げる太田。

 渡邉はようやく3枚目の土地を引き込み《ベナリア史》をプレイするが、太田のフルアタックでライフが2となると、ドローステップを迎えた後にヒラリと手を振って投了の意を示した。

渡邉 1-1 太田


太田 翔

渡邉「ダブマリしてもなあ……」

太田「さすがに……でしたね……」


ゲーム3

 今度は渡邉が《軍団の上陸》から《ボロスの挑戦者》というグッドスタートを切る。受ける太田は《協約の魂、イマーラ》。渡邉は攻撃を通し、「教導」込みで4点のダメージを与えると、さらに《ベナリア史》と、序盤から毎ターンマナを使い切る回りで太田にプレッシャーをかけていく。

 太田は《協約の魂、イマーラ》で攻撃。これに渡邉は「ここが難しいなあ」とひとりごちて、攻撃を通す。返すターンでの《軍団の上陸》を変身させたいためだ。太田は《苗木の移牧》でブロッカーを立てる。

 だが、渡邉からは《暴君への敵対者、アジャニ》!

 《ボロスの挑戦者》と騎士・トークンに+1/+1カウンターを置き、フルアタック。「教導」により吸血鬼・トークンも3/3まで成長し、一気に9点のダメージを与え、はやくも太田のライフを6まで落とし込む。

 太田はマナをフルオープンでターンを返す。《大集団の行進》が見える渡邉は《ベナリア史》のⅢ章能力を解決しつつ、慎重に《暴君への敵対者、アジャニ》の能力起動と攻撃を吟味する。

渡邉「4体(兵士・トークンが)出てくる感じか…」

 再度、渡邉は吸血鬼・トークンと《ボロスの挑戦者》に+1/+1カウンターを置き、フルアタックを敢行する。吸血鬼・トークンが「教導」により4/4まで成長し、渡邉の注文通り太田から《大集団の行進》は飛んでくるものの、さらに渡邉は2枚目の《ベナリア史》!

 太田は《不和のトロスターニ》で6体の兵士・トークンを強化しつつ《暴君への敵対者、アジャニ》を落とし、ライフを引き上げると、「招集」を駆使し《議事会の裁き》で《ボロスの挑戦者》を除去。ブロッカーは1体なれど徐々に盤面を押し返し始める――


 ――だが、その返しで渡邉が叩きつけたのは《英雄的援軍》!

 一挙18点!

渡邉「1枚だけ(デッキに)残してたんですけど……バカヅキでしたね(笑)」

 渡邉はターンを返すまでもなく太田のライフを一気に刈り取り、準決勝進出をものにしたのだった。

渡邉 2-1 太田

渡邉 崇憲 準決勝進出!

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