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プロツアー『サンダー・ジャンクション』
プロツアー『サンダー・ジャンクション』トップ8ハイライト
2024年4月29日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」が開幕した金曜日は、すべての始まりの地にプロツアーが帰ってきたという記念すべき1日だった。それからシアトルでのプロツアーが繰り広げられ、最後に残った8人が再び舞台へ上がることになった。残る仕事はあと1つ。プロツアー『サンダー・ジャンクション』の優勝トロフィーを掲げる者を決めるだけだ。
2日間16回戦にわたる激戦(スタンダードでも『サンダー・ジャンクションの無法者』リミテッドでも大胆な選択が見受けられ、それが功を奏する場面があった)を経て迎えた最終日。王者の戴冠まで、7マッチを残すのみとなった。
プロツアー『サンダー・ジャンクション』トップ8。(左から)高橋 優太、ルーカス・ドゥーコフ/Lucas Duchow、松浦 拓海、井川 良彦、ジャン・レイ/Rei Zhang、アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbeth、ジェイソン・イェ/Jason Ye、ショーン・ゴダード/Sean Goddard
開幕を飾るのは、スイスラウンドで最も支配的な活躍を見せたプレイヤーだった。長年にわたり競技を続ける井川 良彦は日本で開催された地域チャンピオンシップを制して今大会への参加権利を獲得し、森山 真秀が音頭を取る日本のチーム「Moriyama Japan(森山ジャパン)」とともに取り組んできた。10人のプレイヤーを擁するこのチームはここ最近安定した成績を残し続け、ついにシアトルの地で大ブレイクを果たした。井川に加えて松浦拓海と前世界王者の高橋 優太、チームメンバー3人をトップ8へ送り込んだのだ。
井川はハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezとの一戦を落としたのみで第13回戦に早々にトップ8入賞を決め、一番乗りでこの舞台に立った。そんな井川とショーン・ゴダードが繰り広げる日曜日の開幕戦は、我々がカメラを通して見てきた試合の中でも特に記憶に残る名勝負となった。BO5で行われるプロツアー準々決勝が最後までもつれるときは、記憶に残る瞬間が多く見られるものなのだ。
井川の「ドメイン・ランプ」は、今大会を通して他のあらゆるデッキを圧倒してきた。とりわけ《偉大なる統一者、アトラクサ》は、今大会のメタゲームで最も大きな割合を占めた「エスパー・ミッドレンジ」を上回る助けになった。井川の唯一の懸念は、チーム「Worldly Counsel」の一員であるゴダードがスタンダードで「チャネル(《事件現場の分析者》)ファイアボール(《世界魂の憤怒》)」を決められる「ティムール世界魂」を使用していることだった。果たして結果はどうなったのか? このマッチでは歴史に残るシーソーゲームが繰り広げられ、長年ハイレベルな舞台で戦い続ける両者は技術の高さを存分に披露した。世界最高のプレイヤーたちが繰り広げる素晴らしいスタンダードの試合が見たい方は、ぜひ通して観ていただきたい。
はじめは接戦になるように見えなかった。ゴダードが開幕から2ゲームを連取し、第3ゲームも優位に進めた。しかし井川は諦めず粘り強いプレイを続け、体勢を整えた。そこから、盤石の壁が崩れ始めた。
"It's like the game starts at 7 mana for these two" - @Marshall_LR
— Shivam, keeper of favorites (@ghirapurigears) April 28, 2024
No wonder I like standard so much right now
「この2人にとっては、ゲームは7マナから始まるようです」――@Marshall_LR
今のスタンダードのこういうとこが好きなんだよ
サイドボードが加わると流れが変わった。ゲームは変わらず長期戦になったが、天秤は井川の方へ傾いていった。そしてこの日曜日の初勝利から、彼は止まらなかった。
井川とゴダードがマラソンのような試合を展開している中で、他のトップ8入賞者たちも激戦に深く身を投じていた。新たにチーム「CFB-Ultimate Guard」の正規メンバーに加わったアルネ・ハッシェンビスは、Magic Onlineの専門家でテーブルトップのプロツアー・トップ8入賞を経歴に加えることになったルーカス・ドゥーコフとの「エスパー・ミッドレンジ」同系対決に挑んでいた。
両者のデッキには除去やバリューを生み出すクリーチャーが溢れんばかりに詰まっており、ゲームは多くのカードを互いに交換し合い、最後に脅威を残せた方が取るという様相だった。チーム「CFB-Ultimate Guard」はこのマッチアップに完璧に備えてきており、ハッシェンビスはいずれも薄氷ながら3度の勝利をもぎ取ることに成功したのだった。
準決勝の席が2つ埋まり、残るは2つ。次に見ていくのは高橋と「cftsoc(combo for the sake of combo/コンボのためのコンボ)の略」の名で知られるジャン・レイの一戦だ。チャンとチーム「Sanctum for All」のメンバーは、現在のスタンダード環境において大きな存在感を放っている。《事件現場の分析者》を使うデッキと「4色レジェンズ」は、ジャンとジェイソン・イェをトップ8へ送り出しているのだ。
高橋が操るのは、実に多様なアーキタイプが見受けられたトップ8で唯一の「アゾリウス・コントロール」である。チャンの「4色レジェンズ」を相手に、元世界王者のデッキはやるべきことを確実に遂行した――戦場に出てくるあらゆるクリーチャーを除去し尽くしたのだ。チャンのデッキは土地29枚にクリーチャー22枚を搭載しており、脅威を展開し続けられるよう設計されていた。それでも極めてタイトな4ゲームが繰り広げられたすえに高橋がチャンをわずかに上回り、準決勝の席につくことになったのだった。
最後に残るは松浦とイェの決戦だ。「アゾリウス・コントロール」とは対極に位置する「ボロス召集」は、現環境における攻撃的なデッキの筆頭だ。《ひよっこ捜査員》から《上機嫌の解体》というパイオニア級の動きを持つこのデッキは、『サンダー・ジャンクションの無法者』で《感動的な眺望所》を獲得してさらに強化された。このアグロ・デッキが火を吹いた(少なくとも松浦がイェを相手に3ゲーム取り勝利した)ことで、「召集」デッキはその力を我々に見せつけたのだった。
決勝の舞台が整うまであと2試合となった。準決勝は井川vs.ハッシェンビスと松浦vs.高橋だ。チーム「Moriyama Japan」のメンバー同士が当たることになってしまったが、トップ4のうち3席を占めているのだから避けることはできない。
プロツアーの舞台で、「ボロス・アグロ」と「アゾリウス・コントロール」という伝統的な一戦が行われた。松浦と高橋は、決勝の席を懸けた戦いでそれぞれのデッキの力を存分に引き出した。一度は高橋の防衛線を打ち破った松浦であったが、《フェアリーの黒幕》こと高橋が「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」決勝の卓へとまっすぐ飛んで行くのを止められなかった。
もう1つの準決勝では、井川が圧倒的な強さを見せた。自身3度目のトップ8入賞を達成した彼はこの週末を通して1マッチしか落としていないが、譲るつもりはないようだ。ゴダードとの対戦で0-2と劣勢に立たされながらもそこから3連勝で逆転勝利を収めた井川は、その後も連勝を続けた。
プロツアーに備えてきた他のテストチームと同様に、井川のチームも「エスパー・ミッドレンジ」が最大勢力になると想定し、デッキを調整してきた。エスパーは全体として今大会では振るわなかったものの、最高のリストと卓越したプレイを兼ね備えた者が2名、トップ8に進出した。ハッシェンビスもその1人だった。
しかし決勝でチームメイトが待っている男を止めることはできず、井川が3連勝で決勝進出を決め、高橋とタイトルを争うことになったのだった。こうしてトップ8でも圧倒的な活躍を見せたチームにふさわしい、最高の舞台が整ったのである。
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