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The Finals 2018
第2回戦:津村 健志(東京) vs. 佐藤 レイ(東京)
The Finals 2018、第2回戦。全国各地から153名もの強豪プレイヤーが集ったこの大会のフィーチャーマッチエリアに、2人のプロプレイヤーが現れた。
先に着席しようとしたのは、グランプリ・静岡2018(レガシー)で久しぶりのトップ8に入賞したばかりの殿堂顕彰者・津村 健志。昨年のThe Finals 2017では見事優勝して賞金100万円を獲得した、いわばディフェンディングチャンピオンだ。
佐藤「いや、ちょっと待って。オレがこっち座るわ。さっきこっち側で座って勝ったから!」
一方、そんな津村を厚かましく制止して反対側に座らせたのは佐藤 レイ。昨シーズンはグランプリ・香港2017での優勝に始まり、グランプリ・北京2018とグランプリ・シンガポール2018でトップ8、チーム戦のグランプリ・名古屋2018でも行弘 賢・山本 賢太郎と組んで優勝と、圧倒的なパフォーマンスを見せてノンレベルからプラチナレベル・プロまで一気に駆け上がった男である。
津村「そんなん気にするっけ?(笑)」
佐藤「いやいや、そういうのあるから! オレたちは風水でマジックをやっている!」
津村「サロンで教えないと(笑)」
佐藤「『さっき勝った側に座れ』、ってね(笑)」
佐藤は短期間で大きく実績を伸ばしたその経験を生かしてオンラインサロンを開設するなど、プロプレイヤーとして新たな時代を切り拓こうとしている。先日発表されたばかりの「マジック・プロリーグ」の初期所属メンバー32名にも選出されており、まさしく上り調子のプレイヤーと言っていい。
不戦勝がないThe Finalsでは、序盤からプロプレイヤー同士が激突する。
2敗すれば決勝進出が危うくなるこの大会で、無敗をキープできるのはどちらのプレイヤーか。
津村 健志 vs. 佐藤 レイ |
ゲーム1
先手の佐藤が2ターン目までに並べたのは《聖なる鋳造所》と《平地》。キャラ通りのアグロデッキを持ち込んだのかと思われたが、続けて出されたカードは対戦相手の津村を、表情にこそ出さなかったものの、少なからず驚愕させた。
《トカートリの儀仗兵》。「探検」や《貪欲なチュパカブラ》といった、「ゴルガリ・ミッドレンジ」の主要パーツのほとんどを封殺するキラーカードだ。対して津村は《沼》《森》から《僧帽地帯のドルイド》。スタンダードのトップメタである「ゴルガリ・ミッドレンジ」を持ち込んでおり、佐藤のメタがきっちりハマったことが明らかになる。
とはいえ佐藤が続けて《輝かしい天使》を送り出したのに対し、津村は《ラノワールのエルフ》《真夜中の死神》と順調に展開できており、一見《トカートリの儀仗兵》が刺さっていなさそうなのが残念なところ。
しかも、ここで佐藤は4枚目の土地が置けない。やむなく2枚目の《輝かしい天使》で飛行6点クロックを形成して攻め立てるが、危うい綱渡りであることは誰の目にも明らかだった。
なぜなら、土地3枚と《ラノワールのエルフ》《僧帽地帯のドルイド》とで津村はすでに5マナを確保している。そして「ゴルガリ・ミッドレンジ」の6マナといえば、全体除去である《採取 // 最終》が控えているからだ。佐藤はなんとかして津村より先に土地を引き当て、《採取 // 最終》を打たれる前に攻めきる必要がある。
津村 健志 |
それでも、《トカートリの儀仗兵》が「探検」を封殺していることは津村にとっても間違いなく痛手だった。4枚目の土地が引けていない津村は、《真夜中の死神》で攻撃したのちに《翡翠光のレインジャー》を2/1のバニラ (能力なし) クリーチャーとして戦場に送り出す。
返すターン、佐藤はまだ4枚目の土地が引けない。《輝かしい天使》2体で6点アタックし、3マナオープンでターンを返す。すると津村は《真夜中の死神》《翡翠光のレインジャー》の2体で、《トカートリの儀仗兵》が立っているところに攻撃させる。
「カードを引きたい」という意思が透けて見えるこのアタックに対し、佐藤は意を決してブロック前に《反応 // 反正》を《真夜中の死神》に打ち込む。
そして《トカートリの儀仗兵》で《翡翠光のレインジャー》をブロック。だが、4枚目の土地を引き込んだ津村は《採取 // 最終》! 更地に3/5の《僧帽地帯のドルイド》だけが残る。
なおも4枚目の土地を置けない佐藤は《アダントの先兵》を出すものの、《トカートリの儀仗兵》の呪縛から解放された津村は《野茂み歩き》からの《翡翠光のレインジャー》で《輝かしい天使》が削っていたライフを一気に取り戻す。
やがて《殺戮の暴君》までもが降臨すると、土地の詰まった佐藤に抗う術はもはや残されていなかった。
津村 1-0 佐藤
佐藤「ランド引かねー……」
津村「引かなさすぎた(笑)」
佐藤「ずっと3枚やったし!」
ゲーム2
再び《トカートリの儀仗兵》でスタートした佐藤は、津村の2ターン目の《ラノワールのエルフ》を《溶岩コイル》する順調な立ち上がり。
一方、《トカートリの儀仗兵》を《喪心》した津村は、続けて送り出された2体目の《トカートリの儀仗兵》にも《ヴラスカの侮辱》を合わせる。すると、佐藤は再び4枚目の土地がない。
佐藤 レイ |
佐藤「ハンドは何枚?」
それでも3体目の《トカートリの儀仗兵》を送り出すが、これも《ヴラスカの侮辱》され、《ベナリア史》には返しで《貪欲なチュパカブラ》が合わせられる。
さらに《魔術遠眼鏡》で確認した津村の手札が、佐藤を絶望させるのに十分すぎる内容だった……公開されたのは、《殺戮の暴君》が2枚に《ヴラスカの侮辱》。
佐藤「これはまずい……指定は《ビビアン・リード》で。土地引かれると……やめてくれー」
そしてそんな佐藤の願いも空しく、返すターンに《翡翠光のレインジャー》を出した津村は6枚目の土地である《沼》を公開。《翡翠光のレインジャー》は《裁きの一撃》で処理するも、ついに《殺戮の暴君》が戦場に降臨する。
それでも、ここでこのマッチ初めての4枚目の土地を引き込んだ佐藤は《再燃するフェニックス》を送り込む。あとは見えている《ヴラスカの侮辱》を何とかして使わせれば勝負になるか、というところ。
しかし、津村は勝ち急いで《ヴラスカの侮辱》を先打ちするようなことはせず、《殺戮の暴君》のアタックを《再燃するフェニックス》でブロックされてトランプルダメージを通した後に《マーフォークの枝渡り》《打ち壊すブロントドン》と横並べに展開。サイドに入っているであろう《一斉検挙》をケアし、《殺戮の暴君》の2体目を出さない手堅いプレイ。
一方佐藤は《黎明をもたらす者ライラ》を送り出すが、再びの《殺戮の暴君》の攻撃に対して考え込む。
佐藤「考えます……これはワンチャン勝つ可能性を残すのはどれだ……?」
津村の手札の《ヴラスカの侮辱》が見えているだけにブロックが難しい。《再燃するフェニックス》のみでブロックするか、《ベナリア史》の騎士・トークンと《再燃するフェニックス》で2体ブロックするか、思いきって3体でブロックするか。
佐藤「……どっちにしても負けそうだな……」
結局3体でブロックする佐藤だったが、《黎明をもたらす者ライラ》と騎士・トークンを失い、2体目の《殺戮の暴君》が送り出される。盤面には《再燃するフェニックス》のみ、さらに津村の手札には手札には温存された《ヴラスカの侮辱》があるという状況。
《不滅の太陽》でターンを返す佐藤だったが……ここまで溜めに溜めた《ヴラスカの侮辱》が撃ち込まれると、14点ものダメージを食らった上、第2メインフェイズには《打ち壊すブロントドン》で《不滅の太陽》が破壊される。そして、さすがにこの盤面を返すカードは佐藤のデッキの中に入っていないのだった。
津村 2-0 佐藤
津村「それ自作? 《反応 // 反正》とか打たれて、全然わからんかった(笑)」
佐藤「だいたい自作……いやほぼコピー」
津村「レイくんだからてっきり白赤アグロかと(笑)」
佐藤「そう思わせる作戦だからね(笑) いやーしかし、これは全然ダメそうだなー」
津村、2連覇に向けて順調なスタート!
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