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チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3

デッキテク:水谷 直生の「オルゾフ・プレインズウォーカー」 ~《真昼の決闘》を追いかけて1~
「チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3」(以下、チャンピオンズカップファイナル)のメタゲームが発表され、最大母数は事前予想通りイゼット果敢が占めていることが明らかとなった。
メタゲームブレイクダウンでも語られている通り、初速に優れ、継戦能力と安定性の高さが魅力であり、トップメタあることは疑いようもない。
不動のトップメタの存在が意味するのは、カードプールから絶対的対面メタカードの発掘。それの有無が続くメタゲームの方向性を決めるからだ。
現在のカードプールを隅々まで見渡したところ、それはあった。《真昼の決闘》という絶対的なメタカードが。
チャンピオンズカップファイナルを制するのは《コーリ鋼の短刀》か、それとも《真昼の決闘》か。
今回は《真昼の決闘》を追いかけてと題し、イゼット果敢の対抗馬となりうるデッキを探していこう。
最初目に留まったのは「世界最速級!! 『霊気走破』リミテッドオープン ~エーテル・フォーミュラ2025~ Supported by 楽天ブックス」のファイナリストであり、過去に世界選手権への出場経験を持ち、独自の構築力で知られる古豪・水谷 直生。

メインボードにはしっかりと《真昼の決闘》が4枚採用されている。この《真昼の決闘》が稼いだ時間を、水谷はプレインズウォーカーへとあてることを決めたいた。本人をして「5枚に1枚がプレインズウォーカー」と語るプレインズウォーカー盛りだくさんであるデッキの正体を見ていこう。
5 《平地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《爆発域》 4 《秘密の中庭》 4 《薄暗い裏通り》 3 《ブリーチボーンの境界》 2 《ブレイズマイアの境界》 1 《沼》 -土地(27)- 3 《跳ねる春、ベーザ》 -クリーチャー(3)- |
3 《ヴェールのリリアナ》 3 《裏切りの棘、ヴラスカ》 2 《大天使エルズペス》 1 《嵐の目、ウギン》 1 《嵐の討伐者、エルズペス》 1 《忌まわしき干渉者、アショク》 1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》 3 《太陽降下》 3 《胆液まみれ》 2 《失せろ》 2 《金線の酒杯》 4 《建築家の才能》 4 《真昼の決闘》 -呪文(30)- |
3 《勝利の楽士》 3 《領事の権限》 2 《中止 // 停止》 2 《安らかなる眠り》 2 《石の脳》 2 《萎れ葉のしもべ》 1 《金線の酒杯》 -サイドボード(15)- |
オルゾフ・プレインズウォーカーとは
──「オルゾフ・プレインズウォーカーとはどんなデッキでしょうか」
水谷「除去呪文や場持ちの良いクリーチャーで守りを固めてゲームを長引かせ、プレインズウォーカーへと繋げるコントロールデッキだね」
──「水谷さんと言えばタフネスの高いクリーチャーで場を固めて、より重いパワーカードでロングゲームを制するイメージがありますが、まさにその通りのデッキですね」

水谷「《真昼の決闘》で動きを止めて、プレインズウォーカーのカードパワーで差をつけるがこのデッキのコンセプトだね」
デッキリストの変化と工夫
──「このデッキはどのように構築されたのでしょうか」
水谷「元々は青黒の増殖をフィーチャーしたデッキだったんだけど、赤系統のデッキと相性が悪くて。一時期は《山》と1マナクリーチャーを出されただけで投了なんてこともあったくらい。そこでゲームをスローダウンさせるための《真昼の決闘》を見つけて、戦略的に相性が良さそうだったから色も青から白へ変更し、このデッキが完成」
──「元々は青黒の増殖デッキ!?」
水谷「《胆液まみれ》や《実験的占い》でコントロールしながらプレインズウォーカーの忠誠度を溜めていくデッキ。《胆液まみれ》と《金線の酒杯》はその名残だね」
デッキ詳細
──「デッキの強みとしてはどんな点があげられますか」

水谷「とにかく重いところが強い。重いカード=プレインズウォーカーだから、《真昼の決闘》の状況下でも手札の呪文と戦場のプレインズウォーカーの忠誠度能力と自分だけ複数回の行動をとれるところだね」
水谷「地味に《建築家の才能》が強くて。《跳ねる春、ベーザ》と合わせて地上を固めつつ、レベル3で一度落とされたプレインズウォーカーを墓地から拾えるから。この応用で《ヴェールのリリアナ》で墓地へマナ総量の大きいプレインズウォーカーを捨てておき、レベル3まであげてリアニメイトするショートカットパターンも狙える。ピクシー相手には良くあるパターンだけど、土地5枚と《建築家の才能》さえあればプレインズウォーカーをリアニメイトして、ボードを掌握する。プレインズウォーカーは実質的にライフ換算もできるから、その分ゲームを長引かせることができる。グダグダと長引かせて重いカードの真価が発揮できるターンがくればこちらに分があるね」
──「デッキのキーカードはやはりプレインズウォーカーでしょうか」
水谷「キーカードは《裏切りの棘、ヴラスカ》と《ヴェールのリリアナ》だね。前者はドロー、増殖、除去と忠誠度能力のすべてが戦略に噛み合っている。後者はリソースを削るだけでなく、《建築家の才能》と合わせてリアニメイトパターンを演出できるから」
──「デッキのフィニッシャーはどのプレインズウォーカーでしょうか」

水谷「勝つときは大抵《ヴェールのリリアナ》の奥義、[-6]の起動型能力だね。《真昼の決闘》+プレインズウォーカーが相性の良いから、あとはプレインズウォーカーが並んだところに《胆液まみれ》で忠誠カウンターを増殖できれば一気に有利にたてる」
──「プレインズウォーカーの中では新カードである《嵐の目、ウギン》が目を引きますね」
水谷「《嵐の目、ウギン》は貴重なライフゲインだね。無色カード自体はほとんど入っていないから除去性能は低いけど、忠誠度が高く落とされにくい。《建築家の才能》から戦場に出せた際の当たり牌でもあるね」
主要なデッキとの相性
──「今回のメタゲームブレイクダウンの上位デッキとの相性を教えてください。まずはイゼット果敢からお願いします」
水谷「イゼット果敢は《真昼の決闘》をおけるかどうか。置ければ勝てる。あとはデッキ公開性のなかで、相手がどこまでこちらの戦略にハマってくれるか」
──「ジェスカイ眼魔はいかがでしょうか」
水谷「飛行を持つクリーチャーが多く、《真昼の決闘》の効き目が薄いため、厳しいところ。打ち消し呪文を掻い潜って全体除去がささるかどうかだね。あとは《金線の酒杯》を先置きして油カウンターを3個まで設置できるか。相手のクリーチャーが3マナ域に寄っているから」
──「最後に攻めが早く太いグルール・アグロや赤単アグロはどうでしょう」
水谷「《真昼の決闘》ありき。ないと押しきられるけど、貼れればハツカネズミも五分でやれる」
──「解説いただいた以外に意識したデッキはありますか」
水谷「主にMTGアリーナで調整していたのでやや偏りがあるかもだけど、黒系のミッドレンジは意識していてプレインズウォーカーを置ければかなり有利に立ち回れる。エスパー・ピクシーは厳しいが、《真昼の決闘》で時間を稼げば勝負になる」
──「《勝利の楽士》はどのような相手用ですか」
水谷「《勝利の楽士》は打ち消し呪文あるデッキ全般と、アゾリウス全知など時間制限があるデッキに対して追加のダメージクロックとして。アゾリウス全知は相性は悪いが、イゼット果敢や赤系アグロ用に採用している《真昼の決闘》の副次的な効果で抵抗できる。《石の脳》はほぼアゾリウス全知専用だね」
──ありがとうございました。
イゼット果敢に対する絶対的なメタカード《真昼の決闘》。それは強力な反面、自身も影響を受けるためただ採用しただけでは意味をなさない。採用したうえで、どのような戦略に落とし込むかが重要となってくる。
水谷は《真昼の決闘》を設置した先に、プレインズウォーカーを見据えていた。相手の速度を落としつつ、自分はより重いパワーカードを使用することでゲームに有利に進める構築だったのだ。
コントロールやプレインズウォーカーといった豪快なパワーカードでゲームを制圧する戦略を好む方にはぜひお勧めしたいデッキとなっている。
さぁて、次なる《真昼の決闘》を追いかけてみよう。

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