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プロツアー・名古屋11
準々決勝: Gaudenis Vidugiris(アメリカ) vs. Fabian Thiele(ドイツ)
By Tomohiro Kaji
ドラフトのピックに一喜一憂、そして楽しそうに美しい感染デッキを構築しているプレイヤーの隣で、そもそも何色で組むか悩むプレイヤーも、ピックが過ぎてしまえば、もう追加できるカードは5種類の基本土地のみだ。
限られた時間で、次に対戦する対面のプレイヤーが構築するデッキを想像しながら、それぞれが今大会最後のデッキ登録用紙を埋める。
構築に与えられた時間はあっという間に過ぎ、文字通りの負けたらアウトなシングルエリミネーションが始まった。
その名前がアメリカ人にも発音が難しく、「G(ジー)」と呼ばれるGaudenis Vidugirisが構築したのは白赤のテンポデッキ。
前のめりな《カルドーサの再誕》《焼身の魂喰い》という軽いカードたちを、《地層の鎌》や《攻撃的な行動》で押し込む構成になっている。
ただ、《メムナイト》や《カルドーサの再誕》といったカードが採用されており、中盤からは'軽すぎる'ためにダメージを最初から優先しないとすぐに息切れてしまう構成だ。
対するFabian Thieleは、《囁く者、シェオルドレッド》《カルドーサの炎魔》という2大カードに支えられた赤黒コントロール風デッキを構築した。
長引かせて2枚のレアカードのどちらかを引くまで耐えるプレイングに、オプションとして《クローンの殻》を使ったライブラリーからの直接召喚もできる。
《囁く者、シェオルドレッド》を対処するカードのないGaudenisはスピードのある初手を、対して序盤がもろいFabianはブロッカーを持つハンドをキープできるのか、そこがゲームの鍵だ。
Game 1
{W}{W}の必要な《レオニンの空狩人》のあるハンドなのに、《山》2枚、《平地》1枚、戻すカードの無い《きらめく鷹》に、平地を刻印したくない《地層の鎌》。 まさに微妙なハンドを、マリガンするよりはマシかな?と、Gaudenisは考えながらこれをキープ。 Fabianの初動は《マイアの種父》と、《焼身の魂喰い》を軸にしたデッキのGaudenisはちょっと嫌そうな顔。 Gaudenisのデッキは平地10:山6なはずなのだが、《平地》を引けずに《地層の鎌》を唱え、《山》をライブラリーから抜き取る。 その間、Fabianは威嚇のダメージクロック、《盲目の盲信者》を呼び出した。 第4ターン、やっと引いた2枚目の《平地》を置きながら、《きらめく鷹》で《地層の鎌》を出し直し、改めてした刻印は《平地》。 そしてそのまま装備と行きたいGaudenisだが、サイズの大きな飛行は面倒なことになるとばかりに、《きらめく鷹》は《盲目の盲信者》の能力で、《レオニンの空狩人》は《不気味な苦悩》で対処されてしまった。 Gaudenisの《練達の接合者》には、Fabianも《シェオルドレッドの刈り取るもの》で対抗するが、Gaudenisはトークンに《地層の鎌》を持たせて7/7へと膨れ上がらせ、ついにFabianへの攻撃を開始する。 ここで、地上のライフと毒のダメージレースが始まるかと思われたが、Fabianの唱えたのは《囁く者、シェオルドレッド》。 これに対処するカードが1枚もないGaudenisは、アドバンテージでは絶対に勝てなくなってしまったので、ライフレースするべく《倒れし者の記憶》で回収し、《レオニンの空狩人》に望みをかける。 しかし、この唯一の飛行に《地層の鎌》を装備させてターンを返すと、Fabianの唱えた呪文は《金屑化》。 Fabian 1-0 GaudenisGame 2
またも初手に恵まれないGaudenisは、7枚のカードを引いても早々にマリガンしてしまう。 さらに序盤からの攻撃が肝のはずが《山》《平地》で土地がストップ。 その2マナで《焼身の魂喰い》や《きらめく鷹》を唱えるも、手札が消化できずにディスカードする始末。 そこからの後続も《危険なマイア》と、全くダメージにはつながらず、Fabianの唱えるクリーチャーによって防戦一方になってしまう。 Fabianはその隙に《盲目の盲信者》、《ヴァルショクの模造品》と唱えると、《転倒の磁石》を使ってクリーチャー同士の戦闘を起こさずにGaudenisのライフを刻む。 Gaudenisは、《危険なマイア》を使って《カルドーサの再誕》でトークンを生み出し、マイアが墓地に落ちた誘発能力でクリーチャーの除去でクロックを下げようと試みるが、 Fabianは《不気味な苦悩》でクリーチャーを除去しつつ、《転倒の磁石》の増殖へと繋げ、攻撃の手を止めない。 数さえ並べばなんとかなるGaudenisは、自分の残り少ないライフを気にしながらクリーチャーをできる限り展開しようと、《枝モズ》を唱えてタップアウトした。 その隙に、Fabianは《転倒の磁石》で飛行を寝かせ、初手の7枚の時から温存していた《飛行の呪文爆弾》で、空からの一撃! 《ヴァルショクの模造品》のダメージクロックが止まらずに、消耗しきったGaudenisの残りのライフは、3。 Fabian 2-0 GaudenisGame 3
司法試験の直前のアメリカ選手権も、参考書片手に出場したほどのタフな精神の持ち主Gaudenisだが、またも白マナ源のない手札にマリガンに苦い顔。 しかし、この新しい6枚で初めてクリーチャーと土地のバランスの良いハンドがキープできた。 Gaudenisは《審問官の総督》でFabianのライフを奪いつつ、《まばゆい魂喰い》をキャストすると、後手のFabianは、《グレムリン地雷》を設置する。 Fabianは手札に《クローンの殻》があるので、ライブラリーからの直接召喚を意識してか、この除去を温存し、Gaudenisの《まばゆい魂喰い》のアタックに、《グレムリン地雷》を使わず、ダメージを受け入れ、ライフの残りは13になった。 さらにGaudenisが《焼身の魂喰い》を追加してターンを終えると、返すターン、Fabianが《入れ子のグール》をタップアウトで唱える。 あれ? Gaudenisが驚いてFabianに聞く。詰んじゃったよ? 1体しかいないブロッカーをタップし、総攻撃。そして《焼身の魂喰い》にライフの支払は16点。 Fabian 2-1 GaudenisGame 4
勘違いで1ゲームを落としてしまったと焦るFabianと対照的に、表情に元気を取り戻したGaudenis。 デッキも暖まってきたのか、初手の7枚も良好で、最序盤から最大ダメージを狙う。 《メムナイト》からの《カルドーサの再誕》と、スタンダードのような動きをするGaudenisに、Fabianは《マイアの種父》で応える。 せっかくカードを2枚使って攻撃の姿勢を取ったGaudenisは止まるわけにいかず、非常に損な戦闘になることを承知で1/1を攻撃に送り出した。 もちろん、Fabianは《マイアの種父》でゴブリン・トークンをブロックし、横にいたジャッジがマイア・トークンを用意する。 Gaudenisの後続は《焼身の魂喰い》と、マイア・トークンの存在が邪魔だが、意を決して《粉砕》を打ち込み全軍攻撃! ライフを綿密に計算したGaudenisは、14点のライフを支払って3ターン目にして10点のダメージを与え、残りライフも数の暴力で削りきった。 Fabian 2-2 GaudenisGame 5
第5ゲームまで進み、準々決勝でも残す最後のテーブルになったGaudenis対Fabian。 お互いに入念なシャッフルを行うのが、今日のGaudenisはツイてない。 ノーランドの初手にうなだれながら、マリガンを宣言、首を横に振りながらカードをシャッフルし、Gaudenisは6枚のカードでゲームをはじめることにした。 圧縮の為に入っている《ギタクシア派の調査》、《胆液の水源》とカードを引くGaudenisだが、クリーチャーは《マイアの種父》といまいち。 《きらめく鷹》で《胆液の水源》を再利用するものの、ダメージクロックはFabianの《盲目の盲信者》で相殺してしまい、ただ土地が並ぶのみ。 後続も《メムナイト》、クロックがない状況で《攻撃的な行動》《消失の命令》と、中盤で6マナも出せる状況で引くカードとしては非常に残念としかいえない。 その間Fabianは、《転倒の磁石》、《盲目の盲信者》と並べ、少ないながらもダメージを刻み始める。 擬似サイクリングとしてGaudenisは《消失の命令》を唱えた。 だが、Gaudenisの勝負の序盤はもう過ぎており、今更引いてきた《焼身の魂喰い》を、《盲目の盲信者》のブロッカーとして唱えても、パンプアップに対応しての《不気味な苦悩》で2/2との相打ちすら許されない。 そして現れる《カルドーサの炎魔》に、小粒なクリーチャーたちは全滅させられ、Gaudenisの心が折れた。 Fabian 3-2 GaudenisRESULTS 本大会の対戦結果・順位
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