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プロツアー・名古屋11
Round 3: Martin Juza(チェコ) vs. David Ochoa(アメリカ)
By 金民守
第3ラウンドにお届けするのは環境の大本命ともいえる白単の同系対決だ。
環境が《鍛えられた鋼》を中心に動いているということをありありと見せ付けられた幕切れだった。
Martin Juza 1-1 David Ochoa
お互いが《起源の呪文爆弾》で場を整えあう立ち上がりで、一見すると3ゲーム目はゆっくりとした展開になるかに見えた。
しかし序盤がゆっくりしているということは、その分中盤以降に活躍するカードが手札に集中しているということで、お互いに《鍛えられた鋼》と《刃砦の英雄》を含む、殺る気まんまんのハンドが出番を待っていた。
そして先攻のJuzaが4ターン目を迎える。
既に1枚目の《鍛えられた鋼》は設置済みの状況。場にはその他に《墨蛾の生息地》金属術を満たしていない《オパールのモックス》2枚の平地。
そしてハンドには2枚目の《墨蛾の生息地》と2枚目の《鍛えられた鋼》に《刃砦の英雄》。
毒殺に狙いを絞るかどうか、もしそうするならば《鍛えられた鋼》追加するか、それとも3毒を貯めることを優先するか。
まず追加の《墨蛾の生息地》をセットし、そこからじっくりと時間をかけてJuzaが導き出した答えは、「何もキャストせずに《墨蛾の生息地》でアタック」だった。
これは筆者には不思議なプレイに見えた。今3毒貯めずとも、次に5/5の毒蛾2体で殴れる状態を整えれば、一度のアタックで致死毒を貯められるのだ。
しかしここで起動すると《鍛えられた鋼》の追加はできなくなり、仮に次のターンランドが引けたとしても貯められる毒は8止まり。キルターンが1遅くなり、場は進展しない。
トップが土地でない場合はさらに悪い。合計3ターンもキルターンが伸びる可能性を多分に含んだこのプレイは筆者の目には到底許容できるものに映らなかった。
だがしかし、だがしかしプレイヤーはMartin Juza。世界レベルのトッププロと凡百のプレイヤーとは見えているものが違う。
3/3の毒蛾がアクティベートされ攻撃が宣言される。Ochoaが眉をしかめて長考に入る。
Ochoaのハンドを確認すると、そこには《刃砦の英雄》があった。
場にクロックが用意できていないOchoaが《鍛えられた鋼》で膨れ上がった毒蛾との殴り合いを制するためには、是が非でも次のターンにこの英雄を着地させる必要がある。
そしてその横には《急送》。金属術は達成していないが後続の《墨蛾の生息地》が用意されている以上、悠長なことは言っていられない。苦渋の決断でOchoaは《急送》を《墨蛾の生息地》に対してキャストしタップさせた。
見えていたのか!?Juzaはここまで読めていたのか!?しかし読めていなければありえない、説明がつかないこのプレイ!
《墨蛾の生息地》が《急送》によりタップされるのに対応してマナを出す。そして着地したばかりの《墨蛾の生息地》に命が吹き込まれ戦闘が終わる。
そう、これにより2体の毒蛾が誕生し金属術が達成!用をなさなかったはずの《オパールのモックス》から3マナ目のマナが供給され、Juzaの場に2枚目の《鍛えられた鋼》が投下される!!!!! 何というスーパープレイ!!
そう、そうなのだ!素直に相手を殺しにいくならばこのターンの最高率行動は《鍛えられた鋼》で間違いない。しかしそのマナの供給のしかた、ここで一度戦闘宣言を挟むことで相手に貴重な除去を空打ちさせることが可能であるとは!!
相手が何もしなければそのまま戦闘を終えて《鍛えられた鋼》をキャストすればいい。何も存することはないのだ。終わってみれば当然のワンプレイ、しかしこのワンプレイが、この空アタックが可能になるまでに、どれほどの研鑽が必要なことか!
渋い顔をしてターンを迎えるOchoaだったが、ドローを確認して表情が変わる。
《鍛えられた鋼》に対する解答である《レオニンの遺物囲い》をトップデッキしたのだ。
これにより即死を免れたOchoaは、さらに《墨蛾の生息地》をセットして守りを固める。
ターンが返り、Juzaが3/3の毒蛾2体でアタックを宣言。Ochoaはこれをどちらもスルーして6毒を貯めてターンが終わる。
Ochoaは自分のターンに《きらめく鷹の偶像》をキャストし、Juzaの《墨蛾の生息地》を迎える体制が整えながら。マイアトークンと《レオニンの遺物囲い》で攻撃してコツコツとダメージを重ねる。
この後さらにOchoaが航空戦力を追加し《墨蛾の生息地》のアタックが通らなくなると、Juzaも地上のダメージを無視できなくなった。
攻撃は一時休止され、ハンドに溜まっていた無毒の生物たちが順々に戦線に投下されていく。見る見る間に戦線は伸び、2ゲーム目を思わせるような膠着状態が数ターンにわたって続いた。
お互いが待っているものはハッキリしている。聞くまでもない《鍛えられた鋼》と、相手の《鍛えられた鋼》を封じる《レオニンの遺物囲い》だ。
試合時間が残り数分にせまる。Ochoaが時計を確認し、場を確認する。間に合った。そうとでもいうかのように《レオニンの遺物囲い》をプレイし、Juzaの場の《鍛えられた鋼》が彼方に消えた。
しかし地上はすでにあふれんばかりの生物で、いかに《鍛えられた鋼》があるとはいえ通る隙間は毛ほどもない。
かといって空で攻めると返しで3体の《墨蛾の生息地》が2体の《刃砦の英雄》のバックアップで殴ってくる。このままでは膠着したまま引き分けか・・・試合を見守っていた誰もがそう思っている中、Ochoaが姿勢を正し、そして全フライヤーによるアタックを宣言した!
Juzaの表情が険しくなる。《墨蛾の生息地》以外のフライヤーでチャンプブロックをする。Juzaに選択肢はない。
ターンが返ってドロー。引かなかった。引けなかった。
戦場を確認する。相手の立っているフライヤーは0。毒は6。そしてこちらには3体の《墨蛾の生息地》と2体の《刃砦の英雄》。
盤面は勝っている。しかし、いや、だからこそOchoaのアタックは明らかにバックアップがあってのことだ。
ジャッジがスロープレイを指摘する。すでに試合は追加ターンに入っていた。
Juzaが頷いて、力なく盤面にあふれた全ての生物をレッドゾーンに送り込んだ。
OchoaはJuzaを見やり、1枚だけ残ったハンドを公開する。Juzaは「知っていたよ」といいたげな表情でカードを片付けた。
そう、Ochoaが公開したハンドは《骨髄の破片》。
ファイヤーボール強し!!!!!
Martin Juza 1-2 David Ochoa
Game 1
1本目にOchoaのもとにもたらされたカードは《起源の呪文爆弾》2枚と10枚の平地だった。 Juzaは1~4ターン目まで毎ターン土地を置き、マナを使い切り、Ochoaが公開した平地5枚のハンドに対して慰めの言葉をかけた。 Martin Juza 1-0 David OchoaGame 2
1本目と打って変わって、Ochoaが力強くキープを宣言した。 《刃の接合者》《大霊堂のスカージ》《メムナイト》というアタッカーたちと3枚の平地に加えて、キーカードである《鍛えられた鋼》まで含まれている文句なしのファーストハンド。 これに対してJuzaも7枚のハンドをキープしてゲームがスタートする。 Ochoaが《大霊堂のスカージ》《メムナイト》と第一ターンからカードを連打してプレッシャーをかけるが、Juzaは《骨髄の破片》でこれを一網打尽。 Ochoaが《鍛えられた鋼》を置けばすかさずJuzaが《レオニンの遺物囲い》で対処するという怒涛の序盤戦が繰り広げられる。 2度にわたり1:2交換に成功したJuzaだが、Ochoaの攻め手は一向に緩む様子がない。まるで1ゲーム目のマナフラッドが何かのコストだったかのように有効牌が補充されるのだ。 Juzaがキャストした《刃の接合者》のゴーレムトークンに対して《レオニンの遺物囲い》が、そしてさらに《刃砦の英雄》がOchoaの戦場に投下される。 Juzaが何もキャストできないままターンが返り、《レオニンの遺物囲い》《刃の接合者》《メムナイト》×2という場にOchoaの《刃砦の英雄》が襲い掛かる。 しかしJuzaは再度《骨髄の破片》でこれに応戦。従軍する兵士をなぎ倒し英雄の処遇に頭を悩ませる。 この時のJuzaのハンドは《急送》で、戦場のアーティファクトは2体の《メムナイト》と《墨蛾の生息地》。 金属術の維持のために《メムナイト》を温存するかどうかの判断だが、Juzaはここで《刃の接合者》《メムナイト》×2をブロックに差し出すことを決断。 激動の序盤~中盤が終わり戦場が膠着した中、Juzaの《墨蛾の生息地》がこつこつとOchoaに毒を貯めていく。 空中を毒蛾がヒラヒラと舞う中、お互いに《刃砦の英雄》と《刃の接合者》を追加しあい、Ochoaの《鍛えられた鋼》には間をおかずに《レオニンの遺物囲い》が対処する。 硬直した状況が打開されないまま両者の戦線が伸びていき、このままJuzaが毒で押し切るかに見えた刹那、ターンエンドにOchoaが動いた。 そう、ためていた。ためていたのだ。 《鍛えられた鋼》を封じていた《レオニンの遺物囲い》が《急送》される。1枚目、2枚目。さらに手札から3枚目の《鍛えられた鋼》をプレイし、呪文爆弾のマイアトークンが7/7までサイズアップした状態でフルアタックを敢行すると、絶望的なダメージ量を前にJuzaは天を仰いだ。Game 3
Martin Juza |
David Ochoa | |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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