読み物
Round 3: Martin Juza(チェコ) vs. David Ochoa(アメリカ)
By 金民守
第3ラウンドにお届けするのは環境の大本命ともいえる白単の同系対決だ。
Game 1
1本目にOchoaのもとにもたらされたカードは《》2枚と10枚の平地だった。
Juzaは1~4ターン目まで毎ターン土地を置き、マナを使い切り、Ochoaが公開した平地5枚のハンドに対して慰めの言葉をかけた。
Martin Juza 1-0 David Ochoa
Game 2

1本目と打って変わって、Ochoaが力強くキープを宣言した。
《》《》《》というアタッカーたちと3枚の平地に加えて、キーカードである《》まで含まれている文句なしのファーストハンド。
これに対してJuzaも7枚のハンドをキープしてゲームがスタートする。
Ochoaが《》《》と第一ターンからカードを連打してプレッシャーをかけるが、Juzaは《》でこれを一網打尽。
Ochoaが《》を置けばすかさずJuzaが《》で対処するという怒涛の序盤戦が繰り広げられる。
2度にわたり1:2交換に成功したJuzaだが、Ochoaの攻め手は一向に緩む様子がない。まるで1ゲーム目のマナフラッドが何かのコストだったかのように有効牌が補充されるのだ。
Juzaがキャストした《》のゴーレムトークンに対して《》が、そしてさらに《》がOchoaの戦場に投下される。
Juzaが何もキャストできないままターンが返り、《》《》《》×2という場にOchoaの《》が襲い掛かる。
しかしJuzaは再度《》でこれに応戦。従軍する兵士をなぎ倒し英雄の処遇に頭を悩ませる。
この時のJuzaのハンドは《》で、戦場のアーティファクトは2体の《》と《》。
金属術の維持のために《》を温存するかどうかの判断だが、Juzaはここで《》《》×2をブロックに差し出すことを決断。
激動の序盤~中盤が終わり戦場が膠着した中、Juzaの《》がこつこつとOchoaに毒を貯めていく。
空中を毒蛾がヒラヒラと舞う中、お互いに《》と《》を追加しあい、Ochoaの《》には間をおかずに《》が対処する。
硬直した状況が打開されないまま両者の戦線が伸びていき、このままJuzaが毒で押し切るかに見えた刹那、ターンエンドにOchoaが動いた。
そう、ためていた。ためていたのだ。
《》を封じていた《》が《》される。1枚目、2枚目。さらに手札から3枚目の《》をプレイし、呪文爆弾のマイアトークンが7/7までサイズアップした状態でフルアタックを敢行すると、絶望的なダメージ量を前にJuzaは天を仰いだ。

環境が《》を中心に動いているということをありありと見せ付けられた幕切れだった。
Martin Juza 1-1 David Ochoa
Game 3
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Martin Juza |
お互いが《》で場を整えあう立ち上がりで、一見すると3ゲーム目はゆっくりとした展開になるかに見えた。
しかし序盤がゆっくりしているということは、その分中盤以降に活躍するカードが手札に集中しているということで、お互いに《》と《》を含む、殺る気まんまんのハンドが出番を待っていた。
そして先攻のJuzaが4ターン目を迎える。
既に1枚目の《》は設置済みの状況。場にはその他に《》金属術を満たしていない《》2枚の平地。
そしてハンドには2枚目の《》と2枚目の《》に《》。
毒殺に狙いを絞るかどうか、もしそうするならば《》追加するか、それとも3毒を貯めることを優先するか。
まず追加の《》をセットし、そこからじっくりと時間をかけてJuzaが導き出した答えは、「何もキャストせずに《》でアタック」だった。
これは筆者には不思議なプレイに見えた。今3毒貯めずとも、次に5/5の毒蛾2体で殴れる状態を整えれば、一度のアタックで致死毒を貯められるのだ。
しかしここで起動すると《》の追加はできなくなり、仮に次のターンランドが引けたとしても貯められる毒は8止まり。キルターンが1遅くなり、場は進展しない。
トップが土地でない場合はさらに悪い。合計3ターンもキルターンが伸びる可能性を多分に含んだこのプレイは筆者の目には到底許容できるものに映らなかった。
だがしかし、だがしかしプレイヤーはMartin Juza。世界レベルのトッププロと凡百のプレイヤーとは見えているものが違う。
3/3の毒蛾がアクティベートされ攻撃が宣言される。Ochoaが眉をしかめて長考に入る。
Ochoaのハンドを確認すると、そこには《》があった。
場にクロックが用意できていないOchoaが《》で膨れ上がった毒蛾との殴り合いを制するためには、是が非でも次のターンにこの英雄を着地させる必要がある。
そしてその横には《》。金属術は達成していないが後続の《》が用意されている以上、悠長なことは言っていられない。苦渋の決断でOchoaは《》を《》に対してキャストしタップさせた。
見えていたのか!?Juzaはここまで読めていたのか!?しかし読めていなければありえない、説明がつかないこのプレイ!
《》が《》によりタップされるのに対応してマナを出す。そして着地したばかりの《》に命が吹き込まれ戦闘が終わる。
そう、これにより2体の毒蛾が誕生し金属術が達成!用をなさなかったはずの《》から3マナ目のマナが供給され、Juzaの場に2枚目の《》が投下される!!!!! 何というスーパープレイ!!
そう、そうなのだ!素直に相手を殺しにいくならばこのターンの最高率行動は《》で間違いない。しかしそのマナの供給のしかた、ここで一度戦闘宣言を挟むことで相手に貴重な除去を空打ちさせることが可能であるとは!!
相手が何もしなければそのまま戦闘を終えて《》をキャストすればいい。何も存することはないのだ。終わってみれば当然のワンプレイ、しかしこのワンプレイが、この空アタックが可能になるまでに、どれほどの研鑽が必要なことか!
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David Ochoa | |
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渋い顔をしてターンを迎えるOchoaだったが、ドローを確認して表情が変わる。
《》に対する解答である《》をトップデッキしたのだ。
これにより即死を免れたOchoaは、さらに《》をセットして守りを固める。
ターンが返り、Juzaが3/3の毒蛾2体でアタックを宣言。Ochoaはこれをどちらもスルーして6毒を貯めてターンが終わる。
Ochoaは自分のターンに《》をキャストし、Juzaの《》を迎える体制が整えながら。マイアトークンと《》で攻撃してコツコツとダメージを重ねる。
この後さらにOchoaが航空戦力を追加し《》のアタックが通らなくなると、Juzaも地上のダメージを無視できなくなった。
攻撃は一時休止され、ハンドに溜まっていた無毒の生物たちが順々に戦線に投下されていく。見る見る間に戦線は伸び、2ゲーム目を思わせるような膠着状態が数ターンにわたって続いた。
お互いが待っているものはハッキリしている。聞くまでもない《》と、相手の《》を封じる《》だ。
試合時間が残り数分にせまる。Ochoaが時計を確認し、場を確認する。間に合った。そうとでもいうかのように《》をプレイし、Juzaの場の《》が彼方に消えた。
しかし地上はすでにあふれんばかりの生物で、いかに《》があるとはいえ通る隙間は毛ほどもない。
かといって空で攻めると返しで3体の《》が2体の《》のバックアップで殴ってくる。このままでは膠着したまま引き分けか・・・試合を見守っていた誰もがそう思っている中、Ochoaが姿勢を正し、そして全フライヤーによるアタックを宣言した!
Juzaの表情が険しくなる。《》以外のフライヤーでチャンプブロックをする。Juzaに選択肢はない。
ターンが返ってドロー。引かなかった。引けなかった。
戦場を確認する。相手の立っているフライヤーは0。毒は6。そしてこちらには3体の《》と2体の《》。
盤面は勝っている。しかし、いや、だからこそOchoaのアタックは明らかにバックアップがあってのことだ。
ジャッジがスロープレイを指摘する。すでに試合は追加ターンに入っていた。
Juzaが頷いて、力なく盤面にあふれた全ての生物をレッドゾーンに送り込んだ。
OchoaはJuzaを見やり、1枚だけ残ったハンドを公開する。Juzaは「知っていたよ」といいたげな表情でカードを片付けた。
そう、Ochoaが公開したハンドは《》。

ファイヤーボール強し!!!!!
Martin Juza 1-2 David Ochoa
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