EVENT COVERAGE

2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)

トピック

2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)2日目の注目の出来事

Corbin Hosler

2019年12月7日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019への挑戦。ミシックチャンピオンシップⅦトップ8入賞へのレース。2020年のマジック・プロリーグやライバルズ・リーグ所属という誰もが切望する席の争奪戦。ここロングビーチは今日も、ハイレベルな戦いの連続で目まぐるしかった。

 ここでは、瞬く間に過ぎた2日目の注目の出来事をご紹介しよう。

トップ8が出揃う

 2日間15回戦にわたる激戦を経て、「ミシックチャンピオンシップ王者」のタイトルと優勝トロフィーのゆくえが決まる最終日に臨む8人が出揃った。ピオトル・グロゴウスキ/Piotr Głogowskiの自身初のトップ8入賞からセス・マンフィールド/Seth Manfieldのタイブレークによる滑り込みまで、トップ8決定の最後の最後までドラマに満ちた戦いだった。

 優勝賞金100,000ドルと優勝トロフィーを懸けた戦いに挑む8人は以下の通りだ。

  • ピオトル・グロゴウスキ(ジャンド・サクリファイス)
  • アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucci(シミック・ランプ)
  • ブラッド・ネルソン/Brad Nelson(シミック・フラッシュ)
  • パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa(ジェスカイ・ファイアーズ)
  • クリス・カヴァルテク/Chris Kvartek(ゴルガリ・出来事)
  • ミゲル・ダ・クルス・シモエンス/Miguel da Cruz Simões (ジャンド・サクリファイス)
  • ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez(シミック・フラッシュ)
  • セス・マンフィールド(シミック・フラッシュ)

 グロゴウスキは、メングッチの「シミック・ランプ」を下して自身初のトップ8入賞を決めた。この対戦カードは、ミシックインビテーショナル決勝と同様のものだ。そのときはメングッチが「kanister」に勝利したのだが、ここロングビーチでの再戦でグロゴウスキは雪辱を果たしたのだ。

 

 「宿敵」を見事倒したグロゴウスキの喜びは想像に難くないだろう。


 
Piotr Glogowski - 「ジャンド・サクリファイス」
2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ) トップ8 / スタンダード (2019年12月6~8日)[MO] [ARENA]
5 《
2 《
1 《
4 《草むした墓
4 《踏み鳴らされる地
4 《血の墓所
2 《ロークスワイン城
3 《寓話の小道
-土地(25)-

4 《大釜の使い魔
4 《金のガチョウ
4 《波乱の悪魔
2 《残忍な騎士
2 《打ち壊すブロントドン
2 《フェイに呪われた王、コルヴォルド
2 《虐殺少女
3 《豆の木の巨人
-クリーチャー(23)-
4 《魔女のかまど
4 《パンくずの道標
4 《戦争の犠牲
-呪文(12)-
3 《恋煩いの野獣
1 《残忍な騎士
1 《打ち壊すブロントドン
2 《不死の騎士
2 《意地悪な狼
1 《フェイに呪われた王、コルヴォルド
1 《虐殺少女
4 《強迫
-サイドボード(15)-

 だがメングッチも、すぐにグロゴウスキに続いた。次のラウンドでトップ8の席を確保したのだ。

 

 そして今年のトップ8を語る上で、現世界王者のハビエル・ドミンゲスも欠かせない。彼は今大会でもその輝かしい技術を示し、また1つトップ8入賞を重ねたのだ。

 

 また今大会のトップ8に名を連ねるのは、MPLのスター選手だけではない。「挑戦者」からも2名が目覚ましい活躍を見せて最終日へ進出している。ミゲル・ダ・クルス・シモエンスとクリス・カヴァルテクは両者とも、MTGアリーナ予選を勝ち抜いて今大会への参加権利を得た。さらに注目すべきことに、彼らは2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ)でもMTGアリーナの予選から出場しており、そのときの結果は奮わなかったものの「2大会連続でのMTGアリーナ予選突破」から成功を掴んだのだ。

 とはいえ、厳しいオンライン予選は以下のように熟練のプレイヤーたちの「るつぼ」でもある。

 

マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019の席をめぐるレース

 今大会の物語の焦点は、参加者たちが求めるもの、すなわち今大会に懸かるものの大きさにある。マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019が来年2月に迫っており、今大会の参加者の多くはここで結果を残せば世界選手権への参加権利を掴めるのだ。

 今大会の2日目を終えて、いよいよ大勢が定まった。世界選手権2019の席をめぐる混沌としたレースも、ついに終着のときが見えてきたのだ。今大会の最終日へ進出したセス・マンフィールド、マルシオ・カルヴァリョ、アンドレア・メングッチ、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサの4名は、現時点で少なくとも獲得ミシックポイントMPL上位4名の枠で世界選手権への出場が確定した。

 そしてこの中の誰が優勝しても(あるいは決勝でドミンゲスに敗れても)、世界選手権への参加権利はブラッド・ネルソンかピオトル・グロゴウスキへ繰り下げて与えられる――どちらに授与されるかは、今大会最終日における両者の結果次第だ。(どちらも同じ段階で敗退した場合は、タイブレークでネルソンが有利な状況だ。)

 果たして、優勝賞金100,000ドルが懸かったトップ8ラウンドではどんなドラマが生まれるのだろうか?

 「挑戦者」の側も、大枠は定まった。ラファエル・レヴィ/Raphaël Lévyとクリス・カヴァルテク、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif、セバスティアン・ポッツォ/Sebastian Pozzoの4名が世界選手権出場を決めたのだ。だがもしカヴァルテクが今大会で優勝すれば、彼はミシックチャンピオンシップ王者の枠で参加権利を獲得するため、空いた4番目の出場枠にルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasが滑り込むことになる。

 こうしてトップ8が決まったことで、未解決の物事がいくらか解消された。しかし同時に、また新たな不確定要素が生まれている。それは――

スタンダードのメタゲームは解明されず

 今大会のトップ8入賞デッキには、「シミック・フラッシュ」3つに「シミック・ランプ」1つが入った。青緑の色の組み合わせが持つ柔軟性を駆使しつつ、テンポに寄せるかコントロールに寄せるかで戦略が分かれた形だ。それらに続くのは、使用者2名を送り出した「ジャンド・サクリファイス」。《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》の力強いエンジンで、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を活かすデッキだ。そして《》を使用するデッキではもう1つ、《朽ちゆくレギサウルス》と《グレートヘンジ》を採用した形の「ゴルガリ・出来事」がトップ8に入賞している。

 2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)で準優勝の成績を収めたばかりのパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサは、ただ1人緑を使わないデッキ――今大会で人気を集めた「ジェスカイ・ファイアーズ」でトップ8入賞を達成した。

 

 今回のトップ8に3人を輩出した「シミック・フラッシュ」は、最後にトップ8入賞を決めたマンフィールドのアイデアだという。

@SethManfieldの傑作を3人で使って「3人ともトップ8!!!!!!!」 #MythicChampionshipVII

Seth Manfield - 「シミック・フラッシュ」
2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ) トップ8 / スタンダード (2019年12月6~8日)[MO] [ARENA]
7 《
7 《
4 《繁殖池
4 《神秘の神殿
2 《ヴァントレス城
2 《寓話の小道
-土地(26)-

3 《楽園のドルイド
2 《厚かましい借り手
4 《エリマキ神秘家
4 《夜群れの伏兵
2 《ハイドロイド混成体
-クリーチャー(15)-
4 《成長のらせん
3 《火消し
2 《霊気の疾風
1 《否認
3 《悪意ある妨害
2 《神秘の論争
4 《世界を揺るがす者、ニッサ
-呪文(19)-
4 《恋煩いの野獣
1 《ハイドロイド混成体
2 《魔術遠眼鏡
1 《霊気の疾風
1 《ケンリスの変身
1 《否認
2 《神秘の論争
1 《押し潰す梢
2 《薬術師の眼識
-サイドボード(15)-

ウォーフィールドの犠牲

 今大会において最も印象的な戦いぶりを見せたのは、MTGアリーナのミシックチャンピオンシップ初参加であるアリー・ウォーフィールド/Ally Warfieldだろう。彼女は彼女にとってのヒーローの1人――クリス・ピキュラ/Chris Pikulaとの2日目進出を懸けた接戦で競り勝つと、2日目はMPL選手を次々と打ち破り、開幕3連勝の活躍を見せた。

これまでの「ウォーフィールドの犠牲」:
八十岡 翔太
クリス・ピキュラ
ベン・スターク
エリック・フローリッヒ
ドミトリー・ブタコフ
クリスティアン・ハウク
ジョーダン・ケアンズ

@ArcticMeebo、ミシックチャンピオンシップ初参加で大活躍だね #MythicChampionshipVII

 

 だが彼女の快進撃もそこまでだった。しかし残りの試合は奮わずトップ8入賞を逃すことにはなったものの、最近グランプリ・トップ8入賞を果たしたばかりで競技の舞台を登る途上にあるプレイヤーが、今大会で最も注目すべき活躍を見せたことは特筆すべきだろう。

 なお2日目進出を逃したピキュラの方も、そう悪い気分ではないようだ。家で待つ10代の息子に慰められ、元気を取り戻した彼なのだった。

親ってこういうこと。 #MythicChampionshipVII

息子:残念だったね
息子:でもいくらかもらったんでしょ?
ピキュラ:7,500ドル
息子:10ドルちょうだい

 

その先へ

 次はいよいよ、2020年に向けて多くのものが懸かるトップ8ラウンドだ。

 マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019に関わる物語が、マジック・プロリーグやライバルズ・リーグについての物語が、そして2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)の優勝トロフィーのゆくえが、最終決戦の舞台に上がる8人に収束する。ロングビーチで繰り広げられる悔しい瞬間と大勝利の瞬間をお見逃しなく。

(Tr. Tetsuya Yabuki)

  • この記事をシェアする

RESULTS

RANKING

NEWEST

サイト内検索