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2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)
デッキテク:熊谷 陸の「曲者揃いのシミックフード」
マジックのデッキにおいて「1枚挿し」というのは、サーチカードでもない限り基本的には避けられる傾向にある。
なぜなら5ゲームや10ゲームをプレイしたとしても同じ動きを再現できるようにするにあたって、1枚挿しのカードは再現の邪魔となるからだ。
だが今回、ミシックチャンピオンシップというこれ以上なく重要かつ長丁場の舞台において、1枚挿しを多用する構築をあえて持ち込んだ者がいた。
つい先週グランプリ・名古屋2019で優勝したばかりで今最もホットなプレイヤー、熊谷 陸。
彼がチーム「曲者」のメンバー数名とともに持ち込んだ最新型の「シミック・食物」について、初日が終わった時点でインタビューをお願いしてみることにした。
熊谷 陸 |
--「まずは初日のスタンダードラウンド5-0おめでとうございます。今回のデッキは呪文3種の1枚挿しが特徴的で今までにない形となっていますが、これはどういった理由からなんでしょうか?」
熊谷「ありがとうございます。最初は八十岡 翔太さんがMPLリーグのために作り上げた形があり、そして先週僕が使ったのはそれをところどころいじった形だったんです。八十岡さんのレシピから《むかしむかし》を増やしたり、《探索する獣》を削って土地を増やした形ですね」
熊谷「そこから井川 (良彦) さんがデッキを井川さん好みにアレンジし始めて、佐藤 レイさんと一緒に『《むかしむかし》で掘れるので色々な種類のカードが入れ得!』と力説して色々なカードを1枚ずつ入れ始めて、今の形になったという経緯です。《楽園のドルイド》は複数枚引いたら弱いので《クロールの銛撃ち》にしたりとか、《探索する獣》を1枚だけ戻したりとかですね」
--「クリーチャーで複数枚被りが弱いものに関して1枚にしたりするのはわかるんですけど、スペルの部分も1枚挿しがありますよね?」
熊谷「先週は《厚かましい借り手》が4枚で《霊気の疾風》が3枚だったんですけど、《厚かましい借り手》というカードは2ターン目にバウンスを撃ちつつ3ターン目に出せたら強いものの、{U}{U}がきつくて3ターン目にクリーチャーとして出せる確率がそんなに高くないというのがあるんですよね」
熊谷「で、バウンスモードだけで使うなら連打すると弱いので、別の妨害カードに変えようという話になり、《霊気の疾風》の4枚目とかも考えたんですけど、バウンス→バウンスって打つならそのうち1枚がカウンターでも大して変わらないだろうということで、《神秘の論争》になりました」
--「リスト公開だと逆に奇襲効果も高そうですよね。1枚だとわかっているなら割り切ってアクションしそうですし」
熊谷「プロツアー仕様と言っていいのかわかりませんが……さっきのゲームも《探索する獣》で勝ったり、《クロールの銛撃ち》でラッキーな《金のガチョウ》落としもあったりしたので、幸福値は高いですね。2枚引いたら裏目が発生しやすいカードを極限まで減らした、みたいな形かと。1枚だけ引く分には仕事をしてくれるので……」
--「今回チームで同じリストをシェアしているということで、チーム曲者の調整の結晶、ということになるんでしょうか」
熊谷「そうですね、今回5~7人くらいが同じリストを使っています。この環境はシミック・食物とスゥルタイ・食物の2択しかほぼなくて、みんな結構練習中はノイローゼ気味になっていたので、最終的には『グランプリチャンプのデッキに乗るか~』みたいなノリでしたが……」
熊谷「ともあれ、八十岡さんに『リスペクトしてます、《総動員地区》めちゃめちゃ強かったです』とお伝えいただければと……」
--「了解です、ありがとうございました」
チームシリーズという制度は終了したが、そこで培われた絆はその後の調整などにも生かされている。
「曲者」というチームはなくなっても、調整グループが機能していれば「チーム曲者」はなくならない。海外勢と比べて個人個人で戦いがちだった日本勢に結束のきっかけを与えたという意味で、チームシリーズは日本勢にとっては非常に意義ある制度だったと言えるだろう。
そういえばこれらの1枚挿しのカードも、それ自体がそれぞれゲームをかき乱す「曲者」として機能しそうでもある。
特徴的な1枚挿しのデッキ構築は、世界に対する名刺代わりにちょうどいいかもしれない。
11 《森》 6 《島》 4 《繁殖池》 2 《総動員地区》 2 《神秘の神殿》 -土地(25)- 4 《金のガチョウ》 3 《楽園のドルイド》 1 《クロールの銛撃ち》 4 《ハイドロイド混成体》 3 《厚かましい借り手》 4 《意地悪な狼》 1 《探索する獣》 -クリーチャー(20)- |
3 《霊気の疾風》 3 《むかしむかし》 4 《王冠泥棒、オーコ》 1 《神秘の論争》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(15)- |
3 《夏の帳》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《霊気の疾風》 1 《クロールの銛撃ち》 1 《否認》 3 《大食のハイドラ》 2 《打ち壊すブロントドン》 1 《神秘の論争》 1 《裏切りの工作員》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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