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2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ)

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2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ)3日目の注目の出来事

Corbin Hosler

2019年10月20日

 

(編訳注:埋め込み動画およびツイートは英語版のものとなります。)

 アメリカ・カリフォルニア州ロングビーチ。世界中から68名の選手がこの地へ集い、賞金総額750,000ドルを懸けた戦いに臨んだ。何百という試合が行われ、何千というゾンビが群れをなし、数え切れないほどの《金のガチョウ》の鳴き声が響き……すべては、ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezとジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazによるグランドファイナルに収束した。そして《エンバレスの宝剣》は、我らの王を誕生させた。

 ハビエル・ドミンゲス、2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ)優勝おめでとう!

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 ドミンゲスの勝利に終わった日曜日の最終決戦は、思い出に満ちたものになった。ここでは、トップ8によるプレイオフで起きた注目の瞬間をお伝えしよう。

グランドファイナル

 トップ8によるプレイオフはダブルエリミネーション方式で行われるため、(一度も負けずにグランドファイナルの舞台に立つ)ドミンゲスは1マッチ勝てば優勝、対するドゥプラは2マッチ連取しなければならない状況だった。

 空気が張り詰めていく中で、両者は落ち着いていた。そして始まった第1ゲームは、最後のトップデッキに注目が集まった――その後のゆくえを占う1枚だ。ミシックチャンピオンシップ王者のタイトルに手が届くところにいるドミンゲスは、デッキの一番上のカードを見た。

 

 引けず。こうしてドゥプラは第1ゲームを取り、逆転優勝への過酷な道を登り始めた。第2ゲームはドミンゲスが手際よくものにし、ついに壁際まで追い詰められたドゥプラだが、彼はこの試練を堂々と受けて立った。

@JEDeprazがゾンビの軍団を突撃させ、@JavierDmagicとのグランドファイナルで1勝をもぎ取りました! トップ8はダブルエリミネーション方式で行われており、ドミンゲス選手はここまで負けなしだったため、両者は再び、今度こそ優勝トロフィーを懸けた戦いに挑みます。http://twitch.tv/Magic #MythicChampionshipV

 残り2人による戦いでの勝利が優勝を意味しないのは珍しいことだが、ドゥプラはこの勝利が第一歩に過ぎないことを知っており、ドミンゲスもこれ以上は勝利を譲るわけにはいかないことを理解している。最後の2本先取のマッチが始まった。そして、両者とも1勝を分け合って迎えた最終ゲーム、ミシックチャンピオンシップ王者を決する最後のゲームに、すべてが収束する。

 宝剣を信じよ。ドミンゲスはすべてを懸けた一撃を放つ。そして《エンバレスの宝剣》は、この週末を通してそうであったように、ドミンゲスの想いに応じた。

 

 ドゥプラは体勢を立て直そうとしたが、ダメージは深刻だった。そして迎えた次のターン、世界王者ハビエル・ドミンゲスは、再び優勝トロフィーを掲げることになったのだった。

 

 ハビエル・ドミンゲス、改めて、2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ)優勝おめでとう!

世界選手権出場を懸けた戦い

 今大会にはもう1つ、大きなものを懸けた戦いがあった。ジャン=エマニュエル・ドゥプラとアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciによる準決勝は、世界選手権2019への出場者を決める戦いだったのだ。

 すでに世界選手権2019への参加権利を有する現在の世界王者ハビエル・ドミンゲスが、勝者側ブラケットを勝ち進んでグランドファイナルに進出したため、敗者側ブラケットの最終戦で対峙するメングッチとドゥプラは、「勝てばグランドファイナル進出と賞金総額100万ドルの世界選手権出場」という戦いに挑むことになった。

 そしてその戦いは、この週末で最高の瞬間の1つを生み出した。

裏切りと泥棒

 あまりに多くのものが懸かった準決勝に臨む(そしてそのことに気づいている)両者は、真剣な表情で舞台に上がり戦いの準備を整えた。入場時のパフォーマンスも、カメラに向けたポーズもなかった――ここにいるのは、最高レベルの舞台で戦う世界最高のマジック・プレイヤー2人だけだ。

 第1ゲームは両者とも着実に盤面を構築し、最後までわからない戦いを演じた。そしてその「最後」こそ、記憶に残る最高に面白いものだった。

 

 わずか30秒の間に、両者の立場は天国と地獄の間を大きく揺れ動き、感情はジェットコースターのごとく激しく変わった。こんなことがあった後では、落ち込んでしまうのも仕方がないことだろう。とりわけ、昨年もあと一歩のところで世界選手権出場を逃したドゥプラならば。しかし彼は、幸運の女神に見放されなかった。《裏切りの工作員》は第2ゲームも状況を一変させるタイミングで駆けつけ、そして両者による試合は、信じられない結末を迎えたのだ。

 

 ジャン=エマニュエル・ドゥプラ、世界選手権2019へようこそ。

@JEDeprazが#MythicChampionshipVにて世界選手権出場を決めました。おめでとうございます!

スタンダード環境

 この週末を迎えるにあたっては、《死者の原野》と《不屈の巡礼者、ゴロス》に世界中の注目が集まっていた。ゾンビを次々と生み出すこのデッキは、恐るべき効率でマナを加速し、「土地を置くだけで勝てる」ゲーム終盤に向かっていく。

 使用者のジャン=エマニュエル・ドゥプラをグランドファイナルまで導き、トップ16でも最大勢力を誇った《不屈の巡礼者、ゴロス》が、期待外れだったとは到底言えない。しかしながら、今大会最も大きな活躍を見せたデッキは他にある。それは、トップ4の半分を占めた「シミック(バント)・食物」だ。このデッキの核をなす《金のガチョウ》、《王冠泥棒、オーコ》、《世界を揺るがす者、ニッサ》、《意地悪な狼》は、この週末、盤面を支配し、アグレッシブなデッキを粉砕し、他を圧倒する活躍を見せた。

 とはいえ、アグロ・デッキで成功を収めたプレイヤーもおり、その成功を支えたのは《エンバレスの宝剣》だった。『エルドレインの王権』で登場したこの装備品は、「現環境で最もよく見受けられる防御手段を完全に無力化できる」という、唯一無二のカードだ。攻撃クリーチャーを前にゾンビで1体ずつブロックすることを選択した「ゴロス」デッキに対しては、戦闘中に現れ、その選択を罰してくれる。また必要なときは、鍵を握るプレインズウォーカーを打ち倒す助けにもなる。ハビエル・ドミンゲスの「グルール・アグロ」は、この伝説のアーティファクトの後押しを受けてグランドファイナルへの道を突き進んだ。そして行弘 賢の「マルドゥ・騎士」デッキにおいても、輝かしい存在感を放っていた。

 

 リー・シー・ティエン/Lee Shi Tianもまた、古き良き「赤単アグロ」でトップ8入賞を果たした。彼の構築は《王冠泥棒、オーコ》との戦いにおいてかなりの苦戦を強いられるものの、互いに互いのために作られたのではないかと思えるほど相性最高の《災厄の行進》と《朱地洞の族長、トーブラン》の組み合わせが持つ力をいかに引き出すか、という視点のカード選択が光る。

 

 スタンダード環境がここからどのように変化していくのかはわからないが、1つだけ明確なことがある――現環境は緑が強い。

その他の注目の出来事

 トップ8によるプレイオフでは、本当にあらゆる出来事が起こった。爆発的な攻撃や奇跡的な復活から、すべてを懸けた《栄光の好機》まで、トップ8ラウンドのベスト・プレイ集をお届けしよう。

 ドミンゲスの優勝までの道のりは、決して平坦なものではなかった。とりわけ、殿堂顕彰者ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifとの準々決勝では、最高の復活劇が繰り広げられた。まずはドミンゲスの信じられないトップデッキ。ナシフが勝利すると思われたゲームは、この1枚で完全に覆った。

 

 そしてトップデッキにはトップデッキ、今度はナシフの番だ。事実、この試合でナシフは、ミシックチャンピオンシップ・トップ8入賞者にふさわしい厳しい状況からの見事な復活を、何度も見せたのだった。

 

 最後に、今回のトップ8ラウンドは私たちに大切なことを思い出させてくれた。(栄光の)「好機」がある限り、物語は終わらないのだということを。

 

(Tr. Tetsuya Yabuki)


2019ミシックチャンピオンシップⅤ(MTGアリーナ) 日本語解説・実況生放送 日程・放送時間・放送ページ
日程 放送日・放送時間 放送ページ
1日目 10月19日(土) 1:00~(10月18日(金)深夜) ニコニコ生放送 Twitch
2日目 10月20日(日) 1:00~(10月19日(土)深夜) ニコニコ生放送
最終日 10月21日(月) 1:00~(10月20日(日)深夜) ニコニコ生放送
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