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2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)
2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ) モダン部門アーキタイプ勝率一覧と注目のデッキ
2019年7月28日
無論、2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)ではリミテッドとモダンの両方で活躍した者が栄光を掴む。それでも単純に、モダン部門で最も活躍したデッキへの興味は尽きないため、分析してみた。
使用者2人以上の全アーキタイプについて、予選ラウンドにおける同系戦以外の勝率一覧を以下に掲載する。
アーキタイプ | 使用者数 | 勝率 |
---|---|---|
ホガーク | 98 | 56.2% |
イゼット・フェニックス | 48 | 50.8% |
エルドラージ・トロン | 42 | 50.4% |
人間 | 38 | 48.1% |
白青コントロール | 38 | 46.8% |
ジャンド | 36 | 52.3% |
トロン | 19 | 49.3% |
ウルザ・ソプターソード | 19 | 55.3% |
バーン | 18 | 48.3% |
ドレッジ | 17 | 45.1% |
赤単フェニックス | 10 | 52.0% |
ホガーク・ドレッジ | 7 | 60.4% |
赤緑ヴァラクート | 6 | 53.2% |
ネオブランド | 5 | 41.9% |
鱗親和 | 4 | 54.5% |
ボーグルズ | 3 | 40.0% |
「純鋼の聖騎士」コンボ | 3 | 35.0% |
ホロウワン | 3 | 50.0% |
マルドゥ・パイロマンサー | 3 | 50.0% |
スノーシフト | 3 | 40.0% |
バント・氷雪カンパニー | 2 | 0.0% |
献身の侍臣 | 2 | 12.5% |
エスパー・コントロール | 2 | 61.1% |
ゴブリン | 2 | 55.0% |
ジェスカイ・コントロール | 2 | 15.4% |
マルドゥ・死の影 | 2 | 55.0% |
マーフォーク | 2 | 41.7% |
主要なアーキタイプの中で最も高い勝率を記録したのは、「ホガーク」と「ホガーク・ドレッジ」だった。(サンプルサイズにもとづいて有意性を大まかに示すと、Clopper-Pearson法による95%信頼区間は「ホガーク」が52.1%~60.1%、対応する「ホガーク・ドレッジ」の信頼区間は46.0%~73.5%だった。)
また別の統計を挙げるなら、モダン部門で8勝2敗以上の成績を収めたプレイヤーのうち半数以上が「ホガーク」や「ホガーク・ドレッジ」を使用していた。これらの数字を見るに、《甦る死滅都市、ホガーク》を中心にしたデッキがトップ8に1つしかなかったことはむしろ驚くべきことだ。
その理由として、「ホガーク」を使うプレイヤーたちはモダン部門で優れた成績を収めたものの、ドラフト部門では振るわなかったことが考えられる。たとえ「ホガーク」を使うプレイヤーたちが全体で平均を上回るドラフト勝率を記録していたとしても、その中のドラフトで特に優れた成績を収めたプレイヤーはモダン部門で失速している。その逆もまた然りだ。トップ8に入賞したマーティン・ミュラー/Martin Müllerは例外だった――リミテッドど構築の両方とも好成績を収めた唯一の「ホガーク」使いだったのだ。
「ホガーク・ドレッジ」が今大会の最優秀デッキに
単純にモダン部門の勝率にもとづくなら、主要アーキタイプの中で最も大きな活躍を見せたのは「ホガーク・ドレッジ」だった。これは、ロシェン・イーペン/Roshen Eapen、ベン・フリードマン/Ben Friedman、マーカス・ルオン/Marcus Luong、オンドレイ・ストラスキー/Ondrej Strasky、オリバー・ティウ/Oliver Tiu、オリバー・トマコ/Oliver Tomajko、ノア・ウォーカー/Noah Walkerによるチームで使われたデッキだ。
1 《山》 1 《ドライアドの東屋》 2 《血の墓所》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 3 《新緑の地下墓地》 2 《宝石鉱山》 1 《真鍮の都》 1 《黒割れの崖》 1 《銅線の地溝》 1 《忘れられた洞窟》 -土地(19)- 4 《縫い師への供給者》 4 《恐血鬼》 3 《ゴルガリの凶漢》 2 《ナルコメーバ》 4 《臭い草のインプ》 3 《秘蔵の縫合体》 3 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(23)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《安堵の再会》 4 《壌土からの生命》 4 《這い寄る恐怖》 2 《燃焼》 -呪文(18)- |
3 《自然の要求》 2 《稲妻の斧》 2 《思考囲い》 2 《暗殺者の戦利品》 1 《突然の衰微》 1 《悪ふざけ》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
基本的には「ドレッジ」デッキの形だが、(《ナルコメーバ》を抜いて)《甦る死滅都市、ホガーク》3枚と(《叫び角笛》を抜いて)《縫い師への供給者》4枚を採用し「ホガーク」デッキとして成立させている。また、フェッチランドで探せる《ドライアドの東屋》も、《甦る死滅都市、ホガーク》の「召集」に寄与する重要な1枚だ。
このデッキには《復讐蔦》による爆発力が欠けているものの、《這い寄る恐怖》のおかげでダメージ・レースで優位に立てる。この火力呪文と《燃焼》は、第1ゲームで《罠の橋》を打ち破る一手にもなり、過小評価すべきではないだろう。
注目すべき新デッキ
『灯争大戦』と『モダンホライゾン』は、注目すべき新デッキを成立させた。まずは「ウルザ・ソプターソード」。このアーキタイプは今大会のモダン部門で勝率55.3%の素晴らしい成績を残した。また「ホガーク」に対しても15勝12敗と勝ち越している。無数の飛行機械を生み出したり《罠の橋》で《甦る死滅都市、ホガーク》を止めたりするプランはこの環境のブギーマンたる「ホガーク」に対して有効であり、マニュエル・レンツ/Manuel Lenzをトップ8へ送り出す活躍を見せたのだった。
他にも、使用者が少ないもののぜひ注目したい新デッキが3つある。それぞれ見てみよう。
4 《森》 1 《平地》 1 《島》 2 《寺院の庭》 1 《繁殖池》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《霧深い雨林》 2 《地平線の梢》 1 《冠水樹林帯》 -土地(20)- 4 《極楽鳥》 4 《ルーンの与え手》 4 《貴族の教主》 4 《献身のドルイド》 4 《療治の侍臣》 1 《薄暮見の徴募兵》 1 《歩行バリスタ》 1 《豊潤の声、シャライ》 -クリーチャー(23)- |
4 《エラダムリーの呼び声》 4 《新生化》 4 《異界の進化》 1 《死後の一突き》 4 《召喚の調べ》 -呪文(17)- |
1 《無私の霊魂》 3 《拘留代理人》 1 《弁論の幻霊》 4 《アロサウルス乗り》 2 《グリセルブランド》 1 《流刑への道》 3 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
メイン・デッキには《献身のドルイド》と《療治の侍臣》による無限マナ・コンボが搭載されている。新戦力としては、コンボを守ったり《新生化》で生け贄に捧げてコンボ・パーツを見つけたりできる《ルーンの与え手》の姿がある。とはいえ、《破滅の終焉》ではなく《異界の進化》のようにいくらか珍しいカード選択は見受けられるものの、メイン・デッキはいたって普通の形だ。
サプライズはサイドボードに仕込まれている。対戦相手が小型クリーチャーに対する除去呪文を入れてきたところへ、木原のデッキは《アロサウルス乗り》を生け贄に《グリセルブランド》を繰り出すものに変身できるのだ。まさに天才的なデッキ構築と言えるだろう。
2 《山》 1 《平地》 2 《沼》 1 《聖なる鋳造所》 2 《血の墓所》 1 《神無き祭殿》 2 《乾燥台地》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《虹色の眺望》 4 《黒割れの崖》 -土地(21)- 2 《戦慄衆の秘儀術師》 2 《若き紅蓮術士》 1 《雷族の呼び覚まし》 4 《稲妻の骨精霊》 4 《歴戦の紅蓮術士》 -クリーチャー(13)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《稲妻》 3 《致命的な一押し》 3 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 3 《発掘》 4 《未練ある魂》 2 《強打のらせん》 -呪文(26)- |
2 《配分の領事、カンバール》 2 《疫病を仕組むもの》 2 《天界の粛清》 1 《アングラスの暴力》 2 《血染めの月》 1 《ケイヤの手管》 4 《虚空の力線》 1 《摩耗 // 損耗》 -サイドボード(15)- |
以前から「マルドゥ・パイロマンサー」として知られていたデッキが、《歴戦の紅蓮術士》の登場でアップグレードされた。だから今は、「マルドゥ・パイロマンサーズ」と呼ぶのが適切だろうか。《歴戦の紅蓮術士》は、《未練ある魂》や《強打のらせん》を捨てたときに強いシナジーを発揮するため、このデッキにぴったりな1枚だ。
その他の新戦力としては、《発掘》や《雷族の呼び覚まし》で戦場に戻せる《稲妻の骨精霊》にも注目だ。
4 《山》 1 《沼》 2 《血の墓所》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《虹色の眺望》 4 《婆のあばら家》 3 《魂の洞窟》 -土地(22)- 4 《モグの戦争司令官》 4 《飛び道具の達人》 2 《ゴブリンのクレーター掘り》 1 《ゴブリンの群衆追い》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《ゴブリンの戦長》 1 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの首謀者》 2 《投石攻撃の副官》 1 《ゴブリンの損壊名手》 1 《群衆の親分、クレンコ》 1 《包囲攻撃の司令官》 -クリーチャー(29)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《思考囲い》 1 《タール火》 -呪文(9)- |
1 《武器商人》 1 《ゴブリンの鎖回し》 1 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 2 《致命的な一押し》 4 《アメジストのとげ》 2 《血染めの月》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
《ゴブリンの女看守》と《ゴブリンの首謀者》の再録により、「ゴブリン」の部族デッキは核となる部分を取り戻し、モダンで成功できるだけの力を獲得した。《飛び道具の達人》や《投石攻撃の副官》も大きな新戦力となっている。
今大会では2人のプレイヤーが「ゴブリン」デッキを選択し、悪くない成績を残した。1マナ域に《スカークの探鉱者》を採用したジム・デイヴィス/Jim Davisは5勝5敗、1ターン目《思考囲い》を可能とするニコラス・モンタクィア/Nicholas Montquilaは6勝4敗と奮戦し、「ゴブリン」が競技シーンで通用するモダン・デッキであることを示したのだ。
モダンはいまだ創造の余地あり
最後に、今大会で最も刺激的なデッキ2つをご紹介しよう。それらは目立つ成績を挙げることはできなかったものの、15年以上にわたって蓄積されたカード・プールを持つフォーマットの無限の可能性を見せてくれた。
5 《山》 2 《森》 1 《島》 3 《踏み鳴らされる地》 3 《燃えがらの林間地》 2 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 4 《樹木茂る山麓》 2 《吹きさらしの荒野》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 -土地(27)- 3 《桜族の長老》 3 《ウッド・エルフ》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー(14)- |
2 《炎の斬りつけ》 4 《遥か見》 4 《明日への探索》 1 《神々の憤怒》 4 《予想外の結果》 1 《風景の変容》 3 《裂け目の突破》 -呪文(19)- |
2 《不屈の追跡者》 1 《強情なベイロス》 3 《外科的摘出》 2 《夏の帳》 2 《削剥》 2 《神々の憤怒》 2 《クローサの掌握》 1 《引き裂く突風》 -サイドボード(15)- |
「タイタン・ブリーチ」デッキを根幹に、ときおり《予想外の結果》で勝てる形に仕上げたのがこのデッキだ。幸運にもライブラリーの一番上から《引き裂かれし永劫、エムラクール》を引き当てれば、すぐにゲームが決着するだろう。
私がこの刺激的なデッキの発祥を追った限りでは、どうやら数か月前にMagic Onlineで「Ruin000」が使用したのが最初のようだ。その後カバレージ・ライターのコービン・ホスラー/Corbin Hoslerによって取り挙げられ、そしてついにエリック・ヘラウァー/Erich Hellauerの手でミシックチャンピオンシップに持ち込まれたのだ。
2 《平地》 1 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《金属海の沿岸》 -土地(16)- 4 《メムナイト》 4 《羽ばたき飛行機械》 4 《きらめく鷹》 4 《信号の邪魔者》 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 3 《フェアリーの騙し屋》 2 《アクロスの英雄、キテオン》 2 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《不確定な船乗り》 4 《殉教者の魂》 -クリーチャー(37)- |
4 《聖なる秘宝の探索》 1 《火と氷の剣》 1 《光と影の剣》 1 《アージェンタムの鎧》 -呪文(7)- |
3 《翻弄する魔道士》 2 《ファイレクシアの破棄者》 3 《外科的摘出》 3 《流刑への道》 2 《儀礼的拒否》 1 《天界の粛清》 1 《ルーンの光輪》 -サイドボード(15)- |
このデッキの理想の動きは、1ターン目《聖なる秘宝の探索》から《羽ばたき飛行機械》と《メムナイト》で探索カウンターを置いていくものだ。続く2ターン目には《きらめく鷹》をプレイし、《羽ばたき飛行機械》を戻して再び唱える。そして《殉教者の魂》を「召集」で繰り出し、最後に《聖なる秘宝の探索》を生け贄に捧げる。こうして、早ければ2ターン目に《アージェンタムの鎧》の能力を使うことができる。そうなれば勝利はこちらのものだ。
総論として、2019ミシックチャンピオンシップⅣ(バルセロナ)は《甦る死滅都市、ホガーク》が支配的な強さを見せつけた。それでもモダンには、さまざまな素敵なデッキの可能性が広がっているのだ。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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