マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

2016.05.05

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ プロツアー『イニストラードを覆う影』特集

kenjitsumura.jpg

 こんにちは!晴れる屋の津村です。

 少し遅くなってしまいましたが、今回は2週間前に開催されたプロツアー『イニストラードを覆う影』を特集していきたいと思います。事前の予想では「バント・カンパニー」と「白単人間」が最多勢力とされる中で、実際に勝ち上がったデッキはどのようなものだったのでしょうか。

 まずはトップ8に残ったデッキをご覧ください。

プロツアー『イニストラードを覆う影』 トップ8デッキ

  • 優勝・「白緑トークン」
  • 準優勝・「バント・カンパニー」
  • 3位・「エスパー・コントロール」
  • 4位・「エスパー・ドラゴン」
  • 5位・「黒緑《過ぎ去った季節/Seasons Past》」
  • 6位・「赤緑ゴーグル・ランプ」
  • 7位・「黒緑サクリファイス」
  • 8位・「白赤エルドラージ・ゴーグル」

 今大会のトップ8には、8種類ものデッキが顔を揃える珍しい結果になりました。新セット発売後に相応しく新進気鋭のデッキが数多く登場していますが、ジョン・フィンケル/Jon Finkelが持ち込んだ「黒緑《過ぎ去った季節/Seasons Past》」や、ブラッド・ネルソン/Brad Nelsonの「赤緑ゴーグル・ランプ」などが象徴するように、かつてないほどクリーチャーデッキへの風当たりが厳しいプロツアーだったと思います。

 今週末に開催される「グランプリ・東京2016」でもこの流れは続くと思うので、クリーチャーデッキで出るのならば《コジレックの帰還/Kozilek's Return》や《衰滅/Languish》に負けない工夫は施しておきたいところ。

 それでは、ここからは各デッキの解説をご覧いただきましょう。

Steve Rubin - 「白緑トークン」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 優勝 / スタンダード (2016年4月22~24日)
7 《森》
7 《平地》
4 《梢の眺望》
4 《要塞化した村》
3 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(25)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《森の代言者》
4 《大天使アヴァシン》
4 《搭載歩行機械》

-クリーチャー(16)-
3 《ニッサの誓い》
4 《ドロモカの命令》
2 《荒野の確保》
1 《進化の飛躍》
1 《停滞の罠》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(19)-
2 《ラムホルトの平和主義者》
1 《優雅な鷺、シガルダ》
1 《保護者、リンヴァーラ》
3 《石の宣告》
2 《翼切り》
1 《進化の飛躍》
1 《荒野の確保》
1 《隔離の場》
3 《悲劇的な傲慢》

-サイドボード(15)-

 今大会を制したのは、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》を軸に据えた「白緑トークン」でした。

 このデッキの強みは、上記2種類の「プレインズウォーカー」に加え、《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》や《荒野の確保/Secure the Wastes》によってインスタントタイミングで脅威を展開できるため、全体除去呪文に強いところです。

 ここのところあまり見かける機会のなかった《搭載歩行機械/Hangarback Walker》も除去耐性のあるクリーチャーとして重宝しますし、状況次第では0マナでキャストして《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》を即座に「変身」させることもできます。

 サイドボード後には、《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》や《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》を活用して防御的に振る舞うこともできますし、コントロールデッキに対しては《進化の飛躍/Evolutionary Leap》という必殺技も持ち合わせています。

 メインデッキもサイドボード後も比較的隙のないデッキであり、2色デッキだからこそ実現できる安定性の高さもこのデッキの大きな魅力のひとつと言えるでしょう。翌週に行われた「グランプリ・トロント2016」でもトップ32に9人と大活躍を見せており、「グランプリ・東京2016」でも最大勢力となりそうなデッキです。

Andrea Mengucci - 「バント・カンパニー」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 準優勝 / スタンダード (2016年4月22~24日)
4 《森》
3 《平地》
2 《島》
3 《梢の眺望》
4 《大草原の川》
3 《伐採地の滝》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《進化する未開地》

-土地(25)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《森の代言者》
4 《跳ねる混成体》
4 《反射魔道士》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《不屈の追跡者》
2 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー(26)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文(9)-
2 《狩猟の統率者、スーラク》
1 《龍王ドロモカ》
2 《払拭》
2 《侵襲手術》
3 《否認》
2 《石の宣告》
3 《悲劇的な傲慢》

-サイドボード(15)-

 チーム「MTG Mint Card」が作り上げた「バント・カンパニー」。メインデッキこそオーソドックスな構成ですが、彼らのイノベーションはサイドボードに潜んでいます。

 このデッキならではの長所、それは「赤緑ランプ」デッキに勝てる構築が成されていることです。一般的な「バント・カンパニー」は、サイドボード後も含めて「赤緑ランプ」デッキに相性が悪いとされていますが、《侵襲手術/Invasive Surgery》を含む大量のカウンター呪文、それに加え《狩猟の統率者、スーラク/Surrak, the Hunt Caller》による打点の高さにより、このリストは「赤緑ランプ」デッキに対する勝率を大きく向上させているのです。

 事前の予想では、「赤緑ランプ」デッキは「バント・カンパニー」、「白単人間」に次ぐ三番手という認識だったため、この構築は非常に理にかなった素晴らしい構築だと思います。「バント・カンパニー」と「白単人間」に対しても、たっぷり3枚投入された《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》や《龍王ドロモカ/Dragonlord Dromoka》など対策に余念がありませんし、今後の「バント・カンパニー」のお手本になるリストだと思います。

Luis Scott-Vargas - 「黒緑サクリファイス」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 7位 / スタンダード (2016年4月22~24日)
8 《森》
4 《沼》
4 《風切る泥沼》
4 《ラノワールの荒原》
3 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(23)-

4 《膨れ鞘》
4 《壌土のドライアド》
4 《薄暮見の徴募兵》
4 《エルフの幻想家》
4 《ズーラポートの殺し屋》
4 《地下墓地の選別者》
4 《ナントゥーコの鞘虫》
2 《異端の癒し手、リリアナ》

-クリーチャー(30)-
3 《謎の石の儀式》
4 《集合した中隊》

-呪文(7)-
2 《不屈の追跡者》
1 《肉袋の匪賊》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
4 《精神背信》
4 《究極の価格》
2 《ウルヴェンワルドの謎》

-サイドボード(15)-

 《謎の石の儀式/Cryptolith Rite》を利用した新進気鋭の「黒緑サクリファイス」デッキ。基本的な動きとしては、《謎の石の儀式/Cryptolith Rite》と《集合した中隊/Collected Company》で戦場をクリーチャーで埋め尽くし、最終的には《ズーラポートの殺し屋/Zulaport Cutthroat》と《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》で対戦相手を圧倒することになります。

 このデッキを選択する利点は、「バント・カンパニー」に圧倒的に相性が良いことです。その相性差がどれほどのものかは、ルイス自身の大会レポート (リンク先は英語)をご覧になっていただければ一目瞭然で、なんとルイスは「バント・カンパニー」相手にサイドボーディングをしないそうです。《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》が入っていると知っている場合のみ《究極の価格/Ultimate Price》をサイドインしてもいいとのことですが、環境の主要デッキに対してそれほどまでに相性が良い点は、このデッキの最大の長所と言えるでしょう。

 その反面で気になる点としては、このデッキの強さゆえに、メインデッキに《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を入れたデッキが増えてきたことです。

 プロツアーの翌週に行われた「グランプリ・トロント2016」では、メインから《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を2枚採用した「エスパー・ドラゴン」が優勝を飾っていますし、トップ32に入賞した残ったデッキにも《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》の入ったデッキが散見されます。サイドボードには《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を対処できる《究極の価格/Ultimate Price》や《精神背信/Transgress the Mind》が用意されていますが、1本目で《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》に触れないことはこのデッキを使う上で最大の懸念材料と言えます。

八十岡 翔太 - 「エスパー・ドラゴン」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 4位 / スタンダード (2016年4月22~24日)
4 《沼》
4 《島》
4 《窪み渓谷》
4 《詰まった河口》
1 《水没した骨塚》
3 《コイロスの洞窟》
2 《乱脈な気孔》
3 《大草原の川》
2 《港町》

-土地(27)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《龍王オジュタイ》
2 《龍王シルムガル》

-クリーチャー(10)-
4 《シルムガルの嘲笑》
3 《究極の価格》
2 《意思の激突》
2 《闇の掌握》
2 《精神背信》
3 《忌呪の発動》
2 《苦い真理》
1 《骨読み》
3 《衰滅》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-呪文(23)-
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
3 《強迫》
2 《死の重み》
2 《否認》
1 《苦渋の破棄》
1 《無限の抹消》
1 《悪性の疫病》
1 《闇の誓願》
1 《龍王の大権》
1 《死の宿敵、ソリン》

-サイドボード(15)-

 ここ1年間「エスパー・ドラゴン」を愛用し続けている八十岡 翔太。今回もヤソさんならではの独自の構成で、見事にトップ4入賞を果たしています。

 このリストの特徴的な部分は、マナベースとサイドボードです。マナベースは、3色のデッキには必須だとされていた《進化する未開地/Evolving Wilds》を抜いてしまい、従来のマナベースとは一線を画す造りに仕上げています。

 マナベースに関して本人にお話を伺ったところ、「エスパー・ドラゴン」には《シルムガルの嘲笑/Silumgar's Scorn》と《闇の掌握/Grasp of Darkness》があるため、1ターン目に基本土地(または《進化する未開地/Evolving Wilds》)を置いてしまうと2ターン目にどちらかを唱えられない可能性が高くなってしまうので、1ターン目には{U}と{B}の両方が出る土地を置きたいから《水没した骨塚/Submerged Boneyard》まで採用した、と仰っていました。それと「エスパー・ドラゴン」デッキの《平地/Plains》はあまりにも弱すぎるので、《進化する未開地/Evolving Wilds》を入れない構成は比較的早い段階で考えていたとのこと。

 サイドボードには《闇の誓願/Dark Petition》から《無限の抹消/Infinite Obliteration》や《悪性の疫病/Virulent Plague》を導く、懐かしの「シルバーバレット」戦略が採用されています。

 《無限の抹消/Infinite Obliteration》や《悪性の疫病/Virulent Plague》は特定のマッチアップでこそ刺さるものの、汎用性に難があるのでできることなら枚数を割きたくはありません。そこでヤソさんのように《闇の誓願/Dark Petition》と併用すればサイドボードのスロットを圧迫することなく枚数の水増しができるので、この手法は今後も参考にできるでしょう。

Seth Manfield - 「エスパー・コントロール」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 3位 / スタンダード (2016年4月22~24日)
6 《沼》
3 《島》
1 《平地》
4 《窪み渓谷》
1 《詰まった河口》
4 《大草原の川》
4 《乱脈な気孔》
4 《進化する未開地》

-土地(27)-

1 《終止符のスフィンクス》

-クリーチャー(1)-
4 《予期》
4 《闇の掌握》
4 《究極の価格》
2 《破滅の道》
2 《呪文萎れ》
4 《衰滅》
2 《闇の誓願》
1 《次元の激高》
1 《シルムガルの命令》
3 《卓絶のナーセット》
2 《秘密の解明者、ジェイス》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》
2 《死の宿敵、ソリン》

-呪文(32)-
3 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《龍王オジュタイ》
2 《強迫》
2 《否認》
1 《精神背信》
2 《苦渋の破棄》
1 《無限の抹消》

-サイドボード(15)-

 こちらは「ドラゴン・クリーチャー」ではなく、大量の「プレインズウォーカー」でゲームに蓋をする「エスパー・コントロール」。近代のコントロールデッキは構成にこそ差があれど、序盤を凌いだらすぐに攻勢に移れる点が特徴的です。

 「ドラゴン・クリーチャー」と「プレインズウォーカー」の比較としては、「ドラゴン・クリーチャー」には対戦相手の「プレインズウォーカー」を牽制しやすいというメリットがあります。「白緑トークン」のように「プレインズウォーカー」を多用するデッキが上位にいる以上、このメリットは非常に大きな利点だと感じています。

 ただし、《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》は《翼切り/Clip Wings》のような明確な解答がありますし、「エスパー・ドラゴン」が過度に意識されている状況下なら、フィニッシャーに「プレインズウォーカー」を選択するのもいいでしょう。いずれにせよ「プレインズウォーカー」対策は必須だと思うので、《シルムガルの命令/Silumgar's Command》の増量や、《破滅の道/Ruinous Path》の採用を検討してみてもいいと思います。

Brad Nelson - 「赤緑ゴーグル・ランプ」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 6位 / スタンダード (2016年4月22~24日)
8 《森》
5 《山》
3 《燃えがらの林間地》
4 《獲物道》
4 《溺墓の寺院》

-土地(24)-

3 《世界を壊すもの》
1 《龍王アタルカ》

-クリーチャー(4)-
4 《焦熱の衝動》
3 《マグマの洞察力》
3 《ウルヴェンワルド横断》
4 《苦しめる声》
4 《コジレックの帰還》
4 《ニッサの巡礼》
3 《巨人の陥落》
2 《面晶体の記録庫》
3 《紅蓮術師のゴーグル》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文(32)-
3 《引き裂く流弾》
3 《棲み家の防御者》
2 《龍詞の咆哮》
3 《不屈の追跡者》
2 《ゴブリンの闇住まい》
1 《炎呼び、チャンドラ》
1 《龍王アタルカ》

-サイドボード(15)-

 「バント・カンパニー」に相性が良いデッキとして注目を集めていた「赤緑ランプ」デッキ。その反面でこのデッキの使用を躊躇う理由となっていたのが、「白単人間」に勝ちづらいことでした。

 「白単人間」に勝ちづらい主な理由としては、(1)《コジレックの帰還/Kozilek's Return》を引くかどうかにゲームの勝敗が左右されやすいこと、(2)《コジレックの帰還/Kozilek's Return》を引けたとしても、3ターン目までに安定して赤マナを供給できないことの2点です。

 しかしながら、ブラッド・ネルソンとチーム「EUreka」が生み出したのは、そんな前提を覆す「白単人間」に勝てる「赤緑ゴーグルランプ」でした。

 このデッキは従来の「赤緑ランプ」に必須だとされていた《爆発的植生/Explosive Vegetation》を抜いてしまい、代わりに序盤のアクションの増加に重きを置いた構成に仕上がっています。《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》のおかげで序盤の赤マナもしっかりと確保できるようになっており、それを生かして《焦熱の衝動/Fiery Impulse》といった軽量除去呪文も採用されています。

 そして、このデッキをこのデッキたらしめているのが、デッキ名にもなっている《紅蓮術師のゴーグル/Pyromancer's Goggles》の採用です。

 このデッキは《ニッサの巡礼/Nissa's Pilgrimage》、または《マグマの洞察力/Magmatic Insight》、《苦しめる声/Tormenting Voice》+《溺墓の寺院/Drownyard Temple》の組み合わせにより、4ターン目に5マナが捻出しやすくなっています。《紅蓮術師のゴーグル/Pyromancer's Goggles》はそこから《世界を壊すもの/World Breaker》や《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》に繋がるマナ加速の役割を果たしつつ、《焦熱の衝動/Fiery Impulse》や《巨人の陥落/Fall of the Titans》を利用した盤面掌握から、《マグマの洞察力/Magmatic Insight》や《苦しめる声/Tormenting Voice》によるアドバンテージ獲得手段として、実に多くの役割をこなしてくれます。

 メインデッキでビートダウン耐性を高めているため、サイドボードからは無駄な除去カードをクリーチャーに入れ替えるオフェンシブサイドボードプランが採用されています。

 これにより「赤緑ランプ」デッキ対策として一般的な《無限の抹消/Infinite Obliteration》の効果を半減させたり、サイドボード後に除去を減らすであろう対戦相手をあっという間に押し切ってしまうことができるようになります。

 マナ加速が少なめになっているため、オーソドックスな形の「赤緑ランプ」相手には苦戦してしまいそうですが、それ以外のデッキにはバランス良く戦える実に画期的な新デッキです。 今大会前に、《紅蓮術師のゴーグル/Pyromancer's Goggles》はクリーチャーデッキに強いカードとして密かに注目を集めていたものの、それを「赤緑ランプ」デッキに入れる発想力、そしてそれを実現する構築力には頭が下がるばかりですね。

 なお、《コジレックの帰還/Kozilek's Return》は赤ではなく欠色(無色)の呪文なので、《紅蓮術師のゴーグル/Pyromancer's Goggles》ではコピーされないのでご注意を。

Luis Salvatto - 「赤白エルドラージ・ゴーグル」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 8位 / スタンダード (2016年4月22~24日)
8 《山》
2 《平地》
4 《戦場の鍛冶場》
4 《鋭い突端》
1 《シヴの浅瀬》
2 《コイロスの洞窟》
3 《溺墓の寺院》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(26)-

2 《変位エルドラージ》
2 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
2 《ゴブリンの闇住まい》

-クリーチャー(10)-
3 《焦熱の衝動》
3 《稲妻の斧》
2 《マグマの洞察力》
4 《苦しめる声》
3 《癇しゃく》
2 《巨人の陥落》
3 《紅蓮術師のゴーグル》
1 《先駆ける者、ナヒリ》
3 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文(24)-
2 《エルドラージの寸借者》
2 《保護者、リンヴァーラ》
2 《引き裂く流弾》
1 《両手撃ち》
3 《荒野の確保》
2 《神聖なる月光》
1 《アヴァシンの裁き》
1 《次元の激高》
1 《先駆ける者、ナヒリ》

-サイドボード(15)-

 メインから各種「エルドラージ・クリーチャー」を採用した《紅蓮術師のゴーグル/Pyromancer's Goggles》デッキ。ネルソンの項でもお伝えしたように、大量の除去を《紅蓮術師のゴーグル/Pyromancer's Goggles》でバックアップする構造上、クリーチャーデッキに非常に強いリストになっています。

 このデッキならではの特徴として、「エルドラージ・クリーチャー」をメインデッキから採用することで、「プレインズウォーカー」耐性が向上しています。特にこの手のデッキは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》に手も足も出ずに押し切られてしまうことが多いので、デッキの構成を歪めることなく対戦相手に干渉する手段を増やすのは理にかなっていると思います。

 前述の通り一般的にはサイドボードに用意されていることの多い「エルドラージ・クリーチャー」ですが、このリストのようにクリーチャーデッキへの勝率を落とすことなくメインデッキに移行できるのであれば、サイドボードのスロットも浮いて理想的ですね。

Jon Finkel - 「黒緑コントロール」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 5位 / スタンダード (2016年4月22~24日)
12 《沼》
5 《森》
4 《風切る泥沼》
2 《ラノワールの荒原》
3 《進化する未開地》

-土地(26)-

2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》

-クリーチャー(4)-
2 《強迫》
1 《死の重み》
4 《闇の掌握》
2 《精神背信》
2 《究極の価格》
4 《骨読み》
3 《破滅の道》
1 《無限の抹消》
4 《衰滅》
4 《闇の誓願》
2 《過ぎ去った季節》
1 《ニッサの復興》

-呪文(30)-
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
3 《死の重み》
2 《強迫》
3 《帰化》
1 《翼切り》
1 《究極の価格》
2 《悪性の疫病》
1 《無限の抹消》
1 《護法の宝珠》

-サイドボード(15)-

 ジョン・フィンケル。この度16回目のプロツアートップ8を記録した生ける伝説が選んだデッキは、《過ぎ去った季節/Seasons Past》を組み込んだ除去が満載のボードコントロールデッキでした。《過ぎ去った季節/Seasons Past》は通常ではそこそこのアドバンテージを得る手段でしかありませんが、《闇の誓願/Dark Petition》と併用することで世界は一変します。

 無事に解決された《過ぎ去った季節/Seasons Past》は、自身の効果によりライブラリーの下に戻ります。それを《闇の誓願/Dark Petition》で再びサーチ→《過ぎ去った季節/Seasons Past》で《闇の誓願/Dark Petition》を再利用という連鎖は文字通り無限に続くので、カウンター呪文や手札破壊呪文以外の方法でこれに立ち向かうことは困難を極めます。

 また、このデッキはメインデッキに《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を無理なく搭載できるデッキのひとつなので、「黒緑サクリファイス」などを意識するのであればかなり有力な選択肢となります。《侵襲手術/Invasive Surgery》と《否認/Negate》の入った「バント・カンパニー」を克服する術こそ必須となりますが、《闇の誓願/Dark Petition》と《過ぎ去った季節/Seasons Past》の組み合わせは一度味わうと病みつきになること間違いなしなので、少し変わったミッドレンジ/コントロールデッキがお好きな方はぜひお試しください。

「今週の一押し~4色《謎の石の儀式/Cryptolith Rite(SOI)》コンボ~」

Mark Jacobson - 4色「謎の石の儀式」コンボ
グランプリ・トロント2016 11位 / スタンダード (2016年4月30日~5月1日)
3 《森》
1 《沼》
1 《島》
1 《平地》
4 《ラノワールの荒原》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《コイロスの洞窟》
4 《進化する未開地》
3 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(24)-

4 《壌土のドライアド》
4 《薄暮見の徴募兵》
4 《エルフの幻想家》
2 《ズーラポートの殺し屋》
4 《地下墓地の選別者》
4 《変位エルドラージ》
4 《反射魔道士》
3 《血統の観察者》

-クリーチャー(29)-
3 《謎の石の儀式》
4 《集合した中隊》

-呪文(7)-
4 《森の代言者》
1 《悟った苦行者》
4 《現実を砕くもの》
3 《否認》
2 《精神背信》
1 《究極の価格》

-サイドボード(15)-

 今週の一押しは、「グランプリ・トロント2016」でひっそりと活躍していたコンボデッキを。

 コンボの仕組みはいたって簡単で、上記3種類が揃えば即座にゲームに勝ててしまいます。ただし、《ズーラポートの殺し屋/Zulaport Cutthroat》の枚数を見れば分かるように、このコンボはあくまでおまけ程度にすぎません。このデッキは他の《集合した中隊/Collected Company》デッキよろしく地上戦にめっぽう強く、さらには《反射魔道士/Reflector Mage》+《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》のコンボも内包されているため、クリーチャーデッキに対して無類の強さを誇ります。

 つまるところ、このデッキは他の《集合した中隊/Collected Company》デッキに対して非常に強い構成なんです。懸念材料である《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》に対しても《反射魔道士/Reflector Mage》という最高の解答を持ち合わせていますし、ひょっとすると今週末の台風の目となるデッキかもしれません。

終わりに

 今週の「スタンダード・アナライズ」は以上です。「グランプリ・東京2016」では、「白緑トークン」、「バント・カンパニー」、「黒緑サクリファイス」、「エスパー・ドラゴン」が多いと予想していますが、「4色《謎の石の儀式/Cryptolith Rite》コンボ」デッキのような新星の登場も期待されます。

 この環境の注意点として、ゲームが長引きやすいデッキが多いので、それに伴うプレイングミスの増加や引き分けには細心の注意を払いたいですね。環境に存在する多くのデッキは、デッキパワーには遜色がないと思うので、ぜひとも慣れ親しんだデッキでゴールデンウィーク最後のお祭りを楽しんでください!

 それでは、「グランプリ・東京2016」の会場でお会いしましょう!

前の記事: 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『イニストラードを覆う影』参入!春のローテーション | 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ一覧に戻る | 次の記事: 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ グランプリ・東京&ニューヨーク特集

トピックス