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第125回:認定イベント開催のすすめ!と、「カードの状態」

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ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2012.11.07

WPN通信 #125:認定イベント開催のすすめ!と、「カードの状態」


 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。


認定イベント開催のすすめ

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 マジック:ザ・ギャザリングにおけるいわゆる公認イベント、DCI 認定イベントには、大きく分けてふたつ、カジュアルイベント、一般イベントが用意されています。どちらのカテゴリも DCI によって認定される正式なイベントであり、正しく申請・運営・報告されると、店舗でのイベント開催実績として数えられ、店舗レベル向上に役立ったり、プレイヤーが獲得できるプレインズウォーカーポイントに算出されます。

 カジュアルイベントは、主催する店舗にとっても、参加するプレイヤーにとっても敷居が低いもので、講習会やフリープレイ会といった集まってマジックで遊んだ記録を残しておくものです。リーグ戦や多人数戦もカジュアルイベントに含まれます。

 カジュアルイベントの報告は参加したプレイヤーの名簿を提出するだけなので、まだマジックのイベント構造をよく理解していない人でも、プレイした記録を報告することができます。イベントの申請は、イベントが成立した当日に行うことができるので「プレイヤーが三々五々に集まってきてフリープレイ会をしていたので、店舗から景品を提供して店舗のイベントとした」といったケースでも報告することができます。

 一方の一般イベントは、デッキ構築方法(スタンダード、モダン、レガシー、など)、参加者数、ラウンド数、制限時間などが細かくルールに基づいて決められているほか、すべての対戦結果を記録して、正しく報告する必要があります。名簿を提出するだけで終わりとなるカジュアルイベントに比べて、主催者側の手間は少し増えます。

 その代わり、プレイヤーが獲得できるプレインズウォーカーポイントは、競技ポイントに計上され、獲得したポイントに応じて、賞金イベントであるグランプリの不戦勝が得られるという利点が発生します。また、プロモカードが提供される WPN プログラムのほとんどは、一般イベントとして設定されていますので、最低参加人数、最低ラウンド数、などのルールを守って運用する必要があります。

 ともあれ、これらのイベントを利用して、店舗に訪れるマジックを楽しみたいと考えているプレイヤーにいかに店舗のファンになってもらうか。ウィザーズプレイネットワーク公式サイトに掲載されている連載コラムから、ご紹介したいと思います。

 Improve Your Store - Hosting Your Own Events - Wizards Play Network Official Home Page


カジュアルイベント

 店舗に訪れるプレイヤーのすべてが、競技ポイントを欲しているわけではありません。始めたばかりのプレイヤーであったり、あるいは友達と和気あいあいと遊びたいプレイヤーも同じくらい、あるいはそれ以上に存在しています。一般イベントだけ、フライデー・ナイト・マジックだけを提供していたのでは、こうしたプレイヤーを店舗のファンとして獲得することができません。彼らに楽しんでもらうためには、一般イベントよりもむしろカジュアルイベントが適しています。

 一般イベントの種類(フォーマットと呼称しています)はイベント規定の「3.2 フォーマットとレーティング区分」に規定されています。ここに記載がない遊び方はすべてカジュアルイベントとして運用できます。

 逆に言えば、ここで規定されていないデッキで遊んでいるプレイヤー(持っているカードを片っ端からつっこんで楽しんでいるプレイヤーは多いですよね)は、一般イベントに参加できないのですが、カジュアルイベントであれば問題ないわけです。たとえば「お互いに持ち寄ったデッキで楽しく遊ぶフリープレイの日」を店舗で設定し、これをカジュアル構築イベントとして申請・報告することがカジュアルイベントであればできます。

 そのほか、以下のようなイベントは店舗で用意するカジュアルイベントとして有用となるでしょう。

統率者戦 ― 多人数で遊ぶマジックの中でもっとも遊ばれており、共通ルールがそれなりに整備されている遊び方が統率者戦です。古いカードから最新のカードまでデッキに入れられるのも魅力です。統率者戦については、http://www.mtgcommander.com/ で詳細を確認することができます。統率者戦の申請・報告にはカジュアル多人数戦―統率者戦を使用します。

ドラフト戦 ― 一般イベントとして認定されているブースタードラフトという遊び方がありますが、これ以外にもブースターパックを使った様々な変種ルールがあります。お互いにブースターパックを1つずつ使用したパックウォーズ、二人で 3 パックずつ購入してドラフトするウィンストン、2 人チーム、3 人チームを作って、二つのチームが互い違いに輪になってドラフトして遊ぶチームドラフトなど。一般イベントではないブースターパックを使った遊び方は、すべてカジュアル・リミテッドとして報告できます。

パウパー ― デッキ構築に際して、レアはもちろん、アンコモンすら使用できないコモン構築という遊び方がパウパーです。マジック・オンラインで広く楽しまれているこの変種ルールはかなり奥が深く、競技イベントが好きなプレイヤーにもオンラインでは浸透しています。パウパーに関するルールは「Pauper Deck Construction」から、流行のデッキや戦略記事は http://pdcmagic.com/が参考になります。パウパーは、カジュアル構築として報告できます。


一般イベント

 カジュアルイベントだけではなく、勝敗を争う、勝者を決めるイベントがルールに沿ってしっかり用意されているのもマジックの認定イベントの醍醐味です。イベントの運営になれてきたら、あるいはプレイヤーからの要望があれば。店舗によって開始する時期はまちまちでしょうが、カジュアルイベントの他に、一般イベントを用意していくのは、プレイヤーのニーズに応えるためにも有効でしょう。

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 ただ遊ぶ場所を用意するだけではなく、ラウンドの進行を管理し、組み合わせを作成しないといけないので、それなりに手間も場所も必要となります。プレイヤーに人気のフライデー・ナイト・マジックやプレリリースは一般イベントなので、最低でも 8 人以上のプレイヤーを確保し、3 ラウンド以上行わなければいけません。こうしたイベントは、カジュアルイベントで育ったプレイヤーと、対戦する機会を求めてやってきたプレイヤーが邂逅する場所となるので、コミュニティが大きく育つかどうか、店舗にとっても大事です。

 WPN によってあらかじめ用意されている(FNM やプレリリースといった)プログラムだけではなく、店舗独自のイベントを用意することは、とても重要です。先に紹介した記事の筆者ジェフの店では、半年ごとに「Legacy For Lands」と名付けたレガシーの一般イベントを開催しており、プレイオフに進出したプレイヤーはデュアルランドを賞品として獲得できるそうです。ある店舗では、優勝者にブースターパックが 1 箱贈られる「ボックス・トーナメント」を月一回のペースで開催していまして、地方都市でも 40 人ほどの参加者を集めているそうです。こういうイベントを店舗の定例イベントにしてしまい、「○○杯」といった形で店舗名を冠してしまうのはいいかもしれませんね。


カジュアルな競技

 カジュアルイベントを主戦場としているプレイヤーのなかには、一般イベントでも遊びたいと思っているプレイヤーがいます。こうしたプレイヤーを迎え入れるための一般イベントでは、賞品を「広く浅く」配布するように設定するとカジュアル出身のプレイヤーでも敷居を低く感じられる傾向にあります。

 14 人程度集まった 4 ラウンドのスイスを行う場合、プレイヤーがマッチに勝利するとブースターパックを 1 パック獲得できるようにするのはよいアイデアです。プレイヤーの半数はブースターパックを 2 つ以上獲得できますから、満足感を十分得られます。こうした「パックマッチ」方式のイベントは、フライデー・ナイト・マジックやプレリリースでも採用するとよいでしょう。

 楽しい経験をしたプレイヤーは、店舗のイベントにまた参加するようになります。友達にも声をかけて連れてきてくれるかもしれません。あらたにマジックを始めたプレイヤーと常連プレイヤーが交流していけば、コミュニティが育っていき、店舗での経験はより楽しいものとなることでしょう。


ギルド門侵犯記念イベントの申請受付中です

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 来年 2 月に発売される「ギルド門侵犯」記念イベントの申請を受付中です。

 それぞれのイベント案内ならびにプロモーション案内は、セールス配布文書一覧からダウンロードすることができます。キット内容物や注意事項などが記載されておりますので、申請に際してご一読ください。

 セールス配布文書一覧

 プレリリース、リーグ、ゲームデー、ボックス購入キャンペーンの各申請締切は 12/9 までとなっていますが、キットの数量に限りがあるため、申請は早めにお済ませください。



bnr_testing.png

カードの状態

 マジックにおけるカードは様々な状態になりえます。例えば、タップ状態になっていたり、裏向きの状態であったり、攻撃している状態であったりします。このような「状態」というのは正確なルール用語ではありませんが、カードが現在どのような性質を持ち、マジックのルール上でどのように区別されているかは総合ルールに書かれています。

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 以下、アクティブ・プレイヤーをAP、非アクティブ・プレイヤーをNAPと表記します。


位相

問題:
 位相について述べている次の文のうち、正しい文を選べ。(複数選択可)

1) 戦場にあるパーマネントはタップ/アンタップのいずれかの位相を持つ。
2) スタックにある呪文は表向き/裏向きのいずれかの位相を持つ。
3) 戦場にある《高原の荒廃者》(夜)は、夜の面という位相を持つ。
4) 通常、パーマネントはアンタップ、非反転、表向き、フェイズ・インの位相で戦場に出る。


回答:1)4)

 位相はパーマネントの物理的な状態を指す。(CR110.6
 位相は4つの種類があり、

  • タップ / アンタップ
  • 反転  / 非反転
  • 表向き / 裏向き
  • フェイズ・イン / フェイズ・アウト

 パーマネントは上の4組の位相それぞれについて必ずどちらかの状態になる。
 逆に言うと、パーマネントでないオブジェクト(スタック上の呪文や、追放領域のカード)は、位相を持たない。他の効果によって裏向きになることはありうるが、裏向きの位相を持つわけではない。

 パーマネントは通常、アンタップ、非反転、表向き、フェイズ・インの位相で戦場に出る。
 これは置換効果によって頻繁に置き換えられる。例えば、《寺院の庭》を始めとした二色土地では、戦場に出る状態がまず 「タップ、非反転、表向き、フェイズ・イン」に置き換わり、2ライフを支払うことによって「アンタップ、非反転、表向き、フェイズ・イン」という通常の状態にすることができる。

 また、イニストラードブロックに収録されている両面カードについては、物理的な面で「昼の面」「夜の面」があるが、これらは位相的にはいずれも「表向き」である。つまり、その面が昼か夜かというのはパーマネントの位相ではない。


攻撃する/している

問題:
 前のターンに、NAPは自身がコントロールする《思考を築く者、ジェイス》の[+1]能力を起動していた。

 APは戦闘フェイズ中に、《聖トラフトの霊》でNAP本体に攻撃した。
 さて、APは《聖トラフトの霊》の誘発型能力で天使・トークンを出すが......

1) この天使・トークンは《思考を築く者、ジェイス》を攻撃できるだろうか?
2) この天使・トークンのパワーは最終的にいくつになるだろうか?


回答:1)できる。 2)4。

 《聖トラフトの霊》のテキストにもある通り、「攻撃する」たびに誘発する誘発型能力は、実際には攻撃クリーチャー指定ステップに攻撃クリーチャーとして宣言された時点で誘発する。(CR508.2

 《思考を築く者、ジェイス》の1番目の能力も同様で、対戦相手のクリーチャーが攻撃するたびに誘発する。この場合、誘発型能力のコントローラーは《思考を築く者、ジェイス》の側である。

 では、《聖トラフトの霊》の効果で出てくる、「攻撃している」天使・トークンとはどのようなものだろうか?

 クリーチャーが攻撃している状態で戦場に出る場合、それが戦場に出るに際して、どの防御プレイヤーまたはプレインズウォーカーを攻撃するのかを選択しなくてはいけない。(CR508.4

なので、問題での天使・トークンは、NAP本体でも、NAPのコントロールする《思考を築く者、ジェイス》でも、いずれかを攻撃できる。

 また、この天使・トークンは攻撃クリーチャー指定ステップで攻撃クリーチャーとしては宣言されていないので、《思考を築く者、ジェイス》の誘発型能力は誘発しない。従ってパワーが下がることもなく、そのパワーは4のままである。

Archon+of+the+Triumvirate_PRM

 このように、「攻撃した」という状態と、「攻撃している」状態は別なものとして扱われる。この違いが実際のゲームでは、誘発型能力が誘発するかしないかを判断する材料になる。

 また、全く同様に、「ブロックした」と「ブロックしている」は別なものとして扱われる。この2つも、ブロック・クリーチャー選択ステップでブロック・クリーチャーとして宣言されたかどうかが鍵となっている。


裏向きの状態で追放

 現行のスタンダードには無いですが、裏向きの状態でカードを追放する効果がいくつかあります。

 追放領域にあって裏向きのカードは、通常、誰もその表側を見ることはできません。
 ただし、《法務官の掌握》のように、カードの表側を見ることが許可されている場合もあります。

 先ほどの位相でも述べた通り、追放領域にあるオブジェクトはパーマネントではないので、それがたとえ裏向きであったとしても、「位相が裏向きである」とはなりません。位相はパーマネントのみが持つものです。

 

 今回はここまでです。




ライター:testing

 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。


WPN からのお知らせ

 11/7 現在、以下の WPN プログラムならびにイベントが申請できます。イベントの申請は、ウィザーズイベントレポーターからかんたんに操作できます。ウィザーズイベントレポーターは WPN サイトからダウンロードしてください。

全主催者
  • Magic (競技イベント/個人戦・双頭巨人戦・チーム戦)
    • ブースタードラフト
    • レガシー
    • エクステンデッド
    • ヴィンテージ
    • スタンダード
    • シールドデッキ
    • ブロック構築
    • モダン
    • Trios スタンダード(3人チーム構築)
    • Trios シールドデッキ(3人チームリミテッド)
    • 2HG(双頭巨人戦は 2HG で始まるそれぞれのフォーマットをご利用ください)
  • Casual Magic Event(カジュアル/8人未満で開催したイベントやフリープレイ会の報告に)
    • カジュアル構築
    • カジュアルリミテッド
  • Casual Multi-Player(カジュアル多人数戦)
    • 魔王/Archenemy
    • プレインチェイス戦/Planechase
    • 統率者/Commander
    • 皇帝戦/Emperor
    • 無差別戦/Free-for-all
    • 大乱闘戦/Grand Melee
    • その他/Other
ゲートウェイ店舗

 ゲートウェイ店舗は、全主催者向けイベントが申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Magic League(店舗独自のリーグ戦報告に)
  • Launch League Play - Gatecrash(ギルド門侵犯リーグ)
コア店舗

 コア店舗は、ゲートウェイ店舗のプログラムをすべて申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Friday Night Magic - December 2012
  • Prerelease - Gatecrash(ギルド門侵犯プレリリース・3回まで)
  • Magic Game Day - Gatecrash(ギルド門侵犯ゲームデー)
アドバンス店舗

 アドバンス店舗は、コア店舗のプログラムを 2 回ずつ申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Grand Prix Trial - Singapore 2013
  • Grand Prix Trial - Sydney 2013

 グランプリトライアルの開催に際しては、認定ジャッジがヘッドジャッジを務める必要があります。トーナメントの概要については公式サイトの案内をご一読ください。

 グランプリ トライアル大会


WPN素材

 サポートキットは一店舗一回限り請求できます。メンバーカードは、毎月 2 回まで請求できます。

  • Trade Marketing WPN Kit(2012年版店内掲示用キットの請求)
  • Membership Card Request - 2012(新規メンバーカードの請求)
WPN素材(コア・アドバンス店舗)

 コア・アドバンス店舗は、上記にくわえて、以下のキャンペーンを請求できます。

  • Buy-a-Box - Gatecrash(ギルド門侵犯ボックス購入キャンペーン)

 現在受付中の WPN プログラムについては、WPN 公式サイトに掲載されていますのでご確認ください。

 また、それぞれのイベント案内ならびにプロモーション案内は、セールス配布文書一覧から取り寄せることができます。

 WPN プログラムの申請方法については、WPN 通信 第47回に詳しく記載がありますので、ご一読ください。それでもわからないことがありましたら wpnjapan@wizards.com へお気軽にご相談ください。


 日本語のルール文書まとめページが mtg-jp 内に設置されました。

 ジャッジを目指す人必読の、マジック総合ルールや違反処罰指針、イベント規定といったお堅い文章から、プレイヤーに一度は目を通して欲しい基本ルールブック、プレインズウォーカーのルールやよくある質問集まで、日本語で読んでおいたほうがいいルール文書にアクセスしやすくなりました。


 ウェブサイトをデコレーションしたり、あるいは店頭ポップを華やかにするための画像素材の詰め合わせ、ロゴキットが公式サイトよりダウンロードできます。使用許諾に同意いただいたうえで、許諾内容の範囲内で自由にご利用いただけます。

 イベントの案内ページに、あるいは店頭ポップの作成用としてご活用ください。


 各 WPN プログラムの申請スケジュールおよび大会日程、ならびに国内プレミアイベントの大会日程は Google カレンダーにまとめてありますので、よろしかったらご利用ください。

 また、注目イベントのページが特設されました。ブックマークに入れてぜひご利用ください。

 公開されている Google カレンダーは、各自が利用しているスケジューラにインポートすることができます。

 Google アカウントを利用して自身のカレンダーに表示させたり、スマートフォンのスケジューラへインポートすることで、自分の予定表とリンクさせることができるようになります。「今週の大会はどうだったっけ?」と悩んでいるような方にお勧めです。

 それでは、また来週。

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