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第63回:プロツアー殿堂の話題と、意外と知らないルールベスト5(前編)

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ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2011.08.16

WPN通信 #63:プロツアー殿堂の話題と、意外と知らないルールベスト5(前編)


 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。

 お盆休みを利用して実家へと帰省し、黙っていても三食提供される神環境に感謝しながらテレビで高校野球の観戦し、ご先祖様の墓参りをして、時を同じくして帰省している親戚一同と顔を合わせるという、由緒正しきお盆休みの過ごし方をしております。寝っ転がってテレビを見るなんて年に何度もできないぜいたくでございます。

 さて、この週末はゲームデーが全国各地の店舗で開催されましたが、みなさん参加されましたでしょうか。わたしが顔を出した会場には、帰省がてら参戦された方もちらほらいらっしゃいました。お盆期間中のイベントならでは、ですね。参加賞目当てに、もしくは上位賞目当てに参加された方もそれなりにいらっしゃったように感じました。

 個人的に上位賞の《ダングローブの長老》フォイルカードが 4 枚欲しくてたまらないわたしです。長老というか、ぶっちゃけツリーフォークですよね、あのイラストは。みごと土日で獲得されたみなさまはおめでとうございます。イベントの主催をされたみなさまはお疲れ様でした。

 毎回ご好評いただいているゲームデーですが、次期エキスパンションのイニストラードでも開催が予定されておりまして、本日からゲームデーのイベント申請が始まっています。主催者のみなさまにおかれましては、次回もご協力よろしくお願いいたします。

 さて、次の WPN イベントは、今週から始まっている Finals ゲートウェイトーナメントとなります。夏の間は WPN 店舗で構築をたっぷり楽しんでいただけますし、10 月末に開催されるグランプリ広島のトライアル・トーナメントもいくつかの WPN 店舗で開催が予定されております。グランプリトライアルの開催予定については、本記事最後に掲載している Google カレンダーをご参照ください。


Finals ゲートウェイトーナメント・ラウンド 3 開幕!

The Finals

 今週から 9/11 までの一ヶ月間、全国の WPN 店舗では Finals ゲートウェイトーナメントが開催されます。

 The Finals 2011 情報

 FInals ゲートウェイトーナメントはスタンダードまたはエクステンデッドで開催される WPN プログラムで、各ゲートウェイの優勝者は、秋に開催される地区予選の 1 ラウンド不戦勝を獲得できます。

 自宅の近所でゲートウェイトーナメントが開催される店舗を知りたい人は、イベント検索をご利用ください。

 表示されるピンには Finals または Limits のゲートウェイトーナメントを開催する店舗がすべて含まれています。イベントの開催日を ~9/11 に指定して決定ボタンを押してください。地図上のピンが Finals ゲートウェイトーナメント開催店舗に更新され、ページ下部には店舗の一覧が表示されます。

 イベントの開始時刻や参加費など、詳細は店舗へ電話やメールでお問い合わせください。


Voting for the 2011 Magic Pro Tour Hall of Fame

hall of fame banner

 今年もプロツアー殿堂の投票権をいただいてからあっという間に一ヶ月が経ちまして、昨日が投票締切日でした。

 今年も超豪華なメンバーが並ぶ候補者リストの中から、たった 5 人を選び出す作業。かんたんなようで難しい、楽しくもあり苦痛でもある。右脳と左脳を戦わせながら、ロジカルな理由を探しながら、パッションを大切にして。わたしなりの理由で 5 人の候補を選出しました。

 今年も連載記事を書かせていただいていることですし、この場を借りて、わたしが選んだ 5 人をご紹介します。


中村 修平

中村 修平

 今年の候補者リストを眺めていて、真っ先に名前を挙げたのが中村です。400 点を超える生涯獲得プロポイントはダントツでトップ、プロツアー、グランプリの入賞回数はいずれも候補者の中でトップクラス。昨今の活躍ぶりはわたしが説明するまでもないほどで、ここ数年間は世界のプレミアイベントを転戦して、プロポイントを獲得しながら生活するというスタイルを確立していたマジックの伝道師でもありました。その結果として、毎年最高峰のプロレベルを維持し続けていたわけで、知名度も日本国外でも随一です。

 また、中村は自身のツアーを通じて、同じイベントへ参加するプレイヤーを募り、ツアーのとりまとめ役も買って出ていました。ここ数年でプロツアー予選を通過したプレイヤーの多くは、なんらかの形で中村にサポートされて、初めての海外という不慣れな状況で、日本人同士が連れ立って行動できていたようです。旅慣れた中村や彼の旅仲間であればともかく、そうでないプレイヤーたちにとってはとても心強かったことでしょう。

 試合外の活動としては、タカラトミーのウェブサイトや本誌コラムを通じて、世界を転戦する旅をテーマに連載を持っていました。最近はオンラインショップのウェブサイトで連載を持ったり、海外のサイトへも寄稿して日本国外のファンへ向けた記事を書くなど、その活動の幅を広げています。

 つい先頃まで、マジックのプレミアイベントは「Play the Game, See the World」を合い言葉として、マジックをプレイしながら世界中を旅しよう、とプロプレイヤーたちへアピールしていました。中村の世界を転戦する旅は、文字通りこの合い言葉を体現した生活でした。世界を旅しながら世界各国の友人たちと友好を深め、翌シーズンの活動を見据えてマジックではプロポイントを高い水準で獲得し続けた中村。そうした生活を数年間続けて、ついに今年殿堂候補者のリスト入りを果たしました。

 現役プレイヤーとして世界トップクラスの水準を数年間維持し、世界中に旅をともにする仲間がいて、執筆活動を通じてマジックファンへ楽しみも届けている中村は、文句なしに殿堂入りを勧められる人物だとわたしは思います。


池田 剛

池田 剛

 カードショップオーナーとプロマジックプレイヤーという二足のわらじを履いていた池田は、2009年にはシーズン念願だった個人タイトルを獲得し、昨年の世界選手権へは日本代表チームとして参戦しました。

 しかし、本業が忙しすぎるゆえか、激務の合間をぬって参加していたプロツアーやグランプリで獲得していたプロポイントが、今期継続参加するレベルに到達せず、プロツアー・名古屋へ参加することはできませんでした。本人が望めば、プロツアー予選を通過してプロツアーへ参加することもできるでしょうが、現在は本業へ全力投入しているそうで、落ち着くまでは予選への参加も難しいそうです。

 池田は、東京と九州に 4 店舗を抱えるカードショップのオーナーであり、彼らの生活を支える社長であり、妻子を養う大黒柱でもあります。「いまは仕事が忙しいし、楽しいし、たいへんだしね」とわたしに語った池田のことを、「男気にあふれ、記憶に残る人物」という昨年使用したフレーズをそのままに紹介文とします。

 優勝こそないものの、池田のプロツアーでの入賞回数は 4 度を数えます。これは候補者たちの中ではトップクラスであり、生涯獲得プロポイントは中村には及ばないものの 300 点を超えているのは池田と中村の二人だけです。10 年を超えるキャリアを持つ池田だからこそ到達できた高みであり、それだけ長く最前線で戦ってきたからこそ獲得できたプロポイントであると言えます。

 池田が今年殿堂入りを果たして、来年からプロツアーへの参加を再開して「カードショップオーナーとプロマジックプレイヤーという二足のわらじを履く」ことができるようになることを願っています。


八十岡 翔太

八十岡 翔太

 わたしは昨年も八十岡に票を投じましたが、紹介の最後は次のようにまとめました。

 ジョン・フィンケル以降の最優秀選手(プレイヤー・オブ・ザ・イヤー)はすべて殿堂入りを果たしていることを考えると、八十岡もまた殿堂入りにふさわしい人物であると考えたっていいではないか。

 今年も八十岡を推すのは同じ理由です。アメリカ人の選者がオマホニー兄弟を推すのと同様の理由で、日本人であるわたしは、日本最強クラスのプレイヤーで、最優秀選手のタイトルを二つ獲った実績も持つ八十岡をひっそりとプッシュしたいと思います。日本では十二分に知名度がある八十岡ですが、国際的かと言われるとそうでもないあたりがもどかしくてなりませんが。プロツアー・名古屋、あるいは日本選手権のいずれかを八十岡が制していたとすれば、今年の殿堂入りを目指すに当たって十分な起爆剤たりえたのではないかと思いますが、If 話は同人誌だけで十分ですね。

 今シーズンは以前ほどオンラインでの活動をしていないようで、プロツアーとアジアでのグランプリをおもな戦場に見据えて試合に臨んでいるようです。最近のプロフィールやインタビューに頻出する「テスト時間:ゼロ、脳内構築・調整」というキーワードが八十岡らしい天才の片鱗を見せつけてくれる話です。

 プロツアーの入賞歴はチャールストン・チャンピオンの一回だけですが、最優秀選手にリアル・オンラインで二度輝き、グランプリ入賞回数は 13 回、生涯獲得プロポイントも 200 点を超え、堂々たる経歴を誇ります。今後も彼がグランプリやプロツアーに参戦し続ける限り、この経歴はますます誇らしいものになっていくことでしょう。

 そこで、あらためて。ジョン・フィンケル以降の最優秀選手はすべて殿堂入りを果たしていることを考えると、八十岡もまた殿堂入りにふさわしい人物であると考えたってよいのではないでしょうか。


アントン・ヨンソン(Anton Jonsson)

Anton Jonsson

 アントンは、2000 年代前半にリミテッドで圧倒的なパフォーマンスを魅せていたスウェーデンの巨人です。プロツアーの優勝経験こそないものの、入賞回数は実に 5 回、うち 4 度がリミテッドという圧倒的なリミテッド巧者。グランプリも同様で、入賞した 9 回のうち 8 回がリミテッド。世界の多くが認めるリミテッドのトッププレイヤーであり、ニコライ・ハーツォグ、マイク・チュリアンとともに「世界三大リミテッダー」と称されていました。

 2005 年のプロツアー・名古屋は小室修がプロツアーチャンピオンとなったのですが、その決勝戦の相手がアントンでした。ギャラリーの間では「さすがの小室さんでもアントン相手はあかんやろ」という下馬評だったことを覚えています。そこを覆して勝ってしまった小室さんはさすがだったとも言えますが。

 この 2005 年シーズンを最後に、アントンの名前が入賞者の欄に記されることはなかったのですが、アントンの地元スウェーデンで昨年開催されたグランプリ・ヨーテボリで、ニコライとともに久しぶりにその名を見かけ、「アントン復活か!」と一人興奮したことを覚えています。そのヨーテボリのフォーマットはもちろんリミテッド。徹底していますね。

 最盛期の活躍を通じて、地球の裏側にいるわたしの脳裏にしっかりと刻み込まれるくらいに名を売り込んでいたアントンは、5 年の時を経てまた表舞台へ戻ってきました。リミテッド単独でのプロツアーがない現状ではもしかしたら、あのころのようなパフォーマンスは見られないのかもしれません。けれど、アントンなら、リミテッドで勝ちまくってプレイオフに進んじゃうんじゃないかな、って思ったりもして。

 記憶に残るプレイヤーであったアントンに、殿堂入りの一票を投じます。願わくば、これからもプロツアーの舞台で彼の勇姿が見られることを願って。


森 勝洋

森 勝洋

 わたしが持つ最後の票は、世界王者、3 年連続世界選手権入賞、二度の日本王者、グランプリ入賞 13 回(うち 4 回優勝)という輝かしい戦績を持つ、森勝洋に投じます。

 森は 2000 年にプロイベントへデビューしました。同シーズンのグランプリではタイトルこそないものの圧倒的な成績を残し、友人たちの協力もあって新人賞のタイトルを獲得して、プロキャリアをスタートさせました。

 このデビュー年の成績も素晴らしいですが、いちばん輝かしかったのは世界王者となった 2005 年でしょうか。グランプリ優勝 2 回、世界選手権優勝、翌年の日本選手権優勝、という、書き出していてなんだか分からないくらいの好成績を残しています。

 森がもっと精力的に海外のイベントに参加していれば、もっとタイトルを手にしていたかもしれないし、より多くのプロポイントを獲得していたかもしれません。しかし、森はそうした海外を飛び回る生活ではなく、国内の参加できるイベントに焦点を絞って戦うことを選んだようです。

 グランプリや日本選手権の旅に現れては好成績を残していく。さすらいの賞金稼ぎのようなイメージを感じさせてくれますが、それは「彼はすごく練習しているんですよ」という森をよく知る友人たちの言によって、練習に裏打ちされた結果であることを知りました。森にとって、練習は裏切らないということでしょう。

 森は記憶に残るプレイヤーであり、記録を残したプレイヤーでした。今後も活躍を期待したい、応援したいプレイヤーの一人です。これからもプロツアーで、世界選手権での活躍を期待します。


WPN日本窓口夏季休業のお知らせ

 WPN 日本窓口は、8/13 より 8/21 まで夏季休業いたします。

 休業中にお問い合わせいただいた案件につきましては、8/22 以降に順次お返事いたしますので、ご了承ください。


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2011年第10回:意外と知らないルールベスト5(前編)


 今日は私の記事では珍しく、ゲームルールに関する話をしようと思います。そこで、

「一般のプレイヤーが実はあまり知らないマジックのルールを知りた~い!」

 ・・・まるで某テレビ局の番組のようですが、今日はプレイヤーの皆さんが意外と知らない、もしくは間違えて覚えてしまっているであろう、紛らわしいマジックのルールをランキング形式でお送りしてみたいと思います。なおランキングの順位は私の完全な独断と偏見で決めさせていただいておりますのであしからず(某番組もそんな感じですよね!)。


第5位:点数で見たマナ・コスト

 例えば、《コジレックの審問》を唱えたとします。相手の手札には《火の玉》がありました。この《火の玉》を捨てさせることはできるでしょうか?

 答えは、「捨てさせることができる」です。なぜでしょうか? まずは「点数で見たマナ・コスト」の定義を見てみましょう。総合ルールによれば・・・

202.3. オブジェクトの、点数で見たマナ・コストは、マナ・コストに含まれるマナの量を色を気にせずに数えたものである。

 では「マナ・コスト」とは?

202.1. カードのマナ・コストはカードの上辺に記されているマナ・シンボルで示される。ほとんどのカードでは、このシンボルは右上隅にある。...(後略)

 つまり、「点数で見たマナ・コスト」とは、「カードの右上にあるコスト表示を、そのまま数え上げたもの」と言うことになります。
 さて改めてここで《火の玉》を見ると、右上には{X}{R}とあります。無色マナがX個、それと赤マナが1つ。

 ・・・さてXはどうカウントすればいいのでしょうか? ここで重要なルールがあります。

202.3b マナ・コストに{X}を含むオブジェクトの点数で見たマナ・コストを計算する場合、そのオブジェクトがスタックにない限りXは0として扱う。オブジェクトがスタックにある間、Xはその選ばれた値を持つ。

 つまり、手札にある限りはXはゼロとカウントするのです。よって、手札にある《火の玉》の点数で見たマナ・コストは1であり、したがって《コジレックの審問》で捨てさせることができます。

 さて今度は、相手が《火の玉》を、X=5で唱えてきたとします。あなたの手札には《精神的つまづき》があります。これで《火の玉》をカウンターできるでしょうか?先ほどは《火の玉》の点数で見たマナ・コストは1だと言ったばかりですよね?

 しかし今回は状況が違います。先ほどのルールをよく読んでみましょう。スタックにある時にはルールが違いますね。相手が唱えた《火の玉》はすでにスタック上にありますから、このルールにより、Xは相手が《火の玉》を唱えた時に選ばれた値、つまりこの場合5として扱われるのです。つまりこのスタック上の《火の玉》の点数で見たマナ・コストは6となり、《精神的つまづき》で打ち消すことはできません。

 この「点数で見たマナ・コスト」は、《永遠溢れの杯》などでも混乱の元になります。このカードの場合、右上には{0}と書いてあります。でも実際には多重キッカーがあるので、2マナだったり4マナだったりを支払って場に出すことになりますね。でもその場合でも、何回キッカーしたとしても、点数で見たマナ・コストはゼロです。注目すべきは常に右上。Xはスタック上にある時以外は常にゼロ。これを肝に銘じておきましょう。

キッカーで支払う分は「マナ・コスト」には入らない!

 さらにさらに、最近登場したファイレクシア・マナにも要注意です。「点数で見たマナ・コスト」を計算するときには、ファイレクシア・マナは1マナとしてカウントされます。それはたとえライフを支払って唱えた時でもそうなります。
 例えば《精神的つまづき》の点数で見たマナ・コストは常に1です。だからこそ、相手がライフを支払って唱えた《精神的つまづき》でも、《精神的つまづき》で打ち消すことができるんです。


第4位:同時に死亡?同時に場に出る?

 マジックではいくつかのことが同時に起きることがあります。一番典型的な例は《審判の日》ですね。例えば自分がクリーチャー2体、相手がクリーチャー4体をコントロールしている時に、あなたが《審判の日》を唱えたとします。この6体のクリーチャーはどういう順番で死亡することになるでしょうか?

 答えは、「全部同時に死亡する」です。順番はないのです。アクティブ・プレイヤー(そのターンのプレイヤー)のクリーチャーが先ということもないですし、クリーチャーが1体ずつ墓地に置かれていく訳でもありません。全部同時なのです。
 ただ墓地には順番がありますから(スタンダードでは順番はゲーム自体に影響を及ぼしませんが)、あなたのクリーチャー2体がどっちが上で墓地に置かれるかは、あなたが決めることができます(相手の4体については、相手が決めます)。それでも、墓地の下にあるクリーチャーが「先に死亡」したわけではないですので、ご注意を。例えば両方のプレイヤーが《深淵の迫害者》をコントロールしており、両方のプレイヤーともライフが0以下だとします。そこであなたが《審判の日》を唱えたとしましょう。これが解決されると、両方の《深淵の迫害者》が同時に墓地に置かれて、その後ライフのチェックが行われ、両方のプレイヤーが同時に負けて、すなわちそのゲームは引き分けになります。

 さてこの「同時」と言う概念は、場に出る時にも登場してきます。一番典型的なのは、ヴァラクートデッキにおける《原始のタイタン》でしょう。《原始のタイタン》が戦場に出たとき、そして攻撃したときにあなたが出すことができる2枚の土地は、「同時に」戦場に出てきます。1枚ずつ順番に出てくるわけではありません。だからこそ、例えば戦場に《》が4枚と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が1枚ある状態で《》2枚を場に出すと、その両方の《》で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が誘発するわけです。順番に1枚ずつ《》を出したのでは、2枚目の《》でしか《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》は誘発しないはずですが、同時に出てくるからこそこのようなことが起こるのです。

定番コンボ、でもダメージ計算には気をつけて!

 同時に戦場に出る、同時に死亡する、そんなときにはうっかり1枚ずつ順番に処理してしまわないように注意しましょう。


第3位:呪文を唱える手順

 さてここで突然ですが問題です。「呪文がスタックに乗るのはいつでしょう?」

 ・・・「呪文を唱えた時」と答えたくなりますが、では「呪文を唱えた時」っていつなんでしょう? ちょっと漠然としてますよね。

 正解を言ってしまいますと、実は呪文がスタックに乗るのは、「呪文を唱えることを宣言した直後」なのです。意外とこれを知らない人、多いんじゃないでしょうか。呪文を唱える手順、普段は皆さん全く意識していないと思いますが、実はこんな細かい手順が定められているんです。

  1. 呪文を唱えることを宣言する。その直後にそのカードがスタックの一番上に乗る。
  2. 対象以外の様々な選択を行う。例えば・・・
    • 「以下の2つから1つを選ぶ」などと書いてある場合には、どちらを選ぶかを選択する(モードの選択)。
    • キッカーや多重キッカーがある場合には、キッカーコストを(何回)払うかを選択する。
    • ファイレクシア・マナがコストに含まれている場合、そのファイレクシア・マナをマナで払うかライフで払うかを選択する。
    • コストに{X}がある場合には、Xの値を選択する。
  3. 呪文に対象がある場合、その対象を選ぶ。
  4. 飛来する矢の罠》など、ダメージなどの割り振りが必要な場合、その割り振りを行う。
  5. 呪文の総コスト(つまり最終的にマナを含め何を支払えばいいのか)を計算する。
  6. コストにマナの支払いが含まれている場合(だいたいの場合はそうですね)、マナ能力を起動することができる(例えば土地をタップしてマナを出すとか)。
  7. コストを支払う。
  8. ここでようやく「呪文は唱えられた」事になります!おめでとう!

 普段皆さんがやっている呪文の処理の裏には、実はこんな複雑な手順が隠されているんです。ビックリですね。
 もちろん普段のゲームでここまで意識してプレイすることは無いわけですが、いざというときにはこの知識が役に立つこともありますから、例えばジャッジを目指す方であれば、この手順は是非覚えておいていただければと思います。


 さて3位まで紹介しましたが、皆さんが今まで知らなかったルールはありましたでしょうか?
 マジックというゲームのルールは非常に奥が深く、驚くほど細かいところまでルールの整備がされています。この細かい点をきちんと理解しているからこそ、全世界のトーナメントを等しく公平な基準で行うことができるのです。


 さて残りの2位と1位は残念ながらまた次回にお送りしようと思います。肝心なところで次回に続く、というのもまたテレビっぽいのではないでしょうか?それでは次回をお楽しみに!

(おまけ)ちなみに筆者は青が一番良いと思います。



ライター:鈴木健二

 東京在住のレベル 3 ジャッジ。通称すずけん。
 英語の堪能さにおいては日本でも指折りで、英文記事の紹介コラムを執筆していたこともあった。その英語力を活かして海外ジャッジとの交流も精力的に行っている。
 本業が多忙な合間を縫って、国内のプレミアイベントでジャッジをしているほか、MTG Today Cup というレガシーのトーナメントを主催したり、同会場で開催されている LMC 代々木でジャッジ姿を見かけることができる。

 地域コーディネーター(日本・韓国担当)としての連絡先は、 suzuken.mail@gmail.com です。

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WPN からのお知らせ

 8/9 現在、以下の WPN プログラムならびにイベントが申請できます。イベントの申請は、ウィザーズイベントレポーターからかんたんに操作できます。ウィザーズイベントレポーターはWPNサイトからダウンロードしてください。

全主催者
  • Magic (認定イベント/個人戦・双頭巨人戦・チーム戦)
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    • カジュアル構築
    • カジュアルリミテッド
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    • Casual Multi-Player - Planechase
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ゲートウェイ店舗

 ゲートウェイ店舗は、全主催者向けイベントが申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Launch Party - Innistrad(イニストラード発売記念パーティ)
  • Launch League Play - Innistrad(イニストラード・リーグ戦)
コア店舗

 コア店舗は、ゲートウェイ店舗のプログラムをすべて申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Friday Night Magic - Oct 2011
  • Game Day - Innistrad
アドバンス店舗

 アドバンス店舗は、コア店舗のプログラムを 2 回ずつ申請できます。

WPNマテリアル

 店舗レベルに関係なく、サポートキットは一店舗一回限り申請できます。

  • Gateway Support Kit - Summer 2011(店舗関係者用)
  • Membership Card Request(新規メンバーカードの請求)

 WPN プログラムの申請方法については、WPN 通信 第47回に詳しく記載がありますので、ご一読ください。それでもわからないことがありましたら wpnjapan@wizards.com へ気軽にご相談ください。


 各 WPN プログラムの申請スケジュールおよび大会日程、ならびに国内プレミアイベントの大会日程は Google カレンダーにまとめてありますので、よろしかったらご利用ください。

 公開されている Google カレンダーは、各自が利用しているスケジューラにインポートすることができます。

 Google アカウントを利用して自身のカレンダーに表示させたり、スマートフォンのスケジューラへインポートすることで、自分の予定表とリンクさせることができるようになります。「今週の大会はどうだったっけ?」と悩んでいるような方にお勧めです。

 それでは、また来週。

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