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第59回:日本選手権・開催御礼&ターンの構造・後編

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ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2011.07.19

WPN通信 #59:日本選手権・開催御礼&ターンの構造・後編


 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。

 この連休は大阪へ出張しておりました。というより、まだ大阪なうでございます。

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 そう、日本選手権 2011 であらたな日本王者が誕生する瞬間に出会うことができました。アラーラブロックからマジックをプレイし始めた若いチャンピオンが誕生したことは嬉しいニュースでした。新しい人、若い人がどんどんこのゲームを楽しんでもらえるようになるといいなあと思います。くわえて、昔遊んでいた人が、馴染みのカードが再録されたことでまた興味を抱いて戻ってくれる。長い歴史があるゲームだからこそできる懐の広さもまたマジックの魅力。そうしたみなさんが遊べる場所を日本中に広げるべく、全国の WPN 店舗・主催者のみなさんと一緒に楽しいイベントを提供していきたいです。

 今回の出張で、関西地域の店舗関係者、イベント関係者、ジャッジ諸氏とお目にかかれたのは僥倖でした。日頃なかなか顔見せできない地域のみなさんとの懇談は、いつもブレインストーミングの良い機会となっています。イベントごとに会場でふわふわと滞在するようにしておりますので、お近くでグランプリなど開催された際には、気軽にご相談・ご意見いただければ嬉しいです。


Limits ゲートウェイトーナメント・ラウンド 3 開幕!

The Limits

 今週から 8/14 までの一ヶ月間、全国の WPN 店舗にて基本セット 2012 シールドデッキ戦で遊べる機会がやってきます。もしかしたら、ブースタードラフトだったりするかもしれませんけど。シールドデッキ戦が三度の食事より好きなあなたにとっては楽しいシーズンとなりますね。

 Limits ゲートウェイトーナメントはシールドデッキ戦またはブースタードラフトで開催される WPN プログラムで、各ゲートウェイの優勝者は、秋に開催される地区予選の 1 ラウンド不戦勝を獲得できます。

 自宅の近所でゲートウェイトーナメントが開催される店舗を知りたい人は、イベント検索をご利用ください。

 リンク先へ行くと、日本地図のうえにピンがたくさん表示されます。検索する地域のほか、イベントの開催期間を指定できますので、イベントの開催日を 7/18~8/14 に指定して決定ボタンを押してください。地図上のピンが Limits ゲートウェイトーナメント開催店舗に更新され、ページ下部には店舗の一覧が表示されます。

 ピンをクリックすると、各店舗でのイベント予定が確認できます。近くの店舗が見つかったら、詳細は店舗へ電話やメールでお問い合わせください。


【重要】プロモーションカードの取り扱いについて

 WPN で提供しているプロモカードは、イベントの参加者に配布するために提供されています(購入特典など一部条件が違うプロモカードもございます)。イベントを申請してプロモカードを入手後、実際はイベントを開催せずにそれらのプロモカードを販売する、といった不正行為は認められません。

 Create Great Play Experiences in your Store (Part 2)(リンク先は英語)

 たとえば、フライデーナイト・マジックの開催店舗に配布されている賞品カード(通称:FNM プロモ)は、以下の要項で配布するよう定められております。

  • 1 位と 2 位に 1 枚ずつ
  • 3 位以降のうち 2 名に 1 枚ずつ
  • 上記 4 枚のプロモカードは当月分のプロモカードにかぎる

 上記配布要項を遵守すると、週ごとのプロモカードはすべて参加者の手元に行き渡ります。当月のプロモカードを配布せずに過去のプロモカードで代用したり、3 位以降に配布しなかったりなどしてカードを余らせることはできません。

 上記の配布方法に加えて、過去に(イベントが成立せずに)配布しなかった FNM プロモを配布したり、別の賞品を追加することは問題ありません。FNM プロモは、フライデーナイト・マジックで配布することだけが許可されています。FNM 以外のイベントで配布したり、販売することは認められません(過去に買い取った FNM プロモをフライデーナイト・マジックで配布することは問題ありません)。

FNM Changes Announced(リンク先は英語)

 イベント用に配布されたプロモカードをイベントで使用せずにシングルカードとして販売したり、当月分の FNM プロモを配布せずに過去のプロモで代用するといった行為は、イベントに参加したプレイヤーを悲しませるとともに、店舗の信用を損なうことにつながります。

 こうした行為が発覚した場合、プロモカードが提供されるイベント(FNM やプレリリース等)の申請が取り消されることもございますので、ご留意いただきますようお願いいたします。

 本件に関するお問い合わせ、情報提供、プロモカードの配布に関するご質問は wpnjapan@wizards.com へご連絡ください。


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ターンの構造・後編

 前回に引き続き、ターンの構造の解説の続きとなります。


戦闘フェイズ

 戦闘フェイズは以下の5つのステップから成ります。

  • 戦闘開始
  • 攻撃クリーチャー指定
  • ブロック・クリーチャー指定
  • 戦闘ダメージ
  • 戦闘終了

 ただし、攻撃クリーチャーが指定されず、攻撃状態でクリーチャーが戦場にでることもなかった場合、ブロック・クリーチャー指定ステップと、戦闘ダメージ・ステップは飛ばされます。
 つまり、1体もクリーチャーが攻撃しなかった場合、ブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップは無く、戦闘終了ステップまで進みます。

 また、攻撃クリーチャーもしくはブロック・クリーチャーが先制攻撃か二段攻撃をもつ場合、戦闘ダメージ・ステップは追加されて2つ存在します。一つ目の戦闘ダメージ・ステップでは先制攻撃か二段攻撃をもつクリーチャーのみが戦闘ダメージを割り振ります。これについては後述します。

 戦闘フェイズの間、アクティブ・プレイヤーは『攻撃プレイヤー』です。通常の2人対戦の場合、非アクティブ・プレイヤーは『防御プレイヤー』となります。多人数戦の場合、防御プレイヤーは1人とは限りません。(多人数戦のルールにもよります)


攻撃するモノ、されるモノ

 クリーチャーのみが攻撃したり、ブロックしたりすることができます。
 また、プレイヤーもしくはプレインズウォーカーに対してのみ攻撃ができます。

 以上の条件に合わないパーマネントが戦場に出る場合、それは戦場に出ますが、攻撃もしくはブロック・クリーチャーとしては扱われません。

 パーマネントが

  • 戦場から離れる
  • コントローラーが変わる
  • フェイズ・アウトする
  • 効果によって戦闘から取り除かれる
  • 攻撃されているプレインズウォーカーがプレインズウォーカーでなくなる
  • 攻撃クリーチャーが再生するか、クリーチャーでなくなる
  • ブロック・クリーチャーが再生するか、クリーチャーでなくなる

 いずれかを満たした場合、戦闘から取り除かれます。

 プレインズウォーカーも戦闘から取り除かれることがあります。その場合は単に『攻撃されているプレインズウォーカー』ではなくなります。そのプレインズウォーカーに攻撃しているクリーチャーは攻撃クリーチャーであり続けますが、ブロックされなかった場合はどこにもダメージを与えることはありません。


戦闘のある時点で唱えることのできる呪文

 呪文の中には「[戦闘のある時点][前/後]にのみ」唱えることができるというものがあります。

 ・「攻撃クリーチャー指定(前/後)にのみ」唱えることができるという呪文は、実際に攻撃クリーチャーが指定されたかどうかに関わらず、攻撃クリーチャー指定ステップの開始前(後)にのみ唱えることができます。

 ・「ブロック・クリーチャー指定(前/後)にのみ」唱えることができるという呪文も同様に、ブロック・クリーチャー指定ステップの開始前(後)にのみ唱えることができます。

 ・「[戦闘のある時点]前にのみ」唱えることができるという呪文は、その戦闘フェイズでブロック・クリーチャー指定ステップと戦闘ダメージ・ステップが飛ばされたことにより示されている時点が存在しない場合、攻撃クリーチャー指定ステップの終了までの間にのみ唱えることができます。該当する戦闘フェイズが飛ばされたことにより示されている時点が存在しない場合、その呪文は戦闘前メイン・フェイズの終了前にのみ唱えることができます。

 ・「戦闘の間で、なおかつブロック・クリーチャー指定の後にのみ/only during combat after blockers are declared,」唱えることができるという呪文は、その戦闘フェイズでブロック・クリーチャー指定ステップが飛ばされている場合、その戦闘フェイズの間、唱えることができません。

 以上のことは呪文だけでなく、同じような制限がかかっている起動型能力についても同じことがいえます。


 それでは各ステップを見ていきましょう。


戦闘開始ステップ

 最初に、行っているゲームが多人数戦で、かつ、アクティブ・プレイヤーの対戦相手すべてが自動的に防御プレイヤーになるわけではない選択ルールであれば、アクティブ・プレイヤーは自分の対戦相手の中から1人を選びます。そして、そのプレイヤーは防御プレイヤーとなります。これはターン起因処理です。

 次に、その戦闘開始ステップの開始時に誘発する能力を全てスタックに積みます。

 その後、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできます。

 次のステップである攻撃クリーチャー指定ステップの初めに、攻撃クリーチャーの指定が行われるので、攻撃するクリーチャーを作成したり、クリーチャーをタップして攻撃するのを妨害したい場合、このステップが最後の機会となります。


攻撃クリーチャー指定ステップ

 最初に、アクティブ・プレイヤーは攻撃クリーチャーを指定します。このターン起因処理はスタックを用いません。攻撃クリーチャーを指定するために、アクティブ・プレイヤーは以下に示す手順を踏みます。どこかの時点で手順を完了できなくなったら、その指定は不正になり、ゲームは指定の始まる前まで巻き戻されます。

 1) アクティブ・プレイヤーは、どのクリーチャーが攻撃するかを選びます。選ぶこと自体は任意です。選ぶクリーチャーは、


  • アンタップ状態
  • 速攻を持っているか、あるいはそのターンの開始時からアクティブ・プレイヤーが継続してコントロールしている

 の2つを満たしていなくてはいけません。

 2) アクティブ・プレイヤーは、それぞれのクリーチャーがどのプレイヤーまたはプレインズウォーカーを攻撃するのか指定します。多人数戦のルールによっては、攻撃するプレイヤーが複数であることもあります。

 3) アクティブ・プレイヤーは、自分のコントロールする各クリーチャーが何らかの制限があるかどうかを確認します。制限に違反していた場合、その指定は適正ではありません。

 ここでいう制限とは、クリーチャーそれ自体が持つものであったり、他のカードによるものだったりします。

 4) アクティブ・プレイヤーは、自分のコントロールする各クリーチャーが何らかの強制があるかどうかを確認します。制限を守る限り、強制はできるかぎり満たさないといけません。プレイヤーがコストを支払わなければ攻撃できない場合、そのクリーチャーで攻撃することが強制されているとしても、そのコストを支払うことは義務ではありません。

 5) 古いカードにある能力ですが、クリーチャーの中にバンドや「他の~とのバンド」 能力を持っているクリーチャーがいる場合、アクティブ・プレイヤーは各クリーチャーがどうバンドを組んでいるのかを宣言します。

 6) アクティブ・プレイヤーは選んだクリーチャーをタップします。これはコストではありません。攻撃によって単にタップ状態になるだけです。警戒をもつクリーチャーは、これによりタップされません。

 7) 攻撃に参加するためにコストの支払いが必要なクリーチャーがいる場合、アクティブ・プレイヤーは攻撃に参加するための総コストを決めます。総コストが決定したら、それは「固定」され、この後に効果が総コストを変更しようとしても、それは無視されます。

 8) コストにマナの支払いが必要な場合、アクティブ・プレイヤーはマナ能力を起動する機会を得ます。

 9) 自分のマナ・プールに充分な量のマナを入れてから、そのプレイヤーは好きな順番で、7)で決定したすべてのコストを支払います。

 以上の手順を踏んで、選ばれたクリーチャーがなおアクティブ・プレイヤーによってコントロールされている場合、選ばれたクリーチャーは攻撃クリーチャーになります。


 次に、攻撃クリーチャーが指定されたことによって誘発する能力がスタックに積まれます。攻撃に参加した後で誘発条件を満たしたとしても、それは誘発しません。

 その後、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできます。

 いくつかのカードには、クリーチャーを『攻撃している』状態で戦場に出すものがあります。その場合、コントローラーは、そのようなクリーチャーが戦場に出るに際し、どの防御プレイヤーあるいはプレインズウォーカーを攻撃するのかを選択します。それらのクリーチャーは「攻撃している」が、誘発イベントや効果に関しては「攻撃した」ものとしては扱いません。

 攻撃クリーチャーが指定されず、攻撃している状態で戦場に出たクリーチャーもなかった場合、次のブロック・クリーチャー指定ステップと、その次の戦闘ダメージ・ステップは飛ばされます。


ブロック・クリーチャー指定ステップ

 最初に、防御プレイヤーはブロック・クリーチャーを指定します。このターン起因処理はスタックを用いません。ブロック・クリーチャーを指定するために、防御プレイヤーは以下に示す手順を踏みます。どこかの時点で手順を完了できなくなったら、その指定は不正になり、ゲームは指定の始まる前まで巻き戻されます。

 この手順は、攻撃クリーチャー指定ステップでの順番とほぼ同様です。ただし、以下の点が異なります。

  • 各クリーチャーについて、どの攻撃クリーチャーをブロックするか、を選びます。選ぶのは任意です。選ばなくてもかまいません。
  • ブロック・クリーチャーは速攻をもっていたり、そのターンの開始時から防御プレイヤーが継続してコントロールしている必要はありません。
  • ブロック・クリーチャーに指定されたことによって、そのクリーチャーはタップされることはありません。

 2番目に、ブロックされている攻撃クリーチャーごとに、アクティブ・プレイヤーはそのクリーチャーをブロックしているクリーチャー群の中でのダメージ割り振り順を任意に決めて宣言します。このターン起因処理はスタックを用いません。ここで決定した割り振り順は、後の戦闘ダメージ・ステップにおいて意味を持ちます。

 3番目に、ブロック・クリーチャーごとに、防御プレイヤーはそれがブロックしているクリーチャー群の中でのダメージ割り振り順を任意に決めて宣言します。このターン起因処理はスタックを用いません。

 4番目に、ブロック・クリーチャーが指定されたことによって誘発する能力を全てスタックに積みます。

 実際のカードには「ブロックするたび」や、「ブロックされた状態になるたび」など、細かな誘発条件の違いがあります。詳しくは CR509.4 を参照してください。

 最後に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできるようになります。


 呪文や能力によって、ブロック・クリーチャーを指定したあとで、『攻撃している』クリーチャーや『ブロックしている』クリーチャーが増えることがあります。そのような場合、新しく増えたクリーチャーに対し、増やされた側がダメージ割り振り順のどこに入れるかを決定します。すでに割り振り順を決めているクリーチャーの順番自体は変わりません。

 この後は戦闘ダメージ・ステップになります。呪文や能力によってクリーチャーのパワー/タフネスを上げ下げして、戦闘ダメージを増やしたり減らしたりしたい場合、この防御クリーチャー指定ステップが最後の機会になります。


戦闘ダメージ・ステップ

 まず、アクティブ・プレイヤーは各攻撃クリーチャーがその戦闘ダメージをどう割り振るかを宣言し、次に防御プレイヤーは各ブロック・クリーチャーが戦闘ダメージをどう割り振るかを宣言します。このターン起因処理はスタックを用いません。

 戦闘ダメージの割り振りについては、次のルールに従います。

  1) 各攻撃クリーチャーと各ブロック・クリーチャーは、それぞれ自分のパワーに等しいだけの戦闘ダメージを割り振ります。0点以下のダメージを割り振ることになるクリーチャーは、戦闘ダメージをまったく割り振りません。

  2) ブロックされていないクリーチャーは、その戦闘ダメージを攻撃している先のプレイヤーかプレインズウォーカーに割り振ります。どこにも攻撃していない場合(たとえば、既に戦場を離れているプレインズウォーカーを攻撃していた場合)、そのクリーチャーは戦闘ダメージを割り振りません。

  3) ブロックされたクリーチャーは、戦闘ダメージをそれをブロックしているクリーチャーに割り振ります。

   3-1) この時点でブロック・クリーチャーが1体もいない場合、そのクリーチャーは戦闘ダメージを割り振りません。

   3-2) 1体のクリーチャーだけがブロックしていた場合、そのクリーチャーは戦闘ダメージをすべてそのクリーチャーに割り振ります。

   3-3) 2体以上のクリーチャーがブロックしていた場合、宣言してあったダメージ割り振り順に従ってそれらのクリーチャーに戦闘ダメージを割り振ります。ブロック・クリーチャーに戦闘ダメージを割り振るには、ダメージ割り振り順においてそれよりも前にあるブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られていなければなりません。致死ダメージを割り振っているかどうかを見る場合、そのクリーチャーが既に負っているダメージと、他のクリーチャーが同じ戦闘ダメージ・ステップに割り振っているダメージを計算に入れますが、実際に与えられるダメージを変更する類の能力や効果(ダメージの軽減やプロテクションなど)は考慮しません。クリーチャーの致死ダメージ以上のダメージを割り振ってもかまいません。

  4) ブロック・クリーチャーは、戦闘ダメージをそれにブロックされているクリーチャーに割り振ります。

   4-1) この時点でブロックされているクリーチャーが1体もいない場合、そのクリーチャーは戦闘ダメージを割り振りません。

   4-2) 1体のクリーチャーだけをブロックしていた場合、そのクリーチャーは戦闘ダメージをすべてそのクリーチャーに割り振ります。

   4-3) 2体以上のクリーチャーをブロックしていた場合、宣言してあったダメージ割り振り順に従ってそれらのクリーチャーに戦闘ダメージを割り振ります。ブロックされているクリーチャーに戦闘ダメージを割り振るには、ダメージ割り振り順においてそれよりも前にあるブロックされているクリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られていなければなりません。致死ダメージを割り振っているかどうかを見る場合、そのクリーチャーが既に負っているダメージと、他のクリーチャーが同じ戦闘ダメージ・ステップに割り振っているダメージを計算に入れますが、実際に与えられるダメージを変更する類の能力や効果(ダメージの軽減やプロテクションなど)は考慮しない。クリーチャーの致死ダメージ以上のダメージを割り振ってもかまいません。

  5) プレイヤーが自分のコントロールする攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーからの戦闘ダメージを割り振ったなら、そのダメージの割り振り全体が上記のルールに則っているかどうか確認します。則っていなければ、戦闘ダメージの割り振りは不適正です。ゲームは戦闘ダメージ割り振りの直前まで巻き戻されます。


 2番目に、割り振られている戦闘ダメージすべてが同時に与えられます。このターン起因処理はスタックを用いません。戦闘ダメージの割り振りから実際に与えられるまでの間に、呪文を唱えたり能力を起動したりする機会は存在しません。以前のルールとは大きく異なっている点です。

 3番目に、ダメージが割り振られたり与えられたりしたことによって誘発した能力がスタックに積まれます。

 最後に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできるようになります。

 1体以上の攻撃またはブロック・クリーチャーが、戦闘ダメージ・ステップの開始時に先制攻撃や二段攻撃を持っていた場合、そのステップに戦闘ダメージを与えるのは先制攻撃か二段攻撃を持っているクリーチャーだけです。そのステップの後に、戦闘終了ステップに進む代わりに、第2戦闘ダメージ・ステップが追加されます。第2戦闘ダメージ・ステップに戦闘ダメージを割り振るのは、最初の戦闘ダメージ・ステップの開始時に先制攻撃も二段攻撃も持っていなかったクリーチャーか、この時点で二段攻撃を持っているクリーチャーのみです。そのステップの後、戦闘終了ステップに移行します。

 戦闘ダメージ・ステップは戦闘フェイズの中でも一番ややこしいところです。CRに書かれている例を参照しながら、処理を追ってみてください。


戦闘終了ステップ

 まず、すべての「戦闘終了時に/at end of combat」誘発する能力が誘発し、スタックに積まれます。

 次に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできるようになります。

 戦闘終了ステップが終わった瞬間に、すべてのクリーチャーやプレインズウォーカーは戦闘から取り除かれます。戦闘終了ステップの終了後、戦闘フェイズは終了し、戦闘後メイン・フェイズに移ります。

 攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーは、この戦闘終了ステップが終了するまで、攻撃クリーチャーまたはブロック・クリーチャーであり続けます。戦闘ダメージを与え終えた瞬間に攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーでなくなる、というわけではありません。


 戦闘フェイズはマジックの中でも重要で、かつ、ややこしいルールの固まりです。各ステップの流れと役割を一度見直してみてください。


 それでは、ターンの最後のフェイズ、最終フェイズに移ります。


最終フェイズ

 最終フェイズは以下の2つのステップから成ります。

  • 終了
  • クリンナップ
終了ステップ

 まず、すべての


  • 「終了ステップの開始時に/at the beginning of the end step」
  • 「次の終了ステップの開始時に/at the beginning of the next end step」

 誘発する能力が誘発し、スタックに積まれます。

 古いカードには「ターン終了時に/at end of turn」という表記がよく使用されていましたが、現在のテキストは上のいずれかに改められています。

 次に、アクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできます。

 「終了ステップの開始時に」もしくは「次の終了ステップの開始時に」誘発する能力を持ったパーマネントがこのステップの間に戦場に出た場合、その能力は次のターンの終了ステップまで誘発しません。これを利用すると、次のターンの終了ステップまでパーマネントを持ち越すことができたりします。

 なお、このルールは誘発型能力にのみ適用されます。「ターン終了時まで/until end of turn」「このターン/this turn」残る継続的効果には適用されません。


クリンナップ・ステップ

 まず、アクティブ・プレイヤーの手札がその上限枚数(通常7枚)を超えていた場合、そのプレイヤーは上限枚数になるまで手札を捨てます。このターン起因処理はスタックを用いません。

 次に、以下の処理が同時に行なわれます。

  • パーマネント(フェイズ・アウトしているパーマネントも含む)が負っているすべてのダメージが取り除かれます。
  • すべての「ターン終了時まで/until end of turn」「このターン/this turn」の効果が終了します。

 このターン起因処理はスタックを用いません。

 通常、クリンナップ・ステップ中にはプレイヤーは優先権を得ませんので、呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできません。が、以下の例外が存在します。

 この時点で、ゲームは、


  • 発生する状況起因処理が存在するかどうか
  • スタックに積まれるのを待っている誘発型能力が存在するかどうか

 を確認します。もし存在したならば、まず状況起因処理が処理され、次に誘発型能力がスタックに積まれてからアクティブ・プレイヤーが優先権を得て、プレイヤーは呪文を唱えたり能力を起動したりできるようになります。スタックが空の状態ですべてのプレイヤーが続けてパスしたなら、再びクリンナップ・ステップが新しく始まります。

 これはCR文中にも例が無いので、一例を挙げましょう。
 《不自然な捕食》によってターン終了時まで+1/+1の修整を受けている《危険なマイア》がいます。この《危険なマイア》が、感染持ちのクリーチャーにブロックされ、-1/-1カウンターを1個得ました。この状態でゲームがクリンナップ・ステップまで進むと、《不自然な捕食》の効果は終了し、《危険なマイア》のP/Tは0/0になります。状況起因処理が発生するので、それが処理され、《危険なマイア》は墓地に置かれてそれ自身の誘発型能力が誘発します。それがスタックに積まれた後、プレイヤーは--現在はクリンナップ・ステップにもかかわらず――優先権を得ます。スタックが空になった後、続けてパスを行ったのならば、再びクリンナップ・ステップが始まります。

Time Warp Lighthouse+Chronologist_Lv7

 以上でターンの構造についての解説は終了です。
 総合ルールの大項目『5.ターンの構造』も参考にしてください。


 長くなりましたので、今回分の出題は次回に繰り越すことにします。
 次回は文中に度々出てきた「ターン起因処理」についての解説を行います。


 それでは、前回分の回答です。


問 1

 次のうち、正しいことが書かれている選択肢を全て挙げよ。

a) 通常、フェイズが飛ばされなかった場合、1ターンにフェイズは5つある。
b) 通常、フェイズやステップが飛ばされなかった場合、1ターンにステップは9つある。
c) 全てのステップで、プレイヤーは優先権を得る。
d) アップキープ・ステップに出したマナは、同じターンのドロー・ステップに使用できる。
e) アクティブ・プレイヤーが土地をプレイしたのに対応して、非アクティブ・プレイヤーが呪文を唱えることができる。


回答1: a)のみ。

a) ◯
b) ×:飛ばされなければ、ステップは全部で10個ある。
c) ×:通常、アンタップとクリンナップの2つのステップでは、プレイヤーは優先権を得ない。
d) ×:フェイズまたはステップが終了すると、マナ・プールのマナは消滅する。
e) ×:これは特別な行動でありスタックを用いない。プレイヤーはこれに対応して何かをすることはできない。


問 2

 A と B が対戦している。

 A のターン、A は《飢餓の声、ヴォリンクレックス》を唱えて戦場に出した。A がターン終了を宣言した後に、B がターン終了時に対応して《》2枚をタップして《破滅の刃》を唱え、《飢餓の声、ヴォリンクレックス》を破壊した。

 さて、このタップした2枚の《》は、B のターンのアンタップ・ステップにアンタップするだろうか?


回答2: アンタップしない。

 《飢餓の声、ヴォリンクレックス》の3番目の能力、
「いずれかの対戦相手がマナを引き出す目的で土地を1つタップするたび、その土地はそれのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。」
 というのは誘発型能力である。つまり、B が《破滅の刃》を唱えるために土地からマナを引き出し、かつ、その時点で《飢餓の声、ヴォリンクレックス》が戦場にいるため、この誘発型能力が解決されて、それらの土地はBの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。


問 3

 店舗での双頭巨人戦でのこと。プレイヤーからこんな質問があった。

 「先手チームの、最初のターンのドロー・ステップってありますか?」

 さて、どう答えればいいだろうか?


回答3: 「先手チームの第1ターンのドロー・ステップは飛ばされます。」

 「先攻のチームは最初のターンのドロー・ステップを飛ばす。」(CR810.6

 とある通り、先攻側の第1ターンのドロー・ステップは存在せず、カードを引くことはできない。


問 4

 A、B、Cの3人が多人数戦を行なっている。ターンの進行順はA、B、そしてCの順である。

 B はLvカウンターが7つ乗っている《灯台の年代学者》をコントロールしている。

 現在は A のターンである。A は戦闘後メイン・フェイズに《時間のねじれ》を唱え、追加のターンを得た。

 さて、この後のターンの進行順を考えてもらいたい。
 この後に初めてCにターンが回るまで、を答えていただこう。


 A → ??????? → C → ....

Time Warp Lighthouse+Chronologist_Lv7


回答4:

 順番に追加されるターンを考えればよい。
 まず、Aの《時間のねじれ》によってAのターンがこのターンの直後に追加される。

  A →『A』→ B → C → ....

 Aのターンの終了ステップの開始時には、それがBのターンでは無いので、Bの《灯台の年代学者》の能力が誘発し、Bが追加のターンを得る。

  A →『B』→『A』→ B → C → ....

 追加されたBのターンには何も起こらない。
 また、追加されたAのターンにも、同じようにBの《灯台の年代学者》が誘発する。特に何もなければ、Aの追加ターンの終了ステップの開始時に、Bが追加のターンを得る。

 従って、Cがこのあと初めてターンを得るまでの流れは以下のようになる。

  A →『B』→『A』→『B』→ B → C → ....



ライター:testing

 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。

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WPN からのお知らせ

 7/19 現在、以下の WPN プログラムならびにイベントが申請できます。イベントの申請は、ウィザーズイベントレポーターからかんたんに操作できます。ウィザーズイベントレポーターはWPNサイトからダウンロードしてください

全主催者
  • Magic (認定イベント/個人戦・双頭巨人戦・チーム戦)
    • ブースタードラフト
    • レガシー
    • エクステンデッド
    • ヴィンテージ
    • スタンダード
    • シールドデッキ
    • ブロック構築
    • 3 スタンダード(3人チーム構築)
    • 3 シールドデッキ(3人チームリミテッド)
    • 2HG(双頭巨人戦は 2HG で始まるそれぞれのフォーマットをご利用ください)
  • Casual Non-Rated(入門イベント/8人未満で開催したイベントやフリープレイ会の報告に)
    • カジュアル構築
    • カジュアルリミテッド
  • Casual Non-Rated Multi-Player(入門イベント・多人数戦)
    • Casual Multi-Player - Archenemy
    • Casual Multi-Player - Commander
    • Casual Multi-Player - Emperor
    • Casual Multi-Player - Free-for-all
    • Casual Multi-Player - Grand Melee
    • Casual Multi-Player - Other
    • Casual Multi-Player - Planechase
  • Magic League(リーグ戦/戦争リーグなどの参加者報告に)
ゲートウェイ店舗

 ゲートウェイ店舗は、全主催者向けイベントが申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Magic Celebration(9/10のみ・店頭イベント)
  • Japan Finals 2011 Gateway Tournament Round 3
  • Launch Party - Innistrad(イニストラード発売記念パーティ)
  • Launch League Play - Innistrad(イニストラード・リーグ戦)
コア店舗

 コア店舗は、ゲートウェイ店舗のプログラムをすべて申請できます。くわえて、以下のプログラムが申請できます。

  • Friday Night Magic - Sept 2011
  • Prerelease - Innistrad(イニストラード・プレリリース)
アドバンス店舗

 アドバンス店舗は、コア店舗のプログラムを 2 回ずつ申請できます。

WPNマテリアル

 店舗レベルに関係なく、サポートキットは一店舗一回限り申請できます。

  • Gateway Support Kit - Summer 2011(店舗関係者用)
  • Membership Card Request(新規メンバーカードの請求)

 WPN プログラムの申請方法については、WPN 通信 第47回に詳しく記載がありますので、ご一読ください。それでもわからないことがありましたら wpnjapan@wizards.com へ気軽にご相談ください。

グランプリトライアル(アドバンス店舗)

 グランプリトライアル(GPT)とは、プロレベルのトーナメントへの架け橋となるイベントで、該当するグランプリの不戦勝を選出する競技レベルのトーナメントです。GPT 開催に際しては、十分な席数を持つ会場と、イベント当日の運営を担う DCI 認定ジャッジが最低一人は必要です。

 現在トライアルの開催申請を受け付けているグランプリは次の通りです。

グランプリ グランプリ開催日 フォーマット トライアル開催時期 申請締切
アムステルダム(オランダ) 10/22~23 レガシー 7/25~10/9 7/24
サンティアゴ(チリ) 10/22~23 シールドデッキ 7/25~10/9 7/24
広島 10/29~30 スタンダード 8/1~10/16 7/31

 GPT 開催を希望する店舗は、開催希望日、開催ロケーション、当日のヘッドジャッジを明記のうえ、締切日までに wpnjapan@wizards.com へご連絡ください。


 各 WPN プログラムの申請スケジュールおよび大会日程、ならびに国内プレミアイベントの大会日程は Google カレンダーにまとめてありますので、よろしかったらご利用ください。

 公開されている Google カレンダーは、各自が利用しているスケジューラにインポートすることができます。

 Google アカウントを利用して自身のカレンダーに表示させたり、スマートフォンのスケジューラへインポートすることで、自分の予定表とリンクさせることができるようになります。「今週の大会はどうだったっけ?」と悩んでいるような方にお勧めです。

 それでは、また来週。

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