READING

読み物

店舗の皆さまへ

第44回:継続的効果のまとめ

読み物

ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2011.04.05

WPN通信 #44:継続的効果のまとめ


 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。

 先週から引き続き、本社のあるワシントン州シアトル近郊に滞在しております。日中は日本と変わらず 15 度くらいまで暖かくなるものの、朝晩の冷え込みが厳しくて、まだまだコートが手放せません。なにより、毎日どんよりと曇っているのと、ひたすら雨が降り続いているのが残念です。

 なんでも、一年で晴れ間が広がるのは夏の間に 2 ヶ月ほどしかないのだとか。どうりで、雨が降っても平然と傘も差さずに歩く人が多いわけです。雨が降っていることが普通なんですね。かくいうわたしも、雨が降っていること自体は当たり前のように受け入れているあたり、環境への適応能力はそれなりにあるみたいです。


New Phyrexia logo

 「新たなるファイレクシア」の発売を一月後に控え、記念イベント関係の業務がそれなりに立て込んでいる昨今です。みなさまが申請できるイベントは、ゲームデーを残すのみとなりました。まだイベント申請を済ませていない主催者の方はお早めに。

 「イベント申請がいつからいつまで行われているか知りたい」という方のために、公開されている各イベントの申請時期を Google カレンダーへまとめています。直近では、来週から Limits ゲートウェイラウンド 2 のイベント申請が始まります。

 このカレンダーは毎月アップデートしていますので、イベント主催者の方はご自身のカレンダーアプリへインポートしていただくと便利かもしれませんね。


WPN電話対応休業のお知らせ

 担当者がアメリカ本社へ出張しているため、電話対応につきましてはしばらく休業いたします。メールでのお問い合わせにつきましては、通常通り対応しておりますので、気軽にご相談ください。


"FMQ" 問題・アイデアを募集します

 本コラム Formal Magic Quiz でご好評いただいておりますマジック・クイズの問題およびアイデアを、読者の皆さまから募集いたします。
 投稿はメール magicquiz@mtg-jp.com へお寄せください。問題の参考にさせていただきます。
 掲載の際、いただいたお名前をご紹介することもありますので、ご了承ください。

 マジック・クイズが大好きな皆さま、ぜひご協力ください。


bnr_testing.png

継続的効果のまとめ

継続的効果の相互作用

 これまで3回にわたって、「継続的効果」について見てきました。

 継続的効果の適用方法をまとめましょう。細かいところも総合ルールに従って追記します。

 まず、特性を変更する類の継続的効果をすべて書き出します。

 その後、それらの効果を各種類別に分けます。1つの効果で複数の種類別に分けられるものに注意しなくてはいけません。それらは一部でも適用されたら、その後の種類別でも同様に適用されつづけます。1つの効果のうち、1つの種類別の部分だけが適用される、ということはありません。

 次に、種類別ごとに適用順を決めます。同じ種類別では、「特性定義能力」「依存関係」「タイムスタンプ」を考えることになります。以下、手順としては次のようになります。

  1. 特性定義能力を先に適用します。
  2. 依存関係を考えます。
  3. どれにも依存していない効果がある場合、それらをタイムスタンプ順に並べ、  最も早いタイムスタンプである効果を1つ適用します。
  4. 2. に戻って処理を続けます。

 1つの効果を適用した後、改めて依存関係を考える必要があります。依存関係で循環してしまう場合、依存のルールを無視して、タイムスタンプのみで考えます。


常に基底から積み上げる

 種類別のルールは、オブジェクトがどのような特性値を持つか、ということを基礎となる値から積み上げています。

 全ては印刷されている値から始まり、それをコピー効果によってどのような値を持つかを決定します(第1種)。その後、どの効果を受けるかを決定するために問題となるコントローラーの決定を行います(第2種)。そして、文章が変更されるならばそれを直します(第3種)。そうした後でカード・タイプを決定し(第4種)、その色を決めます(第5種)。この後で能力が付与されたり消失したりします(第6種)。

 パワー/タフネスを決定する場合も同じです。まず印刷された値から始まり、それがまだ決まっていないのであれば("*/*" など)、その値を決めます(第7a種)。その後、その値自体を他の値にする効果を考えます(第7b種)。そして、その値を足したり引いたりします(第7c種)。次にカウンターによる修整を考え(第7d種)、最後にパワー/タフネスを入れ替えます(第7e種)。

 このように、前の値もしくは状態が決定しないと、それより後の値は決定できません。常に積み上げていくことが概念としてあります。


特性を決めるために種類別を使う

 さてここまでは、種類別に分けられる継続的効果の適用方法を見てきました。

 とはいえ、種類別を考えるのは、あくまで『オブジェクトの特性を決定する場合』だけです。その他の場合は種類別を見る必要はありません。つまり、継続的効果全てが種類別に分けられるわけではありません。

 例えば、《法務官の相談》には「残りのゲームの間、あなたの手札の上限はなくなる。」とあります。これはゲームが終了するまで続く継続的効果ですが、オブジェクトの特性を変化させるものではないので、種類別の分類を行う必要はまったくありません。


プレイヤーの状態を決める

 継続的効果には、オブジェクトではなくプレイヤーに影響を与えるものがあります。例えば《ルーンの光輪》のように、プレイヤーがプロテクションを得るなど、です。このような効果は種類別のルールに従いませんが、複数のこのような効果を考える場合、それらはタイムスタンプ順に処理されます。


ゲームの状態を決める

 上と同様に、オブジェクトではなく、ゲームのルールに影響する継続的効果もあります。例えば《遍歴の騎士、エルズペス》によって得られる紋章の効果や、先ほど出てきた《法務官の相談》のように、プレイヤーの手札上限というルールをねじ曲げる効果がそれにあたります。これらの効果は種類別のルールに従いませんが、複数のこのような効果を考える場合、それらはタイムスタンプ順に処理されます。


 継続的効果の相互作用は総合ルール 613 節にあります。そちらの文章や例示もよくお読み下さい。

 


 それでは、解答編です。


問 1

 以下の2枚のカードの組み合わせの内、効果が依存関係にあるカードの組み合わせはどれか。

a) 《奸謀》(宣言=ゴブリン)と《ゴブリンの酋長
b) 《奸謀》(宣言=ゴブリン)と《オパール色の輝き
c) 《オパール色の輝き》と《謙虚
d) 《謙虚》と《ゴブリンの酋長

humility.jpg


回答1: b)

a) 《奸謀》は第4種、《ゴブリンの酋長》は第6種+第7b種 なので、同じ種類別にないので依存しない。
b) 第4種において、《奸謀》は《オパール色の輝き》に依存する。
c) この2つは共に第7b種の効果を持つが、それらはタイムスタンプ順に処理される。
d) 《謙虚》の第6種を適用した後、《ゴブリンの酋長》の能力は無くなっているので、《ゴブリンの酋長》からの効果は適用されない。


問 2

 (レガシーでよく見る場面からの問題です)

 AとBが対戦している。Aは《謙虚》を戦場に出している。Bは自分のコントロールする《ミシュラの工廠》を起動し、クリーチャーにした。

2-1) この《ミシュラの工廠》のパワー/タフネスはいくつか?
2-2) Bは、このクリーチャーにした《ミシュラの工廠》をタップしてマナを出せるだろうか?
2-3) Bはもう一枚の《ミシュラの工廠》をコントロールしている。
このクリーチャーにしていない方の《ミシュラの工廠》を起動し、クリーチャーにした《ミシュラの工廠》へ+1/+1の修整を与えることができるだろうか?

humility.jpg mishrasfactory.jpg


回答2:

2-1) 2/2

 継続的効果をすべて書き出す。

 *《謙虚

  • (第6種)クリーチャーは全ての能力を失う。
  • (第7b種)全てのクリーチャーは1/1になる。
 

 *《ミシュラの工廠

  • (第4種)組立工作員であるアーティファクト・クリーチャーになる。それは土地でもある。
  • (第7b種)2/2になる。

 種類別とタイムスタンプを考えて適用順に並べると、

  • (第4種)組立工作員であるアーティファクト・クリーチャーになる。
  • (第6種)クリーチャーは全ての能力を失う。
  • (第7b種)全てのクリーチャーは1/1になる。
  • (第7b種)2/2になる。

 つまり、このオブジェクトは以下のようになる。

ans002.jpg


2-2) できない。

 クリーチャー化した《ミシュラの工廠》は《謙虚》により能力を失っている。つまり、マナを出す能力も失われているので、マナを出すことはできない。

2-3) できる。

 このクリーチャーは組立工作員である。つまり、もう一枚の《ミシュラの工廠》の能力の対象にできる。

問 3

 店舗での一般大会でのこと。
 上位に入賞できそうなプレイヤー2人がゲームをしている。すでに最終戦も時間切れとなり、このままでは引き分けになってしまうことに彼らは気づいた。そうなると賞品が少なくなってしまうと考えた二人は、大会の責任者であるあなたを呼んでこう言った。

「このままだと引き分けに終わって面白くないので、試合結果をダイスの大小で決めたいです。いいですか? もちろん僕らは二人とも同意しています。」

 さて、あなたはどうすべきか。


回答3:

 決して許されないふるまいなので、厳重に注意する。

 一般イベント用ジャッジ法の『重大な問題』にあるとおり、マッチ結果を無作為な方法で提出することは決して認められない。
 問題文中でプレイヤーが言ったような内容は、同意のあるなしにかかわらず、そのようなことを申し出てはいけない。プレイヤーにはこのような行為が許されないことをよくよく注意し、二度と言い出さないように啓蒙するべきである。


問 4

 すでに問題の中で何回も出てきている《謙虚》だが、これは昔から解釈がややこしいカードである。良くある組み合わせは《オパール色の輝き》との相互作用である。そこで、以下の問題を考えてもらおう。

 あなたのターンに唱えた《蔵の開放》によって、以下のエンチャントが戦場に同時に出た。

 《オパール色の輝き
 《オパール色の輝き
 《謙虚
 《魔法の夜

 あなたは既に《平地》をコントロールしている。さて、上の4枚が戦場に出たら、この《平地》はどうなるだろうか? 

humility.jpg


回答4:

 継続的効果を全て書き出す。

 *《オパール色の輝き》 (2つあることに注意。片方をX、もう片方をYとする)

  • (第4種)オーラでないエンチャントはクリーチャーになる。それはエンチャントでもある。
  • (第7b種)P/Tは点数で見たマナ・コストに等しい。

 *《謙虚

  • (第6種)クリーチャーは全ての能力を失う。
  • (第7b種)全てのクリーチャーは1/1になる。

 *《魔法の夜

  • (第4種)全てのパーマネントは、自身の他のタイプに加えてエンチャントでもある。

 第4種において、依存関係を考えると、《オパール色の輝き》は《魔法の夜》に依存しているので、この部分は《魔法の夜》→《オパール色の輝き》の順番になる。

 種類別を考えて適用順に並べると、以下のようになる。

  • (第4種)全てのパーマネントは、自身の他のタイプに加えてエンチャントでもある。
  • (第4種)オーラでないエンチャントはクリーチャーになる。それはエンチャントでもある。
  • (第4種)オーラでないエンチャントはクリーチャーになる。それはエンチャントでもある。
  • (第6種)クリーチャーは全ての能力を失う。
  • ?(第7b種)P/Tは点数で見たマナ・コストに等しい。
  • ?(第7b種)P/Tは点数で見たマナ・コストに等しい。
  • ?(第7b種)全てのクリーチャーは1/1になる。

 第7b種の部分はタイムスタンプ順で決まるので、4つのオブジェクトのタイムスタンプを決めなくてはいけない。それはあなたが好きに決定できる。問題となるのは2枚のうちどちらかの《オパール色の輝き》と、《謙虚》なので、

その1)2枚とももしくはどちらか1枚の《オパール色の輝き》を、《謙虚》よりも新しいタイムスタンプにした場合

 「P/Tは点数で見たマナ・コストに等しい。」が一番最後に適用される。
 従って、《平地》は0/0になり、状況起因効果により墓地に置かれる。

その2)《謙虚》を、2枚の《オパール色の輝き》よりも新しいタイムスタンプにした場合

 「全てのクリーチャーは1/1になる」が一番最後に適用される。
 従って、《平地》は以下のようになる。


ans004.jpg



ライター:testing

 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。

 ぜひ、この記事についてツイートしてください!


WPN からのお知らせ

 4/5 現在、以下の WPN プログラムならびにイベントが申請できます。

ゲートウェイ店舗
  • 全主催者向けイベントが申請できます
コア店舗
  • Japan - Friday Night Magic - May 2011
  • Magic Game Day - Action(ゲームデー)
アドバンス店舗
  • Japan - Friday Night Magic - May 2011(毎週 2 回まで申請できます)
  • Magic Game Day - Action(2 回まで申請できます)
全主催者
  • Magic (認定イベント/個人戦・双頭巨人戦・チーム戦)
    • 2HG(双頭巨人戦は 2HG で始まるそれぞれの Game Format をご利用ください)
    • Block Constructed
    • Booster Draft
    • Extended
    • Legacy
    • Sealed
    • Standard
    • Trios - Constructed
    • Trios - Limited
    • (3人チーム戦は Trios で始まる Game Format をご利用ください)
    • Vintage
  • Magic Casual Non-Rated (入門イベント/8人未満で開催したイベントやフリープレイ会の報告に)
    • Casual Non-Rated Constructed
    • Casual Non-Rated Limited
  • Magic Casual Non-Rated Multi-Player(入門イベント・多人数戦)
    • Casual Multi-Player - Archenemy
    • Casual Multi-Player - Commander
    • Casual Multi-Player - Emperor
    • Casual Multi-Player - Free-for-all
    • Casual Multi-Player - Grand Melee
    • Casual Multi-Player - Other
    • Casual Multi-Player - Planechase
  • Magic League(リーグ戦/戦争リーグなどの参加者報告に)
WPN Material
  • Gateway Kit - Mirrodin Besieged - NAJP(店舗関係者用)
  • Event Support Kit - For non-retail locations(店舗を利用していない主催者用)
  • Membership Card Request(新規メンバーカードの請求)

 WPN プログラムの申請方法については、WPN 通信 第15回に詳しく記載がありますので、ご一読ください。それでもわからないことがありましたら wpnjapan@wizards.com へ気軽にご相談ください。


 各 WPN プログラムの申請スケジュールおよび大会日程、ならびに国内プレミアイベントの大会日程は Google カレンダーにまとめてありますので、よろしかったらご利用ください。

 公開されている Google カレンダーは、各自が利用しているスケジューラにインポートすることができます。

 Google アカウントを利用して自身のカレンダーに表示させたり、スマートフォンのスケジューラへインポートすることで、自分の予定表とリンクさせることができるようになります。「今週の大会はどうだったっけ?」と悩んでいるような方にお勧めです。

 それでは、また来週。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索