READING

読み物

店舗の皆さまへ

第43回:『新たなるファイレクシア』の発表と、「依存関係」の読み解き方

読み物

ウィザーズプレイネットワーク通信


ご注意:本記事は掲載当時の情報をもとに制作されたものです。現在の制度・プログラムと異なる場合がありますので、最新の情報は ウィザーズプレイネットワーク 公式サイト を必ずご確認ください。

2011.03.29

WPN通信 #43:『新たなるファイレクシア』の発表と、「依存関係」の読み解き方


 こんにちは。ウィザーズプレイネットワーク日本担当の宮坂です。

 もうすぐ 4 月を迎えるというのに、まだまだ寒さが厳しいようですが、みなさま風邪など引かれていませんか。本社があるワシントン州も、朝晩の寒さが厳しく、寒暖の差にやられないよう気をつける毎日です。

 わたしは、いま本社に出張しておりまして、ウィザーズプレイネットワークの本社チームと机を並べて、日々業務に邁進しております。普段ほとんどメールでしかコミュニケーションできていない人たちと、顔を合わせて意見を交わすことで、懸念だった項目が少し筒解消できています。日本から持ってきた宿題のいくつかは、よい方向に転がったのでなによりです。

 とはいえ、ミーティングのほぼすべてが英語、雑談は英語、ランチタイムの食事メニューは英語、メールは英語、と英語づけ生活に、思考回路はショート寸前、泣きたくなるような毎日です。くじけずがんばります。

 さて、昨日プレリリースと発売記念パーティの申請を締め切りました次期エキスパンション・コードネーム「Action」ですが、ミラディン軍、ファイレクシア軍の戦いの行方が判明しました。

 コード名「Action」は『新たなるファイレクシア』


New Phyrexia logo

 戦いの結果をうけて、「Action」の製品名は「新たなるファイレクシア」と決まりました。はたして、ミラディン軍はどうなってしまったのか。戦いの詳細はこれからじょじょにあきらかになっていく予定です。

 プレリリースを一ヶ月後に控えた「新たなるファイレクシア」ですが、今後 mtg-jp.com 誌上でも、製品の紹介や、mtg.com の翻訳記事を含む新製品特集を予定しておりますので、楽しみにしていてくださいね。


WPN電話対応休業のお知らせ

 担当者がアメリカ本社へ出張しているため、電話対応につきましてはしばらく休業いたします。メールでのお問い合わせにつきましては、通常通り対応しておりますので、気軽にご相談ください。


"FMQ" 問題・アイデアを募集します

 本コラム Formal Magic Quiz でご好評いただいておりますマジック・クイズの問題およびアイデアを、読者の皆さまから募集いたします。
 投稿はメール magicquiz@mtg-jp.com へお寄せください。問題の参考にさせていただきます。
 掲載の際、いただいたお名前をご紹介することもありますので、ご了承ください。

 マジック・クイズが大好きな皆さま、ぜひご協力ください。


bnr_testing.png

ややこしい依存関係

 さっそくですが、問題です。


例題

 《》と《月の大魔術師》が戦場にある。その後、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を戦場に出した。この《》は沼というサブタイプを持つ。

 ◯か×か?

 

 

 答: × (持たない。)


直感でわかりづらい部分

 前々回前回の記事で、種類別について説明をしました。そして同じ種類別で分類される場合、それらはタイムスタンプ順で適用されます。

 しかし、これには例外が2つあります。それが「特性定義能力である場合」と、「依存関係がある場合」です。これらを考慮する必要があるため、単に種類別に分類して効果を時間軸で適用していくだけではうまくいきません。

 なお、現在のスタンダードでは、以下に説明するような複雑なことが起こる可能性のあるカードは(幸いなことに)ほとんどありません。ですが、これから先に印刷されるカードによっては、このようなルールの知識が役に立つ場合があるかもしれません。
 もちろん、ジャッジを志す人にとっては、総合ルールの中でも難しいところの一つですので、がんばって理解してください。


特性定義能力

 種類別に分けられた効果の中で、それが特性定義能力からの効果である場合、それを真っ先に適用します。特性定義能力についてはここでは詳しくは書きませんが、オブジェクト自身の色、サブタイプ、パワー、タフネスのどれかを定義している能力を指します。

 最もわかりやすい例としては、《否定の契約》のように、「《否定の契約》は青である。」といったものや、《ダークスティールの巨大戦車》のように、パワー/タフネスが「*/*」で示されているものがあります。

 もうおわかりかと思いますが、「《否定の契約》は青である」という効果は第5種に分類されます。同様に、《ダークスティールの巨大戦車》のP/Tを決定する効果は第7a種に分類されます。


依存関係

 さて、続いては依存関係です。
 単にタイムスタンプ順で適用を行った場合、その順番によっては効果が無くなってしまったり、効果の内容が変わってしまい、結果が一通りに定まらないことがあります。

 このような事態を防ぐために、「まず他の効果と関係なく適用できる効果」を先に適用してしまい、それが適用されてから、改めて適用できる効果を適用する、という手順が考え出されました。つまり、ある効果を適用するためには、他の効果を適用した後でないといけない場合、その効果は他の効果に「依存」しているとみなされます。

 この説明はやや抽象的ですが、もう少し先の具体例を見て頂くのが良いでしょう。


AはBに依存している

 ある継続的効果AとBを考えます。AとBは、以下の条件を満たしています。

  • AとBは同じ種類別である。
  • AもBも、共に特性定義能力ではない。
  • Bを適用することにより、以下のどれかが起こる。
    • Aの文章が変わったり、Aが発生するかどうかが変わる。
    • Aを何に適用するかが変わる。
    • Aを適用するもののどれかにAが何をするかが変わる。

 この場合、「AはBに依存している」 となり、適用順番はB→Aの順になります。

 上2つは簡単だと思います。そもそも依存関係を考える場合、それらは同じ種類別である必要があります。また、特性定義能力は先ほどの項目でも説明したとおり、真っ先に適用されるべきなので、依存を考える必要はありません。

 問題は3番目です。簡単にいうと、「Aを適用してもBを適用するのに何も変化はないが、Bを適用するとAの適用になんらかの変化がある」となります。つまり、AはBの適用を待たないと、何に適用していいのかわからないので、AはBに頼り切って(依存して)いるのです。

 そろそろ抽象的な説明もつかれてきました。具体的な例示をしましょう。
 3番目の条件は3つに分かれていますので、それらを順番に説明します。


「Aの文章が変わったり、Aが発生するかどうかが変わる」

 この例は最初の問題で出した《月の大魔術師》と《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》になります。

 両方の効果は共に第4種になります。
 仮に、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を先に適用したとしましょう。全ての土地は沼というサブタイプを追加で得て、その後に《月の大魔術師》の効果によって基本でない土地は山になります。
 では、《月の大魔術師》の効果を先に適用するとどうなるでしょう? 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は基本でない土地なので、それは山になって元あったテキストを全て失います。つまり、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の効果は発生しなくなります。

 つまり、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の効果は《月の大魔術師》の効果に依存しています。従って、適用は常に《月の大魔術師》→《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の順で行われます。《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は山になって元のテキストを失い、他の土地に沼というサブタイプが追加されることもありません。

001_urborg.jpg
(お詫び:当初、上記カード画像には「土地―山」と表示しておりましたが、正しくは「伝説の土地―山」でした。
お詫びして訂正いたします。 mtg-jp.com 編集チーム)


「Aを何に適用するかが変わる。」

 次の例は何に適用するかが変わる例です。戦場に《マイコシンスの格子》、《機械の行進》、《胆液の水源》、《処罰の力線》があるとします。

 《マイコシンスの格子》、《機械の行進》の効果のうち、第4種のものだけを考えます。

 《機械の行進》の効果を先に適用したとしましょう。《マイコシンスの格子》と《胆液の水源》の2つはこの効果によりアーティファクト・クリーチャーになります。その後、《マイコシンスの格子》の効果により、4つ全てがアーティファクトでもあるようになります。

 では、《マイコシンスの格子》を先に適用してみましょう。この効果により、4つ全てがアーティファクトでもあるようになります。その後、《機械の行進》の効果により、4つ全てがアーティファクト・クリーチャーになります。つまり、《機械の行進》を何に適用するかが変わります。

 従って、《機械の行進》の効果は《マイコシンスの格子》に依存しています。適用は常に《マイコシンスの格子》→《機械の行進》の順で行われ、4つは全てアーティファクト・クリーチャーになります。

002.jpg
003.jpg
004.jpg
005.jpg


「Aを適用するもののどれかにAが何をするかが変わる。」

 3つ目はどれに何をするかが変わる例です。

 少し古いカードですが、《ボガーダンの獣》には色を示すテキストが2つあります。これに《臨機応変》で色の単語「赤」を「白」に変えた後で、もう一枚の《臨機応変》で「白」を「緑」に変えた場合を考えましょう。

bogardan.jpg
slightofmind.jpg slightofmind.jpg


 2つの《臨機応変》の効果は共に第3種です。
 「白→緑」の効果を先に適用すると、2番目の能力の文章が書き換わります。その後、「赤→白」を適用すると、1番目の能力の文章が書き換わります。
 逆に、「赤→白」を先に適用してみましょう。すると、1番目の能力の文章が書き換わります。その後、「白→緑」を適用すると、この場合は1番目と2番目の文章が書き換わります。つまり、どの文章を書き換えるかが変わってしまいます。

 従って、「白→緑」の効果は、「赤→白」の効果に依存しています。適用は常に「赤→白」→「白→緑」の順で行われ、《ボガーダンの獣》は以下の絵で示されるようなテキストを持ちます。

006.jpg


少し補足

 さて、同じ種類別に分類された効果であっても、これまで説明してきた「特性定義能力」と「依存」、そして「タイムスタンプ」を考えれば全て処理できることになります。依存関係は直感とはことなる結果になることがよくあるので、落ち着いて考えることが大事です。

 種類別の中でも第4種と第6種、そして第7種は、現実のゲームでもよく見ます。
 このうち、依存関係が問題になるのは第4種と第6種です。第7種に関しては、依存を考える必要はありません。なぜなら、それらは全て他の効果とは依存していないからです。なので、第7種、つまりパワー/タフネスのみを考える場合、効果を第7種(第7a-第7e)として分類し、タイムスタンプ順に適用してください。


 それでは、今回の出題。

 

問 1

 以下の2枚のカードの組み合わせの内、効果が依存関係にあるカードの組み合わせはどれか。

a) 《奸謀》(宣言=ゴブリン)と《ゴブリンの酋長
b) 《奸謀》(宣言=ゴブリン)と《オパール色の輝き
c) 《オパール色の輝き》と《謙虚
d) 《謙虚》と《ゴブリンの酋長

humility.jpg


問 2

 (レガシーでよく見る場面からの問題です)

 AとBが対戦している。Aは《謙虚》を戦場に出している。Bは自分のコントロールする《ミシュラの工廠》を起動し、クリーチャーにした。

2-1) この《ミシュラの工廠》のパワー/タフネスはいくつか?
2-2) Bは、このクリーチャーにした《ミシュラの工廠》をタップしてマナを出せるだろうか?
2-3) Bはもう一枚の《ミシュラの工廠》をコントロールしている。
このクリーチャーにしていない方の《ミシュラの工廠》を起動し、クリーチャーにした《ミシュラの工廠》へ+1/+1の修整を与えることができるだろうか?

humility.jpg mishrasfactory.jpg


問 3

 店舗での一般大会でのこと。
 上位に入賞できそうなプレイヤー2人がゲームをしている。すでに最終戦も時間切れとなり、このままでは引き分けになってしまうことに彼らは気づいた。そうなると賞品が少なくなってしまうと考えた二人は、大会の責任者であるあなたを呼んでこう言った。

「このままだと引き分けに終わって面白くないので、試合結果をダイスの大小で決めたいです。いいですか? もちろん僕らは二人とも同意しています。」

 さて、あなたはどうすべきか。


問 4

 すでに問題の中で何回も出てきている《謙虚》だが、これは昔から解釈がややこしいカードである。良くある組み合わせは《オパール色の輝き》との相互作用である。そこで、以下の問題を考えてもらおう。

 あなたのターンに唱えた《蔵の開放》によって、以下のエンチャントが戦場に同時に出た。

 《オパール色の輝き
 《オパール色の輝き
 《謙虚
 《魔法の夜

 あなたは既に《平地》をコントロールしている。さて、上の4枚が戦場に出たら、この《平地》はどうなるだろうか? 

humility.jpg
ライター:testing

 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2 では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載される Friday Magic Quiz を毎週楽しみにしているファンも多い。
 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されている Friday Magic Quiz への氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称 FMQ としてお楽しみいただければ。

 ぜひ、この記事についてツイートしてください!


WPN からのお知らせ

 3/29 現在、以下の WPN プログラムならびにイベントが申請できます。

ゲートウェイ店舗
  • 全主催者向けイベントが申請できます
コア店舗
  • Japan - Friday Night Magic - May 2011
  • Magic Game Day - Action(ゲームデー)
  • SIDE EVENT Action(プレリリース主催者専用)
アドバンス店舗
  • Japan - Friday Night Magic - May 2011(毎週 2 回まで申請できます)
  • Prerelease - Action - Japan(2 回まで申請できます)
全主催者
  • Magic (認定イベント/個人戦・双頭巨人戦・チーム戦)
    • Block Constructed
    • Booster Draft
    • Extended
    • Legacy
    • Standard
    • Vintage
    • 2HG(双頭巨人戦は 2HG で始まる Game Format をご利用ください)
    • Trios(3人チーム戦は Trios で始まる Game Format をご利用ください)
  • Magic Casual Non-Rated (入門イベント/8人未満で開催したイベントやフリープレイ会の報告に)
    • Casual Non-Rated Constructed
    • Casual Non-Rated Limited
  • Magic Casual Non-Rated Multi-Player(入門イベント・多人数戦)
    • Casual Multi-Player - Archenemy
    • Casual Multi-Player - Commander
    • Casual Multi-Player - Emperor
    • Casual Multi-Player - Free-for-all
    • Casual Multi-Player - Grand Melee
    • Casual Multi-Player - Other
    • Casual Multi-Player - Planechase
  • Magic League(リーグ戦/戦争リーグなどの参加者報告に)
    • Casual Non-Rated Constructed
    • Casual Non-Rated Limited
WPN Material
  • Gateway Kit - Mirrodin Besieged - NAJP(店舗関係者用)
  • Event Support Kit - For non-retail locations(店舗を利用していない主催者用)
  • Membership Card Request(新規メンバーカードの請求)

 WPN プログラムの申請方法については、WPN 通信 第15回に詳しく記載がありますので、ご一読ください。それでもわからないことがありましたら wpnjapan@wizards.com へ気軽にご相談ください。


 各 WPN プログラムの申請スケジュールおよび大会日程、ならびに国内プレミアイベントの大会日程は Google カレンダーにまとめてありますので、よろしかったらご利用ください。

 公開されている Google カレンダーは、各自が利用しているスケジューラにインポートすることができます。

 Google アカウントを利用して自身のカレンダーに表示させたり、スマートフォンのスケジューラへインポートすることで、自分の予定表とリンクさせることができるようになります。「今週の大会はどうだったっけ?」と悩んでいるような方にお勧めです。

 それでは、また来週。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索