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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
第10回:「黒緑剣」のことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!
読み物
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
2011.03.28
第10回:「黒緑剣」のことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!
皆さんこんにちは、渡辺です。
今回も先週に引き続き、「一風変わったリミテッドの遊び方」を紹介していこうと思います。
前回紹介した遊び方は2人で遊ぶときのものでしたが、今回はもっと多い人数、6~8人くらいで楽しめるものを用意しました。
では早速どうぞ。
ロチェスタードラフト
通称「ロチェ」。
この方式は2005年まではプロツアーやグランプリで採用されていたフォーマットなので、ご存知の方も多いと思います。
では実際のやり方を説明しましょう。
- 用意するのは通常のドラフトと同じ、ブースター3パック。
- 8人のプレイヤーの席を決め、各プレイヤーに1~8の数字を時計周りで割り当てる。(6人の場合は1~6)
- 1番のプレイヤーからパックを開封してテーブルの上にパックを広げ、約20秒間の確認時間の後、パックの中から任意のカードをピック。
- その後2番→3番といった時計回りの順にピックを行っていき、8番のプレイヤーまでピックしたらそこから折り返して、逆時計回りでピックしていく。
- 1番のプレイヤーの開封したパックのカードが無くなったら、次は2番のプレイヤーがパックを開封。上と同様にピックをしてゆき今度は1番のプレイヤーで折り返す。
- 8番のプレイヤーのパックのピックが終わったら、2巡目へ突入。今度は8番のプレイヤーから逆時計周りでパックを開封していく。
- 2巡目も1巡目と同様にピックし、1番のプレイヤーまでピックし終えたら今度は3巡目へ。3巡目は1巡目と同じようにピックしていく。
- こうして全てのカードをピックし終えたらドラフト終了。カードプールからデッキを構築して対戦する。
"最後のロチェスター" 2005年プロツアー・名古屋 |
ピックの仕方はこんなところですね。
他に覚えておくことは、
- 自分が最後にピックしたカードは、常に周りから見えるように公開しておく。
- 自分のピックしたカードを確認は、各プレイヤーがパックを開封してカードをテーブルに並べたあとの約20秒の時間内なら確認できる。
- 初戦は対面と対戦する(1番なら5番のプレイヤー、など)。自分の両隣とは最終戦以外では当たらない。
ただこれは仲間内でやるときはきっちり守らなくても構いません。
本当は「ピック中喋ってはいけない」というルールもあるのですが、カジュアルに遊ぶ分にはそこまでガチガチにやる必要はないので、普通に喋りながら楽しんでやりましょう。
あとは、誰がパックを開封したか分かるように、パックを開封したプレイヤーと折り返すプレイヤーの間にマーカーを置くと分かりやすくて便利ですね。
1パックごと開けていくので通常のドラフトよりかなり時間がかかります。ピックだけで大体普通のドラフトの3倍くらいはかかりますね。慣れてない場合はもっとかかります。
なので、やる場合は時間的制約が無い状態でやると良いでしょう。
プロツアーやグランプリで行われなくなったのも、時間がかかりすぎるという理由が挙げられます。他にも席によって有利不利が出てしまうというルール上の欠点が見つかったことが挙げられますね。
最近ではThe Limitsの決勝でもこの方式が使われています。
もっとも、The Limitsではブースターパックを開けるのではなく、最新のセットにある全てのカードを使って行うので規模が大幅に違いますが。実際にThe Limitsのピックを見ていたことがあるのですが、ピックだけで膨大な時間を使うので見てるだけで疲れてしまいました。見ているだけでこれなのでやっている本人たちはもっと大変なのでしょうね。
ちょっと話が脱線しました。
とにかくこのロチェスタードラフトというのは、もう公式戦でやれる機会はほぼ皆無といってもいいフォーマットです。
実際、これを書いている筆者も、プロツアーやグランプリのような大きいイベントでロチェをやったことはありません。あくまで単純に何回か卓を囲んで遊んだことがある、という程度です。
ただそんな遊びでも、全てのピックが見えて卓の状況が分かっているときに自分はどのようにピックすれば良いか、上下の住み分けの配慮など、考える点が多くかなり奥の深いフォーマットだと感じました。
練習でもかなり面白いと感じたので、大舞台での本番の空気を味わえなかったのはちょっとだけ心残りですね。
全てのピックが見えているというのは普段のドラフトとはまったく別のドラフトになるというのを実感できます。興味のある方は是非やってみてください。
バックドラフト
これもロチェスターと同様、普段のドラフトとはまったく違うドラフトを味わえます。
何といっても、「自分のピックしたカードを自分で使うことが出来ない」ですからね。
何を言っているか分からないと思うので、説明しましょう。
といっても、ルール自体は非常に簡単です。
ピックの方法は通常のドラフトと一緒で、ただ決定的に違うのが1点。
- 自分のピックしたカードを対戦相手が使い、ゲームをする。
この目を疑いたくなるような一文が、バックドラフトの真骨頂です。
つまり自分のピックしたカードプールはそのまま対戦相手が使うので、自分が勝つためには自分のカードプールをどれだけ弱く、また組みづらくするかがピックの焦点となります。
普段は絶対初手で取るような強力カードたちには目もくれず、脇でいつも寂しそうにしていた彼らを初手でピックする光景はかなりシュールです。最終手に流れてくる、いつもなら喜んで初手で取るカードがくると思わず笑ってしまいますね。
ピックの基準として、「どれだけ弱いカードを取るか」と、「いかにして強いカードを使わせないか」というものがあります。パックの後半では、どうしても強力なカードしかないようなパックが回ってくるので、そういったカードを上手く使わせないかが非常に重要です。
例えば1パック目の最終手で1枚でゲームに勝ててしまうようなカードを「掴まされて」しまった場合は、2パック目以降はその色のカードを極力取らない、といったことをして、できるだけ強力なカードを使うことができないようなカードプールを目指すことが重要ですね。
カードの色マナ拘束も、シングルシンボルよりもダブルシンボルのほうがデッキのマナベースが厳しくなるので、ダブルシンボルのカードを各色均等に取っておけば容易にはデッキが組めません。シングルシンボルの重いカードはタッチして使われてしまうので出来るだけ取らないようにしたほうがいいですね。
またカードプール内でのかみ合いは起こさせないようにしましょう。例えば色付きの金属術のカードを固め取りしてアーティファクトは極力取らない、というようにすればその金属術関係のカードはほとんど使えなくなりますからね。
そういった点を踏まえて「できるだけカードを上手く使うことが出来ないようなプール」を目指してドラフトしましょう。
よくできたカードプールを押し付けられたときの相手は非常にイイ顔をしてくれますね!
バックドラフトは一戦ごとに相手のカードプールを受け取りデッキを組むので、これもそれなりに時間がかかります。もっともロチェほどではないので、大人数で集まって気持ちよく遊びたいときにはオススメです。
特にピックしている瞬間はかなり面白いので、是非一度やってみてほしい遊び方ですね。
せっかくの機会なので、包囲戦のカードでバックドラフト的には優秀なカードをいくつか紹介します。
《大あわての回収》
ナイス4マナ1ドロー。回収したいようなカードは取らなければ良い。
文句なしの初手。
《分裂の操作》
ナイスランパン=《不屈の自然》。強いカード2枚被るなんてほとんどないっす!
初手っすね。
《恐ろしき天啓》
アドバンテージは失ってないっすよ!得てもいませんけど。
ナイス初手。
今回はここまで。
今回紹介した二つは両方とも時間のかかるものですが、それに見合った面白さを提供してくれるものだと思います。
普通にドラフトをするのに飽きてしまったという方は是非遊んでみてください。
先週と今週とで、いろんなリミテッドの遊び方を紹介しましたが、如何でしたか?
どれか一つでも興味を持ってもらって実際に遊んでもらえたら幸いです。
では今回はこの辺で。また来週お会いしましょう。
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