READING

戦略記事

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

新セット発売&ローテーション 新環境攻略!

津村 健志
kenjitsumura.jpg

 こんにちは! 晴れる屋の津村です。

 『ラヴニカのギルド』がリリースされ、ローテーションとともに大きく姿を変えたスタンダード環境。来たる「The Finals 2018 エリア代表決定戦」に向けて、今週はそんな新環境の中から大型大会で結果を残したものや、Magic Onlineで対戦する機会が多かったデッキなどを特集していきたいと思います。

finals_area.png

 それでは、まずは「StarCityGame.com Standard Classic Dallas」(参加者:148名)でトップ8に残ったデッキをご覧ください。

「StarcityGame.com Standard Classic Dallas」トップ8デッキ
  • 優勝・「ゴルガリ・ミッドレンジ」
  • 準優勝・「赤単ミッドレンジ」
  • 3位・「ボロス・ミッドレンジ」
  • 4位・「ディミーア・ミッドレンジ」
  • 5位・「ボロス・ミッドレンジ」
  • 6位・「エスパー・コントロール」
  • 7位・「ゴルガリ・ミッドレンジ」
  • 8位・「ゴルガリ・ミッドレンジ」

 新環境で早くも頭角を現しているのが「ゴルガリ (黒緑)・ミッドレンジ」です。上記大会を制したのみならず多くの大会で好成績を残していますし、Magic Onlineで当たる回数もダントツで多いデッキです。一口に「ゴルガリ・ミッドレンジ」といっても、《ラノワールのエルフ》の有無に始まり、プレインズウォーカーを一切採用せずに《不滅の太陽》を使用したバージョンがあったりと、そのバリエーションは多岐にわたります。

 現時点でどのバージョンがベストか自分の中で結論を出すまでには至りませんでしたが、デッキの動きや各カードの役割に関してはある程度把握できたつもりなので、その辺りを重点的にお伝えしていければと思います。

「ゴルガリ・ミッドレンジ」 (《ラノワールのエルフ》採用型)

Maxwell Jones - 「ゴルガリ・ミッドレンジ」
StarCityGame.com Standard Classic Dallas 優勝 / スタンダード (2018年10月21日)[MO] [ARENA]
8 《
7 《
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《マーフォークの枝渡り
3 《探求者の従者
3 《野茂み歩き
4 《翡翠光のレインジャー
3 《貪欲なチュパカブラ
2 《ゴルガリの拾売人
3 《破滅を囁くもの
-クリーチャー(26)-
2 《暗殺者の戦利品
3 《採取 // 最終
3 《ビビアン・リード
3 《秘宝探究者、ヴラスカ
-呪文(11)-
2 《殺戮の暴君
3 《強迫
3 《渇望の時
1 《暗殺者の戦利品
2 《ヴラスカの侮辱
1 《最古再誕
1 《採取 // 最終
2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 「ゴルガリ」は序盤から終盤にかけて絶えず強力なアクションが取れるのが最大の長所で、ほぼすべてのバージョンに共通しているのが《探求者の従者》、《マーフォークの枝渡り》、そして《翡翠光のレインジャー》といった三種の「探検」クリーチャーを採用して、序盤の安定性を高めるとともに高い打点を確保している点です。

 採用枚数に差こそあれど、これらの「探検」クリーチャーと強力なシナジーを奏でる《野茂み歩き》もほとんどのリストで採用されています。

 《野茂み歩き》の成長速度とライフ回復能力は驚くべきもので、一度サイズが上がり始めればビートダウンデッキなどにはそれだけでゲームを掌握してしまえるだけの力があります。特に赤が絡むデッキに対してはそれが顕著で、「ゴルガリ・ミッドレンジ」が序盤から隙のないデッキたらしめている大きな要因となっています。

 そしてこれらのクリーチャーで序盤をやり過ごしてしまえば、ゲーム終盤はゴルガリが誇る優秀なフィニッシャー軍団が盤面を彩ります。

 5マナ以上のカード選択も人によってバラつきがありますが、この中でずば抜けた性能を誇るのが《ビビアン・リード》です。いずれの能力も非常に強力なプレインズウォーカーですが、特に[-3]能力が秀逸で、《イクサランの束縛》のようなエンチャント除去呪文や飛行クリーチャーを環境から追いやってしまったりと、現スタンダードを定義する1枚となっています。また、[+1]能力連打から[-8]という動きだけでも十分に強力であるため、ミラーマッチのように[-3]能力がほとんど活用できないゲームにおいても抜群の存在感を放ちます。個人的に5マナ以上のカードの中で《ビビアン・リード》を3枚採用するのは確定で、それをいち早くキャストできるようになる《ラノワールのエルフ》を採用している上記のような形が好みです。

 6マナ域は《秘宝探究者、ヴラスカ》の採用率が最も高く、《殺戮の暴君》がそれに続き、他には《千の目、アイゾーニ》を1枚採用しているリストが散見されます。

 個人的には《殺戮の暴君》こそが至高の6マナ域だと感じています。その理由としては、青系のコントロールデッキに強力なのはもちろんのこと、ミラーマッチでも《殺戮の暴君》→《最終》の流れを止めるのが困難だからです。《殺戮の暴君》があまり効果的でない赤系や白系の高速ビートダウンに対しては、そもそも6マナのカード全般がイマイチなことがほとんどですし、強い相手が明確な《殺戮の暴君》が今のところ最も評価が高いですね。

 《採取 // 最終》もまた、このデッキの強さを支える1枚です。《採取》は《野茂み歩き》と「探検」クリーチャーをセットで回収したり、《貪欲なチュパカブラ》や《殺戮の暴君》のようなクリティカルなカードを拾ったりと、とても2マナとは思えない劇的な効果をもたらします。もう一方の《最終》もこのデッキにとって絶望的な横並びの展開を1枚で解決してくれますし、ミラーマッチを筆頭にこのカードが効果的なデッキは多岐にわたるため、少なくともメインデッキとサイドボードで合わせて3枚は採用しておきたいカードですね。

サイドボードで注目のカード

 「ゴルガリ・ミッドレンジ」はすでに王者の風格が漂い始めているので、その分対策も進んでいます。特に多くの白いデッキが採用している《トカートリの儀仗兵》が最たる例で、サイドボードはこれに対応できるカードが必須となります。

 これに最も効率よく対処できるのは、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》と《ヴラスカの侮辱》だと思います。どちらも汎用性に長けているので、仮に《トカートリの儀仗兵》が出てこなかったとしても手札に余るようなことがありませんし、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》ならばアドバンテージを獲得しつつ[-9]での勝利を狙うこともできてしまいます。そのため、《トカートリの儀仗兵》が流行り続けている限りは《ゴルガリの女王、ヴラスカ》はまず第一にサイドボードに用意しておきたいカードですね。

 上記リストには採用されていないものの、ここ数日でサイドボードでよく見かけるようになったカードが《貪る死肉あさり》です。主に後述の「イゼット・フェニックス」対策がその理由として挙げられますが、実はミラーマッチでも《ゴルガリの拾売人》や《採取》で決定的なカードを拾うのを妨害したりとそこそこ役に立つので、メインに採用しているプレイヤーもいるほどです。採用の是非は「イゼット・フェニックス」の流行り具合に左右されるでしょうが、現時点で「イゼット・フェニックス」は「ゴルガリ・ミッドレンジ」と同等、またはそれ以上に当たる回数が多いので、少なくともしばらくの間は採用しておいて損のないカードだと思います。

 

「イゼット・フェニックス」

MblH - 「イゼット・フェニックス」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年10月17日)[MO] [ARENA]
7 《
6 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
1 《イゼットのギルド門
-土地(22)-

4 《ゴブリンの電術師
4 《弧光のフェニックス
4 《弾けるドレイク
-クリーチャー(12)-
4 《選択
4 《ショック
4 《航路の作成
4 《急進思想
3 《溶岩コイル
2 《標の稲妻
1 《薬術師の眼識
4 《発見 // 発散
-呪文(26)-
2 《パルン、ニヴ=ミゼット
2 《火想者の研究
1 《溶岩コイル
3 《焦熱の連続砲撃
2 《火による戦い
2 《イオン化
1 《薬術師の眼識
1 《苦悩火
1 《イゼット副長、ラル
-サイドボード(15)-
 

 今Magic Onlineで最も旬なデッキが「イゼット (青赤)・フェニックス」です。今週はとにかくこのデッキに当たる回数が多かったですし、かくいう僕もこのデッキの大ファンで、もし明日プロツアーがあるのならこのデッキで参加します。

基本的な動きとドロー呪文をキャストする順番

 このデッキは《弧光のフェニックス》を最大限に活用すべく構築されたデッキです。《弧光のフェニックス》を《発見 // 発散》の《発見》でライブラリーから直接墓地に送ったり、手札に来てしまった《弧光のフェニックス》は《航路の作成》や《急進思想》の「再活」で墓地に落とせば準備完了。あとはデッキに入っている大量のインスタント・ソーサリー呪文を駆使して《弧光のフェニックス》を戦場に戻し、攻撃に移ることになります。

 手札に《弧光のフェニックス》がない状況でドロー呪文をキャストする順番としては、《発見 // 発散》・《急進思想》→《選択》→《航路の作成》・《急進思想》の「再活」が理想です。この順番であれば途中で引いてしまった《弧光のフェニックス》をきちんと墓地に落とすことができますし、《弧光のフェニックス》の落ち方が悪かった場合や、相手の初速が遅くて焦る必要がないときに選べるプランの幅が広いからです。

 《ゴブリンの電術師》がいない状況下では、1マナのカードである《選択》と《ショック》の有無で《弧光のフェニックス》を戦場に戻せるターンが変化するので、これらのカードは他のデッキと比べて少し慎重に使うように意識しましょう。

 また、《弧光のフェニックス》は普通にキャストしても決して悪くないカードです。対戦相手の初速が遅かったり除去呪文を使って減速させることに成功したなら、《弧光のフェニックス》を手札からキャストし対処を迫ったうえで墓地から戻してもいいですし、状況に応じてさまざまなプランが取れるのもこのデッキの魅力のひとつです。《弧光のフェニックス》をおとりにすることで、このデッキのもうひとつの軸である《弾けるドレイク》が生き残りやすくなったりもしますね。

 このデッキにとって最大の追い風は、現時点で環境のトップに君臨する「ゴルガリ・ミッドレンジ」が《ビビアン・リード》と《ゴルガリの女王、ヴラスカ》を擁しているために、《弧光のフェニックス》の天敵である《封じ込め》や《イクサランの束縛》がほとんど使われていないことです。それゆえに《弧光のフェニックス》の対処は困難を極めますし、デッキによってはサイドボード後でも後腐れなく対処することができません。

 このデッキの隆盛とともに《貪る死肉あさり》が採用されるようになったり、今後は今以上に《溶岩コイル》や《ヴラスカの侮辱》の枚数が増えると予想してはいるものの、「ゴルガリ・ミッドレンジ」が幅を利かせている限り環境的に白い追放除去系のエンチャントが使いづらいという事実は、このデッキにとって非常に望ましい状況です。

サイドボードの注目カード:多角的な攻め手

 メインデッキで《弧光のフェニックス》という対処の難しい脅威を主軸にしている「イゼット・フェニックス」ですが、サイドボード後はそれに拍車をかけるべく多角的な勝ち手段が用意されています。

 《パルン、ニヴ=ミゼット》は青いデッキ全般と「赤単ミッドレンジ」系のデッキに強力無比な1枚。これもまた、「環境的に白い追放除去エンチャントが少ない」ことの恩恵を受けているカードです。青いデッキに対しては《ドミナリアの英雄、テフェリー》・《イゼット副長、ラル》の[-3]能力で対処されるという弱点があるので、焦ってフルタップで出すのではなく、ドロー呪文と組み合わせて自身の能力でプレインズウォーカーを落とせるマナが溜まるまで待つか、打ち消し呪文のバックアップ、または返すターンで《弧光のフェニックス》でプレインズウォーカーを迎撃できるターンまで待つのが理想となります。

 続く《火想者の研究》は、サイドボードで一番のお気に入りです。このカードをサイドインする相手は《パルン、ニヴ=ミゼット》と似通ったものですが、2ターン目に設置してしまえばほとんど対処される心配はありませんし、あとは呪文を連打しているだけでアドバンテージで対戦相手を圧倒してしまえます。それにこのデッキにとって5つの「蓄積カウンター」など朝飯前なので、対戦相手の《パルン、ニヴ=ミゼット》やプレインズウォーカーを容易に対処できる点も秀逸ですね。サイドボード後はこのカードだけで勝てる展開が思いのほか多かったですし、ミラーマッチで最も効果的かつ初手に欲しいカードなので、3~4枚目の採用も検討に値するかもしれません。その際には《火想者の研究》を設置して受け身に徹するパターンが増えると思うので、サイドボードの打ち消し呪文の増量も合わせて検討しましょう。

 最後の《イゼット副長、ラル》も多角的な攻め手を助ける1枚。[+1]能力は歴代でも屈指のドロー操作ですし、[-8]はゲームに勝利することと同義な強力なプレインズウォーカー。今のところ《火想者の研究》の方が圧倒的に評価は上なのですが、やはり対戦相手からすると《火想者の研究》一辺倒よりもプレインズウォーカーもあった方が対応が難しいと思いますし、戦場に出さえすれば劇的なので、僕も1枚だけ採用しています。

クリーチャーの取捨選択

 現時点ではクリーチャーの選択が人によって分かれています。《ゴブリンの電術師》と《弧光のフェニックス》はほぼ確定で4枚ずつ採用されているものの、《弾けるドレイク》に加えて《奇怪なドレイク》を採用している人もいれば、《弾けるドレイク》のスロットに《再燃するフェニックス》を採用している人もいます。

 《奇怪なドレイク》まで採用している場合には《潜水》を使ってクリーチャーを守りやすくしたり、《最大速度》で一撃必殺を狙ったりと細部にも違いが見受けられますね。

 一方の《再燃するフェニックス》は、《弧光のフェニックス》と同じく対処が難しいクリーチャーとしてお馴染みです。まだ僕自身は試せていないものの、実際に対峙してみてこのフォーメーションは相当にくみしづらいと感じたので、今週末に真っ先に試してみようと思っています。

 このデッキはまだまだ登場したばかりではありますが、すでに対策される側に回っていることからもデッキパワーはかなり高いと思いますし、今週の「The Finals 2018エリア代表決定戦」やグランプリでの活躍が最も楽しみなデッキです。

 

「ジェスカイ・コントロール」

MrCafouillette - 「ジェスカイ・コントロール」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年10月14日)[MO] [ARENA]
5 《
1 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
4 《氷河の城砦
4 《聖なる鋳造所
3 《断崖の避難所
-土地(25)-

2 《弾けるドレイク
-クリーチャー(2)-
4 《選択
4 《活力回復
2 《本質の散乱
1 《軽蔑的な一撃
1 《裁きの一撃
1 《稲妻の一撃
1 《否認
1 《アズカンタの探索
4 《轟音のクラリオン
4 《悪意ある妨害
3 《薬術師の眼識
1 《中略
2 《発展 // 発破
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー
1 《イゼット副長、ラル
-呪文(33)-
3 《軍勢の戦親分
1 《弾けるドレイク
1 《豊潤の声、シャライ
1 《パルン、ニヴ=ミゼット
2 《否認
2 《封じ込め
1 《軽蔑的な一撃
1 《本質の散乱
1 《神聖の発動
2 《絶滅の星
-サイドボード(15)-
 

 こちらはコントロールの筆頭株である「ジェスカイ (青白赤)・コントロール」。クリーチャーの入っていないオーソドックスなリストをご紹介しようと思っていたのですが、何度かMagic Onlineで当たって気になった《弾けるドレイク》の入ったバージョンをご覧ください。

 このようなほぼノンクリーチャーのデッキに採用されていると、ただ相手の余っている除去の対象になるだけではないかと懸念していましたが、それを補って余りあるほどに《弾けるドレイク》は魅力的です。まず戦場に出ればカードが引けるので、ただの除去呪文であればカードカウントで損をすることがありません。それに多くても4回程度の攻撃で勝利することができますし、《轟音のクラリオン》の「絆魂」を付ける能力とも相性抜群。もちろんブロッカーとしても優秀で、このカラーリングの最大のガンとされる《アダントの先兵》をもしっかりと受け止めてくれますし、ときには《殺戮の暴君》と相打ちできることも。

 《弾けるドレイク》搭載型の「ジェスカイ」の多くに採用されている注目カードのひとつが、《活力回復》です。ライフ回復にキャントリップとコントロールデッキのために生まれてきたようなカードですが、このデッキではさらに《弾けるドレイク》のパワーアップにも寄与してくれます。今のところ《弾けるドレイク》型以外ではあまり採用されていないようですが、ノンクリーチャー型に採用されていてもおかしくない性能ですし、今後さらに露出が増えるかもしれません。

 《弾けるドレイク》、《轟音のクラリオン》、《薬術師の眼識》に《裁きの一撃》と、「ジェスカイ・コントロール」が『ラヴニカのギルド』で得た恩恵は計り知れませんが、その中で最も大きな影響を与えたのは《発展 // 発破》ではないかと思います。初見では全く評価していなかったカードなのですが、《発破》は《スフィンクスの啓示》を彷彿とさせる強力な効果で、ゲーム終盤ならばプレインズウォーカーを対処したり本体を焼き切ることができます。そして、このカードを過小評価してしまっていた最大の原因が《発展》の強さを見誤っていたことです。自身のデッキだけを見ても《活力回復》、《轟音のクラリオン》などコピーしがいのあるカードがたくさんありますが、対戦相手の打ち消し呪文やドロー呪文をコピーする機会も多く、非常に使い勝手のいいカードでした。

サイドボードの注目カード

 ここ最近、「ジェスカイ」系のデッキで注目を集めているのが《絶滅の星》です。突如として日の目を浴びるようになったカードですが、このカードの主な目的はもちろん《殺戮の暴君》対策です。《殺戮の暴君》だけを意識するのであれば《残骸の漂着》や《浄化の輝き》でも問題ありませんが、《絶滅の星》の利点はプレインズウォーカーにも対処できるので裏目が少ないことですね。

 また、土地を破壊する効果も思いのほか有効で、2枚目以降の《殺戮の暴君》のキャストを遅らせたり、《愚蒙の記念像》のような能力付きの土地を壊すことでアドバンテージを獲得できたりもします。なお、《絶滅の星》は土地のみを対象にしているため、対象の土地がなくなってしまうとルールによって呪文が打ち消されて効果を発揮できなくなるので、決して起動ができる状態の《愚蒙の記念像》を対象にしないようにご注意を。

 もう1枚、これから注目度が増すであろうカードが《封じ込め》。繰り返しになりますが《ビビアン・リード》と《秘宝探究者、ヴラスカ》などの影響でメインには採用しづらいものの、これがなければ《アダントの先兵》や《弧光のフェニックス》にかなりの苦戦を強いられてしまいます。そのため、今後はサイドボードに3~4枚目の採用が増えるのではないかと予想しています。

 

「白単アグロ」

Yogi_Brown - 「白単アグロ」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年10月24日)[MO] [ARENA]
21 《平地
-土地(21)-

4 《追われる証人
2 《不屈の護衛
2 《空渡りの野心家
4 《アダントの先兵
4 《善意の騎士
3 《悔恨する僧侶
4 《ベナリアの軍司令
4 《敬慕されるロクソドン
-クリーチャー(27)-
3 《軍団の上陸
1 《不可解な終焉
1 《征服者の誇り
4 《ベナリア史
3 《議事会の裁き
-呪文(12)-
2 《報奨密偵
2 《トカートリの儀仗兵
4 《防御牝馬
2 《不可解な終焉
1 《魔術遠眼鏡
2 《イクサランの束縛
2 《暴君への敵対者、アジャニ
-サイドボード(15)-
 

回転

クリックで《一番砦、アダント》に変身します

 現環境のビートダウンで、最も驚異的な速度と展開力を誇るのがこちらの「白単アグロ」です。怒涛のクリーチャーラッシュから繰り出される《ベナリアの軍司令》と《敬慕されるロクソドン》は迫力満点で、《一番砦、アダント》による若干の粘り強さも合わせ持つデッキです。

 《黄金の死》や《轟音のクラリオン》といった全体除去呪文なしではこの攻勢を防ぐのは不可能に近いので、軽量ビートダウンが軽視される状況ならば大いに期待が持てるデッキですね。時間の都合でこのデッキではMagic Onlineのリーグに1回しか参加できませんでしたが、「イゼット・フェニックス」に3回当たって3戦全勝とそこそこ相性が良さそうに感じたので、「イゼット・フェニックス」が流行るようであれば今以上の活躍が期待できるかもしれません。

 

「今週の一押し:ディミーア・ミッドレンジ」

Justin Rouse - 「ディミーア・ミッドレンジ」
StarCityGame.com Standard Classic Dallas 4位 / スタンダード (2018年10月21日)[MO] [ARENA]
7 《
6 《
4 《湿った墓
4 《水没した地下墓地
1 《愚蒙の記念像
1 《天才の記念像
2 《廃墟の地
-土地(25)-

3 《血の刺客
1 《夜帷の捕食者
4 《破滅を囁くもの
2 《夢喰い
-クリーチャー(10)-
2 《菌類感染
4 《思考消去
2 《喪心
2 《渇望の時
1 《軽蔑的な一撃
4 《虚報活動
4 《ヴラスカの侮辱
2 《煤の儀式
2 《最古再誕
2 《発見 // 発散
-呪文(25)-
4 《正気泥棒
2 《強迫
1 《菌類感染
2 《アルゲールの断血
2 《否認
1 《軽蔑的な一撃
1 《渇望の時
1 《漂流自我
1 《煤の儀式
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 「今週の一押し」は、《虚報活動》と《血の刺客》を《破滅を囁くもの》で心行くまで堪能する「ディミーア・ミッドレンジ」を。

 基本的には除去などで時間を稼ぎつつ《虚報活動》を繰り返し利用することでアドバンテージ差を広げ、最後は《破滅を囁くもの》や《夢喰い》で蓋をすることになります。最初にリストを見たときには『ラヴニカのギルド』のカードの多さに驚いてしまいましたが、《血の刺客》がナチュラルに《弧光のフェニックス》に強かったり、本来ならこのカラーリングが苦手とする《殺戮の暴君》にも《思考消去》や《夜帷の捕食者》でしっかり対処できたりと、環境に合致したカードが多く好印象を受けました。

 僕は《虚報活動》や《正気泥棒》などのアドバンテージの塊のようなカードが大好きなので、そういったカードがお好きな方や新カード/キーワード能力を満喫したい方にお勧めのデッキです。

 

おわりに

 今週の『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ』は以上です。本文にも記したようにプロツアーが今週に開催されるのなら「イゼット・フェニックス」で参加したかったので、「The Finals 2018エリア代表決定戦」、そして海外で開催される2つのグランプリでこのデッキがどれくらい活躍するのか楽しみでなりません。「イゼット・フェニックス」のように突如として現れたデッキがメタゲームの中心に食い込んでくる可能性もあるでしょうし、まだまだ新環境から目が離せませんね!

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索