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戦略記事

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

グランプリ直前! プロツアーからの環境の変遷特集

津村 健志

 こんにちは。晴れる屋の津村です。

 今週末に、日本国内では初となるダブルグランプリ(レガシースタンダード)が静岡で開催されます。僕はレガシーもスタンダードも大好きなのでどちらも非常に楽しみにしておりますが、両方のフォーマットを満足いくまで練習するのは難しかったので、主にスタンダードに時間を割いて練習してきました。

 というわけで、今週はプロツアー『ラヴニカのギルド』から今週までのスタンダードのメタゲームを振り返りつつ、各デッキの最新リストをお届けしていきたいと思います。まずは簡単にメタゲームのおさらいからチェックしていきましょう。

プロツアー『ラヴニカのギルド』からのメタゲームの変遷

第一章:白系アグロの繁栄と衰退

★「プロツアー『ラヴニカのギルド』」トップ8デッキ(11月9~11日開催)

  • 優勝・「ボロス・アグロ」
  • 準優勝・「ボロス・アグロ」
  • 3位・「ボロス・アグロ」
  • 4位・「ボロス・トークン」
  • 5位・「ジェスカイ・コントロール」
  • 6位・「ボロス・アグロ」
  • 7位・「ボロス・アグロ」
  • 8位・「イゼット・フェニックス」

 プロツアーで最も大きな話題となったのは、白系アグロの隆盛です。トップ8のうち6つを占める大車輪の活躍で、瞬く間にメタゲームのトップに躍り出たのです。

Andrew Elenbogen - 「ボロス・アグロ」
プロツアー『ラヴニカのギルド』 優勝 / スタンダード (2018年11月9~11日)[MO]
14 《平地
4 《聖なる鋳造所
2 《断崖の避難所
-土地(20)-

4 《不屈の護衛
4 《空渡りの野心家
4 《短角獣の歩哨
2 《癒し手の鷹
4 《アダントの先兵
4 《ベナリアの軍司令
4 《敬慕されるロクソドン
-クリーチャー(26)-
4 《軍団の上陸
2 《征服者の誇り
4 《ベナリア史
4 《議事会の裁き
-呪文(14)-
4 《トカートリの儀仗兵
3 《実験の狂乱
2 《反応+反正
1 《苦悩火
3 《暴君への敵対者、アジャニ
2 《断崖の避難所
-サイドボード(15)-

Luis Scott-Vargas - 「ボロス・アグロ」
プロツアー『ラヴニカのギルド』 準優勝 / スタンダード (2018年11月9~11日)[MO]
12 《平地
4 《聖なる鋳造所
4 《断崖の避難所
-土地(20)-

4 《不屈の護衛
4 《癒し手の鷹
4 《レオニンの先兵
3 《空渡りの野心家
4 《アダントの先兵
4 《アジャニの群れ仲間
4 《ベナリアの軍司令
-クリーチャー(27)-
4 《軍団の上陸
3 《征服者の誇り
4 《ベナリア史
2 《議事会の裁き
-呪文(13)-
2 《正義の模範、オレリア
3 《不可解な終焉
4 《実験の狂乱
2 《議事会の裁き
1 《残骸の漂着
2 《苦悩火
1 《
-サイドボード(15)-
 

 このまましばらくの間は白系アグロがスタンダードを席捲するものかと思いきや、白系アグロの繁栄は長く続きませんでした。出る杭は打たれるという言葉通り過剰なほどに対策が進み、プロツアーから1週間も経たないうちにMagic Onlineでは白系アグロが著しく数を減らしていたのです。

 例えば、プロツアー直後にゴルガリはサイドボードに《黄金の死》と《煤の儀式》を両方とも採用しているような状況でしたし、他のデッキもそれと同様にしっかりとした白系アグロ対策を施していました。プロツアーの結果が示すように白系アグロは非常に強力なデッキではあるのですが、このような状態では勝ち切るのが難しく、徐々に数を減らしていったというわけです。そして、プロツアー後にメタゲームを牽引する存在となったのは、「ゴルガリ(黒緑)・ミッドレンジ」と「ジェスカイ(青赤白)・コントロール」のふたつでした。

第二章:リストが洗練された「ゴルガリ・ミッドレンジ」と「ジェスカイ・コントロール」

★「グランプリ・ミルウォーキー2018」トップ8デッキ(11月17~18日開催)

  • 優勝・「ジェスカイ・コントロール(《宝物の地図》型)」
  • 準優勝・「ゴルガリ・ミッドレンジ」
  • 3位・「ジェスカイ・コントロール」
  • 4位・「ゴルガリ・ミッドレンジ」
  • 5位・「ゴルガリ・ミッドレンジ」
  • 6位・「ゴルガリ・ミッドレンジ」
  • 7位・「白単アグロ」
  • 8位・「イゼット・フェニックス」

 これらふたつのデッキは環境初期からメタゲームの上位に位置していましたが、メタゲームが固まってきたことでデッキリストが洗練され、プロツアーの前よりも安定感が増したような印象を受けています。グランプリ・静岡2018でも、このふたつのデッキが最多を占めると予想していますし、そこから少し数が離れて白系アグロや「イゼット・フェニックス」がそれに続くと思われます。

 

 それでは、まずは「ゴルガリ・ミッドレンジ」の最新リストをご覧ください。

「ゴルガリ(黒緑)・ミッドレンジ」

morticiansunion - 「ゴルガリ・ミッドレンジ」
Magic Online Standard MOCS #11712640 8勝0敗 / スタンダード (2018年11月24日)[MO]
8 《
5 《
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
3 《愚蒙の記念像
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《マーフォークの枝渡り
4 《野茂み歩き
2 《探求者の従者
4 《翡翠光のレインジャー
2 《真夜中の死神
3 《貪欲なチュパカブラ
2 《殺戮の暴君
-クリーチャー(25)-
2 《喪心
3 《ヴラスカの侮辱
3 《採取+最終
3 《ビビアン・リード
-呪文(11)-
2 《貪る死肉あさり
2 《真夜中の死神
2 《打ち壊すブロントドン
1 《殺戮の暴君
4 《強迫
1 《暗殺者の戦利品
3 《黄金の死
-サイドボード(15)-
 

 「ゴルガリ・ミッドレンジ」は、プロツアーで8勝2敗を記録したマット・ナス/Matt Nass選手のリスト(参考ページ:英語)が主流になっています。このリストはとても3週間前とは思えないほどの完成度で、多くの記事で大絶賛されていました。

 メインデッキから《野茂み歩き》と《採取+最終》があり、サイドボードにも《黄金の死》が採用できるので白系のアグロに有利な構成です。

 その一方で、メインデッキは少しコントロール相手に苦戦を強いられるので、サイドボードには4枚の《強迫》、そして追加の《真夜中の死神》と《殺戮の暴君》でしっかりと対策してあります。

 メインデッキの構成は、《真夜中の死神》と除去呪文以外はほとんど固定化されています。ナス選手が採用していた《破滅を囁くもの》はクロックが早いので白系アグロや赤系アグロに強いカードで、逆に《真夜中の死神》はミラーマッチやコントロールデッキに強い1枚です。

 もしもアグロデッキが少ないと予想するのであれば、三原(槙仁)さんが使用したマナクリーチャー多めの構成も一考に値するでしょう。

三原 槙仁 - 「ゴルガリ・ミッドレンジ」
プロツアー『ラヴニカのギルド』 スタンダード部門 8勝2敗 (2018年11月9~11日)[MO]
8 《
5 《
4 《草むした墓
4 《森林の墓地
1 《愚蒙の記念像
1 《進化する未開地
-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《僧帽地帯のドルイド
4 《マーフォークの枝渡り
4 《翡翠光のレインジャー
3 《貪欲なチュパカブラ
1 《ゴルガリの拾売人
4 《殺戮の暴君
-クリーチャー(24)-
1 《暗殺者の戦利品
1 《喪心
2 《ヴラスカの侮辱
1 《最古再誕
3 《採取+最終
2 《ウルザの後継、カーン
1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
2 《ビビアン・リード
-呪文(13)-
3 《野茂み歩き
2 《貪る死肉あさり
1 《打ち壊すブロントドン
4 《強迫
1 《アルゲールの断血
2 《黄金の死
1 《最古再誕
1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
-サイドボード(15)-
 

「ジェスカイ(青赤白)・コントロール」

Isaak Krut - 「ジェスカイ・コントロール」
グランプリ・ミルウォーキー2018 3位 / スタンダード (2018年11月17~18日)[MO]
6 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
4 《氷河の城砦
4 《聖なる鋳造所
4 《断崖の避難所
-土地(26)-

3 《弾けるドレイク
2 《パルン、ニヴ=ミゼット
-クリーチャー(5)-
4 《選択
3 《封じ込め
1 《本質の散乱
1 《裁きの一撃
1 《否認
4 《轟音のクラリオン
4 《悪意ある妨害
4 《薬術師の眼識
1 《残骸の漂着
3 《中略
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(29)-
3 《軍勢の戦親分
2 《黎明をもたらす者ライラ
2 《裁きの一撃
2 《否認
1 《焦熱の連続砲撃
1 《神聖の発動
2 《イクサランの束縛
2 《絶滅の星
-サイドボード(15)-
 

 「ジェスカイ・コントロール」もまた、環境が成熟するにつれてリストが固まってきました。

 前回紹介したリストとの大きな違いは、白単アグロや「イゼット・フェニックス」の隆盛を受けて《封じ込め》がメインに昇格したことでしょう。また、《パルン、ニヴ=ミゼット》や各種ドレイクを2マナで対処できる《裁きの一撃》も今のメタゲームにピッタリの1枚です。

 実は僕もプロツアーに「ジェスカイ・コントロール」で参加していたのですが、その際にミラーマッチで最も効果的だと感じたカードが《軍勢の戦親分》でした。何度か検討した結果自分では採用していなかったのですが、仕掛けるマナが軽いこと、通った際のプレッシャーが生半可なものではないことから、オフェンシブサイドボードの中では最上級のカードだという印象を受けました。その対戦相手はこちらが《軍勢の戦親分》をサイドインすることまで見越してサイド後も《轟音のクラリオン》を残していましたし、大きな差があったと痛感させられた一戦となりました。前述の通りグランプリでもミラーマッチはかなり多いでしょうし、まだミラーマッチ用のサイドボードを決めかねているという方はぜひお試しください。

 各デッキの相性としては、「ゴルガリ・ミッドレンジ」に多少なりとも有利なことが利点で、課題とされていた白系アグロ、「イゼット・フェニックス」にも構成が変化したことで十分対応できるようになったと思います。ただし、やはりといいますかマナベースの脆弱性は依然として懸念材料のままなので、27枚目の土地の採用を検討してみてもいいかもしれません。

 

「ジェスカイ・コントロール《宝物の地図》型」

Adrian Sullivan - 「ジェスカイ・コントロール」
グランプリ・ミルウォーキー2018 優勝 / スタンダード (2018年11月17~18日)[MO]
5 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
4 《氷河の城砦
4 《聖なる鋳造所
4 《断崖の避難所
-土地(25)-

2 《奇怪なドレイク
1 《再燃するフェニックス
4 《パルン、ニヴ=ミゼット
-クリーチャー(7)-
4 《選択
2 《潜水
1 《ショック
1 《呪文貫き
4 《宝物の地図
2 《溶岩コイル
3 《轟音のクラリオン
2 《イオン化
1 《残骸の漂着
3 《発展+発破
2 《中略
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(28)-
2 《黎明をもたらす者ライラ
2 《封じ込め
1 《軽蔑的な一撃
1 《否認
2 《イクサランの束縛
1 《残骸の漂着
1 《浄化の輝き
1 《呪文詐欺
2 《絶滅の星
2 《苦悩火
-サイドボード(15)-
 

 一般的なリストとは一線を画す《宝物の地図》型の「ジェスカイ・コントロール」を組み上げたのは、アメリカの古豪エイドリアン・サリバン/Adrian Sullivan先生です。《パルン、ニヴ=ミゼット》を軸に仕上げたというこちらのリストは、対ミッドレンジや対コントロールで圧倒的な強さを誇ります。

 まず《パルン、ニヴ=ミゼット》が4枚の時点でコントロール対決で非常に有利ですし、このデッキには《パルン、ニヴ=ミゼット》をいち早くキャストするための《宝物の地図》、そして《潜水》と、《パルン、ニヴ=ミゼット》を生かす手段がこれでもかと盛り込まれています。これほどまでにクリーチャーが切り詰められたデッキで《潜水》を採用した着眼点は本当に素晴らしいですし、このテクニックはその他のデッキでも検討に値する戦略だと思います。

 

「ボロス(白赤)・アグロ」

Tiemuuu - 「ボロス・アグロ」
Magic Online Standard MOCS #11712640 8勝0敗 / スタンダード (2018年11月24日)[MO]
13 《平地
2 《
4 《聖なる鋳造所
4 《断崖の避難所
-土地(23)-

4 《空渡りの野心家
4 《短角獣の歩哨
3 《追われる証人
4 《アダントの先兵
4 《敬慕されるロクソドン
-クリーチャー(19)-
4 《軍団の上陸
4 《ベナリア史
4 《議事会の裁き
4 《英雄的援軍
2 《暴君への敵対者、アジャニ
-呪文(18)-
4 《トカートリの儀仗兵
2 《防御牝馬
1 《正義の模範、オレリア
4 《不可解な終焉
2 《実験の狂乱
2 《イクサランの束縛
-サイドボード(15)-
 

 プロツアーのときほどの勢いはないとはいえ、白系のビートダウンも決して対策を怠りたくないデッキのひとつです。

 このリストでご注目いただきたいのはクリーチャーのラインナップで、上記2種類を見れば分かるようにかなり《黄金の死》を意識した構成になっています。サイドボード後はここに《トカートリの儀仗兵》が加わりますし、クリーチャーの構成を変えるだけで対戦相手のサイドボードカードの威力を軽減してしまう手法はお見事ですね。

 まだまだマークがきついと思われるこのタイミングのMOCSで8戦全勝を残した事実は、このアーキタイプの底力を示した結果になったのではないかと思います。この手のデッキと対峙する際に特に大切なのはサイドボード後の速度を把握しておくことだと思うので、サイドボーディングの際にはメインデッキの速度に惑わされてしまわないように注意しましょう。

 例えば青いデッキを使っている場合は、打ち消し呪文をあまり抜きすぎないように、といった具合ですね。

 

「イゼット(青赤)・フェニックス」

Owen Turtenwald - 「イゼット・フェニックス」
グランプリ・ミルウォーキー2018 8位 / スタンダード (2018年11月17~18日)[MO]
7 《
6 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
-土地(21)-

4 《ゴブリンの電術師
4 《弧光のフェニックス
4 《弾けるドレイク
-クリーチャー(12)-
4 《選択
4 《ショック
4 《航路の作成
4 《急進思想
3 《溶岩コイル
2 《苦しめる声
1 《一瞬
1 《標の稲妻
1 《ミラーリ予想
2 《発見+発散
1 《幻惑の旋律
-呪文(27)-
2 《つぶやく神秘家
2 《パルン、ニヴ=ミゼット
2 《シヴの火
2 《否認
1 《溶岩コイル
1 《標の稲妻
1 《絶滅の星
1 《苦悩火
2 《幻惑の旋律
1 《イゼット副長、ラル
-サイドボード(15)-
 

 最後は忘れてはいけない「イゼット・フェニックス」を。プロツアーでの10戦全勝やトップ8入賞を筆頭に、名実ともにメタゲーム上位デッキの仲間入りを果たしたアーキタイプではありますが、まだまだ伸びしろが残されているアーキタイプだと感じています。

 ここ最近は《奇怪なドレイク》を採用したものや、メインから《パルン、ニヴ=ミゼット》&《潜水》をセットで入れたリストにもよく当たりますね。残念ながらどのリストが最適か答えは出せずじまいでしたが、やはり《潜水》入りのリストは対峙しづらいと思ったので、今回のグランプリでどのようなリストが勝つのか楽しみにしています。

 

おわりに

 今週の『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ』は以上です。今回掲載したリストはどれも完成度が高く、Magic Onlineでの勝率も上々でした。自分の中でどのバージョンの「イゼット・フェニックス」が最適か答えが出せなかったのが残念ですが、そこはグランプリの結果に期待したいと思います。

 最後にご報告になりますが、しばらくの間『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ』は休載させていただく運びとなりました。もしかすると、またふとした瞬間に復帰させていただくかもしれないので、その際にはよろしくお願いいたします!

 それでは、グランプリ・静岡2018の会場でお会いしましょう!

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