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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
第48回:各大陸の出した答え・日本、アメリカの場合
読み物
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
2011.04.06
第48回:各大陸の出した答え・日本、アメリカの場合
こんにちはー。
今週は先週予告した通り、「PWC Championship 2011」と「StarCityGames・オープントーナメント」の結果を見ていきましょう。
ポイントレースが生み出す熱い戦い
デッキの解説に入る前に、少しだけですが、最初にこれらの大会の紹介をさせていたただきたいと思います。
この2つの大会は、日本とアメリカという異なる大陸で開催されていながらも、いくつかの類似点があります。
その中でも最も大きな類似点は、どちらもポイント制度を採用しているところでしょう。これは「プレイヤー・オブ・ザ・イヤー」レースのように、1年を1シーズンとし、「PWC」や「StarCityGames」という名の付く大会で上位入賞すれば、それに見合ったポイントがもらえ、シーズン終盤に行われる「チャンピオンシップ」で不戦勝がもらえるというシステムです。そしてその1年で最も多くのポイントを稼いだプレイヤーは、その年の最優秀プレイヤーに認定されます。
ただ単純な大会の魅力もさることながら、上記2つの特典が、これらの大会の魅力をより大きなものにしています。千秋楽に向けた不戦勝の獲得と、最優秀プレイヤーというたったひとつの座を巡って、毎週多くのプレイヤーが熱い戦いを繰り広げているわけなんです。
僕自身、アメリカの大会事情にそこまで詳しくはないので、不確かな情報ではありますが、「StarCityGames」がポイント制度を採用したのはつい最近のことで、おそらくではありますが、今年誕生するのが「初代StarCityGames・最優秀プレイヤー」となります。
ちなみにそのレースの行方はと言いますと、最近この記事でも紹介する機会の多い、Gerry Thompsonが3週連続トップ8入りという快挙を成し遂げたため、すでにレースは終わってしまった、という声も出ているようですね。
大会を支える人の熱意
かたや「PWC」の歴史は古く、ポイント制度はちょうど6期目を終えたところです。
「PWC・最優秀プレイヤー」は、通称「ミスターPWC」と呼ばれ、その「初代ミスターPWC」は、mtg-jp.comライターとしてもお馴染のなべ君(渡辺雄也)です。彼は「初代ミスターPWC」となった後も、複数回にわたってミスターの座を獲得しました(ミスターPWCを2回以上獲得したプレイヤーは現在まで他にいません)。そしてご存じの通り、さらに誰もが驚くような目覚ましい活躍を見せました。マジックの長い歴史を見ても、ルーキー・オブ・ザ・イヤーと、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの両方を獲得したプレイヤーは、未だなべ君しかしません。
そんななべ君のマジックの基盤がPWCにあるというのは、大げさでもなんでもなく、明確な事実といって差し支えないでしょう。なべ君の他にも、何度もプロツアーに継続して参戦している強豪「3代目(第4期)ミスターPWC」KAKAO(中村肇)さんや、「構築劇場」の看板ライターであるシミチン(清水直樹)さんなど、数多くのプレイヤーがPWCで腕を磨き、そして活躍の場を世界へと広げています。
彼らが世界で活躍する前の共通点として、関東圏の大会で圧倒的な勝率を誇っていたことを取り上げないわけにはいかないでしょう。
関東というのは、日本国内で最もマジックが盛んな地域であり、毎週末大会が行われるというのは、地方出身の僕としては考えられない夢のような地域です。PWCだけではなく、「LMC」や「五竜杯」など、関東圏に住んでいない僕でも知っているほどに有名な大会がいくつもあります。もちろんその他にも多くの大会があるのですが、PWCはその中でも特別な存在のように思えます。
毎回100人近い参加者が集まる大会を僕は他には知りません。それは関東圏のプレイヤーのマジック熱の高さだったり、大会の多さだったりと色んな要素があるとは思いますが、なんといっても主催者である中嶋さんの力が大きいでしょう。
中嶋さんが大会主催を始めたのは、なんと12年前の1999年だそうです。秋田で産声を上げたPWCは、最初は非認定の大会として行われていましたが、認定大会にチャレンジした1回目では新規DCI会員証の発行だけで80名分にのぼる大盛況だったようで、中嶋さんが進学のため上京するまで続いたとのことです。
しかし驚くのはここからで、中嶋さんは上京後すぐには秋田PWCに幕を下ろさずに、大会主催のために月に1回帰省をして、秋田でのPWC主催を続けたそうなんです。「今も昔も、幸運なことに素晴らしいスタッフたちに恵まれているから」と仰ってはいましたが、これは「マジック」のことを本当に好きじゃなければ出来ないでしょうし、プレイヤー以外の人も、僕たちと同じくらい、もしかしたらそれ以上の情熱を持ってこのゲームと向き合っているんだと教えてもらいました。そんな中嶋さんの情熱や人柄に魅かれ、素晴らしいスタッフや、多くのプレイヤーがPWCに集まるのでしょう。
中嶋さんは今年でジャッジ10周年を迎え、PWCは横浜を中心とした関東での主催が300回に近づこうとしているのですが、その裏にはこんな背景があったようです。僕も2回ほどPWCに参加させてもらったことがありますが、その時感じたプレイヤーやスタッフの温かさの理由が、この話を聞いてなんとなく分かった気がしました。
僕自身、中学生の頃に広島で行われていた「大黒屋」という大会で、多くの友人が出来て、その中で成績を競い合うのが何よりも楽しかったというのを今でも覚えています。
この大会が無ければ、僕はここまでマジックを続けることはなかったと断言できますし、リアルの大会というのは、交友を広げる場としても、腕試しの場としても最上級のものだと思います。
そんな場所を提供してくださる主催者の方々や、試合を裁いてくださるジャッジのみなさん、そして対戦相手を含む全てのプレイヤーに対し、感謝の気持ちを忘れずに「マジック」を続けていきたいですね。
さて、それでは、これらの大会の上位入賞デッキの中から、注目のものを見ていきましょう!
「PWC Championship 2011」
※上記リンク先はイベントカバレージページです。
トップ8分布
優勝 | 「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」 |
準優勝 | 「緑単エルドラージ」 |
3位 | 「青黒コントロール」 |
4位 | 「《刃砦の英雄》入りボロス」 |
5位 | 「Angry Bird」 |
6位 | 「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」 |
7位 | 「ボロスタッチ黒」 |
8位 | 「青赤カウンターバーン」 |
10 《山》 5 《森》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 2 《霧深い雨林》 1 《怒り狂う山峡》 4 《広漠なる変幻地》 2 《進化する未開地》 -土地(28)- 4 《業火のタイタン》 4 《原始のタイタン》 2 《ゼンディカーの報復者》 -クリーチャー(10)- |
4 《稲妻》 4 《カルニの心臓の探検》 4 《探検》 4 《砕土》 4 《耕作》 2 《召喚の罠》 -呪文(22)- |
4 《水蓮のコブラ》 2 《自然の要求》 3 《紅蓮地獄》 4 《転倒の磁石》 2 《召喚の罠》 -サイドボード(15)- |
PWCの結果を載せているブログ「ストライクと大会」をご覧になったことのある方なら、このリストを見たことがあるでしょう。
「4代目(第5期)ミスターPWC」・AKKAさんこと相沢恵司さんが使い続けているのが、この「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」です。
このリストの特徴としては、最近では《召喚の罠》よりも優先されて使われることの多い《緑の太陽の頂点》の不採用でしょう。
《緑の太陽の頂点》を上手く使いこなすためには、軽い緑のクリーチャーをある程度入れる必要が出てきます。そうでなければ序盤にキャストすることができず、7マナの《原始のタイタン》をサーチするだけの重いカードになってしまいますからね。
それに伴いメインから《草茂る胸壁》や《水蓮のコブラ》、更には《極楽鳥》などを入れることになるのですが、AKKAさん曰く、長期戦になった時のこれらマナクリーチャーの弱さは決して許容できるものではなく、結局はこの《召喚の罠》型に戻ったそうです。
AKKAさんはいつも70枚くらいが同じリストなんですが、これは別のバージョンもしっかりと試した上で、作り上げられたマスターピースのようです。
「Caw-Blade」相手には、《召喚の罠》を多めに取るのではなく、《原始のタイタン》に加え、《業火のタイタン》をも4枚採用することで、毎ターン脅威を展開し、相手のカウンターが無くなるのを待つ戦い方となります。
これはメインボードに《マナ漏出》くらいしかカウンターを入れていない「Caw-Blade」に対し、有効であると言えます。《石鍛冶の神秘家》→《饗宴と飢餓の剣》がこのプランを大きく阻害してきますが、そこは4枚採用された《稲妻》で時間を稼いで対抗しましょう。
メインボードは非常に綺麗な作りで、サイドボードもそれに倣い、分かりやすい構成になっています。
ミラーマッチや除去を持たない相手に劇的な効果を発揮する《水蓮のコブラ》、ビートダウン対策の《紅蓮地獄》と《転倒の磁石》、「Caw-Blade」、「白単アーマー」や「テゼレットコントロール」に効く《自然の要求》、そして青いデッキとミラーマッチ用の《召喚の罠》の追加ですね。
《転倒の磁石》は、タイタンが8枚のこのデッキでは特に注意すべきカードである、《反逆の印》系への回答となることもあり、4枚採用も納得です。
優勝者のサイダさんは、この1年間でユニーク数900人超が参加したPWCでのポイント制度における7位に入るような結果を残し続けてきた方で、今回の優勝も、PWCや参加者コミュニティを大切にしているゆえの結果なのでしょうね。
また、この記事を書くにあたって、製作者のAKKAさんからとても丁寧かつ親切なメールをいただきました。紙面の都合もあって上手く活かす事ができませんでしたが、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
15 《森》 1 《カルニの庭》 4 《エルドラージの寺院》 2 《地盤の際》 1 《ウギンの目》 1 《惑いの迷路》 -土地(24)- 4 《ジョラーガの樹語り》 4 《草茂る胸壁》 3 《絡み線の壁》 4 《原始のタイタン》 1 《テラストドン》 2 《無限に廻るもの、ウラモグ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(19)- |
3 《永遠溢れの杯》 3 《転倒の磁石》 3 《野生語りのガラク》 4 《召喚の罠》 4 《緑の太陽の頂点》 -呪文(17)- |
3 《ファイレクシアの破棄者》 4 《ヴィリジアンの堕落者》 3 《先駆のゴーレム》 1 《ワームとぐろエンジン》 3 《成長の発作》 1 《転倒の磁石》 -サイドボード(15)- |
こちらはしばらく見かけなかった「緑単エルドラージ」のアップデート版ですね。「Caw-Blade」やビートダウン対策として、《絡み線の壁》を採用しているのが印象的です。
少し前にLSVたちが《草茂る胸壁》対策として、《よじれた映像》を使っていたのですが、それがあまり流行らなかったことも、このアプローチには追い風となりました。
このデッキ最大の難点は、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」への相性の悪さです。このアーキタイプが減った理由として、どんなアプローチをしても、なかなかそれが改善できなかったことが挙げられるでしょう。
実際に決勝ではその「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」に負けてしまったものの、このタイミングで「緑単エルドラージ」を持ち込み、結果を残したというのは、先週紹介した「青黒コントロール」に通ずるものがあるのではないかと思います。マークの甘くなった時なら、どんなデッキにでもチャンスはあるという証明と言えるでしょう。
デッキ選択だけでなく、サイドボードを見てみても、装備品や《精神を刻む者、ジェイス》などのプレインズウォーカー対策として幅広く使える《ファイレクシアの破棄者》、「青白コントロール」や「Caw-Blade」にも効く《先駆のゴーレム》などの、渋いカード選択が光ります。
「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」対策だけは依然として見つかっていませんが、それさえ何とかできれば、このアーキタイプが再び日の目を浴びるかもしれません。
そして、準優勝者のワダさんは、第6期のポイントレースを制し、5人目のミスターPWCに輝いた方です。今年の積み上げ、そしてこのPWCチャンピオンシップでの準優勝と"いま"ノリにノッているプレイヤーとして、これからを期待できる新鋭との評を中嶋さんからいただきました。これからも注目していきたいですね。
8 《平地》 3 《山》 4 《乾燥台地》 4 《湿地の干潟》 4 《沸騰する小湖》 2 《ぐらつく峰》 -土地(25)- 4 《ステップのオオヤマネコ》 4 《ゴブリンの先達》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《戦隊の鷹》 4 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(20)- |
4 《稲妻》 4 《電弧の痕跡》 1 《冒険者の装具》 1 《肉体と精神の剣》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《骨溜め》 3 《エルズペス・ティレル》 -呪文(15)- |
4 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 3 《躁の蛮人》 3 《天界の粛清》 2 《紅蓮地獄》 3 《反逆の印》 -サイドボード(15)- |
こちらの一風変わった「ボロス」デッキは、MO上でラッシュ(高橋純也)君と行弘賢君が作り上げたリストです。
どちらも同じようなタイミングで同じようなリストを組み上げたそうですが、その調整過程を行弘君の「ニコニコ生放送」で見て、マチダさんはこのデッキに惚れ込み、使用を決めたとのことです。
このデッキには普通の「ボロス」には入っていない、めずらしいカードが2種類採用されています。
《刃砦の英雄》と《エルズペス・ティレル》がそれにあたり、これらがラッシュ君と行弘君ボロス最大の特徴と言っていいでしょう。
《刃砦の英雄》は最近では「Dark-Blade」などにも採用され始めた、超が付くほどに優秀な4マナ域です。
こいつの長所は《墓所のタイタン》を彷彿とさせるそのパンチ力と、タフネスが4と高いので《稲妻》などの火力に耐性があることです。
パンチ力に関しては説明不要でしょうが、火力耐性は「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」相手や、第45回の連載で紹介した「赤単」相手に非常に重宝します。
これを除去するには最低でもカード2枚が必要なので、そうなってくると、他のクリーチャーへの除去が残しづらくなってしまいますし、更にビートダウンには《エルズペス・ティレル》が巨大な壁として立ち塞がります。
このデッキには当然のように《戦隊の鷹》も入っているので、2~4点くらいの回復量は常にありますし、-2能力で現れるトークンも、ビートダウン相手には非常に頼りになります。
そして《刃砦の英雄》と《エルズペス・ティレル》の相互作用は恐ろしいものがあります。《刃砦の英雄》のいる状況下ならば、《エルズペス・ティレル》はどの能力を起動してもこちらにとって有利な状況になるのです。+2の回復能力はこちらのライフを十分以上のものへと引き上げてくれますし、-2でトークンを生み出せば、対戦相手を素早く葬りされるでしょう。
更に-5能力を使ったとしても、《刃砦の英雄》から生まれた兵士トークンは戦場に残るので、この能力もこちらにとって上手く機能します。
サイドボードの《ゴブリンの廃墟飛ばし》だけはあまり良い印象を受けませんでした。最近のデッキは土地が多めのものがほとんどなので、少し引くのが遅れると大した効果がありませんし、ここだけ《槌のコス》と何かに変えたいですね。それに伴い、メインの《ぐらつく峰》か《平地》1枚を《山》に変えるといいでしょう。
このデッキはクリーチャーの全体数の少なさから分かる通り、ひたすらにアタックを続けて勝つタイプのデッキというよりは、《稲妻》、《電弧の痕跡》、《エルズペス・ティレル》や装備品などを駆使して、対戦相手の選択肢をひたすらに狭めていき投了に追い込む、コントロール寄りのビートダウンという珍しいアーキタイプに分類されます。そのため、どうすれば対戦相手が一番嫌がるかを、いつも以上に重視してプレイしていくといいと思います。
4 《平地》 3 《山》 1 《沼》 4 《黒割れの崖》 4 《乾燥台地》 4 《湿地の干潟》 2 《沸騰する小湖》 3 《広漠なる変幻地》 -土地(25)- 4 《ステップのオオヤマネコ》 4 《ゴブリンの先達》 1 《トゲ撃ちの古老》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《戦隊の鷹》 4 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(21)- |
4 《稲妻》 3 《コジレックの審問》 3 《闇の後見》 1 《迫撃鞘》 1 《肉体と精神の剣》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《骨溜め》 -呪文(14)- |
3 《狡猾な火花魔道士》 1 《強迫》 2 《神への捧げ物》 2 《喉首狙い》 2 《紅蓮地獄》 2 《反逆の印》 1 《裏切りの本能》 1 《バジリスクの首輪》 1 《骨溜め》 -サイドボード(15)- |
「ボロス」にタッチ黒をしたデッキを今まで見た事がなかったのですが、「PWCチャンピオンシップ」で初お目見えとなりました。
黒を足すことで、環境最高の1マナスペルである《コジレックの審問》と、息切れ防止に役立つ《闇の後見》の採用を実現しています。
サイドボードにも追加のハンデスと、インスタントの単体除去である《喉首狙い》が入っています。色マナが非常にタイトではありますが、面白いアプローチですね。
そしてここでも4枚採用されている《刃砦の英雄》に要注目です。そしてこれと相性がいい《迫撃鞘》も、《戦隊の鷹》対策として優秀な1枚です。
これらのカードはこれからもっともっと見かける頻度が増えると思うので、今の内から相性のいいカードだったり、いかにすれば上手く使えるかを予習しておきましょう。
11 《山》 1 《島》 2 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 3 《広漠なる変幻地》 2 《進化する未開地》 3 《地盤の際》 -土地(28)- 4 《板金鎧の土百足》 4 《狡猾な火花魔道士》 2 《サイクロプスの剣闘士》 2 《業火のタイタン》 -クリーチャー(12)- |
4 《稲妻》 2 《噴出の稲妻》 4 《マナ漏出》 3 《電弧の痕跡》 2 《焼尽の猛火》 1 《漸増爆弾》 4 《槌のコス》 -呪文(20)- |
4 《トンネルのイグナス》 2 《オキシダの屑鉄溶かし》 1 《ワームとぐろエンジン》 2 《脆い彫像》 4 《瞬間凍結》 1 《漸増爆弾》 1 《蒸気の捕獲》 -サイドボード(15)- |
JBさんこと坂東潤一郎さんが組み上げてきたのは、オリジナルの「青赤カウンターバーン」です。
基本的には、序盤はカウンターや火力で凌ぎ、《槌のコス》や《業火のタイタン》でフィニッシュという動きになります。
パッと見少し浮いている感のある《板金鎧の土百足》は、「赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》」に対する相性の改善に一役買っているそうです。
サイドボードに《トンネルのイグナス》、《瞬間凍結》ともに4枚採用されているところを見ると、このマッチアップは相性が悪いでしょうから、メインからそれを何とかしつつ攻防に活躍する《板金鎧の土百足》の採用は素晴らしいアイディアだと思います。
他にもメインから入っている《狡猾な火花魔道士》や、《サイクロプスの剣闘士》などの採用など、カード選択に抜け目がないですね。
本人のツイートによると、今は《精神を刻む者、ジェイス》が入っているそうですが、またMOでJBさんが結果を残したら、追って報告させていただきたいと思います。
駆け足でデッキを解説させていただきましたが、残るは「StarCityGames・オープントーナメント」ロスとアトランタの結果になります。
しかしこちらは「Caw-Blade」、「Dark-Blade」が非常に多く、2つともそれらが優勝していたので、カバレージの中から、面白そうなデッキを2つだけ紹介させていただきます。
「StarCityGames・オープントーナメント」の魅力は、充実したカバレージだと思います。フィーチャーマッチは毎ラウンド動画で生放送されていますし、これを視聴するのが毎週末の僕の楽しみのひとつになっています。
PWCと同じく、有名なアメリカのプロも大勢参加していますし、みなさんも、ぜひぜひご覧になってみてください。
「今週の一押しふたつ」
6 《沼》 4 《島》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(26)- 4 《屍百足》 4 《ファイレクシアの十字軍》 2 《荒廃のドラゴン、スキジリクス》 -クリーチャー(10)- |
4 《定業》 4 《コジレックの審問》 4 《マナ漏出》 4 《伝染病の留め金》 1 《剥奪》 1 《乱動への突入》 4 《転倒の磁石》 2 《ジェイス・ベレレン》 -呪文(24)- |
3 《ファイレクシアの槽母》 3 《見栄え損ない》 2 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《瞬間凍結》 1 《喉首狙い》 1 《乱動への突入》 1 《ジェイス・ベレレン》 -サイドボード(15)- |
最初にご紹介させていただくのは、日本でもお馴染みのBrian Kiblerの「青黒感染」です。Kiblerは自身の記事上でも、ずっとこのアーキタイプを調整しており、その集大成がこのリストです。
連載でこのアーキタイプに取り組み始めたKiblerなんですが、当初のリストからだいぶ様変わりして、このような形に落ち着きました。
僕もこのタイプのデッキはかなり使ったのですが、絶対に必要なパーツは「クロックを上げる」カードです。
このデッキだと《荒廃のドラゴン、スキジリクス》、《伝染病の留め金》がそれにあたるんですが、他には《饗宴と飢餓の剣》のような装備品が挙げられます。
と言いますのも、これらの「クロックを上げる」カードが無いと、対戦相手からして見ればライフ(毒)管理が非常に楽なんです。こちらの戦場に《ファイレクシアの十字軍》や《墨蛾の生息地》があっても、「クロックを上げる」カードがないと、毒カウンターが10個になるまでになんとかすればいいだけなので、そこまで大きなプレッシャーになりません。
これを改善するのが《荒廃のドラゴン、スキジリクス》、《伝染病の留め金》のようなカードたちですね。特に《伝染病の留め金》に関して言えば、「ボロス」のようなクリーチャーデッキにも良い働きをするので、先週紹介した「青黒コントロール」のような、純粋なコントロールデッキ以外には無駄になりづらいのもいいですね。
クリーチャー数の少ないこのデッキの課題は、現環境に蔓延している《転倒の磁石》に弱いことが挙げられるのですが、そこはさすがKiblerと言いますか、4枚の《転倒の磁石》を採用することで、これを解決しています。
今はまだTier1と呼べるほどのデッキパワーはないように思えますが、次のエクスパンションである「新たなるファイレクシア」には、その名前からして更なる「感染」付きのクリーチャーが登場すると予想されます。
どんなカードが登場するか次第ではありますが、それによっては、このデッキがTier1になる可能性も十分にありえます。
《ファイレクシアの十字軍》をメインから採用している関係上、「ボロス」や「赤単」にはかなり強いデッキなので、「新たなるファイレクシア」発売前の今の内から、このデッキの研究を進めておくと、数ヶ月後に誰よりも速く最強の「感染」デッキを組めるかもしれませんよ!
8 《島》 4 《忍び寄るタール坑》 3 《闇滑りの岸》 4 《水没した地下墓地》 4 《墨蛾の生息地》 1 《惑いの迷路》 -土地(24)- 3 《飛び地の暗号術士》 4 《かき鳴らし鳥》 4 《大建築家》 3 《宝物の魔道士》 1 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(15)- |
4 《永遠溢れの杯》 4 《定業》 2 《漸増爆弾》 1 《伝染病の留め金》 3 《転倒の磁石》 2 《伝染病エンジン》 2 《精神隷属器》 3 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(21)- |
4 《屍百足》 1 《ワームとぐろエンジン》 3 《強迫》 4 《瞬間凍結》 1 《伝染病の留め金》 1 《漸増爆弾》 1 《転倒の磁石》 -サイドボード(15)- |
これはトップ8に残ったデッキではないのですが、僕がカバレージの中で最も感銘を受け、MOでもよく使っているお気に入りのものなので紹介させていただきます。
今までにも何度か紹介している、《大建築家》を軸にしたデッキなんですが、そこに《宝物の魔道士》と《ボーラスの工作員、テゼレット》 タッグが加わり、今まで紹介したリストの中でも一番の完成度に仕上がっていると思います。
このデッキは《大建築家》と《永遠溢れの杯》から大量のマナが出ることもあり、1ターンの間に取れるアクション数が非常に多いのですが、それでいて1つ1つのアクションが強いので、使っていて楽しいデッキです。
《かき鳴らし鳥》は《永遠溢れの杯》《漸増爆弾》《転倒の磁石》《ボーラスの工作員、テゼレット》《伝染病エンジン》などとコンボを形成し、《墨蛾の生息地》による「毒殺」にも役立ちます。
もちろん、《大建築家》でマナを出すこともできますし、正に至れり尽くせりといった感じのクリーチャーですね。
実際に使用してみるまではコントロールに強いデッキなのかと思っていたのですが、結果は逆で、ビートダウンに強かったです。《大建築家》を最後に出すようにするなど、展開の仕方に気を付ければ、《大建築家》からすぐさま《ワームとぐろエンジン》《伝染病エンジン》が出せるので、いかに《大建築家》を出すまでに場を上手く構築できるかが鍵となります。
先週紹介した「Tezzerator-Blade」と同じく、このデッキもいくつかのデッキ相手には《ボーラスの工作員、テゼレット》をサイドアウトしました。
ビートダウン相手には、《飛び地の暗号術士》3枚、《ボーラスの工作員、テゼレット》3枚、《精神隷属器》2枚を抜いて、《屍百足》4枚、《ワームとぐろエンジン》1枚、《伝染病の留め金》1枚、《漸増爆弾》1枚、《転倒の磁石》1枚を入れるといいでしょう。
さて、今週はここまでです。今週は面白く、それでいて結果を残したデッキをいくつか紹介させていただきましたが、「今週の一押し」ふたつは特に面白いデッキなので、みなさんもぜひ実際に使ってみてください。
そして、今週末からは早くも日本選手権予選が開幕するので、権利獲得を目指すみなさんも、単純に大会を楽しみたいみなさんも、ぜひ会場に足を運んでみてください!
来週はグランプリ・ダラスと、日本選手権予選の中から、面白いデッキを見ていきたいと思っています。来週の勝ち組はあなたかもしれませんよ!!
それでは、また来週ー!
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