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ゼロからのデッキ構築:オレリアを使いこなせ
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ReConstructed
ゼロからのデッキ構築:オレリアを使いこなせ
Gavin Verhey / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing
2013年1月8日
場所:ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社会議室
参加者:「ギルド門侵犯」デベロップ・チーム
ミッション:みんなに好かれる《戦導者オレリア》のデザインを探し出せ
デイブ・ハンフリー/Dave Humpherys(訳注:ギルド門侵犯のリード・デベロッパー)は、チームが提出した《戦導者オレリア》の各バージョンが印刷されたものに取りかかると、ひとつひとつ肩をすくめ、反論をもって応じた。
「《炎まといの天使》みたいに墓地から戻るのは?」
「ダメだ」
「『破壊されない』効果を与えるのは?」
「《希望の天使アヴァシン》とかぶる」
「《稲妻のらせん》は?」
「もう《炎まといの報復者》でやっただろ」
「じゃあ......《連続突撃》は?」
その案が最後に載っていたページに全員が目を落とし、動きを止めた。それから、一斉に頷いた。
《戦導者オレリア》は何度も戦いに挑むことを信条とし――彼女はそれを見事に成し遂げている。
すると何が起こるか。6マナで、すぐさま空から6点のダメージ......あくまでこれは、君の側に彼女しかいない場合の想定だ! 4/4のクリーチャーが1体あろうものなら、対戦相手は14点もの大打撃を受けることになるのだ! 《戦導者オレリア》は突然ゲームを終わらせることができる。実際のところ、フューチャー・フューチャー・リーグでのプレイテストすべてにおいて、《戦導者オレリア》のように瞬く間にゲームを終わらせることのできるカード(もちろん、最終的には少なくとも無難に印刷できるレベルまでなったもの)は、ほとんど見なかった。
《戦導者オレリア》ができることはこれだけじゃない。自軍すべてのクリーチャーをアンタップするということは、さらにもう1回タップ能力を使える、ということだ。防御力が欲しい? 《戦導者オレリア》は防御面でも君たちの助けとなる。クリーチャーたちを1回攻撃させて、それからアンタップして対戦相手の反撃をブロックできるのだ。
《戦導者オレリア》が競技レベルでの構築と密接に関わることは間違いない......でも、彼女をひと目見たときに君たちの頭の中を駆け巡った疑問のひとつは、こんなものだったんじゃないかな。「どうやったら彼女を統率者戦でブレイクさせられるだろう?」
いいぞ、君たちがたどり着いた記事は合ってるよ!
今週は、統率者戦で特定の統率者を元にデッキ構築をする方法について、しっかりと見ていく予定だ。いいかい?
それでは始めよう!
潜在的な力を見出す
腰を落ち着けて統率者戦用のデッキを組んでいると、ある特定の色に目を向けていることがある。それが統率者選びにつながるのだ。
《戦導者オレリア》 アート:Slawomir Maniak |
黒緑白で統率者戦用デッキが組みたいとしよう。統率者として使用できるものにひと通り目を通し、単に超カッコイイからという理由で《収穫するものテネブ》を選ぶ。(私が言いたいのは、何にせよこのドラゴンは選択肢のひとつである、ということだ)。あるいは、色の制約を完全に避けて5色へ向かいたいので、《概念の群れ》を選ぶかもしれない。
しかし大抵の人にとって、統率者は統率者戦用デッキの心臓であり、魂だ。唱えられることが保証されている1枚のカードを活かすような相互作用をデッキに入れることとなる。《戦導者オレリア》のデッキを組む場合は、まさにそこから始まるのだ。
私の頭の中には、《戦導者オレリア》の統率者戦用デッキの構築に使える、3つの基本的な構築手段がある。3つとも見てみよう。
1:攻撃する!
これが一番の正道だ。《戦導者オレリア》は攻撃を好む。クリーチャーたちはオレリアと共に攻撃するのを好む。命令:後に続け。これはさながらチョコレートとピーナッツ・バターのようなものだ。チョコレート・バーの銘柄にきまって「保管はピーナッツ・バターと一緒に!」と書いてあるようなものなのだ。《戦導者オレリア》の入った統率者戦用デッキでは、毎ゲーム安定して6ターン目に彼女を戦場へ投下できるので、いざそのときに十分な軍勢を集められるか、ということが問題になる。
この構築方法がとりわけ興味深いのは、統率者戦で出来の良いビートダウン・デッキをお目にかかるのは本当に珍しいからだ。とはいえ、対戦相手を殴り倒す可能性というのを見てみたいなら、求めに応じて2度攻撃できる《戦導者オレリア》は、まさに探し求めていたものなのかもしれない。
2:強化する!
40点ものダメージを与えるのは、長く険しい道だ。それなら長く険しい局面を飛ばして、21点の統率者ダメージでそのまま倒しちゃえばいいじゃないか?
《戦導者オレリア》は、彼女自身2回攻撃ができる。彼女のパワーを11まで強化して突っ込ませれば、ブロッカーのいないプレイヤーなら誰でも討ち取れるのだ。《荒廃のドラゴン、スキジリクス》を覚えているかい? あれと同じようなアイデアだ。こういうデッキは、《戦導者オレリア》のパワーを強化する手段を束のように持ち、彼女を対抗勢力の息の根を止めるために使うことへ特化しているのだ。
3:アンタップ・トリック!
《戦導者オレリア》は「忍び泣く天使」(英国TVドラマ『ドクター・フー』に登場する、眼に見えないほど素早く動くエイリアン)より素早いかもしれない――だが、それだけが彼女の取り柄じゃない。自軍のクリーチャーたちに再攻撃をさせるのに加えて、それらをアンタップするのだ! 彼女は毎ターン、多種多様なタップ能力を2回使えるようにしてくれる。デッキが強力なタップ能力に満ちているなら、あっという間に対戦相手にとってヒドイものになるだろう。
さて、これら3つのうち今日扱うべきはどれだろう? そうだ、君たちに選んでもらうことにしよう!
どうやって選ぶのかって? テレパシーに決まっているじゃないか。目を閉じて、このあと語ってもらいたいデッキを思い浮かべるんだ。君たちのパソコンの精神測定回路によって、記事の残りは君たちの選択に応じたものとなるだろう。
準備はいいかい? 集中!
夢みたいだ! 君たちが読みたいデッキはこのあと読めることになった! なんと、3つ全部書いてあるんだ! 驚いたな――なんて偶然だろう。
それじゃあ順番にいこう。まずは、ビートダウンだ!
オレリアによるビートダウン
ビートダウン戦略を基本とした《戦導者オレリア》のデッキにおける鍵は、オレリアが攻撃するまでに素早くクリーチャーを展開し、大量のダメージを通せるようにすることだ。プレイする環境によっては、全体除去の密度が濃く、この戦略がまったく機能しないこともあるだろう。だが、君たちが思うほど全体除去は多くない、と私はたびたび感じているよ。
この統率者戦用デッキは序盤の攻勢を中心に組んでいるので、見返りは多いものの、リスクの高いデッキだ。気をつけないとすぐにでも狙われることになる――全員が結託して除去を君に仕向ければ、苦戦することになるだろう。しかしそれでもなお、君の狙い通りにいくゲームでは全面的に和解でき、活き活きとした《戦導者オレリア》で攻撃して対戦相手を安全圏からほとんどゼロまで追い詰めることになるだろう。
このような戦略において鍵となるのは、不測の事態に対応したプランを他に持つことだ。作戦の代替案を用意しておくことが肝要なのだ。結果的に、このデッキには重いものも入れるべきだ、ということになる。装備品と追加の大型クリーチャーで、このデッキは長期戦を戦うことができる。戦場が流されれば、他のみんなは、君自信や君のウィニー軍団をしばらくは気に留めないだろう――その間に、反撃のためのふさわしい土台を据えるのだ。出撃可能で攻勢に回ることのできる脅威がいくつか欲しいところだ。
このような統率者戦用のデッキはこうなるのではないか、という一例がこれだ。
編訳注:上記のデッキリストは原文通りのものですが、統率者戦のルールにより、《戦導者オレリア》のデッキには《ドライアドの闘士》《ぼろ布食いの偏執狂》《ラクドスの哄笑者》を入れることはできません。深くお詫びいたします。
著者による訂正は以下のとおりです。
オレリアを強化する
それじゃあ、《戦導者オレリア》の統率者ダメージによる勝利が主な手段で、かつコンボ色の強いルートを通りたいとしよう。ここで重要なのは、オレリアを十分に大きくすることで――それを確実に続けることだ。
最初に見るところはインスタントやソーサリーの強化呪文だろう。《粗暴な力》と《突撃のストロボ》の組み合わせはプレイヤー1人を倒すには最高だが、そこで燃え尽きるのが嫌なら、君たちの勝利に役立つものではない。
統率者戦のような長期戦が見込まれるフォーマットにおいては、息の長いカードを多く使うことが鍵となる。今回のケースでは、《戦導者オレリア》を強化するのに最適なカード・タイプは装備品であることがわかる! 運良く、(《石切りの巨人》や《石鍛冶の神秘家》のように)このデッキにうってつけな、装備品を愛してやまないクリーチャーたちはたくさんいる。装備品の副次的な効果によって、(《戦争の最高潮》のようなエンチャントも含めて)、《戦導者オレリア》は彼女の能力でアンタップするたびに危険極まりない存在であり続けるのだ。刮目せよ!
このようなデッキはこうなるのではないか、というサンプルがこれだ。
アンタップに特化したオレリア
《戦導者オレリア》を用いる第3の道は、彼女をタップ能力持ちのクリーチャーと連携させ、さらなる利点を引き出すことだ。この手法でのデッキ構築の鍵は、なによりタップ能力を繰り返し使うことが再攻撃を行うことよりも効果的か、同等である必要があることだ。また、タップ能力を持つクリーチャー自身も使いやすいものであるべきだ。
例えば、《鏡割りのキキジキ》の能力は攻撃するよりもメリットの多いものだろう――出てきたトークンは攻撃できるのが、特に良い! 《群衆の親分、クレンコ》にも同じことが言えて、能力を繰り返し起動すると彼はぶっ壊れ始める――さらに、出てきたトークンたちはその後2回攻撃し、莫大なダメージを叩き出すだろう!
それ自体が使いやすく、優秀なタップ能力を持ったクリーチャーたちが見つかったなら、デッキの残りはそれぞれが単独で強いカードで埋めることができる。《戦導者オレリア》に連れ添い、鮮やかなタップ能力で彼女の魅力を引き出すクリーチャーは1体か2体で十分なので、デッキにそれらを詰め込む必要はないのだ。
サンプル・デッキで気に入っているところは、本当にユニークな準無限コンボかな。《戦導者オレリア》が1度攻撃した後2度目の攻撃前に戦場へ戻すと、彼女は生まれ変わり、再び能力が誘発することがわかった。普通なら非常に特殊な条件で、頻繁に起こることではない......ただし《アダーカーの戦乙女》による恩恵を受ければ別だ。
《アダーカーの戦乙女》、《戦導者オレリア》、それと(《大いなるガルガドン》や《溶口》のような)生け贄が必要なものがあるなら、オレリアで攻撃し能力が誘発したところに対応して、彼女を《アダーカーの戦乙女》の能力の対象に取ろう。それから《戦導者オレリア》がダメージを与えるのを待つのだが、待つのは2度目の戦闘フェイズに入るまでだ。あとは生け贄が必要なもので彼女を生け贄に捧げれば、《戦導者オレリア》はもう1度戦闘フェイズをもたらすべく戦場に帰ってくる――そして《アダーカーの戦乙女》が再びアンタップされて、能力が使えるようになる。こうして、あっという間に屍の山が築かれるのだ!
(スタンダード・プレイヤーのためのおまけ情報:《戦導者オレリア》と《ネファリアの密輸人》や《狙い澄ましの航海士》を組み合わせて、スタンダードでもほとんど同じ動きができるぞ)
このタイプのサンプル・デッキリストはこれだ。
オレリアの憤怒
《戦導者オレリア》は「ギルド門侵犯」のストーリーにおいて多くの役割を担っている――そして彼女はもうすぐ君たちのデッキでも多くの役割を担うことだろう。君たちははじめにどこで使うかな?
(以下のデッキ募集部分は、原文・本日掲載分の記事から収録しております(訳文は次々週2月5日掲載予定です)。 この節の文責・編集 吉川)
先陣はボロス
《真火の聖騎士》 アート:Michael C. Hayes |
2週間後(翻訳の掲載は4週間後)にはボロス週間をやろうと思う! これまで過去数ヶ月にわたって注意を払っていてくれたのなら、これがどういうことかはお分かりだろう。
フォーマット:『ギルド門侵犯』参入後のスタンダード
デッキの制限:赤白であり、その他の色を含まないこと。(混成カードを含む。例えば、《膨れコイルの奇魔》や《ドライアドの闘士》は大丈夫だ。)
締め切り:1月28日(月)午前11時(日本時間)
すべてのデッキリストを英語で、reconstructeddecks@gmail.com へメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。
Gavin Verhey's Awesome Deck for Awesome People(ローマ字氏名+'s+デッキ名・英語)
Standard(形式)
59 Island(枚数とカード名・英語で)
1 Forest(以下同じ)
ボロスについて君たちがどんな考えを思いついたのか、見るのが楽しみだ! 今週もデッキリストを reconstructeddecks@gmail.com に送る、ということに気をつけていてほしい。技術的問題により通常どおりにデッキリストを受け取ることができないので、当面はこのアドレスに送っていただきたい。
来週もまた、ギルド門侵犯のプレビューカードとともにお会いしよう。それまで、この記事に関するコメントがあれば、気軽にツイートやフォーラムへの投稿で知らせてほしい。君たちのご意見は確かに拝見することをお約束しよう。
それではまた来週会おう!
Gavin / @GavinVerhey
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