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Latest Developments -デベロップ最先端-
私が学んできたこと
私が学んできたこと
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年6月2日
こんにちは、そしてへ「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 今週は私がウィザーズにデベロップ・チームの請負として入って5周年になります。私が正式に雇用されたのはその6か月後のフルタイムの従業員になったときですが、それでも私は最初にドアをくぐった日、1年先の未来に生き、マジックのセットをデベロップすることを始めた日から数えたいと思います。
私はこの5年間、本当に必死になって生き延びて我々のすることのやり方を学ぼうと長い道のりを歩いてきました。現時点で、私は8つのマジックのセット(『ドラゴンの迷路』『コンスピラシー』『基本セット2015』『タルキール龍紀伝』『イニストラードを覆う影』『エターナルマスターズ』『霊気紛争』そして『Soup』)でデベロップ・チームの仕事を終えていて、4つのデザイン・チーム(『タルキール龍紀伝』『イニストラードを覆う影』『アモンケット』『破滅の刻』)のメンバーを経験し、3つのセット(『マジック・オリジン』『異界月』『イクサラン』)と現在取り組んでいるセットのデベロップ・チームのリードを務めてきました。『モダンマスターズ 2017年版』のリード・デザイナーをする機会にも恵まれました。
私が働き始めたとき、どれだけ素晴らしいものの一部となる機会を得ているのか分かっておらず、日常的に行うことについて厳密にはほとんど考えていなかったことは間違いありません。今回の「Latest Developments -デベロップ最先端-」では、私がマジックのセットに取り組むことから学んだスキルの一部――他の協力して行うクリエイティブなプロジェクトへ容易に置き換えられるスキル――についてお話ししようと思います。
前置きはこれぐらいにして、私がこの5年間で学んだ4つの教訓をお話ししていきましょう。
聴き取る
聞くことは本当に最も大事です。学生時代からの習慣、もしくは単に人の習性の一部として、他の人が話すことを止めるまで話を聞くことは我々みんながしていると思います。これは誰かが抱いた疑問や懸念に対して答えることにならず、彼らを拒絶しようとすることになるだけです。これは二度と会わない適当なクラスメイトをあしらうなら十分かまわないのですが、継続的関係を築く必要のある人に対しては有害になりえます。
もしあなたがそうすることを知られている人物なら、他の人はあなたを魅力的ではないと感じるかもしれませんし、同じようにあなたに聞かないようになるかもしれません。その時点で、あなた自身のポイントは他の人があなたの中でなくなるのと同じ方法でなくなってしまうでしょう。
理解するべき大事なことは、この手の協力して行うプロジェクトに取り組む時には、みんなの意見はその答えが有用でなくても有用であるということです。事実、人々は答えを考え出す能力よりも、何かが機能しているかどうか、楽しいかどうか、不快であるかどうかを伝える能力にずっと長けています。誰かが懸念を抱いたとき、あなたは彼らからそれを聞き、心に留める必要があります。
突き詰めると、我々がマジックのセットを作るとき、それを自分たちのために作るのではなく顧客のために――皆さんのために作るのです。マジックに取り組んでいる誰かがメカニズムや物語の一部、もしくはあるカードに懸念を抱いている場合、彼らはそのコミュニティ内の同じ懸念を代表しています。我々は全ての人を満足させることはできませんが、究極的には可能な限り多くの懸念に対処しようとし、少なくとも人々がそれらの項目で抱くであろう問題の多くを考慮してきました。その目標は、委員会によってデザインされることではありませんが、プロジェクトのリーダーが最も情報に基づいた決定を下せるようにさまざまな発信源からの十分な意見を得ることです。
はっきりと発言する
これは多くの人が開発部で働き出した初期に抱えている問題のひとつです。私は違うと思いますが、それは私がそう思い込んでいるだけかもしれません。協力して行うプロジェクトで聞き取る前に話すことはとても悪いことなので、「聴き取る」の後にこれを持ってきました。
チームの一員として、物事に対するあなたの率直な意見を言うようにすることと、何かを強く信じているときに発言することはものすごく大事なことです。そのプロジェクトの他の人がまだそれについて考えていないことは、どんなにあなたの指摘が平凡なものであろうと全くもってありえます。たとえそれが明白なように見えても多くのことが未決定であり、単純に見落とされているかもしれません。
マジックのセットに取り組むとき、これはさまざまな方法で現れてきます。エターナル・フォーマットでの2枚コンボは頻繁に会議で議題に上がり、それが大問題であると感じられた場合、我々はすぐにそれを修正しようとします。時にはそれがスタンダードのコンボであったり、我々が注意したい本当にまずいルールの相互作用だったりします。またある時には、意図しない悪い意味を持った名前やアートであることもあります。マジックのセットには変更されうる部分が多くあり、そしてそのセットのリードは文字通りその全てを考えることはできないのです。
無視された事柄を見つけることができるチーム・メンバーを持つこと――そして彼らがそれらの事柄を見つけたときに数か月後の脚注でではなくすぐに指摘してくれると信頼すること――は優れた仕事上での関係を築く助けとなります。
さて、あなたの考えを話すことと、あなたのやりたいようにやることの間には大きな隔たりがあります。人々にあなたの感じていることや懸念を伝えることはほとんど常に有用なことです。あなたの要望が満たされるまでプロジェクトの残りの部分を進めさせないというのでは何もできません。同じように、クリエイティブなプロジェクトの目標は委員会によって進められるべきではなく、一方で誰かが全て自分のやりたいようにすると他の人もそうするので、全てはぐだぐだになってしまいます。
《デジェルの決意》 アート:Kieran Yanner |
戦いを抜け目なく選ぶ
共同作業の問題点は、物事を完了させるためには実際に他の人と協力する必要があるという点であり、必然的に何らかの衝突が起きるということです。
どんな環境でもある程度の量の衝突がない環境は疑ってください――それは通常その体制に対する疑問が鎮圧されてしまっていることを意味します。もしくは異なる意見を持った人々がすぐに逃げ出す方法を探しています。どちらも良い場所ではありません。常に言い争っているということではありませんが、人々が自分の心情を話すことができると思い、自分の意見が聞かれていると知れるべきです。情熱的で技術のある人々のグループは、彼らが専門知識を持つ多くの主題で異なる意見を持つことになるだけであり、理想的にはこれらのさまざまな意見を使ってより良い最終的な結果を得ることができます。
人々に情熱的に反論するようになることの一番難しい部分はどの戦いを選ぶかを知ることで、実際にその全てを選ぶことはできません。そうするならあなたは燃えつきてしまい、人々は大抵あなたは全てを支配しようとしていると感じます。人々のあなたに対する信頼を得るためには、これらすべての議論であなたのヒット率が高くある必要があります。
「オオカミ少年」という評価は簡単にされてしまいます。そうなるともう誰もあなたを助けてくれません――特にあなた自身のことは。とても重要であるとあなたが思い、独自の洞察と自分の要点を説明する能力を持つ戦いにだけ挑むことは、とても良いことです。
これはマジックのセットを作るときによく起こります。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト本社では400人以上の人々が働いていて、その中で全ての人がそうではないものの、マジックのセットに触れる人は非常に多くいます。彼らの多くは、私がセットのリードをしているときに個人的には反対するかもしれないような決断をするかもしれません。ですが突き詰めると、私はあらゆる分野において世界で最も賢いわけでも技術があるわけでもないのですから、他の賢く技術を持った人々の専門知識を決定を下すために用いるのは重要なことです。
私が戦うことで最終的に良くなった物事はあったのでしょうか? 多分ありますが、私はほとんど信じていないけれども最終的に良くなったものもたくさんあります。良くなることだけを考えて無駄になることを無視してしまうことは、それがより頻繁に発生するものであってもありがちなことです。
私が奈落に入る前、マット・プレイス/Matt Placeがそこで働いていました。彼は私に「今までにお前は間違えたことがあるか? これがそのひとつだと思わないか?」と言いました。これはなんだか不躾な質問ですが、しかし真実です。忘れてしまいがちですが、あなたの周りの賢く情熱的な人々もまた良いところを持っていて、彼らの多くはあなたよりも何かに考えや労力を費やしているだけなのかもしれないのです。また彼らはあなたにはない独特の洞察をもっているかもしれません。
この教訓は私にとって難しいものであり、おそらくまだもっと取り組む必要があります。私は人生において不可能と思えるような道を選んできていて、そしてそのほとんどをなんとか切り抜けてこられたことに満足しています。
適正なリスクを負う
大きなプロジェクト、特にクリエイティブなものに取り組んでいるときには、決断を下さなければならない地位にあってその結果がわからないことが何度もあります。それで良いのです――何かする前に全て分かっているのなら、出来上がったものはつまらなくなる可能性が高くなります。人々はそれを前に見たことがあります。一方であなたの取り組むものが何でも離れすぎているなら、人々は関わるのに苦労するでしょう。あなたのやっていることに関して何が限界であるか、それがどれぐらい離れているのかを知ることは重要です。
マジックのセットに取り組むとき、それは基本的に、いつでも基準線から遠く離れて変更されることを意味しています。我々は『レギオン』や『アラーラ再誕』のようなぶっ飛んだセットをもうたくさん作ったりしませんが、たしかにそれをすることは可能です――しかしそれを行うための正当な理由が必要となります。
我々はまた物事を楽しいやり方でバランスを取る方法があるようにしたいと考えています。なので、全てがアーティファクトのセットを作る場合、我々はそのアーティファクトの多くを色の付いたコストを持つようにする方法を考え出したいと思うでしょう。そのセットはもし我々が色の独自性を無視しようとした場合、ドラフト環境が複雑すぎ、スープのようなもの(何でも一緒に運用でき同じような感じ)になってしまうでしょう。
最終的に重要なのは、計画的で目的のあるリスクを負うことです。リスクは実験になるべきで、そしてあなたはそれらがうまくいかない可能性があることを理解するべきです――なので常に予備の計画があります。そしてテストしていることについて何か考えていてください。また成功のためのリスクと計測基準について一緒に働いている人々の理解が必要です。最後にプロジェクトを振り返って、その時点で成功したか失敗したかを判断する基準を定めるのはとても簡単です。事前にそれを定めるのは、後でデータを選り好みできないようにするためです。
今週はここまでです。来週の「Latest Developments -デベロップ最先端-」では変更に対処する方法をお話しします。
それではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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