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開発秘話

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両面プレインズウォーカーのデベロップ

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両面プレインズウォーカーのデベロップ

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2015年7月10日


 デザインの過程も半ばに差し掛かろうというころ、私はデザイン・チームが考え出した5人のプレインズウォーカーのオリジン・ストーリーの目玉となるものの話を聞きました。両面プレインズウォーカーなるそれは、最初は伝説のクリーチャーとして戦場に出て、その後プレインズウォーカーに変身するというものでした。私は懐疑的でした。通常、プレインズウォーカーは基本セットで魅力的なカードを作る最も信頼性の高い方法なのに、全くテストもしていないそのアイデアを用いるというのは、私には正気とは思えませんでした。とは言うものの――これはとんでもなくエキサイティングでした。これらがうまくいけば、このセットで最もエキサイティングなカードになることは分かっていましたが、その時点では、本当にできるのかどうかを解明するのは私にとって困難でした。しかしショーン・メイン/Shawn Mainが最初のバージョンを見せてくれたときには、私はもっと楽観的になれました。

 『マジック・オリジン』は我々がいつも作っている基本セットとは異なっています。このセットは再録メカニズムの代わりに2つの新メカニズムを収録し、金色のカードがアンコモンにあり、プレインズウォーカーをプレイする全く新しい方法まであります。このセットでは常磐木メカニズムの種類を整理し、そしてカードで伝えようとしている物語は1つだけではなく......5つです。このセットは意欲的であり、私は個々のプレインズウォーカーが機能するためには多くの要点があるということが分かっていました。つまり、これらのカードを適正なパワー・レベルにすることは容易ではなかったということです。

調整つまみ

 カードを作るとき、我々はパワー・レベルに影響するつまみとなる個別の部分を参照します。これは、もし何か少し弱いものがあった場合、我々はそのカードのつまみを見つけて少し上げることができるという考え方です。例えば、{2}{G}2/3を{G}{G}3/3にすることも、ちょっとしたテキストを付け加えることも、どちらでもできます。我々はカードの全ての部分で調整することができます。

 プレインズウォーカーになる両面クリーチャーの企画案は、個々のデザインの上に、これまでのカードよりも多くのつまみを増やしていました。まず最初に、そのクリーチャー面はマナ・コスト、パワーとタフネス、変身条件、そのクリーチャーが持っているあらゆる能力のつまみがあります。それに加えて、裏返った面はバランスが取れたものでなくてはなりません。それぞれの面のあらゆる調整が、このカードをほぼ無価値なものから強すぎるものにまで変化させるかもしれず、これは本当に難しいバランス取りでした。

 確かにこれらのカードは適正なレベルにするのがとても困難でした。我々は基本的にこれらのプレインズウォーカーを、変身させるとほぼ常に満足いくものにしようとしました。つまり、プレインズウォーカーの面の価値を、変身の難易度に応じてクリーチャー面よりも1~2マナ分高いものにするということでした。

 私が幸運だったのは、ショーン・メインがプレインズウォーカー――そしてセット全体を――とても良い形に変えてくれて、そしてそれが私に個別のデザインの楽しく、バランスが取れていて、そしてエキサイティングなバージョンを見つけるための繰り返しをする時間を与えてくれたことです。

 さて、それではこれから個別のカード、そしてそのデベロップにまつわるいくつかの物語を見ていきましょう。


ギデオン・ジュラ

 ギデオン――いえ、キテオンというべきでしょうか――、その物語はアクロスで始まります。彼はそこでは野心の結果として友を殺してしまった強力な戦士でした。このカードを適正な強さにしようとしたとき、その最初のバージョンは疑似「大隊」で変身し、彼自身へのダメージを軽減する能力を持っていました。彼は最初{2}{W}{W}3/3でしたが、すぐに戦闘でもっと活躍するように4/3になりました。

 イラストが届いたとき、私は驚きました。それは私が思い描いた大人のキテオンでは無く、12歳ぐらいでした。キテオンは強い少年かもしれませんが、しかし4/3は戻ってきた絵にはかなり無理があるように見えました。4/3が突然無理になり――その時私はひらめきました。彼が1マナなら? 我々は1マナのプレインズウォーカーを作ったことがなく、そしてそれは白ウィニー・デッキに簡単に入れる余地が見つけられるものをつくるのにとても役立つでしょう。

 しかし、これは幸運なアクシデントの1つでした。私はギデオンを1マナクリーチャーから始めてみようなどとは思いもしなかったでしょうが、このアートはそれを強制的に試してみようという気にさせました......そしてまさにうまくいったのです。それだけでなく、これは私に残りのプレインズウォーカーの数字に関して、より大きなリスクを背負うように励ましてくれました。

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ジェイス・ベレレン

 ジェイスで最も難しかったことは、変身の誘発条件とプレインズウォーカー面の能力の適正な組み合わせを見つけ出すことだったと言えるでしょう。このカードの最初のバージョンは対戦相手のライブラリーを削り、その後変身するとさらに大きなライブラリーを削る効果を持っていました。構築フォーマットで強力なライブラリー破壊カードを機能させようとする場合の問題は、その削る枚数を十分な強さにすると、リミテッドが楽しくなくなり、一方で統率者戦では十分な強さではなくなることです。これはまさに、それぞれのフォーマットのライブラリーの枚数の変化がそのカードに及ぼす影響です。

 長い間、このセットには《マーフォークの物あさり》があり、素晴らしい働きをしていました――が、しかし我々はジェイスが基本的に《マーフォークの物あさり》枠に存在でき、そしてより成功を収めるカードになれると気づきました。機能させるためにライブラリー破壊専門のデッキを必要としないものです。

 捨てたカードの名前やタイプを参照するようないくつか違う変身の誘発型能力を試した後、我々はジェイスが多くの精神を読んでプレインズウォーカーに変身した彼の物語の流れを現し、構築フォーマットで3ターン目に変身することが難しい――しかし不可能ではない――墓地のカードの枚数で行くことに決めました。もしあなたが3ターン目に変身させたいのであれば、何か一工夫加えねばならず、それは何の努力も要求しないよりも楽しいものになるでしょう。

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リリアナ・ヴェス

 かなり手間のかかったプレインズウォーカーと言えば、デザインから渡されたバージョンのリリアナはレア投票(新しいセットのカードで何が機能して何が機能しないかを決定する内部での評価)で最も人気でした。彼女の物語はカードで表現するのが困難で、その理由は他のプレインズウォーカーの物語との違い、そのいくらかは彼女が「大修復」以前のプレインズウォーカーとしての性質によるものでした。ジェイスは精神の魔道士であり、チャンドラは炎の魔道士、ニッサは自然の魔道士で、そしてギデオンは法の魔道士でした。リリアナは癒し手から屍術師になりました。実際、私にとって最も難しかった部分は、このセットを通してリリアナが癒し手であったことを表現することでした。

 しかし彼女の物語を伝える我々の試みはうまくいき、彼女の物語を上手く伝えたカードができましたが、うまく繋がらないという問題がありました。彼女の変身条件はこんな感じです。

{B},{T}:他のクリーチャー1体を対象とする。このターンそのクリーチャーが死亡したとき、黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体戦場に出し、[カード名]を追放し、その後、これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。

 これはリリアナの物語をかなり上手く伝えていますが、実際にスタンダードで使い物になるカードにはなっていませんでした。私がデベロップ・チームに課した「これらのプレインズウォーカーは戦場に出たターンに変身するべきではない」という制約のために、我々はしばらくの間このテキストに苦戦していました。

 我々はさらにテストを続けた結果、この制約が必要とされているよりも少し厳しいということが分かりました。ほとんどのプレインズウォーカーが戦場に出たそのターンに簡単に変身しないことは良いことですが、出たターンに変身させるために苦労しなければならないなら......彼らのうち少しは変身しても構わないのです。この場合の苦労とは、生け贄にするためのクリーチャーか、リリアナが戦場に出たターンにクリーチャーを1体死亡させる何か他の方法が必要であるということで、それは制約に値すると判明しました。

 最終的に、彼女のカードが彼女の灯がともる前の彼女自身と灯がともった後の彼女自身の間の違いを最もよく現しており、我々が実際に両面プレインズウォーカーで物語とゲーム・プレイの両方を成功させることができる機会を得られたと、私は思っています。

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チャンドラ・ナラー

 チャンドラはデザインからデベロップの間で最も変更が少なかったプレインズウォーカーです――その理由は多分、彼女が最も明確にそのメカニズムを私に売り込んできたからです。彼女は1/1から2/2に変わり、そして他の能力は全てそのままでした。

 初期バージョンのチャンドラは変身条件に彼女のタップ能力で与えたダメージだけを数えていましたが、クリエイティブと話しているときに「チャンドラは子供の頃よく喧嘩をしていた」と教えてくれたので、どのダメージでも数えるように拡張しました。つまり、相手の防御をすり抜けてチャンドラの攻撃を通すことができたなら、2つ呪文を唱えるのではなく1つ唱えるだけで、簡単に彼女を変身させることができるということです。

 第2面のチャンドラは少し工夫を必要としましたが、呪文をもっとプレイさせようと異なる能力を試みた後のことでした。我々は対戦相手全員を燃やす、これぞまさにチャンドラというものを思いつく前に、いくつか異なる奥義を試してみました。テーマ的に機能するかもしれないもっと多くの能力を探す間に、私はとうとう、チャンドラの能力が全てダメージを与えるものになったことを面白がり、彼女を単一のマジックのカードで最も「ダメージ」という単語を使った事例にしてしまいました。この記録はしばらく破られることはないでしょう。

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ニッサ・レヴェイン

 ニッサは開発中の長い時間今より1マナ重く、土地ではなく2/2の伝説のエレメンタルを連れてきていました。プレインズウォーカーの面は同じ名前のクリーチャーの4/4バージョンを召喚していました。このアイデアはニッサが精霊術師であることを現していましたが、我々はこれを望んだ通りの完璧にすることはできませんでした。これらのプレインズウォーカーの目標はスタンダードで競技レベルにすることであり、このデザインは居場所を見つけていませんでした。

 彼女をデベロップしている間に分かったことは、ニッサをプレイしたいデッキはこれ以上4マナのクリーチャーを必要としていないということでした――それらのデッキが使えたのは3マナ域でした。すぐに我々は3マナがエレメンタルを作り出すには本当に適した場所ではないことに気づき、現在のバージョンのテキストに変更しました。加えて、彼女の変身するための条件は、土地を探して、その後7枚以上の土地がある場合に変身するというものでした。しかし我々がわかったのは、彼女は遅すぎ、そして4マナに到達するころにはニッサよりはるかに大きなクリーチャーを唱えられる、ということでした。代わりに、我々は彼女のコストを軽くし、変身の誘発を土地が戦場に出たときにしました。

 ニッサの本質は依然として精霊術師です――彼女はプレインズウォーカーの面で友を召喚します――が、しかしクリーチャーの面は、ジョラーガの斥候である彼女が新しい土地を探しているときに、アクームの山でエムラクールに遭遇してプレインズウォーカーに変身したことを売りにしています。

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我々のテーブルからあなたのもとへ

 さて、プレインズウォーカーのデベロップ時に起きた物語をいくつかご紹介してきました。これはこれらのカードが物語を表現するだけでなく、スタンダードや、もしかするとそれ以外のフォーマットでも活躍するのに十分な強さになるための多くの取り組みです。私はあなたがこれらのカードをプレイすることを、我々がこれらを作ったのと同じぐらい楽しんでくれることを願っています。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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