MAGIC STORY

マジック・オリジン

EPISODE 13

オリジンのデベロップ

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オリジンのデベロップ

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2015年7月3日


 『マジック・オリジン』のプレビュー第2週にようこそ! 今回この記事でご紹介するカードはありませんがご心配なく、カードイメージギャラリーで全てのカードを見ることができます。

 その代わりに、このセットのデベロップ・チームのメンバーについてと、このセットをデベロップしているときに起こったある問題についてお話ししたいと思います。


サム・ストッダート/Sam Stoddard(リード)
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 私です!


デイブ・ハンフリー/Dave Humpherys
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 デイブはデベロップ・マネージャーであり、したがって彼の仕事の1つは週単位でそれぞれのデベロップ・チームの仕事を監督することと、我々が自分の仕事を完了できるだけのリソースを持つようにすることです。

 私のマネージャーであることに加えて、デイブは5つのセットのデベロップのリードでもありました――『アヴァシンの帰還』、『ギルド門侵犯』、『ニクスへの旅』、『運命再編』、『タルキール龍紀伝』――そしてその経験はセットのカード上の課題や社内の他の部署と一緒に仕事をするという課題について、私のやり方を見つけるための素晴らしいリソースとなりました。


イアン・デューク/Ian Duke
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 プロツアーのコメンテーターとしてイアンをご存知かもしれませんが、彼はまた素晴らしいデベロッパーでもあります。イアンは『統率者(2014年版)』、『Vintage Masters』、『Tempest Remastered』、そして先日完成したばかりのまだ発表されていないマジックの主要セットでデベロッパーを務めました。

 イアンはこのセットのデザインチームのデベロップ代理であり、その結果、彼の仕事の大部分は他のデベロップ・チームのメンバーにデザインがしようとしたことを伝えることでした(なので我々は機能しなかったものを繰り返すという間違いをしませんでした)。また彼は我々がこのセットにおけるデザインの展望に応えられるようにもしました。


ダン・エモンズ/Dan Emmons
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 デベロップの途中で、ダンは他の仕事をするためにウィザーズを去りましたが、私はしばらくの間彼と一緒に仕事をする機会を得たことを嬉しく思っています。彼はものすごく熱心なチームのメンバーで、主にたくさんのカードを作ることと、デベロップがデザイン・チームの全体的な哲学に添えるようにすることに焦点を当てていました。

 ダンはいくつかの責任を背負っていて、おそらくその中で最も重要だったのは、プレインズウォーカーの独自性の守り手であることでした。《闇の領域のリリアナ》以降、我々が切実に各プレインズウォーカーに強力な個性を求めているのは明らかであり、ダンはその方向性への突撃を導いた人物でした。


イーサン・フライシャー/Ethan Fleischer
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 イーサンのことを『統率者(2014年版)』や『ニクスへの旅』のリード・デザイナーとしてご存知かもしれません。ダンがチームを離れたことに伴い、我々はデザイン・チームのメンバーが来て、デザインの指針の維持が保証されることを必要としました。イーサンは親切にも参加してくれて、我々が求めるマジックのカラー・パイとプレインズウォーカーのあるべき姿を『マジック・オリジン』に適切に反映するための素晴らしい仕事をしてくれました。


アリ・レヴィッチ/Ari Levitch
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 アリはクリエイティブ・デザイナーで、『マジック・オリジン』の中で大きな役割を担っています。彼はこのセットのデザイン・チームのクリエイティブ代理であり、『マジック・デュエルズ・オリジン』のキャンペーン・モードのために物語を整理する多くの仕事をしました――つまり彼は本当にこのセットとデュエルズを繋げたということです。

 私がアリを最も評価していることの1つは、チームの中で私が常にカードについて考えている間、彼は常に物語について考えていたことです。1つのセットの中で5つの物語を語るという難しい任務に対処するために、我々は一緒に取り組むことができました。彼は再現されていない物語上の重要な場面や、実際にカードにするべきアートを持って何度か私のもとに訪れました。私はこのことが最終的な製品の仕事のために大いに役立ったと信じています。


 全ての役割が整ったチームとともに、私はこのセットの最大の目標のいくつかと、どうしてそれらが過去の基本セットでは困難であったかについてお話ししたいと思います。


基本の再定義

 『マジック・オリジン』は最後の基本セットとして始まったわけではありませんでした。これは『マジック・オリジン』として始まったのでさえなく、実際には悪役に焦点を当て、最近のプレインズウォーカーたちを取り上げた次の年の基本セットへとつながるセットとして始まりました。デザインのある時点(半分ぐらいの時だったと思います)で、スタンダードのブロック構造の変更が決まりました。それによりこのセットは最後の基本セットとなり、デザインは本来のファイルの中身を大半を断念することを要求されました。私はショーン・メイン/Shawn Mainにこの展開についてどうすればいいか伝え始めることができず、このセットがすぐに方向転換したことは本当に驚きでした。

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 2ブロック制が変更になるよりも前に、我々はこの再録メカニズムを1つ収録する基本セットという制度がかなり飽きられていることに気づいていました。最大の問題は我々が理論的には膨大な量の再録メカニズムのリストを持っているとしても、実際には理想のリストはずっと範囲の狭いものになるということです。あるメカニズムは複雑すぎ、あるものはデザイン空間が残っておらず、そして最良のメカニズムの多くは基本セットでの数枚のカードではなく新しいブロックの要として使う方が適していたのです。そのため、我々は基本セット向けの新しくシンプルなメカニズムを作ることになりました。

 メカニズムを適正なものにすることはより難しいことです。私はデザインが考え出したものにどちらも超満足しており、それらは「レベルアップ」の物語を上手く伝えていますが、適正なバランスを得るためにはかなりの手腕が必要でした。高名の課題は、クリーチャーに乗せるカウンター関連のバランスを取ることでしたが、このフォーマットは先手後手で完全に決まるわけではありませんでした。魔巧の課題は、リミテッドと構築フォーマットの両方でこのメカニズムを面白くするバランスを考え出すことであり、インスタントとソーサリーの枚数の設定は激しく変化しました。最終的には、私はどちらのメカニズムの出来にもかなり満足しており、来週以降にもっとお話ししたいと思っています。

物語関連

 メカニズムの他に、我々がこのセットで達成しようとした大きな変更は物語を伝えることでした。プレイヤーがなぜ基本セットに全体的に興奮しないかというデータを見てみたとき、物語の不在が大きく目立って明らかでした。『基本セット2010』が出たとき、「汎用芳醇ファンタジー」の使用はある意味で新しい世界で、そして我々が長い間成しとげていないものでした。このことは人々が納得いくシンプルなカードを大量に印刷することを可能にし、マジックの再活性にも大きく貢献しました。しかし、そこから4つの基本セットを経て、このフレーバーはもはや人々を興奮させなくなりました。同時に、我々は通常エキスパンションでの物語において大きな進歩を遂げ、ブロックのために行っていた物語の紹介が機能していたことを示してくれました。


〈カラデシュの火、チャンドラ〉 アート:Eric Deschamps

 『基本セット2015』はガラクの物語を綴るいくつかの試みがなされ、そして『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ』との連携がなされたとき、我々が成功を収めたと私は確信しています。しかしカードのレベルではつまらなかったとも確信しています。最終的には、ガラクの道のりを実際に表した少数のアートがあっただけで、機会を逃してしまいました。我々が『マジック・オリジン』に取りかかり始めたとき、物語は開発部の様々なグループ全てによって焦点が当てられました。このセットは我々の伝えたい物語のためにキャラクターを設定することが非常に重要になっており、それらのオリジン・ストーリーが通常のプレイヤーにもすべて見えるような、スターの組み合わせを単一の場所にまとめることを必要としていました。

 デザインはこの仕事のために必要な要素をたくさん引き渡してくれましたが、リード・デベロッパーとして、私はそれらがデベロップの課程を通しても残るようにしたいと思いました。クリエイティブ部門が彼らの仕事をするのにに必要な余裕があるようにしたので、プレイヤーが『マジック・オリジン』を経験したとき、その物語をたどることができます。このセットのデヴァインの時期に、私はこのセットをまとめるのにとても役立つと気づいたアイデアを思いつきました。魔巧メカニズムは主役たるプレインズウォーカーを含めた魔道士たちがより強力になったことを表すためにデザインによって作り出されました。私のアイデアはこのメカニズムを実際に物語を伝えるために使うというものでした――魔巧を持つ各カードをキャラクターの物語の異なる時点を表すようにするのです。コモンは各キャラクターの最初の次元を表し、アンコモンは彼らが旅した次元、そしてレアは彼らの現在の力の強さを表しています。これは些細なことですが、私にこのセットを組み立てる素晴らしい焦点を与えてくれました。

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 プレインズウォーカーの物語を表すよう意図されたのはこのサイクルだけではありません。このセットの各プレインズウォーカーは、その物語中の彼らの成長のために重要な場面を表したレアや神話レアと、物語上重要な1枚の伝説のクリーチャー、そして彼らの故郷の次元を表したデッキの軸となるエンチャントを中心としたアンコモンのサイクルを持っています。これらのカードを全部一緒に入れることで、クリエイティブ部門は多くの仕事を行いながら5つの物語全てをカードの上で語るための余裕を得ました。

 プレリリースを来週に控え、私は皆さんにこのセットを探索し、そして『デュエルズ・オリジン』をプレイしてキャラクターについてもっと知る時間を取ってほしいと願っています。我々は素晴らしい物語を持っており、私はこのセットが皆さんに彼らの行き先についての情報を提供し続けることを楽しみにしています。

 来週は両面プレインズウォーカーのデベロップについての微妙な部分と、それらがどのように開発部内の一生で成長していったかについてお話しします。

 ではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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