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開発秘話

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マルチバース劇場『ドラゴンの迷路』編

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マルチバース劇場『ドラゴンの迷路』編

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年6月7日


 またまた、カードファイルを保管して機能させるために我々が用いたデータベースであるマルチバースの記録へと旅立ち、開発部の人達が『ドラゴンの迷路』のデザインとデベロップのときに何を考えていたかを見る時間がやってきました。真面目なコメントもふざけたものもありますが、全部ひっくるめて楽しんでいただきたく思います。

 ともあれまずはキャストの紹介です。


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AF-アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe

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DB-ダグ・ベイヤー/Doug Beyer

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DEL-デル・ロージェル/Del Laugel

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GSV-ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verhey

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KD-ケリー・ディグズ

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KEN-ケン・ネーグル/Ken Nagle

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Mago-マーク・ゴットリーブ/Mark Gottlieb

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Max-マックス・マッコール/Max McCall

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MJ-モンス・ジョンソン/Mons Johnson

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MJG-マーク・グローバス/Mark Globus

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MR-マーク・ローズウォーター/Mark Rosewater

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SPS-これは私

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ZH-ザック・ヒル/Zac Hill

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 そして今回のお題は...


霊異種

ZH 4/2:新種の《変異種》ですぞ!

AF 4/23:-1/+1か明滅効果による「擬似無限タフネス」かどちらかをつけられるが。

ZH 4/23:ダメージを与えたくないのならね。

KD 4/24:戻ってくるときはオーナーのコントロール? コントローラー?

ZH 4/25:オーナーだと思う。

MJG 4/30/12:こいつ好きだ。

Mago 4/30:青にもう一枚作る前に白と黒の《変異種》はまだなんですかね。こいつはヤバそうに見える。

ZH 6/11:ハンプ(デイブ・ハンフリー/Dave Humphery)はラスゴで死なないクリーチャーを求めている。最新型の明滅能力を試してみよう。さらに構築向けにタフネスを1増やそう、「流動石」能力の奴らのパワーとタフネスは妥当とは言えないからな。

KD 6/12:これまでの?異種は3つの色マナのいる能力があってパワーとタフネスは正方だったね。

MR 6/26/12:《変異種》のバリエーションは《変異種》を踏襲することが求められている。正方ではないパワーとタフネスを扱うことはできるが、5つの能力は持っていなくてはならない。

SPS 6/29/12:何か{U}を使うちょっとした能力をつけられませんか? アンタップするとかは良すぎるし、対象にならないだとか、飛行をつけるとかはどっちも駄目そうですが。

ZH 7/5:ゴットリーブの新能力をつけてみた。上手くいくかは分からないが。

ZH 7/10:ゴットリーブの新新能力に。

Mago 7/10:3番目の能力を{U}:スペース節約のために(カード名)はターン終了時まで全ての色になる、にできた。

KD 8/22:色を変更するちょこっとしたテキストの能力を削除。《変異種》らしさは減ったが、カードの収まりは良くなった。


 テキストの長さはチームとしての我々にとって解決するのが最も難しいことのひとつです。我々はカードが実際に読めるように、そしてカードに収まるようにしなければなりません。《霊異種》を他の《変異種》のバリエーションに揃えようとしましたが、我々はそれと上記に要求された最低限のテキストサイズの両立を達成できませんでした。


DB 6/7/2012:条件付きの飛行はコンセプトに対してひどいことになりそうだね。常に飛んでるか飛ばないようにするかできるかな?

ZH 6/18:俺は本っっっっっっっ当にこれにガーゴイルのコンセプトをつけたくない。俺は本っっっっっっっ当にこれを吸血天使にしたいんだ。それが可能かどうかは知らないができると思っているし、そうなって欲しい。

ZH 7/19:先制攻撃は外そう。

SPS 9/4/12:プロテクション白と黒を起動型能力にしたらいいんじゃないかと。{W}:プロテクション白、{B}:プロテクション黒、みたいな。

KD 9/11:ハンプ向けに数値を変更、パワーとタフネスの元の数値を+1/+1、パンプしたときの修正を-1/-1減らして、もう1マナ重く。


 ダグが言ったように、マジックの問題の1つはカードを1つの固定された枠でしか表せないということです。劇的に変化するカードは最初か最後の状態のどちらかを表さないといけないので、最終的にとても奇妙なカードになることがあります。それでも、ザックはこのカードを強く推して、その結果このカードのその性質は変わりませんでした。

 カードパワーの観点からは、これは4マナ3/3のほうが圧倒的に強く、白の濃いデッキやゾンビデッキを極めて迅速にシャットアウトし、先制攻撃はこれをかなり強力なブロッカーに仕立て上げました(こいつは戦闘の途中に不自然にもレベルアップし、その後通常の戦闘ダメージが与えられた後にレベルが下がるという挙動を見せていました)。我々が現在の性能に変更するという決断を下したのはデベロップのかなり遅い時期で、これは少し太りましたがこれがやってくる前に他のデッキが盤面を確立する十分な可能性を与えました。


ZH 4/17:「パーマネント」から「クリーチャー」に変更。ほとんどの拘置材料を維持して、《忘却の輪》とのコンボを避けてよりシンプルに。

ZH 4/23:「他の」を強請ループ防止のために追加。

Mago 4/30: 何でこれが《白たてがみのライオン》の完全下位互換じゃないのかって理解するのに2分かかったけど分かった。こいつはいいね。

Max 5/22/12:新世界秩序に従いきれていないな。

MR 6/26/12:「してもよい」の存在が新世界秩序の問題を助けている。新人は混乱するだろうが単に何もしないということができるのだ。

Del 8/17:何故他のクリーチャーを対象を取らないのか、いい理由が見つからないわ(《白たてがみのライオン》は『次元の混乱』の変なカードで、それには「開門」メカニズムがあることを分からせるという意味があって対象を取らなかったの)。

KD 9/17:ハンプの見解によって対象を取るように変更。


 しばしばデベロップは古いカードのテンプレートを正解に近い文を得るために使います。時々、特に時のらせん・ブロックからのカードは、今日では我々が使わない文法になっています。幸運にも、編集はその問題を修正するためにいます。


Mago 4/30:5マナはひどいな。《肉体のねじ切り》とか《引き込み》とか《最後の喘ぎ》、《闇の掌握》と比べると...他の具体例と比べて完全下位互換じゃないが、ひどいな。

ZH 6/18:苦情がいっぱい来たので、このセットでもお気に入りのこのカードを{4}{B}から{3}{B}に変更。


 ザック・ヒルは《致命的な噴煙》を他の多くのデベロッパーが単純には理解しがたい形で愛していました。ある人はその理由を4と2が《柱平原の雄牛》を彼に思い起こさせるからだと信じていました。他の誰かは彼が重い除去が好きだからだと信じていました。しかし他の人はさらに《柱平原の雄牛》と何か関係があると信じていました。しかし何故なんでしょう? 世界は答えを知らないままかも知れません。


ZH 4/20:2/3に変更してクールで潜在的にぶっ壊れてるコピー能力を付けられるようにした。

Max 5/8:潜在的(笑)

ZH 6/6:"Hook"に2/3がいるので1/4に変更。

GSV 6/11:このセットの中で一番好きなカードかもしれない。私のジョニー/ティミー向けキューブに入れたくてウズウズするね。

ZH 6/18:ガヴィンの要望で1/3に変更。

ZH 6/26:《ラル・ザレック》や『ラヴニカへの回帰』の奴と差をつけるために6マナに変更。《柱平原の雄牛》に戻す。モーモー。


 《柱平原の雄牛》が大好きなザックさん。


KD 7/9:イラストは双頭になってる。カードは何も双頭的なメカニズムがないな。OK?

Del 8/21:《セレズニアの声、トロスターニ》も頭がいっぱいあるものね。ラヴニカの水には何かあるに違いないわ。


 クリーチャーはメカニズムの補強なしに望むだけの頭を持つことが許されていますが(彼らの生態を誰か教えてくれますか?)、我々はブロックされにくいか、ブロックするのが得意な、双頭のクリーチャーの長く確立された歴史を持っています。こういったフレイバーの問題を誰かが気にかけてデベロップにそれをもたらしていることは常に良いことです。


KEN 3/15/2012:ロシイイイイイイイイィィィン!

ZH 4/2:トランプルつけたぞ!

ZH 4/12:トランプルはやめた。大きいことはいいことだ!

Mago 4/16:いいねえ。私はトランプルよりもその新しい能力のほうが好きだね。

ZH 6/4:ソーサリータイミングに変更。

Del 6/4:Xを1組、Yに変えてもこれのことを同じように好きかしら?

MJ 6/14:こいつは好きだけど起動型能力はもう少し弱くしたほうがいいかな。

ZH 6/21:Xを2回使うのは機能しないね。チームからの提案で混成マナに変更。セットには強請があるから、これでも構わないと信じてる。


 これのちょっとした裏話です。最初に、トランプルはかなりいい感じでした。元々は、このハイドラは{X}{R}{G}の0/0でX個の+1/+1カウンターが乗って戦場に出て、二段攻撃と{X}{R}{G}:X個の+1/+1カウンターを《野蛮生まれのハイドラ》に置く、という能力を持っていました。マジックのルールはXを十分に扱っています。これがインスタントとソーサリーの場合、どうするべきかを考え出すのはかなり簡単なことですが、しかしパーマネントとなるとちょっとおかしくなってきます。お分かりですか、起動型能力のXを選ぶことは、マナコストや今乗っているカウンターの数などの「全ての」Xを選ぶことになってしまいます。ええ、細かい話の1つです。つまり、あなたはXを好きなように使えないというわけです。これはバック・トゥ・ザ・フューチャーのようなタイムパラドックスだと私は思っています。このカードの意図を人間が読み取るのは簡単ですが、過去にも似たような方法を使ったカードがあり、そして後年になってそれを機能させようとするMagic Onlineのプログラマーやルール・マネージャーに災いをもたらします。 《Illusionary Mask》、あなたのことですよ。


ZH 5/4:サイズが下がっていくのではなくサイに向かって上がっていくように変更。

AF 5/10:《目覚ましヒバリ》の出番だ!


 元々のバージョンのこのカードは4/4で3/3ケンタウロスと2/2騎士、そして1/1の鳥トークン2体を戦場に出していました。現在の形になったのはこのほうがより面白いと判断されたからです。アーロンは彼の好きな方法を挙げて、これが可能にした壊れた事柄を即座に指摘しました。私はこれがモダンを壊すとは思いませんが、キューブや統率者戦でこれが達成されるのはいいと思います。


MJ 6/14:こいつとプレインズウォーカーの相互作用はやりすぎかも知れない。

ZH 6/18:プレインズウォーカーには作用しないようにした。

ギデオン・ジュラ》 9/10:何と作用しないって?


 めんどくさいのが出てきました。


 これで今週のマルチバース劇場はお終いです。夏の試みとして、私のコラムでテーマが決まっていない週があるので皆さんが何について読みたいかを知りたいと思っています。取り上げてほしいデベロップ関連の質問や話題があれば、私宛てにメール(原文記事から)を送ってください。全てを取り上げることは保証できませんが、できる限りやりたいと思います。

 サムより

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