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デベロップが攻撃を攻撃する

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デベロップが攻撃を攻撃する

Glenn Jones / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2016年10月25日


 こんにちは!

 私はグレン・ジョーンズ/Glenn Jones、マジック開発部のエディターで、『統率者(2016年版)』のデベロップ・チームの一員です。私はこの製品も含めたいくつかの補助的な製品のリード・エディターを務めてきて、そしてさまざまなマジックのプレイテストを毎週していますが、このプロジェクトは私にとって主要なチーム・メンバーとして働く最初の機会なので興奮しています。

 もちろん、私はあなたが今から知ることをその時知っていました。『統率者(2016年版)』は、私が初めてデベロップ・チームに参加しただけでなく、とても特別なセットなのです。私たちは『統率者』ファンに長年求めてきたものを提供しようとしました――4色の統率者です! 誰もがこのプロジェクトに普通ではない挑戦を期待して、そして私たちは落胆しませんでした。

 リード・デザイナーのイーサン・フライシャー/Ethan Fleischerと彼のチームは5つのデッキではっきりと異なるアーキタイプの基礎を作ることで素晴らしい仕事をしてくれました。これらのデッキは4色をさまざまな範囲で共有し、しかし失われた最後の5色目が存在しないという理想的な共通点を持つアーキタイプに基づいています。この基礎は私たちのアーキタイプの鍵で、そしてデザイン・チームが特定したテーマはそれぞれのデッキを確かなものにするために、私たち皆がともに取り組む助けになります。

『統率者(2016年版)』のデベロップ・チーム

 『統率者』のデザインとデベロップ・チームは通常それぞれ1つのデッキに1人づつ配置されますが、それでもグループとして全てのデッキのカードや提案に貢献するために一緒に仕事をします。新入りのデベロッパーとして、私はチームメイトをとても信頼しています。それでは彼らを紹介しましょう!

ベン・ヘイズ/Ben Hayes(リード)
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 ベンは『統率者(2015年版)』のリード・デベロッパーで、『統率者(2016年版)』にも戻ってくることになりました。私はベンと彼が以前にリードを務めた『コンスピラシー:王位争奪』でエディターとして一緒に仕事をして、彼が開発部で最も素晴らしい協力者(小さく褒めているのではありません)であることを発見しました。チーム全体がベンが以前の『統率者』製品を指揮した経験の恩恵を受けました。

 ベンは白青黒赤デッキとその技術のテーマを担当しました。

ダン・ヘランド/Dan Helland
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 ダンは愛すべきマジック開発部のメンバーであり、スイス・アーミーナイフのようにたくさんの隠れたところで力を発揮しています。ダンのカードはいつも独特な空間を使っていて、その独創性のある才能は彼を私たちのチームの素晴らしい追加メンバーにしました。私のお気に入りのダン・ヘランド・スペシャルは『統率者(2016年版)』で2回目の登場となる『運命再編』の《謙虚な離反者》です。

 ダンは緑白青黒のデッキとそのクリーチャーを積み上げるテーマに取り組みました。

ヨニ・スコルニク/Yoni Skolnik
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 ベンと同じく、開発部でのヨニの主な役割はデベロッパーです。ヨニはフューチャー・フューチャー・リーグのベスト・デッキビルダーの1人ですが、彼はまた強そうだったり使えそうだったりするシナジーを識別する才能も持っています。彼は私が見てきた彼のいる全てのチームで多くの貢献をしていて、そして一緒に仕事をするのは本当に楽しいことです――特に彼の毎日のダジャレが減ってからは。ヨニはマジックで私をよく負かし――実際誰よりも――このことは私自身のような毒舌家が彼について話すときにどれだけ偉大であるに違いないか説明するのために持ち出す唯一のことです。

 ヨニは青黒赤緑デッキとその混沌のテーマを討論しました。

ケン・ネーグル/Ken Nagle
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 ケンは私たちが2つのチームで共通したメンバーを1人持つようにするため、デザインとデベロップの両方のチームに配属されました。ケンの統率者戦に対する情熱は私のそれさえも凌ぎ、デベロップの間に私たちが調整や差し替えを必要としているときでさえも彼はアイデアの泉でした。加えて彼自身のデザインの能力も加わって、ケンはデベロップの間私たちがデザイン・チームのビジョンを理解する助けとなりました。

 ケンは赤緑白青デッキとその共生のテーマ――一般的に「円陣」で知られているものを指導しました。

揺るぎない侵攻

 消去法に長けた人たちは、私が努力を捧げたデッキが何であるかお分かりだと思います――黒赤緑白とその広域侵攻のテーマです。

 私は統率者戦でひたむきなデッキを作るのが大好きで、それはつまり何にも増して攻撃に焦点を当てることが私の心に訴えかけてくるということです。しかしながら私はまた盤面の行動を操作することも楽しんでいます。多人数戦で他のプレイヤーの弱点を作り増大させることにより、あなたの目標を支援する道筋を整えることができ、あなたの対戦相手に対してあなた(と他の対戦相手)が攻撃することを簡単にします。私はこの要素を私たちの最もアグレッシブなデッキのゲームプレイの中心部分にして、そしてそれに皆のための行動を起こす能力を与えたいと思っています。

 私はほとんどのゲームが同じ方法でプレイされて、プレイテストでそれを達成するように機能したと想定していました。1人のプレイヤーに大きな圧力を素早くかける――完全に殺し切るには大抵不十分(ライフ40点は多いので)ですが、日和見主義者のプレイヤーから狙われるには十分です。ゲーム中盤に差し掛かると、そのスロットルは弱まり毎ターンダメージがたまる一方でリソースが生じます。最初のプレイヤーが死ぬとすぐに、歯車は残っている中で最強のプレイヤーを軸にして回ります。他のプレイヤーのための攻撃の道は開かれ、最終的に生き残りは相対的に同じ足場の上に立って、それらの間の問題で単純に決まります。

 幸運にも、デザインから引き継いだものには私の考えにとって完璧なものが含まれていました。

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 《不撓のサスキア》は私たちがしたゲームで常に満足行く動きをしたので、デベロップの過程でほとんど変更されませんでした。4マナ域として、サスキアは私のゲームプランの序盤を固定して、堅実なクリーチャーとして常に盤面に影響を与えました。速攻と警戒の組み合わせはダメージを与えながら偶発的な攻撃から私自身を守り、私のライフ総量を守りながら他のプレイヤーに対する攻撃を作り出すことを意味しています。多人数戦において、防御は常に攻撃に変換されるのです。

 もちろん、サスキアのもっとも重要な能力は残った1組のほうです。サスキアの正義の怒りに晒されるプレイヤーを1人選ぶことにより、私は卓の残りの人に意図を示すことができます。強いクリーチャーは卓全体から反発を招く傾向にありますが、サスキアがその能力を完全に発揮できるのはあなたの敵のうち1人だけです――残りの敵は1体の3/4を警戒しなければならないだけ、ですね? もちろん、全ての偉大な英雄のように、サスキアにもいずれは死が訪れます。これはまさにあなたにサスキアの繊細ではない能力の新しい対象を定める機会を与えますが、彼女は非常に独特な方法で卓の挙動に影響を与えます。

共闘の芽生え

 そろそろあなたはもう共闘メカニズムを熟知しているでしょう。『統率者(2016年版)』の各デッキには、メインの統率者に加えて2種類の共闘の組み合わせをあなたに与えるために、3枚の共闘を持ったカードが存在します。つまり、各デッキはその箱を開けてゲームを始めるプレイヤーに3つの違った方法を提供するということです! これらのデッキが、プレイヤーが選んだ統率者を問わず、楽しくそしていい勝負になる経験をできるようにすることはデベロップの大きな目的でした。

 あなたは異なるデッキの共闘をもったカードを好きなように組み合わせることができますが、『統率者(2016年版)』の各デッキは1枚の「友好」色と2枚の「敵対」色の共闘カードが収録されています。私のデッキの友好色の組み合わせは赤緑なので、私の全ての共闘の組み合わせは《血を蒔く者、ターナ》を使うでしょう。

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 ターナは常に私の共闘統率者の1人になるので、少し特別な待遇が与えられています。4マナにはサスキアがもういますが、私は統率領域がアグレッシブなデッキの序盤のプレイを保証してくれることを評価しています。そういうわけで、これは4マナ以下で攻撃に見返りをもたらす赤緑の共闘カードとして筋が通っています。この方法はプレイヤーがサスキアやこのデッキのどちらかの共闘カードとの組み合わせを選んでも、それらはいつもゲームの序盤にプレイされ、勢いを増し始めます。私は最初ターナのコストは3マナがいいと思っていましたが、このカードが強すぎると判明したので、彼女は4マナ域に居場所を見つけ、タフネスが1上がりました。

 しかしながら、私の統率者の選択肢が全て4マナ域を含んでいることはジャンド、ナヤ、アブザン、マルドゥの組み合わせが持っている4マナの印象深いクリーチャーとの重なりを多く作り出しました。私はこのデッキにマナ・カーブの1箇所を過剰供給して、ただ中くらいの脅威を連打するだけにはしたくありませんでした。これらのクリーチャーは全て単体で強力ですが、統率者戦はどんなゲームでもそれらの組み合わせが全体除去で比較的早く対処され、その後各プレイヤーが戦線を立て直すか強力なエンジンを組み立てます。私のデッキはこの時にアドバンテージを得て、対戦相手の全体除去を唱えた相手に対して活用する必要がありました。私は、私の最高の脅威を1つ以上殺す除去呪文に対して、攻勢を維持できるようにする手段を探しました。

 私はすぐに《ボロスの魔除け》や《根生まれの防衛》のような呪文を気に入りました。自軍全体を除去から守る力は素晴らしく、これらの呪文の1つを持っていることはアンタップ状態の《ネビニラルの円盤》を残しているかのような典型的な「ガラガラヘビ」プレイを可能にします。私のプレイテストでの勝率はこれらのカードを加えた後で急激に上昇し、卓の残りの人達が「全てのクリーチャーを破壊する」が時々「グレンのコントロールしていない全てのクリーチャーを破壊する」になる可能性があることに慣れると落ち着きました。

 私の全体除去に関する問題は解決されましたが、繰り返し唱えることのできる統率者を対象としたときでさえ私の進軍を弱めるのに効果的すぎる単体除去が残されていました。私はこのデッキのテーマを改良することに決め、「横に並べる」戦略をデザインから引き継いだものに加えました。ターナ自身はこのアイデアの苗木の種でした。トークンを生成できるパーマネントに頼ることによって、全体除去に展開しすぎることを強制されず、自然に単体除去を避けるようになります。

 事実、私の最高の選択肢の中での苗木・トークンを作ることの数に気がつくと、私はチームがこのウサギの巣穴をさらに掘り下げることを許してくれるだろうと確信しました――そしてそれがこのデッキが生成するトークンが苗木だけであることの理由です。私たちの物語と世界設定のチームは、この視点をキャラクター作りに持ち込んだので、ターナが苗木をとても愛している理由がインサートの物語の部分でもっと分かります。

 ネタバレ:ターナは苗木が大好きで......苗木以外は好きではありません。

 このデッキの新しいテーマが決まり、デベロップ・チームは2枚の白黒共闘カードがターナを補ってくれるようにすることを助けてくれました。このデッキの戦略はターナ自身のゲーム・プレイを反映するようになったので、これらの変更はプレイヤーがどのような統率者の配置をするかに関わらず、このカードを自然に引いてきたときにより良い働きをするようにしました。

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 ティムナは私のデッキに入っている白黒共闘カードの中でもお気に入りの1枚です。青抜きのデッキとして、私たちのアグレッシブなデッキがカード・ドローとリソースの積み立ての面でいくつかトラブルを抱えていることは分かっていました。このデッキは賢明で慎重な展開に見返りをもたらしますが、それは盤面を押しつぶそうとしたり、すべてを焼き尽くそうとしたりすることを楽しめるということでもあります! もしそれがあなたの流儀なら、私はターナとティムナの組み合わせを強くおすすめします。

 私ははティムナのデザインが『コンスピラシー:王位争奪』でデビューした会戦のメカニズムにどのように影響を受けたかが見られると思っています。ティムナは特に苗木生成と組み合わせると大量のカードを引ける可能性があります――あなたが1人のプレイヤーに向かって軍勢のほとんどで攻撃して1/1を1体か2体すり抜けさせるのは難しくはないでしょう。あなたが相手の防御を突破する方法を考え続ける限り、ティムナはゲームを決めるのに十分なカードであなたを力づけてくれるでしょう。敵が倒れると彼女で引けるカードは少なくなるので、可能な限り彼女の力を最大限にするように心がけてください。素早く、そして多く攻撃するのです!

 私は『統率者(2016年版)』に取り組むのが好きで、そしてあなたのプレイグループがこれらのデッキをプレイしたり改造したりして楽しんでくれることを願っています。私たちは皆、統率者戦のコミュニティが共闘カードで組むデッキを見るのが楽しみで、そしてあなたの努力の結実を見るためにソーシャルメディアやフォーラムを探し回ります。気軽にTwitterで私にあなたの成果を見せてください!

 グレンより (@SecludedGlenn)

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