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コラム

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あなたの街のティーチングマイスター 第8回:晴れる屋札幌店(北海道) 坂元浩泰さん

瀬尾 亜沙子
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 「ティーチングマイスター」とは、初心者にマジックを教える認定資格を持つ人のこと。ティーチングマイスターが教えるマジック体験会「多元宇宙への招待状」の開催を記念し、全国各地にいる彼らの紹介インタビューをシリーズで掲載していきます。

 第8回は、ドラゴン大好きコレクターとしての顔も持ち、現在札幌で唯一のティーチングマイスターである「名物店長」です。

ドラゴン大好き

――マジックはいつから始めましたか?

坂元:2011年に『ミラディン包囲戦』が出たとき、大学の友人が教えてくれて始めました。もともとやっていた別のカードゲームがあって、それのドラゴンのカードが好きだったんですが、「ドラゴンが好きなら、『マジック:ザ・ギャザリング』っていうゲームにもかっこいいドラゴンがたくさんいるんだけど、やってみない?」と言われたのがきっかけです。ちょうどそのとき、クトゥルフ神話にもハマってたんですが、1つ前のパックがそのクトゥルフ神話をモチーフにしている『エルドラージ覚醒』だったので、惹かれる要素が2つあったんですよね。

――当時のドラゴンというと……。

坂元:最初に教えてもらったのは《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》ですね。「めちゃくちゃかっこいい!」と思って、そこからドハマりしていきました。

――じゃあドラゴンを使うデッキを組んだんですか?

坂元:当時もそうですし、今もドラゴン縛りで遊んでます。大好きな《始祖ドラゴン》を統率者にしたデッキを組んでるんですが、同じ《始祖ドラゴン》好きが100人くらい集まったグループを作ってまして、どういうカードを採用するべきか、どういう構築がいいのかをDiscordで議論したり対戦したりしてます。

――《始祖ドラゴン》好きが100人も? すごい!

坂元:グループ名は「始祖ドラゴン学会」です(笑)。学会の「理事長」や「幹部」もいて、僕は「学長」です。

――おおー。「学会員」は全国にいるんですか?

坂元:北から南まで。僕はフォイル好きなので、デッキを全部フォイルにしました。おのおの好きなイラストを集めたり、言語を統一したり、いろいろこだわってるんです。人それぞれの楽しみ方ができるのが、マジックのいいところだと思いますね。

――マジックのいいところのうちの1つが、コレクション性ですよね。

坂元:ほかのゲームだと他言語版は使えなかったりしますけど、マジックは何でも大丈夫ですし、あとフォイルがレアカードしかないってゲームもけっこうあるんですけど、マジックはデッキを全部光らせることができるし、逆に全部光らせないこともできるのがいいですね。

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ティーチングで伝えたいこと

――では、こちらのお店で働くまでの経緯は?

坂元:大学卒業くらいからカードショップでアルバイトを始めて、9年くらいTCGに関わる仕事をしてます。
晴れる屋が2017年に「札幌店を作るのでオープニングスタッフを募集します」というときに、当時は町の隅っこの古本屋でカードを売ってたんですが、バイトとして入りました。今は店長兼エリアリーダーとして、札幌、仙台、新潟、金沢、水戸の5店舗を見る相談役みたいな仕事をさせてもらってます。

――ティーチングマイスターになったのはいつですか?

坂元:晴れる屋はマジックを盛り上げることに積極的な会社なので、2018年にこの制度が始まったとき、「在籍日数などの必要事項を満たしてる人はなるべくこの資格を取るようにしていただきたい」という会社からのお願いがあって。

――北海道で初のティーチングマイスターなんですよね。

坂元:そうなんです。「札幌で唯一、公式からルールを教えられる人だと認められています」とお客さんに言うと、やっぱり受けはいいです(笑)。

――きっかけとしては会社から言われて取った資格だけど、結果として箔がつきましたね。

坂元:それに加えて……大学時代に最初にマジックを教わったとき、友人の説明がすごくうまくて、けっこう感動したんですよ。なので僕としては、そのとき受けた感動を、今後お客さんたちに伝えていきたいって気持ちもあります。新規プレイヤーにマジックを教える楽しさをつなげていきたいなと。

――たとえばどういう説明がよかったんですか?

坂元:先制攻撃って能力がありますよね。普通の攻撃は、お互いに剣で切り合ってるんだよと。でも先制攻撃は、銃を持ってて、先に撃てる。銃で撃たれたほうが体力ゼロになったらそのまま倒れて、普通の戦闘は発生しない。でも体力が残ってたら、そのまま剣で切ってくるよと。
先制攻撃に接死もある場合は銃弾に毒があって必殺だとか、二段攻撃だったら銃と剣を左右の手に持ってて、銃を撃ったあとで剣でも切ってくるとか。こういう感じで説明すると、お客さんは「あーなるほどねー」ってなります。

――確かにわかりやすいです!
では2018年からお店でティーチングをやってこられて、今までどういうお客さんがいらっしゃいましたか?

坂元:いろんな層がいますけど、ほかのカードゲームをやっていてマジックに興味を持つ人というのは、「対話があるゲーム」というのがフックになったりするみたいですね。黙って黙々とやるんじゃなくて、コミュニケーション取り合いながらやる、というのが新鮮だったり。

――なるほど、マジックの特徴的な部分ですね。

坂元:あとは復帰勢が、「今のルールってどうなんですか?」と聞きに来たりとか。でも一番多いのはMTGアリーナをやってる人ですね。「デジタルではこういう挙動をするんですけど、紙だとどうなるんですか?」といった質問を多く受けます。
それで「MTGアリーナにないフォーマットをやってみたい」という人には、どういう遊び方をしたいのか聞いて、それに合わせた商品を勧めますね。 マジックがほかのカードゲームと違う点として、フォーマットを選ぶことでカードパワーを自分で決められる、というのがあると思うんです。

――どういうことですか?

坂元:つまり、スタンダード、パイオニア、モダン、レガシーとカードプールが広がるにつれて、圧倒的にカードパワーが上がっていきますよね。パワフルなカードでフルスイングしながら戦いたいなら下環境が向いてるし、細かく環境が移り変わる中でアーキタイプを考えながら戦うのが好みなら、限定的なフォーマットがいいとか。
フォーマットがいろいろ分かれていて、ユーザーにあった遊び方ができるのはマジックの長所ですね。ほかのカードゲームって、そういう区切りがあんまりないんですよ。それに、全部のカードが使えるってなったら過去のカードを調べるのはめちゃくちゃ大変ですが、フォーマットが区切られているとわかりやすいし検索性も高い。

――確かにそうですね。

坂元:別のカードゲームを遊んでいる人には、どういう感じで遊んでいたかを聞きますね。コンスタントに大会に出ていたような人には「じゃあこういう競技寄りの商品がお勧めですよ」とか。「友達3人のグループでいつも遊んでます」という人には、通常の構築だと2人で対戦して1人余っちゃうから、3人で遊べる統率者戦をお勧めしたり。
ただ統率者戦の場合は、お気に入りのカードを見つけるところから始めてほしいので、もし製品の発売タイミングが近ければ「プレリリースに出てみませんか?」と声をかけることもあります。「手ぶらで遊べますし、皆さん初心者にむちゃくちゃ優しいので、何かあってもすぐ教えてくれますよ」と。

――カードを持ってない人はそういうところから始めて、好きなカードができてきたらデッキを作っていくというような、道筋を教えるわけですね。

坂元:はい、そういう部分は手厚くサポートします。

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――ティーチングをやってきてよかったことは何ですか?

坂元:まず自分に関しては、先日ゲームマーケット2023春での体験会にスタッフ参加して、普段自分がやるティーチングに生かせる部分も多かったし、逆に上の人から自分のやり方を「よかった」と言っていただけて、ずっと自分がやってきたことには間違いがなかったんだなと自信につながりました。
2018年に試験で教わって以来ずっと1人でやってきましたから、自分のやり方がちゃんと正しいとわかったのはよかったです。

――なるほど。

坂元:それからもう1つは、お客さんがまたお店に来てくれたときですね。ゲームがおもしろかったとか、このキャラクターが気に入ったとか、何か1つでも刺さる要素があってまた来てくれたときは、「やってよかったなー」と思います。

――あ、キャラクターや世界観のことも話すんですか?

坂元:そうですね、簡単にですが。背景ストーリーだったりカードアートだったり、あらゆる部分が誰かにとって何かしらの魅力になると思っているので。

――そういう部分が刺さる人もいるでしょうね。

坂元:アートに魅力を感じる人は多いです。特に最近は有名な日本人イラストレーターを起用したりして、知らない人をマジックに誘う導線がすごく増えましたね。好きなイラストレーターさんが描いているカードが欲しいから来店された方や、「このゲーム、ゴジラが使えると聞いたんですが、本当ですか?」という方もいましたし。

――おおー、コラボの効果ありますね!

坂元:昔はマジックってもっと硬派なイメージがありましたけど、今はいろいろなアプローチがあって、それぞれ響くユーザー層があり、それによって人が増えているのかなと思います。
マジックに興味を持つ以前に、まずは存在を知ってもらわないと始まらないので、僕はいろいろコラボやってほしい派です。

カードを実戦で活躍させる喜び

――9月からのティーチングのキャンペーン「多元宇宙への招待状」への意気込みをお聞かせください。

坂元:コロナの間、マジックの楽しみ方って非対面でもできるコレクションの方向に傾きがちだった印象を持ってまして。ルールはわからないけどカードだけ集めていたという方が、今後はその手持ちのカードを使って遊んでみたい、という方向になってほしいです。カードに魅力を感じたから手に入れたわけで、ぜひそれで対戦して、今度は使う魅力を感じてほしいなと。そのためのルールは丁寧に教えますので。
お気に入りのカードが活躍する瞬間は、やっぱり胸が躍りますよね。なので「ぜひ習いに来て、秘蔵のカードを使ってください!」と伝えたいです。

――最後に、お店に来たことがない人へのメッセージもお願いします。

坂元:「マジックに興味はあるけど、ハードルが高い」という印象の方が多いと思うんですよ。お金もかかるし、カードの種類が多すぎてよくわからないとか。
僕も始める前はそう思ってて、始めてみたら、ある程度はそうだなって部分もあるんですよね。趣味ですから、車とか釣りとかと同じで、どうしてもお金をかけようとすればかかりますし。ただ、マジックって遊び方が無限大なので、無料で遊ぼうと思えば遊べるんですよ。ですから自分に合った遊び方を見つけるに際しては、ぜひ相談していただきたいなと思います。
まずは遊び始めることからで、そのあと競技性やコレクション性にひかれる部分があれば、深くハマっていけばいい。そういったいろいろな魅力を伝えられれば、ティーチングマイスター冥利に尽きると思ってます。
子どものころに少しだけ遊んでいた方も、まったく未経験の方も、お子さんと一緒に始めてみたい方も、どなたでもお気軽に遊びに来てください!

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晴れる屋札幌店
住所:北海道札幌市中央区南二条西2-11 札幌NSビル8F
電話番号:011-211-0453
公式サイト:https://www.hareruyamtg.com/ja/user_data/shop_sapporo

「晴れる屋札幌店」はマジック専門店なので、スタッフ全員がマジックジャンキー。お客さんのニーズに合わせ、専門知識を持つスタッフが対応します。また札幌は昔からマジックがけっこう盛んな土地で、お客さんの層としては年齢もフォーマットも幅広いそうです。


ティーチングマイスターによる初心者講習会
「多元宇宙への招待状」 2023年9月3日~10月29日開催!

詳細はこちらから。

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