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企画記事
グランプリ・千葉2016に向けて:第2回 現レガシー環境の有力デッキたち
グランプリ・千葉2016に向けて:第2回 現レガシー環境の有力デッキたち
By Masashi Koyama
第1回の記事でご案内した通り、2回目の記事では、これまでにご紹介していないレガシーの有力なデッキをご紹介していきます。
これまでにレガシーのデッキは以下の記事にてご紹介してきました。本記事をお読みいただく前段階として、これらの記事もお読みいただければ、よりレガシーのデッキについて知っていただけるかと思います。
- グランプリ・京都2015に向けて:第2回 レガシーの主要なデッキたち
- グランプリ・京都2015に向けて:第3回 レガシー特有のデッキたち
- グランプリ・千葉2016に向けて:第1回 現在のレガシー環境を予習しよう!
それでは、早速デッキを見ていくことにしましょう!
エルドラージ
前回の記事でご紹介したレガシー版エルドラージデッキ。『ゲートウォッチの誓い』発売以降、各フォーマットで大暴れしているエルドラージたちを主軸にしています。
4 《古えの墳墓》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 2 《裏切り者の都》 4 《魂の洞窟》 3 《ミシュラの工廠》 3 《不毛の大地》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 3 《猿人の指導霊》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 2 《忘却蒔き》 4 《果てしなきもの》 -クリーチャー(25)- |
4 《虚空の杯》 2 《歪める嘆き》 2 《四肢切断》 2 《梅澤の十手》 -呪文(10)- |
1 《終末を招くもの》 1 《真髄の針》 4 《アメジストのとげ》 2 《漸増爆弾》 4 《虚空の力線》 2 《全ては塵》 1 《カラカス》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《古えの墳墓》《エルドラージの寺院》《裏切り者の都》《ウギンの目》を並べ、序盤からエルドラージ・クリーチャーを高速展開していくのが基本的な動きになります。
《エルドラージのミミック》から《果てしなきもの》《現実を砕くもの》など順調にエルドラージを展開できれば序盤から大ダメージを相手に叩き込むことができます。
また1ターン目に《虚空の杯》をX=1で設置し対戦相手のアクションを制限してから悠々とエルドラージたちを呼び出していき対戦相手を押し潰していくパターンも多いでしょうか。レガシーでは多くの呪文が1マナ域に集中しており、《虚空の杯》だけで機能不全に陥ってしまうデッキも少なくありません。
その他にも《難題の予見者》は対戦相手の除去やキーカードを抜き去ることができますし、《歪める嘆き》は対象を限定するものの、除去もしくは打ち消し呪文として使用でき、ビートダウンと妨害を絡めながらゲームを進めることができます。
弱点
デッキのパーツがほぼ全て無色のカードで構成されているため、《罠の橋》《Moat》《血染めの月》といった致命的なパーマネントへの対処が困難です。
また、ドロー操作呪文を採用できないため、必要なカードを探しにいけないのもマイナスポイントです。コンボデッキやコントロール相手には《虚空の杯》やサイドボードの《アメジストのとげ》があるため一定の耐性がありますが、逆に言えばこれらを引き込めない限り、厳しい戦いとなります。
レガシーでも有数の破壊力を持つこのデッキ。グランプリ・千葉2016でもエルドラージ・クリーチャーを目にする機会は間違いなく多くあるはずです。
4色デルバー
エルドラージデッキの隆盛に伴い、《虚空の杯》がこれまでより多く見られるようになった結果、《秘密を掘り下げる者》をキーにしたデッキはマナ域を若干重くシフトし、多色化している傾向にあります。
3 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《若き紅蓮術士》 1 《真の名の宿敵》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 2 《陰謀団式療法》 1 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《意志の力》 -呪文(28)- |
2 《悪意の大梟》 2 《真髄の針》 2 《紅蓮破》 2 《外科的摘出》 1 《陰謀団式療法》 1 《狼狽の嵐》 1 《二股の稲妻》 1 《侵襲手術》 2 《突然の衰微》 1 《古えの遺恨》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《秘密を掘り下げる者》や《真の名の宿敵》などの優秀なクリーチャーでビートダウンし、相手の除去や展開を《意志の力》《目くらまし》といった打ち消し呪文や《陰謀団式療法》で妨害していく動きが基本路線です。対クリーチャーには《稲妻》《四肢切断》で対処が可能です。
上のリストはグリクシス・デルバーの進化したデッキと言えるかと思いますが、1マナに《死儀礼のシャーマン》を採用しています。相手のライフを削りきる最後の一押しとしても有効ですし、《不毛の大地》が跋扈する環境で《真の名の宿敵》《グルマグのアンコウ》といった比較的重めのクリーチャーを搭載しているため、マナの安定に貢献してくれる心強いクリーチャーです。
サイドボードには青黒赤の3色に緑を足した最大の恩恵といえる《突然の衰微》が控えており、致命的なパーマネントにもある程度対処が可能です。
弱点
4色まで幅を広げた弊害のマナ基盤は明確な不安要素です。土地をギリギリまで切り詰めているため《血染めの月》《基本に帰れ》だけでなく、《不毛の大地》も厳しいカードです。
苦手な相手としては、最近勢力を伸ばしている土地単があります。軽量クリーチャーは軒並み《罰する火》の的になりますし、基本土地を採用していないため、《不毛の大地》が《壌土からの生命》で循環しだせば、土地を根こそぎ破壊されてしまいます。
《グルマグのアンコウ》も《イス卿の迷路》で止まってしまうため、非常に厳しいマッチアップです。
とはいっても、それ以外のデッキに対しては極端に不利ではなく、おおむね万能といえるでしょう。プレイの選択肢が多く難しいデッキではありますが、相性が絶望的に悪いデッキは少ないだけに、さらなる躍進が期待されます。
スゥルタイ続唱
《断片無き工作員》の「続唱」を生かし、アドバンテージをとりながら相手を押しつぶすデッキです。奇跡コントロールに比較的相性が良いことから、勢力を伸ばしています。
1 《森》 1 《沼》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 4 《新緑の地下墓地》 2 《霧深い雨林》 1 《忍び寄るタール坑》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 2 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 1 《トレストの使者、レオヴォルド》 -クリーチャー(15)- |
3 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 2 《思考囲い》 4 《突然の衰微》 2 《トーラックへの賛歌》 1 《毒の濁流》 4 《意志の力》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(23)- |
1 《野生の狩りの達人》 2 《見栄え損ない》 2 《外科的摘出》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《トーラックへの賛歌》 1 《壌土からの生命》 1 《無のロッド》 1 《森の知恵》 1 《大渦の脈動》 1 《毒の濁流》 1 《魂の裏切りの夜》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《死儀礼のシャーマン》《タルモゴイフ》といった黒緑系のデッキではおなじみの優秀なクリーチャーで盤面を支えつつ、《思考囲い》《トーラックへの賛歌》《意志の力》などで対戦相手を妨害しながらゲームを進めていきます。
《断片無き工作員》は唱えるだけでアドバンテージをもたらしてくれるクリーチャーです。《祖先の幻視》がめくれようものならタダで3枚ドローのおまけがついてきますし、単に《タルモゴイフ》や《死儀礼のシャーマン》を戦場に出せるだけでも強力です。
《突然の衰微》で厄介なパーマネントの処理も可能です。
弱点
《断片無き工作員》を最大限に生かすため、《呪文貫き》や《目くらまし》といった軽量のカウンターが採用されていません(これらのカードが「続唱」で公開されてしまった場合、完全な無駄カードになってしまいます)。そのため、手札破壊を搭載しながらも、コンボデッキに対しては若干の不安があるマッチアップとなります。
また、パーマネントを除去するカードが《突然の衰微》のみのため、マーフォークのように横に並べるデッキや、《ルーンの母》を擁するデス&タックスを苦手としています。
《断片無き工作員》というカードの特性上、奇跡コントロールには有利がつくため、これからもしばらくは一定の勢力を持ち続けるであろうデッキタイプです。
黒赤リアニメイト
かつて記事で紹介した青黒のリアニメイトと異なる、黒赤で構成されたリアニメイトが最近活躍しています。
2 《沼》 1 《山》 4 《Badlands》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《汚染された三角州》 -土地(13)- 2 《傲慢な新生子》 4 《猿人の指導霊》 2 《狂気の種父》 4 《別館の大長》 4 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 -クリーチャー(17)- |
4 《水蓮の花びら》 4 《暗黒の儀式》 4 《納墓》 4 《信仰無き物あさり》 4 《再活性》 4 《動く死体》 4 《死体発掘》 2 《集団的蛮行》 -呪文(30)- |
2 《フェアリーの忌み者》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《魅力的な執政官》 1 《エメリアの盾、イオナ》 4 《思考囲い》 3 《血染めの月》 3 《騙し討ち》 -サイドボード(15)- |
基本的な動きは《信仰無き物あさり》や《納墓》で《グリセルブランド》《潮吹きの暴君》といったフィニッシャーを墓地に送り込み、《再活性》か《動く死体》でそれらを唱えることなく戦場に出すというもので、青黒リアニメイトと変わりありません。
《猿人の指導霊》《暗黒の儀式》といったマナ加速のおかげで、爆発力は青黒のものより上がっており、非常に速いコンボデッキとなっています。
また、『異界月』からの新戦力《集団的蛮行》は《死儀礼のシャーマン》など厄介なクリーチャーを除去しつつ手札からフィニッシャーを能動的に墓地に送ることができ、《別館の大長》はゲーム開始時の手札にあれば対戦相手の初動を妨害しつつ、フィニッシャーとしても利用できます。
また、サイドボードに《騙し討ち》を採用しており、墓地を対策されてしまっても一応の代替勝利手段は用意できています。
弱点
青黒型のリアニメイト同じく、墓地のカードを追放する《安らかなる眠り》《大祖始の遺産》といったカードは致命的です。また、青黒型と違い打ち消し呪文が無いため、相手の妨害にも脆く、自分より速度の勝るコンボデッキに対しても不利がつきます。
何より最悪なのが《封じ込める僧侶》で、リアニメイトと《騙し討ち》の両方を文字通り封じられてしまいます。
しかしながら、速度に特化し圧倒的な爆発力を持つのが黒赤リアニメイトというデッキです。妨害される前にリアニメイトしてしまえば関係はありません。グランプリではダークホースとして本戦を席巻するかもしれません。
感染
モダンでは有力デッキとして活躍中の感染デッキ。レガシーでは《激励》というマナを支払わなくてもよい強化スペルに加え、《意志の力》《目くらまし》という打ち消し呪文でバックアップが可能とあり、じわじわ人気を上げてきているデッキタイプです。
1 《森》 4 《Tropical Island》 3 《吹きさらしの荒野》 3 《樹木茂る山麓》 2 《霧深い雨林》 2 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(19)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《巨森の蔦》 2 《狂暴化》 1 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 4 《激励》 4 《意志の力》 2 《強大化》 -呪文(29)- |
1 《屍百足》 2 《ヴィリジアンの堕落者》 2 《狼狽の嵐》 2 《外科的摘出》 1 《水流破》 1 《剣を鍬に》 1 《一瞬の平和》 1 《森の知恵》 2 《クローサの掌握》 1 《四肢切断》 1 《Savannah》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《ぎらつかせのエルフ》《荒廃の工作員》《墨蛾の生息地》など感染を持つクリーチャーを《激励》《巨森の蔦》《強大化》で強化し、一気に毒カウンターを与える戦略をとっています。
先述した通り、対戦相手の除去に対しては《目くらまし》《意志の力》で対抗することができ、速度と妨害を兼ね備えたコンボデッキです。
また、稀ではありますが、《貴族の教主》による通常ダメージで勝ちきることもあり、対戦相手にとっては一筋縄ではいかないデッキとなっています。
弱点
クリーチャーに依存しているにもかかわらず、それらに除去耐性が無いため、除去を多く積んだデッキに対しては基本的に厳しい戦いを強いられます。
《稲妻》《剣を鍬に》といった除去呪文は環境に非常に多く、安全確認をするか手札に妨害手段を抱えていない限り、あまり急いで勝負を決めに行くのは無謀でしょう。
また、全てのクリーチャーが小粒であり、トランプルを付与できる呪文が《狂暴化》のみのため、ブロッカーを用意されるだけでも攻撃を通しにくくなってしまいます。相手の一瞬の隙を突いて必殺の一撃を叩き込みましょう。
モダン以上に強力なレガシー版感染デッキ。細かな動きは違えど複数フォーマット共通の戦略を持っていることもあり、グランプリ本戦に持ち込む方も多いと思います。一瞬の切れ味はレガシー屈指だけに、上位に食い込む可能性が十分にあるデッキです。
グランプリ・千葉2016へ向けて
簡単にではありますが、5つのデッキをご紹介してきました。レガシーには膨大な数のデッキがあり、全てをご紹介することはできませんが、少しでもレガシーのデッキについて知っていただければ幸いです。
グランプリ・千葉2016の模様はニコニコ生放送、そして現地ライター陣によるテキストカバレージにてお届けします。
グランプリ直前の11月22日(火)には、Hareruya Prosの原根健太選手をゲストに招き、ニコニコ生放送にて直前生放送も行われますので、ぜひご覧くださいませ!
参加される方もそうでない方も、楽しみにグランプリをお待ちください!
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