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企画記事
『カラデシュ』みんなが選ぶトップ3!
『カラデシュ』みんなが選ぶトップ3!
by 金子 真実(WotC 日本コミュニティ担当)
皆さんこんにちは! 少し肌寒くなってきて、秋の訪れを感じるようになりました。
秋といえば、読書に運動、いやいややっぱり何より食欲......いや、待てよ?やはり秋といえば「発明」じゃないでしょうか!? そんな発明家たちの次元の最新セット、『カラデシュ』の発売は9月30日(金)です!
「霊気」を利用した機械をふんだんに利用し、さまざまな発明をする華やかな次元、『カラデシュ』! この次元なら私も全てを機械に任せて気持ちよく家に引きこもることができそうですが......どうやら、改革派なる勢力も存在していて、一筋縄ではいきそうにありません。
さて、そんな世界で生きていくためにも(?)、気になるのは『カラデシュ』の新カードの評価ですよね!そこで今回もまた、あの3人に期待のカードをピックアップしてもらいました!
鍛冶 友浩の場合
通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。
主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。
最近はプロツアーでのニコニコ生放送の実況や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。
1位 《霊気池の驚異》
《約束された終末、エムラクール》ら巨大なエルドラージがスタンダードに戻ってきたところで、マナ踏み倒し系のアーティファクトの登場。さすがはマジックのゲーム開発陣、プレイヤーの構築心をくすぐるのがうまいですね!
能力の起動には新しいキーワードのエネルギーを6つ支払う必要がありますが、自身で稼ぎ出すには時間も労力もかかります。そこで最速を目指す方法を考えてみると、2ターン目《織木師の組細工》を唱え、3ターン目に生け贄に捧げつつ、4ターン目能力を起動からのエルドラージをヒットさせ、しかも《絶え間ない飢餓、ウラモグ》というのがベストではないでしょうか。大当たりの確率は低いものの、土地以外に必要なカードが少ないのがとても良いですね。
他にも、《霊気との調和》から《ガラス吹き工の組細工》といった流れも3ターン目までにエネルギーを6つ集められるので、青緑での活用が一番自然でしょうか。
100%使われると思っているので、あえて今回のレア土地サイクルをトップ3に選びませんでしたが、《植物の聖域》も加わり対抗色のマナベースが安定することも追い風です。エルドラージ枠には選択肢があるので、もう少しエネルギーの使い道が欲しいところですが......。
2位 《サヒーリ・ライ》
さて、スタンダードのコンボデッキを考えてみた流れで、次はモダン環境下で無限コンボがさっそく発見された《サヒーリ・ライ》を選んでみました。相方が《太陽のタイタン》の場合は、墓地に2枚のサヒーリさえあればタイタンを戦場に出すことでサヒーリが戻ってきて、そのまま[-2]能力で速攻、警戒の6/6トークンを好きなだけ出すことができます。
他にも、サヒーリを《液鋼の被膜》を使ってアーティファクト化させれば、自身のトークンを無限に作り出すことも可能です。(注:トークンは元々アーティファクトでもあります) もちろん、同名のプレインズウォーカーは同時に複数存在できないので、このままでは特に意味はないのですが、もう1枚《群の祭壇》を加えることでライブラリーアウトなどもできるようですね。
単体のスペックだけみると[+1]で占術1と1点ダメージをプレイヤーに与えるだけとパワー不足に感じましたが、こうやって相性の良いカードがあれば爆発力がありそうな1枚です。個人的には、前スタンダード環境で猛威を奮ったカンパニーの主役、《反射魔道士》と一緒にスタンダードで使われる可能性が一番高いのではと思っています。3ターン目、《反射魔道士》。4ターン目、《サヒーリ・ライ》で《反射魔道士》のコピートークンを出してアタック!
3位 《奔流の機械巨人》
現代マジックではあまり見かけなくなってしまったパーミッションが好きな人なら、『カラデシュ』には《革命的拒絶》という軽い打ち消し呪文に《天才の片鱗》というドロー呪文までセットで収録されており、なんだか懐かしい土地をたくさん並べるコントロールにかすかな未来を感じていたでしょうか。
そんなデッキのフィニッシャーにもってこい、6マナ瞬速持ちで戦場に出たときにもお得な能力付きが弱いわけがありませんね! 墓地から《無許可の分解》を再度唱えながら3点ダメージ、なんてことにもなるわけです。
モダンで活躍する《瞬唱の魔道士》と比べてしまうとソーサリーが選べなくなったので、墓地活用の面では用途の幅が狭くなってしまいましたが、このカードの強みは何と言っても5/6というサイズでしょう。相手のアタックに対して大きなブロッカーをインスタント・タイミングで唱えることで有利な戦闘を行い、アドバンテージを獲得するチャンスもあるわけです。
ちなみに、《失跡》や《上天の貿易風》の手札に戻す効果も状況次第ではデメリットではなくなるかもしれません。そういった戦場や墓地からクリーチャーを回収する呪文も多くありますので、戦場に出たときの効果を使い回すことで性能を引き出すことができそうなのも加点対象でしょう。
『カラデシュ』総評
やはり新しいセットには新しいストーリー、そしてフレーバーのある新能力ですね。プレインズウォーカーにも《サヒーリ・ライ》に加え《ドビン・バーン》というヴィダルケンが登場し、どんな役割を担っているのかが気になります。
リミテッドにおいて、エネルギー・カウンターがどれほど大切なのか、機体に搭乗させるためにクリーチャーの評価が変わるのかなどはまだ未知数ですが、それもこれから始まるプレリリースで明らかになるでしょう。それでは皆さん、お楽しみに!
射場本 正巳の場合
通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。
彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。
1位 《ドビン・バーン》
何だこの名前!? デュエマテロか? クリエイティブチームにコアなデュエマファンでもいるのか!?
ほっとくと頭の中に「皆さん、ご唱和くださいっ!月・火・水・木・金・ドッビーン!」と、ドビンマスクの台詞がリピートしている。
こりゃもうデュエマでも「ドビン・バーン」というカードを作るしかないじゃないか!! と見た瞬間に一人で勝手に盛り上がっていた。
正直能力はあまり関係ないと思っていたのだが、ライフを得てカードを引くという個人的2大大好き要素が入っているのでいいヤに認定。このセット、《金銭の使い魔》といい《雲先案内人》といい地味に好みのカードがそろっていてうれしい。もちろんシメは《霊気貯蔵器》で決まり!
2位 《パンハモニコン》
いやー、これ絶対悪さしかしないやつだよ。デザイナー的には適当にファイルに放り込んでおきたいけど、デベロッパーだったら頭抱えるタイプ。とはいえスタンダードだけ気をつけていれば下の環境では遅くて間に合わなさそうだし、統率者で活躍する分には本望ってことで、いい落とし所なのかも?
今後しばらくはスタンダードで新たな「戦場に出たとき」能力が出るたびに注意深くチェックする必要がありそう。こういうのって最初は覚えているけど後半忘れがちだったりするので、1年半後のセットとかではすごいコンボが見つかるかもよ。わくわくするね。統率者ならすでに膨大なカードプールがあるので、新たな《倍増の季節》となりえるか要注目です!
3位 《サヒーリ・ライ》
出ました!セットの顔!
チャンドラの故郷でチャンドラさしおいていきなり登場するあたり大物感がすごい。格好からして現地を象徴する人物ってことなんだろうね。
そして3マナのプレインズウォーカーにしてクリーチャーやアーティファクトをコピーするという破格の能力持ち。すでに《太陽のタイタン》を絡めたコンボなどが研究されてますが、統率者ならまだまだできることは多そう。《ダク・フェイデン》といい、なーんか青赤のプレインズウォーカーは優遇されてる感じがするなあ。あ、そういえば《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》も青赤(黒)だった。ニコル主役(?)のセットも発表されたことだし、この組み合わせ何かの布石なのか!?
『カラデシュ』総評
今までに見たことのないスチームパンク感満載のこの世界。エネルギー・カウンターという新たなリソースが導入されている。デザインする観点で言うと、こういった新リソースは本来のマナ・コストとは別に獲得手段と使用手段が用意されているので、全体を通してのバランスを取るのが難しいところ。それがいかに適正に調整されているかを見極めるのもおもしろい。バランス調整の隙を突いてひょっこりものすごいデッキができるかもしれないので要チェックだといえる。
惜しむらくはエネルギー・カウンターを操る伝説のクリーチャーがいないところ。テーマとして統率者デッキを組むにはさすがに心もとないので、次のセットでの伝説のクリーチャー登場に期待したいところだ。
また、もうひとつ機体と操縦士もこのセットの見所。
機体は状況に応じてクリーチャー状態とそうでない状態を切り替えられると考えると、それをメリットとしたうまい使い方もありそうだ。たくさん機体だけ並べて《ファイレクシアの再誕》から一気に起動したら面白そう。
こちらはすでに《模範操縦士、デバラ》という伝説のクリーチャーがいるが、デッキを組むにはまだドワーフが足りない。こちらも次のセットで追加されるであろうドワーフに期待したい。
浅原 晃の場合
通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。
デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。独自の視点から、セットに切り込む。
1位 《生命の力、ニッサ》
あまりの貧弱さにマジック警察が出動した初代のイメージはとうに消え、最近のニッサは使ってくれと言わんばかりの強さを発揮している。ここまで来ると、ニッサという名前を見れば、能力を見ずともニッサ=強いの方程式が成り立つのは明白だ。近い将来、「ニッサが収録されるようです!」「何だと、ウィザーズの株を買え!」と投資家の間ではこのゲームはマジック:ザ・ギャザリングではなく、ニッサGOに変わっていることだろう。このニッサ優遇の犯人はウィザーズに居ると思ったあなたは勘が鋭い、マローか? ハンフリーズか? BDMか? 大穴で射場本さんか? と自分も勘ぐってしまうが、ニッサは好きなのでこの流れは良しとしよう。
ちなみにこのセットで大注目のチャンドラは一見強そうに見えるが、個人的には評価は普通くらい。いろいろ理由はあるが、チャンドラはいつも普通くらいの奴だったと考えれば、今回のチャンドラも普通で間違いないだろう。何? ニッサの能力の解説が無いだって? うるさい! ニッサ=強いだ! とっとと4枚集めてこい!
2位 《霊気池の驚異》
『カラデシュ』生まれのエネルギーカウンターを使うならば、こいつは外せない。マナ・コストを払わずにカードを唱えるというトンデモ能力は言わば無銭飲食のようなもの。しかも、デッキの上の6枚からどんな高級食材も選べるため、旬なエルドラージも取り放題ともはや戦場は無法地帯に。つまり、このカードを使用したときのワクワク感はカラデシュNO1と言って差し支えないだろう。
エネルギーさえあれば戦場に出たときにすぐ使えるのもポイントで、ウラモグ、コジレック、エムラクールといったエルドラージの方々が相手のターンに登場すれば、相手は泣きながらデッキを片付けるしか無いだろう。
加えて、自給自足でエネルギーカウンターを補充する能力を持っており、複数回利用も現実的。トークンや手掛かりを利用して、一度に大量のパーマネントを展開してエネルギーを貯め、再び使うといったコントロールチックな運用も可能だ。このリサイクルには、エコの点でも評価できる。
そして、4マナ、上から6枚という数字に覚えはないだろうか? そう、前環境を恐怖に陥れた《集合した中隊》だ。察しの通り、これは、ただのオモチャではない、恐怖の6枚捲りは終わらないというウィザーズからのメッセージでもあるのだ。
3位 《霊気貯蔵器》
ヘンテコ勝利条件カードはいろいろあれど、ライフ50点を支払って、50点のダメージを与えるというのは前代未聞。この貯蔵庫を発注した人は、ライフ20点を支払うから、20点ダメージにしてくれと言ったじゃんか、仕様と違う! と文句を言ってそうだが、それはこの貯蔵庫を作った職人のこだわりなのかもしれない。
このカード、一見してネタカードにも見えるが、なかなかどうして、光るものがある。まずライフ獲得が呪文を唱えるたびにネズミ算式に増えていくので、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=55と、1ターンに10回も呪文を唱えて上げれば、簡単にライフ50点以上を得ることができる。えっ、そんなに1ターンに唱えられないだって? その通り! ということで、絶賛自分も呪文の唱え方を考え中。0マナアーティファクトを使うといい気がするので、その辺に鍵はありそうだ。
ともかく、優れている点としては、勝利条件に近づくことがライフを得ることなので、敗北条件を遠ざけていくことが挙げられるだろう。かの「ドネイト・イリュージョン」というコンボデッキもライフを獲得した後に相手を倒すため、ライフ損失に対しての耐性が高く、非常に強力だった。同様にこのカードも黒塗りの《領事の旗艦、スカイソブリン》に追突されたくらいではビクともしないくらいのライフを得られる。モダンなどの下の環境では呪文を連続で唱えやすいため、環境問わず活躍する可能性を秘めたカード。
『カラデシュ』総評
個人的にはかっこよさという点では《ドビン・バーン》にも注目。語感といいポーズといい、かなりいい。自分は気づいたら、《ドビン・バーン》のポーズを取っていた、ということも少なくない。
『カラデシュ』はイニストラードとはまた違った世界観を持っており、新しいセットに相応しい魅力を持っていると思う。また、「Kaladesh Inventions」というカードもデザインが素晴らしく、展覧会に出品された芸術品といったフレーバーにピッタリとハマっている。
ただ1つ、問題があるとすれば、からくりが収録されなかったことだろう、全国1千万人のからくりファンのために、頼む!テゼレットよ、次のセットで〈からくりの親分、テゼレット〉として登場してくれ!
プレリリースに行こう!
皆さん、お楽しみいただけましたか?そしてそして、今週末は『カラデシュ』プレリリース!みなさんもこの世界の発明家として、明日を発明きましょう!
おわりに
今回の3人は、《サヒーリ・ライ》や《霊気池の驚異》などに評価が集まりましたね! スタンダードのローテーションもあり、どんなデッキが活躍するかはまだまだ未知数! デッキ構築心がくすぐられます! 皆さんも気になるカードを探して、使うデッキを考えてみてはいかがですか?
もちろんですが、ドラフトも楽しみですね! 私も早速発売したあとにはドラフトする計画を立てていますよ!そんな楽しみな『カラデシュ』、9月30日発売です!それではみなさんご一緒に、「Crack-a-Pack!」
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