READING
お知らせ

2025年3月31日のパウパーの禁止についての説明

2025年3月31日
パウパー・ファンのみんな、こんにちは! ウィザーズ・オブ・ザ・コーストとパウパー・フォーマット委員会のガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyだ。今回は委員会を代表して、ここしばらくの間私たちが取り組み、みんなにお届けする準備が整った変更についてお知らせにきた。かなり重大な変更になるから、できれば本日の禁止/禁止解除についての理由を全部読んでほしい。
前回の禁止制限告知のタイミングでは、パウパーに変更を加える前にもう少し環境を観察したかった。私たちはここ数か月に観察していただけでなく、さまざまな禁止や禁止解除を想定して実際にデッキを組み、ゲームをプレイしてその結果について議論を重ねてきた。そして本日、行動を起こす準備ができたのだ。
早速、本日付けで行われる変更を伝え、その理由を説明しよう。私たちは《日を浴びる繁殖鱗》および《命取りの論争》、《カルドーサの再誕》を禁止し、《予言のプリズム》と《満潮》を試験的に禁止解除する。
なぜこれらのカードなのか? どのように決められたのか? 「試験的に禁止解除」とはどういう意味なのか? 詳しく語っていくぞ!
フォーマットの現状
全体的に見て、現在のパウパーは多様性に満ちている。デッキの選択肢はたくさんあるし、その多くが勝率48~53%の範囲にある。環境全体の勝率の差は小さく、好きなものをプレイするのも革新的なデッキに挑戦するのも十分にできるだろう。
しかしながら、数字だけでは見えないこともある。バランスが取れているからといって、プレイ・パターンがこの上なく楽しいとは限らず、同じパッケージが見受けられず画一的だと感じられないとも、すべてのマッチアップの相性差が理想的だとも限らないのだ。
そこを実現するべく、私たちはMagic Onlineのデータ(参考までに、後段では勝率のデータにも触れている)やテーブルトップのトーナメント結果を大量に調べ、また独自のテストも行った。1つのトーナメントやイベント結果が私たちの意思決定プロセスを左右することはないけれど、私たちはそれらを総合的に見ている。それから、最終決定は「Paupergeddon」イベントより前に行われたということは伝えておこう。いずれにしても、このイベントでも私たちの決定を覆すことは起こらなかったけれど。
今回の変更は前述の問題に対処するものであり、一部のプレイ・パターンに気をつけながら環境の速度を少し落とすことが狙いとなる。この変更により昔のデッキが再び舞台に上がり、フラストレーションを感じるコンボ・デッキが去り、まったく新しいアーキタイプが生まれることを願うよ。
それじゃあ、カードごとに見ていこう。
禁止:《日を浴びる繁殖鱗》
昨年の『モダンホライゾン3』の発売にともない現れた《日を浴びる繁殖鱗》は、予想外の新コンボを生み出した。《日を浴びる繁殖鱗》に《サディスト的喜び》がエンチャントされている状態でクリーチャーが死亡すると、《日を浴びる繁殖鱗》に+1/+1カウンター1個が置かれる。これにより《日を浴びる繁殖鱗》の能力が誘発し、生け贄に捧げることができるトークンが生成される。そしてそれを生け贄に捧げると再び《サディスト的喜び》の能力が誘発し、またトークンが生成され、これを繰り返すことで無限マナと一撃で対戦相手を倒せるクリーチャーが手に入るのだ。しかも《日を浴びる繁殖鱗》は「順応」を持つためこのエンジンを自分で始動でき、2枚コンボでゲーム序盤に勝負を決めることもでき、ゲーム終盤でも決定力は衰えない。
新たなデッキが登場したとき、まずは環境の動きと反応を見る時間を取りたいと私たちは考えている。デッキが登場しその強さを見せつけると、メタゲームが進化し、適応し、やがてそのデッキもメタゲームというパズルの1ピースに収まっていくこともあるだろうし、新たなデッキがはじめは弱く見えたものの、時間をかけて構築が洗練されていき、環境に耐えうる力を身につけていくこともあるだろう。基本的には、少しだけ待って物事がどのように進化し、変化していくのかを見ることには意味があるのだ。
「サディスト繁殖鱗」デッキの場合、『モダンホライゾン3』の発売にともない登場したものの当初は最強のデッキからはほど遠い存在だった。しかし時が経つにつれてこのデッキは洗練されていった。メタゲームもこれに対応し、現在の勝率は53.5%ほどになっている。高い数値ではあるが、許容範囲内だ。しかしながら、このデッキがメタゲームに与える影響は依然として強大だ。序盤に繰り出される《サディスト的喜び》とのコンボに誰もが対策を強いられており、対抗手段として《殺し》や手札破壊呪文の価値が大きく上がっている。さらには「サディスト繁殖鱗」に強いという理由で「ジャンド・ワイルドファイア」のような新しいデッキが舞台に上がるほどだ。繁殖燐コンボがパウパーに与えてきた、そしてこれからも与え続けるプレッシャーの大きさは、計り知れない。
しかも、負け方も楽しいものじゃない。多くのデッキは序盤のコンボに対応できず、そこでゲームを終えることになるだろう。パウパーにやってきた人にとって、それはあまりに大きな壁だ。これによって、戦えるデッキの数がかなり制限されているのだ。前回の禁止制限告知のときにもあと一歩で禁止というところだったが、もう少しだけ様子を見ようということになった。今度こそ行動を起こす必要があると明白になったのだ。
コンボパーツを禁止するというなら、なぜ《サディスト的喜び》ではなく《日を浴びる繁殖鱗》なのだろうか? まず《サディスト的喜び》には、27年にわたりコンボの問題がなかった。それから《サディスト的喜び》を禁止しても、将来的にはこのコンボを再び成立させる《サディスト的喜び》に似たカードが印刷される可能性は高いだろう(同じような効果を持つコモンは簡単に想像できる)。それと比較すれば、生け贄に捧げる能力を持つトークンをカウンターが置かれたときに生成するカードが印刷される可能性は低いと思われる。だから禁止されるのは《日を浴びる繁殖鱗》の方なのだ。
禁止:《命取りの論争》
《日を浴びる繁殖鱗》はコンボパーツとして目立ち多くの議論が交わされたが、実はその影にもう1枚、パウパーに影響を与え続けているカードがある。
昨年1年間にわたり、《命取りの論争》と《胆液の水源》によるドロー・エンジンが数多くのデッキに搭載されているのを私たちは確認していた。パウパーにおけるカード・アドバンテージやリソースの扱いに照らし合わせると、2枚ドローを連続して行えるのは比類ない強さだ。「親和」や「サディスト繁殖鱗」、「ワイルドファイア」から「契約人形」や「ガーデン」まで、環境の上位デッキの多くが《命取りの論争》と《胆液の水源》を4枚ずつ採用している。他のドロー手段はほとんどが環境外へ追いやられ、このエンジンが黒を使う理由にもなっている。上位6デッキ(以上)のアーキタイプが実に多彩に見えても、核心部分の8枚がみな同じという状況は少々憂慮する事態だ(例えば、今回の決定が下されこの記事の大部分が完成したのは数週間前の「Paupergeddon」の直前のことだったけれど、このイベントでもトップ8のうち7つのデッキで《命取りの論争》が4枚採用されていた!)。これは環境の画一化につながりかねない。
私たちは、《命取りの論争》と《胆液の水源》、それから(《腸抜きの洞察》のような)他の2枚ドロー・カードや(《毒気の薬》のような)《胆液の水源》の代替カードについて、禁止を検討した。でもこれだけ多くの候補をどのように線引きすれば良いのか? このまま残すべきか? 大量のカードを禁止するべきなのだろうか?
私たちは行動を起こしたかったが、コミュニティの意見も聞きたかった。そこで私は数か月前の前回の禁止制限告知の頃に、動画でこのことについて意見を求めてみた。それから数か月の間に多くのパウパー・ファンや有識者からの声が集まり、みんなも私たちが行動を起こすことを歓迎しているのがわかった。
候補はたくさんあったものの、プレイと分析を重ねた結果、《命取りの論争》が他よりずいぶん先を行っていることが明らかになった。効果の構造自体はどれも似ているものの、宝物を生成することで《命取りの論争》のコストは実質的に1マナとなるだけでなく、その宝物は脅威を繰り出すためのマナ加速にも色マナを整えるのにも役立ち、「親和」デッキにはアーティファクトをもたらす。その点において、他の候補とは一線を画すものになっているのだ。
まだ代替カードはたくさんあり、今回の変更でこのエンジンを取り除くことができたとは思っていない。今後《胆液の水源》を禁止する必要に迫られるかもしれないし、《毒気の薬》を禁止することになるかもしれない。プレイヤーたちが《胆液の水源》と《腸抜きの洞察》や《勢団の取り引き》などを組み合わせて使う姿を目にすることになるかもしれない。それでも《命取りの論争》を失うのは十分に大きな痛手であり、このエンジンを用いるデッキが弱体化し、黒必須の状況が落ち着き、《命取りの論争》と《胆液の水源》パッケージが減ると私たちは期待している。もちろん、この変更がどのように機能するかに目を配っていくつもりだ。
禁止:《カルドーサの再誕》
以前にもパウパーにおける極端な展開や速度については言及してきた。パウパーはこの数年でかなりゲームスピードが上がっており、コモンで使える軽いツールがどんどん強くなっている。それが特に顕著に表れているのが、他ならぬ「赤単」だ。
「赤単」はこのフォーマットにおいて非常に重要な役割を担っている。極めて遅いデッキが環境を支配しないよう、ゲームがまっすぐ進むように保ってくれているんだ。しかしそれと同時に、「赤単」が環境にプレッシャーを与えすぎたりこれへの対処に追われて環境が歪みすぎたりしないよう、常に注意深くバランスを取る必要がある。「赤単」はMagic OnlineのLeagueイベントで最も多くプレイされているデッキであり、どこにでもいるのだ。
このデッキに目を向けたところ、《僧院の速槍》が禁止された当時と非常に似通ったデータが見受けられた。マッチの勝率は53%ほどと許容範囲内なのだが、第1ゲームの勝率が常軌を逸しているのだ。「テラー」デッキや「サディスト繁殖鱗」、「ワイルドファイア」、「赤緑ランプ」に対する第1ゲームの勝率は実に65~70%を誇り、他の多くのデッキに対しても55~60%の勝率を記録している。使用率の高いデッキの中に第1ゲームから相性の悪い相手はなく、「赤単」に対して第1ゲームで不利なマッチアップを避けたいなら「ドレッジ」や「エルフ」(それぞれ使用率2%ほど)まで引っ張り出してこなければならない。
そしてサイドボーディング後は話が一変し、ほとんどのデッキに対して相性不利に転じる。この極端さは、私たちが見たいものとはあまりにかけ離れているのだ。
このような極端な展開は、環境を大きく損ねる可能性がある。1つの人気デッキを倒すためにほとんどのデッキが大量の対策カードをサイドボードに搭載しなければならない状況は、他のデッキに対する枠をかなり狭めてしまう。サイドボードのカード選択やそれらをどれだけ引けるかに大きなプレッシャーがかかり、主体性が失われてしまうだろう。赤のデッキが少し弱くなり、サイドボードによる対策の必要性が少し弱まり、サイドボーディング前後の差が少し縮まり、自然なゲームになるのが理想だろう。
このフォーマットで一体何が起きたのか? 要因の1つは現状に至るまでの環境の進化であり、「サディスト繁殖鱗」へ対応するために《殺し》のようなカードが必須となっている状況だろう。それらを使うために速度が遅くなっていった結果、《ゴブリンの墓荒らし》や《無謀なる従僕》、《機械仕掛けの打楽器奏者》のような赤のカードが少しずつ活躍の場を広げていったのだ。しかしながら、いかなる理由があろうとも「赤単」は現在許容できない位置にいて、前述の2つの禁止にメタゲームが適応してもなお、この極端な展開が残るであろうことはほぼ間違いない。
ここで叩くべきカードはいくつか議論に上がった。《ゴブリンの先達》のごとく振る舞える《ゴブリンの墓荒らし》のような比較的新しいカードを禁止することも検討したが、最終的には長らくパウパーで活躍してきた《カルドーサの再誕》が、立て直すのが難しい極端なゲーム展開を多く生み出すということで禁止されることになったのだった。盤面を一掃してもなお、《カルドーサの再誕》からの《ゴブリンの奇襲隊》で致命傷が飛んでくる。3ターン目にその2枚と他にもう1体を組み合わせれば、一気に8点以上の攻撃を繰り出せる。そして、たとえゲーム序盤に守備を固めても、これらの組み合わせで押し込まれてしまうのだ。
私たちとしてはもう少しコントロールが環境に出てきてほしいと願っており、《カルドーサの再誕》はロングゲームにおいても対処の難しいカードだ。《ゴブリンの奇襲隊》と《カルドーサの再誕》の二択なら、《実験統合機》や《機械仕掛けの打楽器奏者》といったカードのバリューも上げる方を叩いておきたい。
この変更が、赤のデッキが極端すぎるゲーム展開を生む前の段階に戻る一助になればと願う。私たちは、この変更が赤に打撃を与えすぎていないか観察を続けるつもりだ(先述した通り、絶妙なバランスなんだ)。でも今回の変更を受けても赤はプレイに足る存在であり続けるだろうし、フォーマットの進化も止まらないと私たちは予想しているよ。
その他のデッキとカードについて
ここで、パウパーに存在する他のデッキについても概略を話しておきたい。
数字を見るに、勝率のラインを大きく超えるデッキは見受けられない。特に人気を集めるデッキの中では、全体の勝率53.5%が最高値となっている。今回私たちが禁止したカードはメタゲームへの影響やプレイ・パターンによるところが大きく、これから再びメタゲームが落ち着いた先がどうなるかはもちろんまったくわからない。
私たちは、「橋」について再び議論を行った。議論の中で禁止に近づいたタイミングもあったけれど、最終的には否決された。その理由の1つは、大きな柱を取り除くのは今回の大きな変更を受けてパウパー環境がどのような形になるのかを見てからにしたかったからだ。それから、《命取りの論争》の禁止は「親和」デッキやアーティファクト・土地のパワーも相当下げるだろうと私たちは考えた。PFP内でプレイテストを重ねた結果、《命取りの論争》の禁止はこのデッキに大きな影響を与えることがわかった。台無しにすることは到底ないけれど(「親和」デッキはまだまだ有力なデッキであり続けるはずだ)、それでもこのアーキタイプにとって無視できない損失であることは間違いない。「親和」デッキや「橋」を用いるマナベースの落ち着く先によっては、将来的にこれらの土地を含む変更を行う必要が出てくるかもしれない。
もう1つ触れておきたいのが《のたうつ蛹》だ。このカードの禁止を求める声は多く、《命取りの論争》や《日を浴びる繁殖鱗》が禁止されても《のたうつ蛹》が受ける影響はごくわずかで、元々のカードパワーは変わらないだろう。だからここで私たちの感覚を伝えておくのが良いと思ったんだ。
《のたうつ蛹》が基準を逸脱していることに疑いの余地はない。このコモンが『モダンホライゾン3』のリミテッド環境を完全に歪めたのには理由がある。このカードは4マナ4/5のスタッツに2マナがついてくる上に、トークンは打ち消されないなど細かな利点も満載だ。赤のカードではないため《青霊破》も受けず、1枚目を繰り出した後に2枚目、3枚目と続けてプレイしやすい。
《のたうつ蛹》は非常に強力なカードだ――それは否定のしようもない。しかし一方で、パウパーには長きにわたりミッドレンジがやや不足していた。環境は高速アグロ・デッキか「トロン」のような超ロングゲームのデッキに偏っていたのだ。
でも最近は状況がずっと良くなっている。その要因の一部が、《のたうつ蛹》の存在なんだ。このカードはミッドレンジが持つ脅威として素晴らしく、より重い除去呪文を使う動機をもたらし、《マイアの処罰者》を戦闘で制することができ、アグレッシブなデッキと戦う上で差を埋める助けになってくれる。
《のたうつ蛹》はパウパーの土台を支える1枚になると私は予想している。確かに強いよ! けれどそれは2色に縛られるし、重要な役割を果たしてくれるのだ。私たちは現在のところ、環境によほど劇的な変化が起きない限り《のたうつ蛹》を禁止する計画はない。
試験的な禁止解除
記事冒頭で、私は2枚のカードを「試験的に禁止解除する」と述べた。これはどういう意味だろうか?
私たちは何か新しい実験に挑戦したいと思っている。これは他のフォーマットが試していないことであり、パウパーこそが実験の場としてふさわしいと私たちは考えている。これが他のフォーマットでも行われるだろうと期待するのはやめてほしい。あくまでPFPが特別に興味を持っているだけで、デッキ構築がしやすくオンラインでのプレイが優勢なパウパーだからこそ扱えると考えているのだ。
パウパーには、多くの人に愛されている禁止カードがある。このフォーマットは近年大きく進化しており、それらをすべて禁止リストに入れたままにしても良いものか、はっきりとはわからなくなっている。試験的な禁止解除は、そういったカードを試す機会を与える措置なのだ。
試験的な禁止解除では、次の禁止制限告知までにそのカードを禁止解除のままにするかどうかの再評価を行うことを前提にカードを禁止解除する。私たちはそのカードに何を期待して禁止解除を行うのかをみんなに伝え、実際の結果と比較する。
今後の禁止解除がすべて試験的な禁止解除になるわけではないけれど、これは私たちにとって最高のツールの1つになるだろう。新しい試みだから、ぜひ君の考えを聞かせてほしい。
それじゃあ、今回挙げられた2枚のカードを見ていこう。
禁止解除:《満潮》
この変更は大きいだろう。《満潮》はパウパーで他にない経歴を歩んできた。
《満潮》の使用可否は、常に議論の的だった。テーブルトップとオンラインのパウパーが統合される以前は、テーブルトップは印刷されたカードに準拠し、オンラインでは『Vintage Masters』などのセットによるオンライン独自の基準を採用していたため、《満潮》はテーブルトップでのみ使用可能だった。《満潮》は『フォールン・エンパイア』にコモンで収録されたカードだけれど、Magic Onlineではもっと高いレアリティにしかなかったのだ。
テーブルトップのパウパーの歴史において《満潮》が強かった時代はあまりなかったが、そもそもその強さを証明する機会となるイベントが少なかった。さらにテーブルトップとオンラインのパウパーが統合される際に、《満潮》は予防措置的に禁止リストに入れられた。確かに危険そうな「見た目」をしていたからね。
私たちが《満潮》を試したいと思うのにはいくつか理由がある。
第一に、スペルベースのコンボがもっと成立してほしいと願うプレイヤーがたくさんいること。スペルベースのコンボが最高の選択肢になるのは健全ではないと考えるものの、エターナル・フォーマットで一線級のアーキタイプをパウパーで表現できるのは良いことだ。また、コンボデッキは超ロングゲームを狙うデッキを仕留めることもできる。《日を浴びる繁殖鱗》は環境に残せるようなコンボではなかったけれど、環境にコンボがあるというのは健全で良いことだと思う。
第二に、パーツが揃っておらず回答もあること。パウパーでは《フェアリーの大群》や《流浪のドレイク》、《大あわての捜索》といった強力なコンボパーツが禁止されている(でも《断絶》はあるよ!)。また、環境のスピードは上がっており、対策カードも多彩だ。
そして第三に、人気がある! 《満潮》は以前からレガシーのデッキとして成立しており、人々の記憶に刻まれている。このカードの禁止解除を長年にわたり控えてきたのは、解き放つのは危険だと思われたからだ。それでもパウパーのさらなる拡張とみんなに楽しんでもらえるものを提供するために、一度試してみたいと思ったのだ。
私たちパウパー・フォーマット委員会は、多くの時間をかけて「ハイタイド」デッキを構築し、議論を重ねた。私たちが作り上げたリストは強すぎるというほどではなく適正に見えたけれど、何千というプレイヤーの手にかかれば私たち7人で組み上げたリストよりずっと強いものにすぐたどり着くであろうことはわかっている。だからこそ、ここでは試験的な禁止解除から始めたいのだ。
私たちとしては、このデッキがメタゲーム上で最上位のデッキの下に収まるのがベストだと考えている。実験のすえに結局使われないとなっても、それはそれで問題ない。環境の中心から離れているか、プレイに耐えるもののベスト・デッキではないという立ち位置が理想的だ。こういうシナリオなら、禁止解除のままになるだろう。
しかしながら、大ブレイクを果たしメタゲーム上で3本の指に入るというなら、試験期間の終了時に再び禁止する可能性が高いと思う。手札だけで完結するコンボ・デッキが上位3デッキにいるのは、フラストレーションを引き起こしかねない。このデッキが繰り出す難題にすべての色が完璧に対応できるわけではないのだ。
次回の禁止制限告知は6月30日。そのときに、《満潮》の命運を伝えることにしよう。
なお可能性は低いものの《満潮》の歴史を見るにないとは言えないシナリオとして、《満潮》が環境を完全に支配し他のカードがほとんどプレイに耐えない状況になった場合は、もっと早く行動を起こすかもしれない。ただしそれは、よほどのことが起きた場合だけだ。フォーマットの進化を見守る時間を取ることも大切だからね。
みんなが《満潮》を使って何を見せてくれるのか、心から楽しみにしているよ。もちろんしっかり観察していくつもりだ!
禁止解除:《予言のプリズム》
《予言のプリズム》は、《満潮》とまったく異なる物語を紡いできた。比較的最近行われたこのカードの禁止には、私たちも携わっていた。当時は「トロン」が支配的で、「親和」もマナ基盤を整えるために使っていた。
両デッキとも狭い岩棚を渡っていくような絶妙なバランスで立っているため、PFPではここしばらく《予言のプリズム》の解禁について議論を交わしていた。そして時代は大きく変わり、今こそ「トロン」の姿をもう少し目にしても大丈夫だと判断するに至ったのだ!
数年前にあった問題が再び表出するかもしれない点には、常に不安がつきまとっていた。だがそれも《エネルギー屈折体》の登場により、《予言のプリズム》は大丈夫だという自信が深まった。「親和」など《予言のプリズム》の方が採用できるデッキが間違いなく多いにも関わらず、だ。
しかしながら、《予言のプリズム》が一般的に強力すぎるカードというわけではないものの、それは環境の画一化を大きく進め得るカードではあり、ベスト・カードをすべて詰め込んだデッキを可能とするカードではある。それは決してパウパーにとって望ましいことではない。
そこで私たちはこのカードを試験的な禁止解除とし、これを解禁すると何が起こるのかを見ることにした。最も可能性が高いのはパウパーに劇的な変化は起きないという結果であると私たちは信じている。
とはいえ3枚の大きな禁止によって、環境はかなり揺さぶられることが予想される。とりわけ《命取りの論争》は、「親和」においてマナを整える仕事を担っていた。《予言のプリズム》についても念のため、同じ仕事ができるものと想定して見ることにしている。
私たちが観察する主な点は、「親和」と「トロン」、それから新しいデッキへの影響だ。それから色の画一化が起きないかも見ていくつもりだ。
「フリッカー・トロン」や「コントロール・トロン」が最上位の座を確立することなく少しだけ盛り返したなら、最高だ。「親和」に数枚採用されるのも良いだろう。もちろん「シンセサイザー」のような他のデッキに姿を見せるのも歓迎だ。
でも「トロン」や「親和」を望ましくないレベルまで強化し、それらが環境のベスト・デッキになったり、似たようなカードが1つのデッキに詰め込まれる画一的なフォーマットになったりするなら、再び禁止リストへ送り返すことになるだろう。
新たなパウパーへ
今日は本当にたくさんの変化が起きた1日だったね。これから何が起こるのか、とても興味深いよ。
普段のMagic Online leagueやパウパーのイベントに加えて、今年の春や夏にもMagic Online上で大きなパウパー・イベントが開催される予定があり、私たちも注目している。5月16日には「Regional Championship Qualifier」、7月12日には「Regional Championship Super Qualifier」が行われ、「MOCS Showcase Challenge」も6月7日、7月5日、8月2日に開催される。パウパーがプロツアーへの道の第一歩になる可能性があるから、ぜひ参加してみてくれ。
この場をお借りして、感謝を伝えたいことが2つある。1つは、この数か月に有益なフィードバックをたくさん送ってくれたパウパー・コミュニティのみんなへ。意見を寄せてくれて本当にありがとう。
そしてもう1つは、パウパー・フォーマット委員会のみんなへ。今回の変更に至るまでには、多くの作業と議論が積み重ねられてきた。タイムゾーンを越えて意見を交わしプレイテストを行うのは、決して容易なことじゃない。このチームとともに取り組めたことを心から嬉しく思うよ。
私たちは、これからパウパーに起こることを観察していく。みんなもどうかパウパーをプレイして、感じたことを教えてくれ!
パウパー・フォーマット委員会を代表して――ガヴィン
Alex Ullman – @nerdtothecore
Alexandre Weber – @Webermtg
Emma Partlow – @Emmadpartlow
Gavin Verhey – @GavinVerhey
Mirco Ciavatta – @Heisen011
Paige Smith – @TheMaverickGal
Ryuji Saito – @Saito_o3
RANKING ランキング
NEWEST 最新の読み物
CATEGORY 読み物カテゴリー
戦略記事
コラム
読み物
BACK NUMBER 連載終了
- Beyond the Basics -上級者への道-
- Latest Developments -デベロップ最先端-
- ReConstructed -デッキ再構築-
- Daily Deck -今日のデッキ-
- Savor the Flavor
- 射場本正巳の「ブロールのススメ」
- 津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
- 浅原晃の「プレミアイベント三大チェックポイント!」
- ガフ提督の「ためになる」今日の1枚
- 射場本正巳の「統率者(2017年版)のススメ」
- かねこの!プロツアー食べ歩き!
- ロン・フォスターの統率者日記
- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
- マアヤのマジックほのぼの日記
- 金子と塚本の「勝てる!マジック」
- 射場本正巳の「統率者(2015年版)のススメ」
- 週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
- なかしゅー世界一周
- 中村修平の「デイリー・デッキ」
- 射場本正巳の「統率者(2014年版)のススメ」
- 中村修平の「ドラフトの定石!」
- 浅原晃の「プロツアー観戦ガイド」
- 鍛冶友浩の「プロツアー観戦ガイド」
- ウィザーズプレイネットワーク通信
- Formal Magic Quiz
- 週刊デッキ構築劇場
- 木曜マジック・バラエティ
- 鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」
- 鍛冶友浩の「今週のリプレイ!」
- 渡辺雄也の「リミテッドのススメ」
- 「明日から使える!」渡辺リミテッド・コンボ術
- 高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
- 高橋優太の「このデッキを使え!」
- 黒田正城の「エターナルへの招待」
- 三田村リミテッド研究室
- 新セットめった切り!
- シングルカードストラテジー
- プレインズウォーカーレビュー
- メカニズムレビュー
- その他記事