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Making Magic -マジック開発秘話-
デザインの時代
2024年8月12日
2003年の12月より、私はマジックの首席デザイナーを務めることになった。それから2年後、私が初めて監督したマジックのセットが発売されるタイミングで、私は「デザイン演説」と題した年次コラムを書き始めた。「デザイン演説」では直近1年間のデザインを振り返り、首席デザイナーの目線で各製品を洞察している。このコラムは毎年8月に公開されており、今年の「デザイン演説」は来週お送りする。
「デザイン演説」の第1回で、私はマジックのデザインが経てきたいくつもの時代を振り返った。当時は第3の時代まで通ったところで、第4の時代が始まったばかりだった。各時代はそれぞれ、その時期の首席デザイナーと結びついていた。それからおよそ20年が経ったが、デザインの時代についてはあまり書いてこなかったと思ったため、改めてこれまで通ってきた時代を振り返り、それぞれの背景を語り、私が現在どの時代にいると感じているのかを諸君に知ってもらおうと考えた次第である。
デザインの第1の時代(『アルファ版』~『アライアンス』)
マジックの起源を見るときに念頭に置いておかなければならない重要なことは、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldはこのゲームがこれほどのものになると想定してデザインしたわけではなかったということである。それを想定するのは誰であっても不可能だった。はじめからゲームの風景を一変させる社会現象級のものになると想定して、ゲームをデザインすることはないだろう。リチャードは他のゲームと同じように、近所のゲーム店で購入するようなゲームを作っていた。ゲームに支払う普通の金額(1993年当時は20~30ドルくらいだ)を支払い、家で友人とプレイするようなゲームだった。そのゲームを気に入ったなら、ときどきブースターパックを買い足して持っているカードに加えて遊ぶかもしれないな、と。
そういうプレイ体験が形作られたのは、『アルファ版』の制作方法に由来する。当時は1つのプレイ・グループ全体で数百枚ほどのカードが用意され、その状況に合わせてプレイ体験の核がデザインされたのだ。もちろん強力なカードもあったが、どのプレイ・グループにおいても数は少なかった。加えてアンティがこのゲームの肝の1つであったため、特に強力なカードは所持者が変わるのが常だった。
ルール上の紛争のほとんどはキッチンテーブルを挟むプレイヤー同士で解決するものとリチャードは想定していたため、ルールは緩かった。彼は、2枚のカードの相互作用について議論すること自体もゲームの特性だと見ていた。マジックの大きな着想の源となったものの1つが、1977年の「コズミック・エンカウンター」である。リチャードには、そのゲームでカード同士の相互作用について友人と議論した楽しい思い出があったのだ。
この時期に首席デザイナーはいなかったが、リチャードが事実上のリーダーだった。彼は個別のカードそれぞれがエキサイティングなものになるようにデザインすることが最も重要であると認識していた。当時は「トレーディング・カードゲーム」という概念自体が新しかった。カードを購入し、集め、トレードしたいと思わせることが必要だったのだ。つまりデザインの第1の時代では、それぞれのカードをできる限りエキサイティングなものにする、ということに焦点を当てていたことになる。
ルールは統一されておらず、それぞれのカードが単体で最大限に機能するようなルールを持っていた。まだ正式なテンプレートはなく、それぞれのカードが最大限にわかりやすく、輝けるようにテキストが書かれていた。5色に分かれていたのも、あくまで特に強力なカードがすべて同じデッキに入らないようにするための手段であり、カードの色は機能面よりもフレイバー面で決められていた。
これらはすべて、間違いではなかった。もしマジックが最初期において、目を引くクールなものになるよう最大限の力を尽くされていなかったら、社会現象級のゲームにならなかったかもしれない。個別のカードそれぞれを輝かせることに焦点を当てたデザインはゲームの世界にやってきたマジックが話題になる鍵となったが、このゲームの初期は少々混沌としたものになったのだった。
デザインの第2の時代(『ミラージュ』~『プロフェシー』)
第2の時代は、ジョエル・ミック/Joel Mickが首席デザイナーに就任したときに始まった。彼が特に焦点を当てていたのは、マジックというゲームを現状に適応させることだった。それはいくつかのことを意味する。1つは、一貫性を重視しなければならなくなったこと。同一の機能を持つ2枚のカードには同じテンプレートのテキストを持たせ、ルール上で同じ挙動をするようにし、色の理念に沿って一貫性を持たせる必要があった。マジックには、プレイヤーが1枚のカードから学んだことをすべてのカードに応用できるよう、より大きなシステムが必要になったのだ。
ルールについては、ジョエルがビル・ローズ/Bill Roseとともに「第6版ルール」を作成した。そこにはよく大きな矛盾を生んでいたカードごとのルールの寄せ集めではなく、新たなルール・システムを構築するために設計された枠組みがあった。スタックが導入され、ゲームの流れが再編成された。これによりプレイヤーは、ルールを学ぶことで他に何か調べなくても新カードの挙動を理解できるようになった。
テンプレートについては、ジョエルがエディターやルール委員会とともにカード間で一貫して使われるテンプレートを作成した。マジックの専門用語の多くはここで生まれた。
カラー・パイについては、デザイナーやクリエイティブ・チームの協力のもとでジョエルと私で取り組んだ。どの能力がどの色に属するかや各色の強みと弱みを確かめていき、一貫してそれに沿ってデザインできるようになった。
ジョエル主導のもとで行われた2つ目の大きな変化は、「ブロック」構造への移行だった。セットを個別にデザインするのではなく、1年単位でデザインするのだ。マジックの1年はカレンダー通りではなく、秋のセットから始まる。そのセットが大型セットで、そこへ2つの小型セットが続く。それらは舞台となる世界やメカニズムを共有している。基本的に大型セットで2つのメカニズムが導入され、1年を通して使われるのだ。
3つ目の大きな変化は、すべての製品をリミテッドでプレイできるようにデザインを変えたことだった。この時代へ至る前にもリミテッドという遊び方はあったが、セットがリミテッド向けにデザインされていたわけではなかった。デザインとデベロップが積極的にリミテッドを意識してセットを作るようになったのは、『ミラージュ』からであった。それ以降、コモンやアンコモンはリミテッドに注目して作られるようになったのだった。また組織化プレイも、競技の舞台でリミテッドを推し出し始めた。
デザインの第3の時代(『インベイジョン』~『神河救済』)
第3の時代は、ビル・ローズが首席デザイナーに就任したときに始まった。ビルが特に推し出したのは、ブロックに独自性を与えることだった。初期のブロック構造ではブロックごとに通して使われる2つの新規メカニズムが用意されたが、それらは基本的に結びつきがなかった。『インベイジョン』以降、ブロックは1つのテーマを中心に構築されるようになり、メカニズムはそのテーマを補強するものが選ばれた。『インベイジョン』は多色がテーマのブロックだった。『オデッセイ』は墓地がテーマ、『オンスロート』はタイプ的テーマ、『ミラディン』はアーティファクトがテーマ、『神河物語』はフレイバー中心のトップダウン・テーマのブロックだった。
ブロックがマジックの多元宇宙を積極的に探検するようになったのも、ビルの時代でのことだった。初期のマジックではエキスパンションの舞台を他の次元にすることに慎重で(『アラビアン・ナイト』、『ホームランド』、『メルカディアン・マスクス』のみ)、すぐにドミナリアへ戻っていた。『ミラディン』以降は次々と新規次元を舞台とし、13年後まで再びドミナリアへ戻ることはなかった。これにより、クリエイティブはビルが各ブロックに設定したテーマへしっかり向かうことができた。例えば『ミラディン』は金属の世界であり、クリーチャーにも金属が織り込まれたものが多かった。単にアーティファクトをテーマにした世界というだけでなく、「アーティファクトの世界」だったのだ。
ビルがマジックにもたらした3つ目の大きなことは、デベロッパーの採用方針の見直しだった。『ウルザズ・サーガ』ブロックにおいてデベロップ上の大災害が起きたことを受けて、ビルは壊れたカードの識別に優れたデザイナーを探し求めた。彼は最終的に、プロツアーの舞台からデザイナーを採用することに決め、カードのバランスの取り方を理解している新たなグループが発足したのだった。
ビルの時代に起きた4つ目の大きな変化は、ラベルづけの方法の見直しだった。『メルカディアン・マスクス』の2つのメカニズムには、名前がついていなかった。するとプレイヤーは、このセットには新しいメカニズムがなかったと感じた。ビルはより積極的にラベルづけを行い、その結果1年間に導入される名前つきのメカニズムの数が増えたのだった。
そしてビルの時代に、我々は過去のセットやブロックからメカニズムを再録しても良いと決め、『オンスロート』の「サイクリング」からメカニズムの再録を始めた。それまで、メカニズムの扱いは2つに分かれていた。常盤木となり残るか、環境から去って二度と戻ってこないかである。セットやブロックのデザインを重ねていく中で、過去に成功したメカニズムへアクセスできることが我々のデザインを最大限に活かすために欠かせないと明らかになったのだ。
デザインの第4の時代(『ラヴニカ:ギルドの都』~『エルドラージ覚醒』)
第4の時代は、私が首席デザイナーに就任したときに始まった。就任当初に私が焦点を当てたのは、ブロックの計画だった。それまで、我々は秋のセットを制作して、あとは続く小型セットのデザイナーにすべて任せていた。ブロック全体の計画が欠けていたことは、デザイン上の頭痛の種になっていた。
ブロックは第3セットの前に失速することが多いため新たなメカニズムを考えなければならないのだが、他のセットと合わせてドラフトするのに必要な体制が整っていないことが多かった。例えば『スカージ』では「ストーム」が登場したが、それは『オンスロート』や『レギオン』のタイプ的テーマと噛み合う部分は多くなかった。『神河救済』の「手札枚数重視」のテーマも、その前のセットとの結びつきがなかった。また『フィフス・ドーン』のように、バランス上の問題で以前のメカニズムを使わざるを得ず、方向転換が必要になる場合もあった。
『ラヴニカ:ギルドの都』より、我々はブロック最初の大型セットをデザインした後にその年の各セットで起こることを綿密に計画するようになった。『ラヴニカ』ブロックでは10のギルドを3セットに分けて登場させた。『時のらせん』ブロックでは各セットに過去と現在と未来のテーマを設定し、それぞれ独自性を持たせた。
『ローウィン』からは、ブロック構造の実験も始めた。『ローウィン』と『シャドウムーア』はそれぞれ、大型セット1つと小型セット1つのミニ・ブロックとなった。それらは同じ世界の光と闇の面を表現し、一方のミニ・ブロックに見受けられるテーマをもう一方でも使った。『アラーラの断片』ブロックでは、各セットで異なる多色セットを探究した。『ゼンディカー』ブロックは大型セットで始まり大型セットで締めくくった。それぞれ独自のメカニズムが用意され、世界が一変することを表現した。
デザインの第5の時代(『ミラディンの傷跡』~『イクサランの相克』)
以降の時代では、私が首席デザイナーを務め続けている。『ミラディンの傷跡』ブロックは、私がマジックに携わる中で最もデザインに苦労したものだった。私はおよそ完遂不可能な仕事を割り当てられた。その時点で、セットのデザインが私の手を離れるまで残り1か月だった。そのとき私が抱えた問題を解決したのが、デザインの考え方を徹底的にオーバーホールすることだった。
大学時代に、私は映画やテレビについて学びながらコミュニケーションについても学んでいた。テレビ番組の脚本家になるつもりだった。そしてわずかながら成功を収めたものの、私はすぐに別の州でまったく異なる仕事をすることになった。それは、以前はあくまで趣味としてやっていたことだった――ゲーム・デザインである。まったく新しい分野へ移った私は、大学で学んだことはほとんど使うことがないだろうと思っていた。だがデザインに関する考え方のオーバーホールに取りかかったとき、脚本家として学んだことが頭をよぎり始めた。
執筆における概念の1つに、「感情の中心」というものがある。これは、キャラクターが何かしているとしてもその場面はまったく異なるシーンかもしれない、という考え方である。例えば朝食について言い合うカップルの場面を書いているとしても、それは朝食についてのシーンではないかもしれない。キャラクターはそれぞれの選択に疑問を抱いているのかもしれないし、朝食についての会話も、言外にあるより大きなテーマに触れるための手段に過ぎないのかもしれないのだ。
ではこの「感情の中心」という考え方をゲームへ、つまりマジックへ広げることはできるだろうか? 我々にはできると私は考え、このアイデアを探究することで『ミラディンの傷痕』ブロックの再開発に取り組んだ。『ミラディンの傷痕』ブロックは、プレイヤーにファイレクシアンが再び紹介される機会だった。そのために我々はファイレクシアンという存在を理解し、ゲームのメカニズムへ落とし込む必要があった。
メカニズムとクリエイティブは別個のものではない。2つを合わせてセット全体が作られる構成要素である。カード名やアート、フレイバー・テキストと同じく、ゲームプレイもまたフレイバーの一部だ。映画であれ本であれ、パフォーマンスであれ、テレビ番組であれ、ゲームであれ、エンターテインメントの核となる構成要素とは、感情の反応を作り上げることである。創作物の鑑賞者には、何かを感じてもらいたいものだろう。ゲームプレイにおいても、ゲームをプレイする行為を通して感情を呼び起こしたいのだ。
この考え方の副産物として、我々はメカニズム作成の手法を見直すきっかけを得た。メカニズムは、ゲームプレイを通して物語を伝えるために使うものなのだ。ファイレクシアンは、生ける病である。適応力があり、冷酷で、毒性があり、ウイルスのような感染性がある。最高のファイレクシアン・セットを制作するために、我々は病との戦いや病そのものであることを捉える感覚をセットに織り込む必要があったのだ。
第5の時代は、プレイを通して感情を呼び起こすというアイデアをデザインへ適用する時代だった。加えて、我々がメカニズム面の構成要素の使い方を考え直す機会になった。我々はもう、「墓地セット」を作ることはなくなった。墓地テーマを構成要素の1つにして、そこからより大きなデザイン感を築き上げてセットを作るようになったのだ。例えば『イニストラード』では、墓地テーマやタイプ的テーマ、そしてゲームプレイにおける死亡を重視することで、ゴシック・ホラーの感覚を捉えたのだった。
デザインの第6の時代(『ドミナリア』~『イニストラード:真紅の契り』)
『ドミナリア』は、さまざまな要因が合流した結果生まれたセットだった。それは、ブロック構造が廃止されて初めて世に出たセットであった。我々はこれまで何年もの時間をかけてブロック構造を改革してきた。はじめは大型セットに2つの小型セットが続く形だった。その後ブロックにテーマや計画を加えた。4セットのブロックも実験した。「大型セット、小型セット、大型セット」の構造にも挑戦した。ブロックの途中でメカニズムを刷新することも試した。ブロックのドラフト方法も変更した。だが最終的に、ブロックは大型セットと小型セット1つに縮小された。それでもうまくいかなかった。縮小後のブロックのセットはどれも、以前のセットの売り上げに及ばなかった。
最後に試したのが、ブロック構造を廃止することだった。過激な手段だったが、これまでの20年以上もときに過激な手段を試す必要はあった。我々は各セットを独立させ、それぞれ独自のセットとして作るようにした。同じ世界を舞台にし続ける必要がある場合はそうすることもできるが、それはセットごとに決められた。この決断は、マジック史上最大の成長につながることになった。
『ドミナリア』で行われたもう1つの大きな変更は、セットの作り方だった。セットは長年にわたり、デザイン・チームとデベロップ・チームの2つのチームで制作してきた。デザイン・チームはそのセットに1年間携わり、デベロップ・チームは半年間携わっていた。我々がマジックの作り方を徹底的に問い直したときに、より良いデザイン方法はないかと検討した。我々が導き出した結論は、制作体制を2部制から3部制に変更することだった。デザインとデベロップの2つから、展望デザイン、セット・デザイン、プレイ・デザインの3つにしたのだ。この新体制により取り組む仕事は分割整理され、セットのデザイン作業が全体的にすっきりした。また、以前より多くのセットを制作する体制にも適応できるようになった。
そしてこの時代には、後方互換性への取り組み方も大きく変化した。マジックはその歴史の大半において、スタンダードに焦点を当ててきた。我々が作ったカードは、数千枚程度のカードが使われる環境に入っていった。使用できるカードは定期的にローテーションし、我々はそういう環境に最適化されたツールを多く用意していた。しかし統率者戦の人気が高まっていき、モダンのような昔のカードを使うフォーマットも盛り上がっていった。
マジックはエターナル環境、つまり数千枚ではなく20,000枚を超えるカードを使う環境にも目を向けるようになった。新たなテーマを持つ新たなセットは過去数十年のカードとも互換性があるため、我々はセットの作り方の見直しを求められた。例えば『ドミナリア』では、「歴史的」の包括を導入した。これにより我々は、既存の要素を新たなテーマと手法で再構成できた。カテゴリを定義する用語を使うことでフレイバーの要素を加えることができ、よりわかりやすくなったのだった。
デザインの第7の時代(『神河:輝ける世界』~???)
私は2013年に、「Blogatog」というブログを始めた。それはこれまで11年にわたり続いており、800,000件を超える質問が寄せられている(そのうち150,000件ほどにしか答えられていない)。このブログで大きな部分を占めるのは、プレイヤーからの要望である。そして私のもとへ特に頻繁に送られてきたメッセージが、「神河を再訪しよう」というものだった。
この要望に対して、私はいつも同じ答えを返していた。新セットの承認を担う者へそれを売り込むのは難しい、と。『神河物語』は、史上最も売り上げの悪い大型セットの1つだった。当時行われた市場調査では、あらゆる項目が最低評価だった。人気の次元は他にたくさんあるのに、神河を再訪する理由があるだろうか?
我々は、今度はより普遍的なものになるよう現代のポップカルチャーをもとにして、日本テーマのセットを作ることに決めた。初期の計画では舞台は新規次元であり、先述した理由から神河を舞台にするつもりはなかった。しかし私はブログに寄せられた意見を思い出し、同僚たちとともに神河を舞台にできるよう力を尽くした。すると興味深いことが起こった。このセットはいともたやすくホームランを放ったのだ。プレイヤーは、そのセットを大いに気に入ったのである!
『神河:輝ける世界』の成功には誰もが腰を上げ、考えさせられた。それは、多くの常識を覆すものだった。この出来事のおかげで、我々は物事をもう少し大胆に考えられるようになった。ほこりが積もっていたローウィンを再訪するという提案も承認された。我々はゲームを複雑化させることに対しても背中を押してもらい、落葉樹メカニズムを増やし始めた。昔のメカニズムを少しだけ「カメオ出演」させることに対する抵抗感も少なくなった。これらは統率者デッキでやっていたことだ。主要セットでも、高いレアリティでやらない理由があるだろうか?
この出来事と並行して、開発部の他の場所でも同じようなことが起きていた。アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheは、他の知財をマジックに持ってくるというアイデアを提案していた。それは、今では「ユニバースビヨンド」と呼ばれるものであった。我々は何年もそれを行わない選択をしていたのだが、我々の顧客が増えていくにつれて、我々自身がファンタジー・ジャンルの境界を押し広げていることに気づいた。マジックをマジック足らしめている考えは、拡張させることができたのだ。
マジックのデザインが迎えた現在の時代において核となるのは、自問することである。30年以上が経った今、我々はこれまで当たり前のこととして受け入れてきたことにも再評価の目を向け始めている。マジックはどれくらいカジュアルなものであるべきか? 競技プレイをより大きなエコシステムとつなぐにはどうすれば良いか? どれくらいの複雑さが適切なのか? 1つのセットにはどれくらいのメカニズムがあるべきか? 1年間にどれくらいのセットが発売されるべきか? マジックにはどれくらいの革新が必要か? 懐かしさが果たすべき役割とは? 新たなテーマやメカニズムはどれくらいの後方互換性を持つべきか?
我々がこれまで通ってきた道には、慣例のままに進んだものもたくさんあった。この時代では、一歩引いて再評価の目を向けている。可能な限り最高のマジックのセットをデザインするにはどうすれば良いか? 最高の環境やエコシステムを作り上げるにはどうすれば良いか? 我々はただこれまでと同じことをするだけでなく、「もし何でもできるなら、何をすべきか?」と問いかけ続けている。
時代とともにあった者たち
以上、現在に至るまでのマジックのデザインにおける7つの時代を見てきた。諸君の見識が深まったなら幸いである。さて本日の記事を終える前に、もう1つやっておきたいことがある。このゲームのデザインには、多くの者が貢献してきた。そこで7つの時代それぞれの、マジック開発チーム(デザイン、デベロップ、先行デザイン、展望デザイン、セット・デザイン、プレイ・デザイン)のメンバーを掲載しよう。諸君の愛するゲームをデザインした多くの人々を見てみたいなら、ぜひ見てくれたまえ。
クリックしてこれまでのマジックの開発者を表示
いつもの通り、私の記事に関する意見を、メール、各ソーシャルメディア(X(旧Twitter)、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。マジックのデザインの歴史は私のお気に入りの題材であるため、今回は特に諸君の意見を聞きたい。
それではまた次回、「デザイン演説2024」でお会いしよう。
その日まで、あなたがお気に入りのゲームの1つが作られている舞台裏を覗くのを楽しめますように。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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