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Making Magic -マジック開発秘話-
基本根本 #16:プレイ・ブースター
2024年3月4日
毎年、最初の3か月のどこかで、私は「基本根本」と題してマジックのセットの作り方における核心部分について語るシリーズの記事を書いている。このシリーズはマジックのデザインをより深く理解したいアマチュアのゲーム・デザイナーのために書いたものだが、デザインの核心部分の舞台裏も技術的に覗けるため、誰でも楽しめるものになっていると期待している。
「基本根本」記事を書き始めて16年目になる。これまでの16本(2020年は2部作だった)を簡単に振り返ってみよう。
基本根本 #1:カード・コード(リンク先は英語)
この1本目の記事はもっとも技術寄りのもので、我々が話すときに同じカードのことを確実に示せるようにするシステムの使い方を説明している。
基本根本 #2:デザインの骨格(リンク先は英語)
この2本目の記事で、セットをデザインする上でもっとも重要な道具の「デザインの骨格」を紹介している。(この中でカード・コードを使用しており、そのためにそちらの記事が先になったのだ。)
基本根本 #3:デザインの骨格を埋めよう
この3本目の記事はそれぞれのデザインの骨格を埋める方法について話している。まずはコモンからだ。
基本根本 #4:より高いレアリティ
この4本目の記事では他のレアリティを埋めていくことについて話している。
基本根本 #5:初期プレイテスト
この5本目の記事では、フィードバックを集めてセットを進化させていくためのプレイテストの最良の使い方について論じている。
基本根本 #6:繰り返し
この6本目の記事では、繰り返しの概念とセットを徐々に進化させていく方法について語っている。
基本根本 #7:デザインの3つのステージ
この7本目の記事ではデザインにおける異なった3つの段階について、セットの進化に伴ってどのように優先度が変動していくかを通して説明している。
基本根本 #8:問題解決
この8本目の記事では、デザインの初期から中盤にかけてよくある問題に関する疑問に答えている。
基本根本 #9:評価
この9本目の記事では、自分のセット全体を見て、どのような微調整が必要か判断する方法について語っている。
基本根本 #10:クリエイティブ要素
この10本目の記事では、メカニズム的要素とクリエイティブ的要素をどう組み合わせて一体感のあるセットに編み上げるかについて論じている。その中で、トップダウン(フレイバーから始める)とボトムアップ(メカニズムから始める)という両方のデザインについて論じた。その後、カード名やクリーチャー・タイプ、フレイバーテキストの扱い方について詳細に述べた。
基本根本 #11:アート
この11本目の記事では、後期プレイテストにおいてアートを用いることの重要性と、それをセットにどのように組み込むかについて語っている。
基本根本 #12 その1:リミテッド(メカニズム)
この記事は2部作となっている。どちらも、そのセットがリミテッドで正しく働くようにする手法について語っている。前半にあたるこの記事では、メカニズムがリミテッドで作用するようにすることに焦点を当てた。
基本根本 #12 その2:リミテッド(テーマ)
後半にあたるこの記事は、リミテッド向けのテーマの作り方に焦点を当てている。
基本根本 #13:デザイン骨格の再確認
開発部は初期デザイン骨格を改良してきた。そこでこの記事で、すべてのマジックのセットに含まれる要素を改めて語っている。
基本根本 #14:最初の観念作用
14本目のこの記事では、アイデアをどう具体化して新しいセットを作るかを扱った。
基本根本 #15:構造的サポート
そして昨年は、我々が「構造的サポート」と呼ぶものについて語った。それはデザイン上の手順の1つであり、特にリミテッドが適切に機能するために必要なあらゆる要素を確実にセットに揃えられるよう行っている。
今回は16本目の「基本根本」記事をお届けしよう。2021年に、私は「初期デザイン骨格」の概要を語った。何のことかわからないという諸君のために説明すると、それは開発部があらゆるマジックのセットに必要な要素を確認するために使う構造的ツールであり、それが適切に機能するようにセットを組み立てる助けになるものだ。デザイン骨格の基本を詳しく知りたい方は、この話題を取り挙げた記事を読んでみてくれたまえ。
最新のデザイン骨格を公開した理由の1つは、物事がどのように変化したのかを見せるのにちょうど良かったからだった。『カルロフ邸殺人事件』では、マジックがこれまで販売してきたドラフト・ブースターとセット・ブースターが1つになった「プレイ・ブースター」が導入された。そこで本日は、プレイ・ブースターの初期骨格を詳しく見ていこう。その中で、この変化によってセットの作り方ににどのような違いがあるのか説明するつもりだ。
このセットの骨格では基本的に、コモンの枠に注目している。かつてのセットの初期構造は、現在よりアンコモンの枠がもう少し細分化されていた。現在の骨格では、アンコモンの枠のうちクリーチャーがいくつで非クリーチャーがいくつかが一覧になっているだけだ。ここで諸君に思い出してほしい重要なことは、セットの骨格はそのセットを作る際の出発点であることだ。開発が進むにつれてセットは変化し、そのセット特有のニーズに合わせて枠も変更できる。セットの骨格はあくまで、ジャンプ台なのである。
「プレイが大事」
詳しく語っていく前に、プレイ・ブースターの世界におけるセット構造の、特に大きな変更点を2つ説明したい。
1つ目は、コモンとアンコモンのみではあるがレアリティごとの収録カード枚数が変わったことだ。
レアリティ | プレイ・ブースター | ドラフト・ブースター |
---|---|---|
コモン | 81 | 101 |
アンコモン | 100 | 80 |
レア | 60 | 60 |
神話レア | 20 | 20 |
全体の収録枚数は変わらない(261枚)ものの、20枚のカードがコモンからアンコモンへ移動した。この20枚の移動は、我々のコモンとアンコモンの割り振り方に大きな影響を与えることになる。
2つ目は、ドラフト・ブースターの頃は特別仕様のカードやフォイル仕様のカードを除いて各パックの枠が固定されていたことだ。どのパックも土地枠1枚、コモン枠10枚、アンコモン枠3枚、レアや神話レア枠1枚だったのである。(これが基本だった、と注釈を入れておくべきだろう。両面カードのようなものが絡めば、パック内のレアや神話レアの枚数は変わり得る。)プレイ・ブースターにはプレイヤーたちがセット・ブースターで楽しんでいたものを織り込んだため、各レアリティの出現率はさまざまだ。
例えば、プレイ・ブースターにはレアや神話レアが少なくとも1枚封入されているが、最大で4枚出現する可能性がある。(『カルロフ邸殺人事件』プレイ・ブースターにおけるレアや神話レアの開封比は1.4をわずかに超える。つまり41%の確率でレアや神話レアが2枚出現するということだ。)このレアや神話レアの開封比の変更は、リミテッドに影響を与える。これから諸君も目にすることになるが、これら2つの大きな変化はプレイ・ブースター導入後のセット・デザイン構造の進化の道筋において、大きな役割を担うのである。
それでは各色について、まずコモンのクリーチャー枠を見ていこう。我々が「キーワード分布」と呼ぶもの(各キーワードがどれだけコモンに登場するかを大まかに示すもの)も交えて話していく。それからコモンのスペル枠を見て、最後にアンコモンのクリーチャーと非クリーチャーの枠の数を見ていく。
{W}白
コモンのクリーチャー(プレイ・ブースター) | コモンのクリーチャー(ドラフト・ブースター) |
CW01:1マナのクリーチャー | CW01:1マナのクリーチャー |
CW02:2マナのクリーチャー | CW02:1~2マナのクリーチャー |
CW03:2マナのクリーチャー | CW03:2マナのクリーチャー |
CW04:2マナのクリーチャー | CW04:2マナのクリーチャー |
CW05:3マナのクリーチャー | CW05:2マナのクリーチャー |
CW06:3マナのクリーチャー | CW06:2~3マナのクリーチャー |
CW07:3マナのクリーチャー | CW07:3マナのクリーチャー |
CW08:4マナのクリーチャー | CW08:3マナのクリーチャー |
CW09:4マナのクリーチャー | CW09:4マナのクリーチャー |
CW10:5~6マナのクリーチャー | CW10:4マナのクリーチャー |
CW11:6~7マナのクリーチャー | CW11:5マナのクリーチャー |
CW12:5~6マナのクリーチャー |
コモンの数が減るということは、クリーチャーも非クリーチャーも全体的に減るということだ。白は変わらずクリーチャーの数で一番、つまりどの色よりもクリーチャーの比率が高い。ドラフト・ブースターからプレイ・ブースターへの変更でクリーチャーの枠が1つ減ったものの、クリーチャーの比率は上がっている。ドラフト・ブースターの基本比率が63%(19枠中12枠)なのに対して、プレイ・ブースターは73%(15枠中11枠)なのだ。
これは、コモン・カードの枚数が減ったことにより「使えないコモン」を入れる余地がなくなったことに起因する。ここで言う「使えないコモン」とは、シールドデッキにおいてプレイできない状況があるかもしれないカードを指す。できることの幅が狭すぎるカードのことだ。この好例が、《帰化》や《解呪》(「アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する」カード)といった、我々が「サイドボード用カード」と呼んでいるものだ。死に札になる場合が多いため基本的には始めから採用するものではないが、対戦相手が繰り出す脅威への回答になる場合はサイドボードから入れる、というたぐいのカードである。他にカードが使えないかもしれない理由としては、パワー・レベルが挙げられる。
使えないコモンをなくすために、我々は3つの策を講じている。1つ目は平均のパワーレベルを引き上げることだ(ただし構築ではなくリミテッド寄りの設定で)。あなたがある色を使う場合、その色の単色クリーチャーのほとんどは、少なくともあなたのデッキで使えるだろう。特定のドラフト・テーマとのシナジーに寄せたクリーチャーもあるかもしれないが、クリーチャーとしての基本的なスタッツは何かに使えるはずだ。2つ目は、いくつかの効果をコモンからアンコモンに移すことだ。この一例は、我々が普段は赤のコモン枠でやる、(《脅しつけ》のような)一時的にコントロールを奪うものである。3つ目は、モードを持つ効果をさらに活用することだ。これまで通り《帰化》や《解呪》の効果をコモンに入れることも可能ではあるが、より有用でスタンダードでもデッキに採用されるような他の効果と組み合わせて登場することになるだろう。
プレイ・ブースターの導入による変更の結果、コモンにおけるクリーチャーの比率はわずかに上がることになった。クリーチャーは多くのデッキで有用な存在になりやすく、勝ち手段としての性質も組み込まれている。
クリーチャーに見受けられる大きな影響をもう1つ挙げるなら、特に白において平均サイズが上がっていることだろう。ドラフト・ブースターでは、白の基本的な平均パワーは2.95だった。プレイ・ブースターでは、それが3.28に上がっている。全体の3分の1のパワーが上がっている計算だ。これはすべてのクリーチャーを使えるようにするために行われた。パワーが低いクリーチャーは、用途が限定的になりやすいのだ。
キーワード分布(コモン)
- 飛行 3(異なるパワーで)
- 警戒 2
- 絆魂 1(小さいパワーで)
- 先制攻撃 0.25
- 二段攻撃 0.20
このセットの骨格は、前回のものと少々異なる。コモンにおける特定のキーワード能力の枠を定めるのではなく、その登場頻度を大まかに示すものになっている。値が1を下回っている能力は、常にすべてのセットに登場するとは限らないが、複数のセットにおいてその割合が平均値になるというわけだ。しかしながら、白の先制攻撃は開発部からの支持が減っている。この能力は盤面の膠着を引き起こすため、攻撃的にのみ機能するものを作ることが多くなっている。
コモンのスペル(プレイ・ブースター) | コモンのスペル(ドラフト・ブースター) |
CW12:戦闘に関連する除去 | CW13:低コストの除去(基本的に攻撃/ブロック・クリーチャーにダメージを与えるもの) |
CW13:《払拭の光》 | CW14:攻撃もブロックもできなくなるオーラ(能力も止める場合あり) |
CW14:コンバット・トリック | CW15:大型クリーチャーやタップ状態のクリーチャーを破壊する除去 |
CW15:《解呪》や除去 | CW16:コンバット・トリック |
CW17:強化するオーラや装備品 | |
CW18:横に展開したクリーチャーを強化する効果 | |
CW19:アーティファクトやエンチャント破壊 |
コモンのスペルはもう少し実用的である必要がある。スペルの比率が最も低い白においては、それは主に除去カードに集中することを意味する。コンバット・トリックの枠では、クリーチャーを救うデザインのものを優先したい(つまりそのクリーチャーが倒れることなく対戦相手のクリーチャーを倒せるものを入れたい)。《平和な心》効果(攻撃もブロックもできず、ときに能力の起動もできなくなるオーラ)は、《払拭の光》効果(それが戦場を離れるまで何かを追放するカード)に代わられている。多くのレアは常在型や誘発型で戦闘に絡まない強力な能力を持っており、コモンのカードでそれらに対応できるようにする必要があるため、クリーチャーを殺さずに無力化する効果はもっと「テキストを拭き取る」必要があるのだ。《解呪》の枠にはモードを持つものが入ることが一番多くなり、アーティファクトやエンチャントに加えてクリーチャーへの回答になる場合もあるだろう。
それから、この変更により特定の効果がスペルからクリーチャーに移ることを余儀なくされたことも言っておきたい。横に展開したクリーチャーを強化する効果(「ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+N/+Nの修整を受ける。」)は、今後も使うつもりだ。アンコモンでなら、ゲームを決める大きな強化ができるのは間違いない。シンプルに+1/+1の修整を与える効果は、恐らくクリーチャーの「戦場に出たとき」の効果や起動型能力に多くなると思われる。
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
クリーチャー10枠 | クリーチャー8枠 |
非クリーチャー4枠 | 非クリーチャー5枠 |
アンコモンの枚数が20枚増えたとはいえ、単色には各色1枚ずつの5枚しか増えていない。白のコモンと同様に、クリーチャーの比率上昇が見受けられる。例えばアンコモンにおける白のクリーチャーは61%(13枠中8枠)から72%(14枠中10枠)になっている。これもコモンと同じ大きな要因によるものだ。我々は、コモンとアンコモンにリミテッドで使えるカードを増やしたいのだ。
またアンコモンのカードも、パワーレベルが上げられている。これまでより、レアや神話レアと直接ぶつかり合わなければならないことが増えるからだ。
もう1つアンコモンに訪れた変化は、「横展開を中心にした構築」からの脱却だ。ドラフト・ブースターの世界よりもレアの出現率が高いため、そういうデザインの多くはレアでできるようになっている。
{U}青
コモンのクリーチャー(プレイ・ブースター) | コモンのクリーチャー(ドラフト・ブースター) |
CU01:2マナのクリーチャー | CU01:1マナのクリーチャー |
CU02:2マナのクリーチャー | CU02:2マナのクリーチャー |
CU03:3マナのクリーチャー | CU03:2マナのクリーチャー |
CU04:3マナのクリーチャー | CU04:3マナのクリーチャー |
CU05:3マナのクリーチャー | CU05:3マナのクリーチャー |
CU06:4マナのクリーチャー | CU06:4マナのクリーチャー |
CU07:5~6マナのクリーチャー | CU07:4マナのクリーチャー |
CU08:6~7マナのクリーチャー | CU08:5マナのクリーチャー |
CU09:6マナ以上のクリーチャー |
青のクリーチャー比率も上がっているが、白ほどではなく、47%(19枠中9枠)から53%(15枠中8枠)となっている。平均パワーは3.39から3.62に上昇している。例としては、青のコモンにはもはや1マナ域が標準装備ではなく、6マナ域が複数収録される可能性もあることが挙げられるだろう。
キーワード分布(コモン)
- 飛行 3(異なるパワーで)
- 警戒 1.5
- 護法N 0.5
- 防衛 0.5
- 瞬速 0.5
1年前に、我々は青に警戒を加えるという大きな変更を行った。それは今や、青で2番目に多く使われるキーワードになっている。主な理由は、攻撃させたいと思われるような青のクリーチャーを作るのは難しいからだ。また青に限ったものではないが、青に最も顕著に見受けられるのは、ゲームを膠着させやすいタフネス偏重のクリーチャーだ。我々はそれらにより多くの注意を払っている。
コモンのスペル(プレイ・ブースター) | コモンのスペル(ドラフト・ブースター) |
CU09:クリーチャーを守るインスタント | CU10:パワー0のクリーチャーや防衛持ちのクリーチャー、あるいは非クリーチャー |
CU10:打ち消し | CU11:「ハードカウンター」(何でも打ち消せる呪文) |
CU11:キャントリップ | CU12:「ソフトカウンター」(条件付きのカウンターやそれに属するもの) |
CU12:ドロー(2枚か3枚引くカード) | CU13:ロックダウンするオーラ |
CU13:《証人保護》系オーラ | CU14:ドロー(3枚以下) |
CU14:ライブラリーの一番上か一番下に置くスペル | CU15:キャントリップやカード濾過 |
CU15:モードを持つスペル | CU16:バウンス |
CU17:強化するオーラやコンバット・トリック | |
CU18:対戦相手のクリーチャーを阻害するもの(凍結やタップ、パワーを下げるなど) | |
CU19:不特定枠 |
繰り返しになるが、我々はレアや神話レアのボム、特にクリーチャーに対する回答を各色のコモンに用意している。青の場合、それは大型呪文を止めるのに優れた打ち消し呪文を作ることであり、伝統的なロックダウン・オーラをクリーチャーを上書きするオーラ(エンチャントしているクリーチャーはすべての能力を失い、パワーとタフネスが1/1になるオーラ)に代え、ライブラリーの一番上に(対戦相手が望むなら一番下にも)バウンスする呪文を増やすことを意味する。それから、青には効率の良いドローや濾過手段を用意したい。
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
クリーチャー6~7枠 | クリーチャー7枠 |
非クリーチャー7~8枠 | 非クリーチャー6枠 |
青は、アンコモンにおけるクリーチャー比率が53%(13枠中7枠)から46%(14枠中6.5枠)に下がった唯一の色である。
{B}黒
コモンのクリーチャー(プレイ・ブースター) | コモンのクリーチャー(ドラフト・ブースター) |
CB01:1~2マナのクリーチャー | CB01:1マナのクリーチャー |
CB02:2マナのクリーチャー | CB02:1~2マナのクリーチャー |
CB03:2マナのクリーチャー | CB03:2マナのクリーチャー |
CB04:3マナのクリーチャー | CB04:2~3マナのクリーチャー |
CB05:3マナのクリーチャー | CB05:3マナのクリーチャー |
CB06:4マナのクリーチャー | CB06:3マナのクリーチャー |
CB07:4~5マナのクリーチャー | CB07:4マナのクリーチャー |
CB08:5~6マナのクリーチャー | CB08:4マナのクリーチャー |
CB09:6~7マナのクリーチャー | CB09:5マナのクリーチャー |
CB10:6マナ以上のクリーチャー |
黒のクリーチャー比率は52%(19枠中10枠)から62%(14枠中9枠)に跳ね上がっており、平均パワーも3.25から3.56に上昇している。
キーワード分布(コモン)
- 飛行 2(異なるパワーで)
- 威迫 1.5
- 接死 1.25
- 絆魂 1
黒にはコモンの飛行枠が2つあるが、それらは白や青ほど強くない。もちろんデッキに採用するのに十分な力はあるが、コモンのクリーチャーのオールスターに選出される機会は少ないだろう。威迫は非常に良い仕事をするため、密かに評価を上げてきている。接死は基本的に小型クリーチャーに持たせ、一方の絆魂は白のコモンに見受けられるよりもやや大きなものに持たせる傾向がある。
コモンのスペル(プレイ・ブースター) | コモンのスペル(ドラフト・ブースター) |
CB10:条件付きの低コスト除去 | CB11:除去(何でも破壊できるもの) |
CB11:コンバット・トリック | CB12:除去(小型のものを破壊できるもの) |
CB12:ドロー(追加コストあり) | CB13:除去(生け贄強制か条件付き) |
CB13:おまけ付きの《強要》 | CB14:除去(条件付きで、他より弱いもの) |
CB14:条件なしの除去 | CB15:ドロー(追加コストあり) |
CB15:ややコストの重い除去 | CB16:《死者再生》(1~2枚) |
CB17:手札破壊(1~2枚) | |
CB18:強化するオーラやコンバット・トリック | |
CB19:不特定枠 |
ここでもまた、コモンのスペル枠に脅威への回答を持たせるようにしている。黒のクリーチャー除去の効率はさまざまだが、どれも使用に耐えるものになっている。手札破壊効果は《強要》系(土地でないカードを選んで捨てさせるもの)に変わり、黒にレアや神話レアへの回答を増やす助けになっている。もう1つ確保しておきたいのは、カードを引く効果だ。黒では追加のリソース(通常はライフ)を支払う必要があるため青ほど優れたものではないが、デッキに採用するのに十分優れている。
《死者再生》系(墓地からクリーチャー・カードを手札に戻すもの)のようなコモンのスペル枠に用意していない効果は、アンコモンで作るか、クリーチャー・カードの効果に加える形があり得る。
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
クリーチャー7~8枠 | クリーチャー7枠 |
非クリーチャー7~8枠 | 非クリーチャー6枠 |
白のアンコモンではクリーチャー比率が上がり、青のアンコモンでは下がっている一方、黒のアンコモンではほぼ同じ比率を維持している。
{R}赤
コモンのクリーチャー(プレイ・ブースター) | コモンのクリーチャー(ドラフト・ブースター) |
CR01:1~2マナのクリーチャー | CR01:1マナのクリーチャー |
CR02:2マナのクリーチャー | CR02:2マナのクリーチャー |
CR03:2マナのクリーチャー | CR03:2マナのクリーチャー |
CR04:3マナのクリーチャー | CR04:2マナのクリーチャー |
CR05:3マナのクリーチャー | CR05:3マナのクリーチャー |
CR06:3~4マナのクリーチャー | CR06:3マナのクリーチャー |
CR07:4~5マナのクリーチャー | CR07:4マナのクリーチャー |
CR08:5マナのクリーチャー | CR08:4マナのクリーチャー |
CR09:6マナのクリーチャー | CR09:5マナのクリーチャー |
CR10:5マナ以上のクリーチャー |
赤はコモンにおけるクリーチャー比率が2番目に大きく上がった色で、53%(19枠中10枠)から64%(14枠中9枠)に上昇している。平均パワーは3.15から3.39に上昇だ。赤における大きな変化は2つあり、1つは1マナ域の確定枠がなくなったこと、もう1つは代わりに6マナ域の確定枠ができたことだ。
キーワード分布(コモン)
- トランプル 1.5
- 威迫 1.5
- 速攻 1.5
- 到達 1
- 先制攻撃 0.25
- 二段攻撃 0.20
我々は威迫の果たす役割を楽しんでいるため、黒と同様に、赤における威迫の割合を増やしてきている。それから、到達に専用枠が設けられるようになった。レアや神話レアが増えるということは、飛行を持つ脅威が増えることを意味するからだ。先制攻撃の割合は、白と同様に下がっている。
コモンのスペル(プレイ・ブースター) | コモンのスペル(ドラフト・ブースター) |
CR10:直接ダメージ(2点与えるもの) | CR11:直接ダメージ(どれでも対象にできる効率的なもの) |
CR11:コンバット・トリック | CR12:直接ダメージ(やや効率が劣るもの) |
CR12:かき回しや衝動的ドロー | CR13:コントロール奪取や直接ダメージ(非効率なもの) |
CR13:モードを持つ《粉砕》 | CR14:全体強化や土地破壊 |
CR14:直接ダメージ(基本的に4点与える、効率的なもの) | CR15:キャントリップやかき回し |
CR15:直接ダメージ(5マナで6点与えるもの) | CR16:強化するオーラや装備品 |
CR17:コンバット・トリック | |
CR18:ブロック阻害やアーティファクト破壊、プレイヤーへの直接ダメージ | |
CR19:不特定枠 |
赤のスペルのうち半分を直接ダメージが占めているが、それは赤が持つクリーチャーへの最高の回答が直接ダメージだからだ。これまで赤のコモンに用意する直接ダメージは最大5点にしていたが、それを6点に変更し、レアや神話レアへの回答を用意する助けとしている。アーティファクトを破壊する効果は、基本的にモードを持つ呪文に組み込まれるようになった(クリーチャーが持つ場合は除く)。また、かき回し(カードを捨ててからドローするもの)や衝動的ドロー(追放したカードを「その場で」プレイしなければならないもの)のようなカードを流す効果に専用枠が用意された。赤のクリーチャー比率の上昇により、他の色と比較してスペルの枠を多く減らす結果になっている。その一環として一時的なコントロール奪取のような効果がアンコモンへ移り、他はクリーチャーのデザインに組み込まれている。
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
クリーチャー7~8枠 | クリーチャー7枠 |
非クリーチャー7~8枠 | 非クリーチャー6枠 |
黒と同様に、赤のアンコモンのクリーチャー比率は基本的に以前と同程度を維持している。
{G}緑
コモンのクリーチャー(プレイ・ブースター) | コモンのクリーチャー(ドラフト・ブースター) |
CG01:1~2マナのクリーチャー | CG01:1マナのクリーチャー |
CG02:2マナのクリーチャー | CG02:2マナのクリーチャー |
CG03:2マナのクリーチャー | CG03:2マナのクリーチャー |
CG04:3マナのクリーチャー | CG04:3マナのクリーチャー |
CG05:3マナのクリーチャー | CG05:3マナのクリーチャー |
CG06:3~4マナのクリーチャー | CG06:3~4マナのクリーチャー |
CG07:4~5マナのクリーチャー | CG07:4マナのクリーチャー |
CG08:5マナのクリーチャー | CG08:4マナのクリーチャー |
CG09:6マナのクリーチャー | CG09:5マナのクリーチャー |
CG10:6~7マナのクリーチャー | CG10:5~6マナのクリーチャー |
CG11:6マナ以上のクリーチャー |
緑はコモンにおけるクリーチャー比率が最も大きく上がった色で、58%(19枠中11枠)から71%(14枠中10枠)に上昇している。なおこれでもまだ、白より1枠少ないことは伝えておこう。平均パワーは3.59から3.7に微増し、平均パワーが最も高い(クリーチャーのサイズが最も大きい)色の座を維持している。
キーワード分布(コモン)
- 警戒 1.5
- トランプル 1.5
- 到達 1.5
- 接死 1
- 護法N 0.5
- 速攻 0.20
赤と同様に、緑における到達の量は増加し、飛行を持つレアや神話レアの増加に対応する助けになっている。またクリーチャー・サイズの増加にともない、わずかながらトランプルの量も増えている。接死は基本的に小型クリーチャーに用意し、緑に1マナ域があるセットでは1マナ域のクリーチャーに持たせることが多い。それから、速攻の値が0.20であることにお気づきだろうか。緑は速攻の2種色であるものの、より大きなクリーチャーに持たせることが多く、基本的にレアリティが高く構築向けのものになりやすい。
コモンのスペル(プレイ・ブースター) | コモンのスペル(ドラフト・ブースター) |
CG11:格闘 | CG12:格闘や噛みつき |
CG12:噛みつき | CG13:パワーやタフネスの強化 |
CG13:コンバット・トリック(パワー強化) | CG14:他のコンバット・トリック |
CG14:マナ加速 | CG15:キャントリップや濾過 |
CG15:土地やクリーチャーの掘り起こし | CG16:強化するオーラや装備品 |
CG17:飛行対策 | |
CG18:マナ加速 | |
CG19:アーティファクトやエンチャント破壊 |
緑は格闘(クリーチャー2体が互いにダメージを与え合うもの)か噛みつき(あなたのクリーチャーがそのパワーに等しいダメージを他のクリーチャーに与えるもの)のどちらか1つではなく、それぞれ1つ枠を設けることになった。これらの呪文は基本的にいくらかの強化効果も持ち、あなたのクリーチャーが対戦相手のより大きなレアや神話レア・クリーチャーを倒す助けになる。
プレイ・ブースターの副作用をもう1つ挙げると、リミテッドにおいて緑がどれくらい他の色にアクセスしやすいかについて、我々はさらなる注意を払わねばならなくなった。強力なレアや神話レアをすべて詰め込んだ「グッドスタッフ」デッキ(各色の最高の呪文をすべて採用したデッキ)ばかりプレイする方へ、傾きやすくなっているからだ。そのため、土地を持ってくる効果はデッキからよりもライブラリの上から持ってくるものを多くしている。それから低レアリティのマナ加速呪文についても、緑に与えるものは他の色にアクセスできるものではなく緑マナを増やすものにするよう、さらなる注意を払っている。こうすることで、他の色がタッチしやすくならずにマナ加速を行えるだろう。
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
クリーチャー9枠 | クリーチャー8枠 |
非クリーチャー5枠 | 非クリーチャー5枠 |
緑のアンコモンのクリーチャー比率は62%(13枠中8枠)から64%(14枠中9枠)とわずかに上がった。白と並んで比率が上がった数少ない色ということになる。
{W}{U}{B}{R}{G}{C}多色
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
20枠(大部分はクリーチャー) | 10枠(基本的にクリーチャー) |
ドラフト・ブースターからプレイ・ブースターへの移行で特に大きな変更の1つは、2色の組み合わせごとの多色カードを1枠から2枠に増やしたことだった。1つはアーキタイプを機能させる前段カードで、もう1つはそのアーキタイプを実行することで強力な恩恵が得られるものになる。ドラフト・ブースターの世界では、アーキタイプのサインとなる金色カードの機能をどちらか1つ選ばなければならなかった。プレイ・ブースターの世界ではどちらも入れるスペースがある。増えたアンコモン20枚のうち10枚がこちらに割かれている。
{C}アーティファクト
コモンのクリーチャー(プレイ・ブースター) | コモンのクリーチャー(ドラフト・ブースター) |
CA01:2マナのクリーチャー(分散性壊し) | CA01:1~2マナのクリーチャー |
CA02:3マナのクリーチャー | CA02:3~4マナのクリーチャー |
CA03:4マナのクリーチャー | CA03:5~6マナのクリーチャー |
プレイ・ブースターの世界では、無色のカードを少し強くするのが望ましい。なぜならそれらは、あらゆるデッキを埋め合わせるのに役立つからだ。各色の最も得意なことの領分を侵すべきではないものの、我々は全般的にそれらのパワーレベルを上げた。プレイ・ブースターのセットの多くは一定の割合で土地枠がアップグレードされるため、アーティファクトに色を整えるものを詰め込む必要はあまりないのだ。「分散性壊し」とは、ゲーム序盤に土地が足りない場合、(占術や濾過で)土地を探す助けになるカードを指す。ただし特定の土地を探すには向かないということは伝えておこう。我々はプレイヤーが引き当てたボムレアをタッチすることを促したくないため、使える色を増やせる効果は少々厳しめに見ている。
コモンの非クリーチャー呪文(プレイ・ブースター) | コモンの非クリーチャー呪文(ドラフト・ブースター) |
CA4:除去 | CA4:装備品 |
CA5:能力付きの《マナリス》 | CA5:土地を持ってくるものや色を整えるもの |
CA6:土地を整えるもの | CA6:マナを生み出すもの |
除去の枠には、基本的にコストは重いが有用なものが入る。この枠にレアや神話レアのボムへの回答を加えたい。コモンのアーティファクトにおける残りの枠は、マナを整えるものになっている。
アンコモン(プレイ・ブースター) | アンコモン(ドラフト・ブースター) |
クリーチャー4枠 | クリーチャー3枠 |
非クリーチャー3~4枠 | 非クリーチャー3枠 |
土地2~3枠 |
プレイ・ブースターでは、アンコモンに20枚のカードが追加されている。基本的な内訳は、単色が5枚、多色が10枚、そして無色が5枚だ。無色には大抵の場合、アーティファクトや土地が入る。コモンと同様に、アンコモンのクリーチャーも全般的に有用なものにしたい。ここにはそのセットの大きなテーマとシナジーを持ち、すべての色が使えるカードが入ることになるだろう。
最後に、我々が心に留めている追加のヒントをいくつか教えよう。
- 我々は、2色のドラフト・アーキタイプそれぞれをサポートするカードを少なくとも6枚ずつ用意したいと考えている。コモンの単色カード2枚とアンコモンの単色カード2枚(基本的に1色1枚ずつ)、そして(前段で述べた通り)多色カード2枚だ。
- レアや神話レアの数が増えたことで、ドラフト・テーマのシナジーがこれまで以上に重要になっている。ボムレアをタッチするのではなく、テーマを活かすことを促したい。
- レアや神話レアの脅威が何度も戻ってくることのないよう、墓地対策も十分に確保したい。
- レアや神話レアについては、色マナをもっと自由に使い、タッチを難しくしたい。
- レアや神話レアの一部をドラフト・テーマで機能するように作ることが大切だ。
「さあプレイしよう!」
今年の「基本根本」記事は、これで以上だ。プレイ・ブースターがドラフト・ブースターとどのように違うのかについて、より良い知見を得られたなら幸いである。今回の記事やプレイ・ブースター全般に関する意見は、メール、各ソーシャルメディア(X(旧Twitter)、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、マジックの過去を訪れ、30年の歴史の中で毎年起きたデザイン上の革新を取り挙げる記事でお会いしよう。
その日まで、あなたがオリジナルのブースターをデザインするのを楽しみますように。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
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