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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

基本根本 #15:構造的サポート

Mark Rosewater
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2023年3月6日

 

 毎年、通例第1四半期に、「基本根本」と題してマジックのセットをデザインすることの詳細について語るシリーズの記事を書いている。この記事はアマチュアのデザイナーが自身のセットをデザインする助けとして書いたものだが、すべてのマジック・プレイヤーにセットの作り方の核心についての洞察を与えるいい機会だということがわかっている。

 「基本根本」記事を書き始めて15年目になる。これまでの15本(一昨年は2部作だった)を簡単に振り返ってみよう。

基本根本 #1:カード・コード(リンク先は英語)

 この1本目の記事はもっとも技術寄りのもので、我々が話すときに同じカードのことを確実に示せるようにするシステムの使い方を説明している。

基本根本 #2:デザインの骨格(リンク先は英語)

 この2本目の記事で、セットをデザインする上でもっとも重要な道具の「デザインの骨格」を紹介している。(この中でカード・コードを使用しており、そのためにそちらの記事が先になったのだ。)

基本根本 #3:デザインの骨格を埋めよう

 この3本目の記事はそれぞれのデザインの骨格を埋める方法について話している。まずはコモンからだ。

基本根本 #4:より高いレアリティ

 この4本目の記事では他のレアリティを埋めていくことについて話している。

基本根本 #5:初期プレイテスト

 この5本目の記事では、フィードバックを集めてセットを進化させていくためのプレイテストの最良の使い方について論じている。

基本根本 #6:繰り返し

 この6本目の記事では、繰り返しの概念とセットを徐々に進化させていく方法について語っている。

基本根本 #7:デザインの3つのステージ

 この7本目の記事ではデザインにおける異なった3つの段階について、セットの進化に伴ってどのように優先度が変動していくかを通して説明している。

基本根本 #8:問題解決

 この8本目の記事では、デザインの初期から中盤にかけてよくある問題に関する疑問に答えている。

基本根本 #9:評価

 この9本目の記事では、自分のセット全体を見て、どのような微調整が必要か判断する方法について語っている。

基本根本 #10:クリエイティブ要素

 この10本目の記事では、メカニズム的要素とクリエイティブ的要素をどう組み合わせて一体感のあるセットに編み上げるかについて論じている。その中で、トップダウン(フレイバーから始める)とボトムアップ(メカニズムから始める)という両方のデザインについて論じた。その後、カード名やクリーチャー・タイプ、フレイバーテキストの扱い方について詳細に述べた。

基本根本 #11:アート

 この11本目の記事では、後期プレイテストにおいてアートを用いることの重要性と、それをセットにどのように組み込むかについて語っている。

基本根本 #12 その1:リミテッド(メカニズム)

 この記事は2部作となっている。どちらも、そのセットがリミテッドで正しく働くようにする手法について語っている。前半にあたるこの記事では、メカニズムがリミテッドで作用するようにすることに焦点を当てた。

基本根本 #12 その2:リミテッド(テーマ)

 後半にあたるこの記事は、リミテッド向けのテーマの作り方に焦点を当てている。

基本根本 #13:デザイン骨格の再確認

 セットを組み上げるための道具であるデザイン骨格について私が初めて語ってから、多くのことが変わっている。この記事には、新人デザイナーが使う規定のデザイン骨格が書かれている。

基本根本 #14:最初の観念作用

 14本目のこの記事では、アイデアをどう具体化して新しいセットを作るかを扱った。


 昨年、どうやってアイデアを考え出してセットの構造に具体化するかの話をした。今回はその次の工程、「構造的サポート」と呼んでいるものについて語ろう。自分のセットに、特にリミテッドにおいて成立させるために必要なあらゆる要素が揃っているようにするためにしなければならないことである。興味深いことに、キューブはドラフトのためにデザインされたセットとよく似たように機能するので、これらのおそらくほとんどはプレイヤーがキューブを作る助けになる。

 意識すべき主な要素は以下の通り。

メカニズム的テーマ

 昨年の「基本根本」記事で、アイデアをもとにデザイン骨格を作る方法について語った。次の工程は、そのテーマを実際にどう実装するかを決めることである。これにはいくつかの方法がある。

名前付きメカニズム

 そのテーマを強化する助けとしてそのセットに導入したいメカニズムは何か。それらのメカニズムは、例えば墓地中心のセットでの墓地のメカニズムのようなメカニズム中心のものでもいいし、ホラー・セットでゾンビ感を出すための墓地のメカニズムのようなフレイバー中心のものでもいい。

 ほとんどの本流のセットには、3個~6個の名前付きメカニズムが存在している。『モダンホライゾン』のようなサプリメント・セットでは、それよりずっと多いことがある。何個入れるべきかは、想定する複雑さのレベルに依る。様々なメカニズムを入れると、特に少量ずつ入れるとなると、複雑さが高くなるのだ。

 複雑さに関してもう1つ重要なのが、それぞれのメカニズムがどれだけ複雑かである。メカニズムの数は3個だけでも、その中に変容があれば、複雑さは高くなる。

名前なしメカニズム

 メカニズムに名前をつけるかどうかはその規模や複雑さ、相互作用のあり方に依る。ほとんどのセットには、セット内の複数のカードで使われる名前なしメカニズムがある。最も多いのは、(あとで触れる)デッキのアーキタイプを強調する目的だが、ゲームプレイ上の理由や(水平―各色1枚、垂直―同色内で各レアリティ1枚)サイクルなどで一貫性を感じさせるためという場合もある。平均的な本流のセットには、通例、1個~4個の名前なしメカニズムが存在する。これらは通例、2枚~5枚で使われ、リミテッド用に低レアリティであることが多い。

〇〇関連

 しばしば、セット内で参照される性質が1つか2つ存在する。アーティファクトのようなカード・タイプであることもある。ゴブリンのようなサブタイプであることもある。氷雪のような特殊タイプであることもある。色やマナ総量といったゲーム上の性質であることもある。参照する性質は、大きなテーマに関連した、セットの特異性を感じさせるものである。

 どの性質を参照するにせよ、セット内でそれを計測しなければならない。通例、その量は通常よりも多くなることになる。例えば「インスタントやソーサリー関連」セットの場合、セット内のインスタントやソーサリーを増やす方法を探すことになる。通常はクリーチャーが持ち得ない性質であれば、参照できるように開封比を高めるため、クリーチャーと相互作用する方法を探さなければならないだろう。これが、例えば「エンチャント関連」セットでクリーチャー・エンチャントが存在する理由である。

 セットに「〇〇関連」のテーマがあることは必須ではないが殆どの場合そのテーマは存在しており、アマチュアのデザイナーにとって扱いやすいテーマの1つである。

 これらの要素のうちどれをそのセットに入れるかを決めたら、それらがデザイン骨格に当てはまるようにすることになる。メカニズムに関しては、名前があるかないかに関わらず、それぞれのレアリティにどれだけ必要かを決め、それを入れるスロットにラベルしていく。どれだけ必要かがわからない場合、既存のセットで同じような分類に入るメカニズムを考え、それを真似るのだ。

 「〇〇関連」の場合、その〇〇がデザイン骨格の中に充分存在するようにするべきである。ここでも、質的な意味で同じような既存のセットを取り上げ(例えばエンチャントを参照するなら『テーロス』がある)、その数を真似る。開封比を求めるのは難しく、我々も妥当な値にするためにプレイテストを繰り返している。上述の通り、参照する性質を持つカードを充分な枚数入れるためにセット構造の要素を変更する必要がある可能性がある。特に、そのテーマを持つクリーチャーは、リミテッド・フォーマットにおいて充分な比率で意味を持つだけの数存在しなければならない。

カード・タイプの比率

 最初にすべきことの1つが、各色に適切な比率でクリーチャーが存在するようにすることである。これは基本根本 #13で記したデザイン骨格に組み込まれている。知らない諸君(つまり開発部員以外)のためにその比率を紹介しよう。

  • 白 ― 62%
  • 青 ― 50%
  • 黒 ― 56%
  • 赤 ― 53%
  • 緑 ― 59%

 これらの比率はありえないほど均等に分けたものなので、いくらか調整できる。一般に、私はクリーチャーをいくらか増やす側に寄っている。

 覚えておくべきことは、開発部には比率的な意味ではクリーチャーとして計算するものに関するいくつかの規則があるということである。攻撃できないクリーチャー(壁など)は、クリーチャーとしては数えない。(攻撃できないクリーチャーでも攻撃できるようにする方法があるものは、通例、半分として計上する。)また、攻撃できるトークンを生成する呪文は、クリーチャーとして数え、クリーチャーのスロットに入れる。例えば、《急報》は{1}{W}で白の1/1の兵士・クリーチャー・トークン2体を生成する呪文である。《急報》は、2マナのクリーチャーのスロットに入れるだろう。

 他のカード・タイプについても、それぞれが少しずつ存在するようにしたい。通常、各色各レアリティにそれぞれ最低でも、ソーサリー1枚、インスタント1枚、エンチャント1枚があるようにしている。そのセットに有色アーティファクトがあるなら(今日ではほとんどのセットでそうである)、それも1枚あることが多い。上述のように特定のカード・タイプがテーマとなっているセット以外では、我々はクリーチャー以外のカード・タイプはほぼ均等にすることにしている。

マナ・カーブ

 どのカードにもマナ・コストが存在する。マナ・カーブは、あらゆるフォーマットで、プレイヤーが各ターンにプレイするものがあるようにするために様々生な総量のカードが有るようにすることである。これは、どの1色をとっても、1から5の各マナ総量に何枚かのカード、特にクリーチャーが存在して、そして色によってはそれ以上のものがあるということを意味する。

 また、いずれかのマナ総量のカードが大量すぎることがないようにもしたい。初期によくある間違いは、「3マナにあまりにも多くのカードを押し込む」ようなことである。基本根本 #13で紹介したデザイン骨格では、各色に書くマナ総量がどれだけ必要化という既定値を示した。

 ここで、マナ・カーブはクリーチャーに集中したものだと言っておくべきだろう。各マナ総量にクリーチャーがいるようにしたい。クリーチャーでない呪文も重要だが、クリーチャーほど心躍るものではないのだ。呪文を色々なマナ総量に散らしたいが、クリーチャーほど厳密にする必要はない。

 もう1つ重要な点が、マナ・カーブを各色と各アーキタイプについて見るべきだということである。つまり、それぞれにマナの路が必要なのだ。その方法は以下の通り

 各色ごとに、デザイン骨格を見て各マナ総量に何枚ずつ必要化を概算する。最初のマナ・カーブについて、デザイン骨格の既定値を守るのは非常に有用だとわかっている。一例として、以下は白のコモンである。

  • CW01 ― MV 1
  • CW02 ― MV 1~2(これとCW06の両方は2にしないこと)
  • CW03 ― MV 2
  • CW04 ― MV 2
  • CW05 ― MV 2
  • CW06 ― MV 2~3
  • CW07 ― MV 3
  • CW08 ― MV 3
  • CW09 ― MV 4
  • CW10 ― MV 4
  • CW11 ― MV 5
  • CW12 ― MV 5~6

 白のコモンを作る場合、各スロットが上記のマナ総量に合うようにする。合っていないものを見つけたら、それを調整して合わせるのだ。通例として、パワーやタフネスを変更することになるが、ルール文を変更する必要もあることもある。

 特定のマナ総量が多すぎた場合、上記のスロットに限らずそのマナ総量のどのカードを変更してもよい。例えば、白のコモンでマナ総量4のものが3枚あって、スロットは2枚分しかないため、3枚目のカードをマナ総量3にするとする。それらのマナ総量4のクリーチャー3枚のどれかを、マナ総量3のクリーチャーに変更することができる。その変更によって、スロットにうまくはまるようにするのだ。これを各レアリティについて行なうが、低レアリティでは特にきちんと広げることが大切になる。レアが多少固まっていても大問題ではないが、コモンではドラフトが壊れてしまうことになる。

 ドラフト・アーキタイプのマナ・カーブに関して必要なのは、そのアーキタイプの色からそのアーキタイプ向けの使えるカードをレアリティごとにすべて選ぶことである。そのアーキタイプの色のうち1つの既定値を大まかな指針として使ってもいいだろう。ここで、赤白アグロのアーキタイプを例にしてみよう。白か赤の既定値のデザイン骨格を使い、マナ総量ごとにカードが正しく配置されるようにする。

 どこか1箇所を直すと、他の場所で問題が出るのは非常によくあることだ。ここで、赤白のアーキタイプに合わせるために白のカード1枚を調整する必要があるとする。おそらく、白単色のカーブを再調整する必要が出てくるだろう。

マナ基盤

 ここで自問すべき大問題がある。プレイして欲しいゲームをプレイするためのマナが充分に手に入るかどうか。最大の課題は、既定値としては何色が必要か、である。プレイヤーがほとんど単色でプレイして2色目を散らすのであれば、マナ支援はコモンにはそれほど必要なく、選んだ1色を出せる土地やアーティファクトか何かが1枚あればいい。

 プレイヤーが2色を均等に使うようなフォーマットなら、コモンの支援がいくらか必要で、大抵は2色土地のサイクルとなる。コモンの2色土地は大抵の場合タップ状態で戦場に出て、ちょっとしたおまけがついていることが多い。

 プレイヤーが普通に2色ともう1色を散らして使う、あるいは普通に3色を使うようなフォーマットなら、2色土地のサイクルにさらに追加の支援が必要だろう。通例、それはアーティファクトになる。

 必要なものが何か測るために最適な方法は、過去5年のセットで同じような色の需要があるものを見て、どのような支援が加えられているかを見ることである。難しいのは、狙っている色の数を使えるようにしながら、それを越える数をプレイするのが簡単になりすぎないようにすることである。例えば、3色のセットでは、3色を簡単にプレイできるようにせずに3色をプレイできるようにしたいのだ。これに失敗すると、すべてのデッキが、最強のカードを全部のデッキに入れた、よく似たものになってしまう。我々は、これを解決するための手法は、3色以上を出せる土地の枚数に注意することだと学んだのだ。

マナ消費先

 ゲームが進行すると、戦場にあるマナはどんどん増えていく。そのため、どんどん大きな呪文を使えるようになる。問題は、全体のおよそ4割土地を引くので、多くのゲームで呪文に必要なよりも多くのマナがあることになることである。それを片付けるため、セットにこの余剰のマナを消費する方法が必要である。そのための方法はいくつか存在する。

起動

 パーマネントに起動するのにマナを支払える能力を持たせることができる。マナ・コストが高ければ高いほど、長期戦で使われることになる。我々がマジックのセットでよく使う手法は、「発動者」と呼んでいる、ほぼバニラ・クリーチャーと同じコストのコモン・クリーチャーで、7マナ以上を必要として盤面に影響を与えるような起動型能力を持つものである。このカードを序盤にプレイして、長期戦でこの起動型能力が勝利の助けになるのだ。何度も起動できる起動型能力もこの分類に入る。長期戦では、ゲームに影響を及ぼす大きな効果を得るために、できれば複数回起動して、ゲームを有利に進めることができるのだ。

追加の呪文のコスト

 もう1つよくあるマナ消費先は呪文で、通例として呪文からさらなる効果を生み出すために追加のマナを支払うことができるメカニズムが使われる。この古典的な例が、キッカーである。序盤では、その呪文を軽い形でプレイし、長期戦になって引いたならそのカードは大きな効果を持つ重い呪文に変化するのだ。

再利用できる呪文

 通例1回目は手札から、2回目は別の領域からと、複数回唱えることができる呪文である。

マナ関門

 マナ関門は、効果を得るためにいくらかのマナを支払う必要があるもののことである。マナ関門は殆どの場合誘発型能力と関係している。Xが起こるたび、N(特定の量のマナを指すためにNを使う)を支払って効果を発生させることができる。これは、序盤戦ではマナ関門を使うことができないが、長期戦になるとその追加の効果を得るためのマナを支払うことができるようになるというものである。

 マナ消費先がデザインのどこにあるかは重要ではなく、存在することが重要なのだ。

デッキ流暢化

 ゲームの開始時には、デッキを切り直す。これによってゲームごとに違う展開をもたらす無作為化が行なわれるのだ。しかし、プレイヤーがその無作為性を低減する助けとなる道具が必要である。以下の2種類がある。

占術/諜報

 これらの能力はどちらも常盤木なので、必要に応じてセットに加えることができる。私はこの2つを同じセットには入れないようにしているが、するデザイナーもいる。

衝動/教示

 衝動は、自分のライブラリーの一番上にあるN枚を見て1枚を選ぶことで、多くは制限がある。(残りのカードはライブラリーの一番下に置く。)教示は、デッキの中から特定のカードを持ってくることだ。どちらもデッキの流暢化の助けになるが、過剰な切り直しを避けるため、後者よりも前者を使うことがずっと多い。

ルーター/赤ルーター

 (通常、青にある)ルーター効果は、カード1枚を引いて、カード1枚を捨てることである。(通常、赤にある)赤ルーター効果は、カード1枚を捨て、カード1枚を引くことである。どちらの効果も、ゲームに勝つ助けとして必要な呪文を持って来やすくする。効果に何らかの形のルーターや赤ルーターが含まれる探検や謀議といったメカニズムはいくつも存在する。

カードを引くこと

 キャントリップ(効果の最後に「カード1枚を引く」)や直接カードを引く効果など、追加のカードを引けるようにするものは、必要なカードを引く可能性を高める。すべての色に、カードを引くことは可能だが、その方法は異なる。青は最も自由度が高い。白は通例各ターンに1枚引ける。黒がカードを得るには、ライフなどのリソースを支払う必要がある。赤はカードを追放してすぐにだけプレイできる、衝動的ドローをする。緑がカードを引くのは、クリーチャーに関連している。

 通常のマジックの効果で必要な分のデッキ流暢化は得られるが、最大の利益を得られるようなメカニズムがあるのは有用なことが多い。

回避

 マジックのセットをデザインする上で重要な部分の1つが、ゲームが終わるようにすることである。その中には、ゲームが進むに連れて呪文の効果が大きくなっていくこともあるが、もう1つ重要な要素がクリーチャーである。盤面がクリーチャーが攻撃できないような膠着状態にならないようにする必要がある。そのための鍵は、セット内に充分な回避を組み込むことである。主要な道具は以下の通り。

飛行

 これは存在する最高の回避である。ほとんどの色に存在し、開封比は最も高い。白、青、黒にはコモンの飛行クリーチャーがあるべきで、赤にもアンコモンやレアにあるべきである。緑は飛行を持たないことが多いが、飛行クリーチャーと相互作用できる到達を持っている。飛行は非常に重要なので、我々は既定値のデザイン骨格で別扱いにしている。

先制攻撃/二段攻撃

 このメカニズムは、ブロックされることなく攻撃する助けになる。これを、ゲームを終わらせる助けになる攻撃するときだけに制限し始めていることに気づくだろう。防御時の先制攻撃は、ゲームを膠着させる。この能力は、白と赤が1種色である。

接死

 このメカニズムは、先制攻撃同様、攻撃時には攻撃を通す助けになる。これは主に小型クリーチャーに持たせることで、戦闘に使ったらいなくなるのだ。これにより、先制攻撃擦るような攻撃を防ぐことはなくなっている。この能力は黒と緑に存在している。

威迫

 最高の「ブロックされにくい」メカニズムが何かを何年も掛けて検討してきて、ついに行き着いたのが威迫であった。これはときおり攻撃を通す助けになるが、対戦相手が対策できないものではなく、対戦相手が攻撃したくなくなるようなものでもない。この能力は黒と赤に存在している。

トランプル

 これは回避能力だが、通例として大型クリーチャーだけが持つ。これは緑にとって重要な回避能力である。この能力は、緑と赤が1種色である。

速攻

 これは正確には回避能力ではないが、対戦相手がブロック用にクリーチャーを残していなければ数点のダメージを与える助けにはなりうる。この能力は、赤と緑と黒が1種色である。

破壊不能

 これは先制攻撃同様の諸刃の剣であるが、破壊されることがありえないなら攻撃したくなるものだろう。この能力は、白と緑が1種色である。

警戒

 これをここに入れるべきかどうかは確信が持てない。これは攻撃することに積極的になれるものではあるが、通例、死なない程度に頑丈なクリーチャーである必要がある。この能力は白、青、緑に存在している。

セット固有のキーワード

 すべてのセットにそのセットの回避キーワードがあるわけではないが、ある場合にはそれを使うべきである。しばしば、伝統的に回避が少ない緑のような色を埋めることができる。

 この分類の鍵は、充分な量があるようにすることである。道具はあるが、セット制作者が開封比を充分高くしてまた各色が使えるようにする必要があるのだ。ここでも、既定値のデザイン骨格が役立つだろう。

脅威と対策(攻撃的道具と防御的道具)

 もう1つ計測しなければならないことが、ゲームを終わらせるカードと、それらのカードへの対策となるカードがあることである。一般的に即座ではなく何ターンも掛けてゲームに勝利することになる強力な脅威をアンコモンに少し入れて、さらなる脅威をレアや神話レアに入れることが通例である。通例として、脅威が大きければ大きいほど、必要なレアリティも高くなる。爆弾で終わりになるのがあまりにも頻繁だと、リミテッドは楽しくない。

 そして、各レアリティに対策が入っているようにする必要がある。

コモン

 これらの対策は精密な(脅威1つに対策する)ものであるべきで、可能なカード・タイプすべてに対応するべきである。色によって得意な脅威が違うことに注意。コモンの対策はリミテッド向けのコストいなっていて、少しばかり重い。コモンの対策は通例としてクリーチャーではない。

アンコモン

 アンコモンの対策は2種類に分類できる。1種類目は、単体除去カードだが、コモンのそれよりも軽い。これらは通例として構築向けのコストになっている。2種類目は、2対1の対策、つまり脅威2つを除去するカードか、何かを与えると同時に対策1つを片付けるカードである。後者の好例が、クリーチャー1体を破壊できる「入場効果」を持つクリーチャーである。我々は時折、大量の小型の脅威を除去できるアンコモン(「各クリーチャーにそれぞれ2点のダメージを与える。」など)を作る。

レア

 レアには、他のリソースを供給する効率のいい対策カードや、効率のいい全体除去がアリうる。

神話レア

 これらは通例、リミテッドで大ダメージを与えるカードである。神話レアには、リミテッドのゲームでめったに出てこないで欲しいカードを置く。

クロスオーバー・カード

 共通のリソースを様々なプレイヤーに供給するためのカードが存在する。そのための主な方法が、主にアーティファクトだがそうでない無職の呪文やパーマネントであることもありうる、不特定マナ・コストを持つカードである。これらのカードはどんなデッキにも入るので、誰もが扱えるようにしたいリソースを配置する。一般的な使用法には以下のものがある。

クリーチャー

 デッキを埋められるようにしたい場合、ときおり、23枚目のカードとして使える程度に強い無色のクリーチャーを作ることがある。

マナ基盤/土地取得

 無色の発生源がプレイヤーが色マナやマナ加速を扱えるようにする効率的な方法である場合がある。

装備品

 通例、リミテッドの助けとして作られた低レベルの装備品がこれである。すべてのセットにコモンの無色の装備品があるわけではない。

セットのテーマ

 無色のスロットを使って、そのセットで推しているテーマをプレイヤーが扱えるようにすることは多い。

 我々がしばしば使うもう1つの道具が混成である。無色ほど包括的ではないが、混成も特定のカードを多くの色で使えるようにしてくれる。

ドラフト・アーキタイプ

 テーマとメカニズムが把握できたら、ドラフト・アーキタイプを考える番だ。始めたばかりなので、2色の組み合わせ10個に焦点を当てよう。これはほとんどのドラフトで焦点をあてているものだ。各組み合わせごとに、以下の質問に答えていこう。

このアーキタイプはどのメカニズムを頼るのか

 アーキタイプをデザインする上で最も一般的な道具は、そのセットのメカニズムを見ることである。そのセットのもっとも特徴となるものであり、もっとも多くの空間を占めていることが多い。特定のメカニズムをどの色に入れるかが、どのアーキタイプがプレイするかを決める。(これはしばしば逆回りになり、メカニズムから2色のアーキタイプを定義し、その色に集中させることがある。)例えば、『ファイレクシア:完全なる統一』では、毒を白、黒、緑に入れたので、緑白、白黒、黒緑の3つのアーキタイプはそれぞれ別の方法で毒を基柱としたものになっている。

 メカニズムが3色以上に広がっている場合、それぞれのアーキタイプがお互いに十分差別化できるように方法を決める必要がある。ここでもう一度毒を見てみると、緑白は並べる戦略寄りに、白黒は堕落中心になっており、黒緑には毒性の値が最も大きいクリーチャーが存在している。

このアーキタイプの勝ち手段は何か

 そのアーキタイプがどのようにして勝利するのかを知る必要がある。クリーチャーで勝つのか。小型クリーチャーの群れで勝つのか。大型クリーチャー1体で勝つのか。呪文で勝つのか。脅威が何であるかに注目し、アーキタイプごとに異なる脅威があるようにする。

このアーキタイプの速さはどれだけか

 我々は速さを、高速、中速、低速の3つに分けている。それぞれの速さに3つずつ、1つは4つ目のアーキタイプがあるようにしたい。我々は、どの速さに4つ目のアーキタイプがあるかがセットごとに変わるようにしている。

何が規定値で何が違うのか

 セットごとに何か新しいことをしたいが、すべてのアーキタイプを馴染みのないものにはしたくないので、経験則として、およそ2つのアーキタイプを新奇なことをするものに、4つのアーキタイプを通常していることを少し違う方法でするものに、4つのアーキタイプをこれまでもしてきた馴染みのあることをするものにしている。

 最後の分類は、カードには新奇性があるが、全体のテーマは馴染みがあるものである。基地の悪鬼タイプを減らす方向の実験をしてみたことがあるが、最も熱心なドラフト・プレイヤー以外全員が戸惑い、興味を失うということがわかった。いくらか違うのはいいことだ。全く違うのは疎外感をもたらす。マジックらしいと感じられなければならないのだ。

サイドボード・カード

 最後に、そのままデッキには入らないが、第1ゲームの後で問題に対処する助けとなるために存在するカードが欲しい。環境内に存在はするが開封比が充分低いためメインデッキに対策を入れるほどの頻度では見かけない脅威への対策である。サイドボード・カードはコモンに存在していたが、年を経て、アンコモンのほうが環境に良いということがわかった。また、複数のモードを持つカードを増やすことで、サイドボード・カードの一部がメインデッキに入るようにし始めている。

構築するなら……

 今日の記事で、セットを作る方法について多くの実践的アイデアを伝えられていれば幸いである。何度も強調しているとおり、これらの話題の多くは複雑なので、我々が似たような実際のセットでしたことを真似るのは始点を見つけるための素晴らしい方法である。

 いつもの通り、感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 次回まで、あなたが私同様にマジックのセット作成を楽しめますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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