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Making Magic -マジック開発秘話-
全高10話
2023年9月25日
『エルドレインの森』のデザインについて語ったとき(その1 / その2)、どのようにして10個のドラフト・アーキタイプを選んでそれぞれに物語を割り当てたかの話をした。今日は、それら10個の物語を検証し、その物語が一体何なのか(古典的物語のマジック流の話をすることは楽しい)、我々がそれをどのようにカードに描いたのかを解説していこう。小見出しになっているのは、我々が元にしたおとぎ話である。
最初に、ケランの本筋になっている5つの物語を物語の流れに沿って紹介していこう。その後、それ以外の5つの物語について語っていく。
眠れる森の美女(青黒)
登場人物
- タリオン — ハイフェイの指導者タリオンは好奇心が強く、非常に強力で、異世界的存在である。自身をエルドレインの守護者だと思っている。
- オビラ — タリオンの娘でエルドレイン最高の決闘者。彼女は現在、忌まわしき眠りの影響を受けているが、彼女の鍛え上げられた剣戟本能は抑制されることなく、彼女は眠りながらもエルドレインを放浪し、他の決闘者を探している。
タリオンの率いるハイフェイは、いたずら好きで乱暴な集団だ。彼らは皆、ファイレクシア人の侵略を見つけるための次元の縁への旅行から戻ってきた。アガサ、ヒルダ、エリエットの3人の魔女姉妹と取引し、忌まわしき眠りとして知られる大規模な睡眠の魔法がエルドレイン全土に広まると、侵略の潮目が変わった。
ファイレクシア人が撃退されたあとも忌まわしき眠りは残り、力を増していった。
夢や悪夢を食べるクリーチャーがその魔法の影響を受けた。
やがてそれは、ハイフェイが居住するチューインベイルに定着した。
タリオンの娘のオビラは眠りに落ち、彼女が眠ったまま次元中で決闘をするという大騒動を巻き起こしている。
タリオンは魔法を解くため、境界地出身の少年ケランに、魔女姉妹に贈った3つの贈り物(魂の大釜、冬の王冠、誘惑のリンゴ)を取り返しに行くよう命じる。
一方、オビラの従者のビューティ、ソング、ブレッシングは必要なあらゆる手段を講じて彼女を騒動から遠ざけようとしていた。
赤ずきん(赤緑)
登場人物
- ルビー — 家族のためなら何でもする、タフで世慣れた若い女性。狡猾で機知に富んでいる。
- アガサ — 3人の魔女姉妹の1人。優しく母性的な外見の裏に獣性を隠している。
- 狼 — ルビーの兄で、恐るべき戦士。アガサに心を奪われ、妹と戦うことになる。
物語
魔女のアガサは、忌まわしき眠りを生み出す役割の見返りとして、タリオンから魔法の大釜を贈られた。
大釜には、命ある生き物をその魔法的本質に煮詰める力がある。彼女はそれをエッジウォールの近くに置いて、哀れな愚か者たちを騙して次の自分の食事にしようと考えた。
一方、ルビーの兄が突然行方をくらました。ルビーが知らないうちに、彼女の兄はアガサに連れ去られ、魔法で彼女の兵隊にされたのだ。ルビーはエッジウォールの街でケランと出会う。ケランは大釜などのアーティファクトを回収するためにタリオンからエッジウォールに派遣されていた。彼女は、兄につながるかもしれないと考え、地元の魔女を探す手伝いをすることにした。
境界地の森での数々の危険な出会いを経て、ルビーとケランはアガサの小屋にたどり着く。
激しい戦いの後、ケランはアガサを彼女自身の釜に押し込み、生きたまま茹でた。
最初の探索を終えたケランは、ルビーとともに旅に出るのだった。
ジャックと豆の木(緑青)
登場人物
- トロヤン — ラヴニカ出身のヴィダルケンで、領界路を通ってこの地にやってきた。
- ベルーナ・グランドスコール — 巨人の女性の貴族で、ストームケルドの巨人の指導者。そして、偶然にも盗癖がある。
- ルビーとケラン — 氷の魔女ヒルダの居場所を尋ねるため、ヴァントレスの鏡を探しに豆の木を登る、本編で旅をしている2人。
物語
忌まわしき眠りを解くために、ルビーとケランはタリオンが魔女姉妹に贈った3つの贈り物を探している。彼らは、遠い国からやってきた奇妙な探検家トロヤンの助けを借り、ヴァントレス城の宝である盗まれていた名高い魔法の鏡インドレロンにたどり着く。
彼らは豆の木を登り、嵐の巨人の住処であるストームケルドに到着する。
彼らは多くの危険を潜り抜け、嵐の巨人の応接間にたどり着く。それはベルーナの誕生日のことだった。
ベルーナはなかなか彼らを信用しない。何しろ、よそ者が彼女の貴重な宝物を盗みに来たのかもしれないのだから(彼女が最初に全部盗んだことはともかく)。
ギャレンブリグの以前の支配者ヨルヴォの要請を受けて、ベルーナは彼らを宝物庫に入れて鏡と相談させる。
彼らは、魔女の女王がローラン湖の上に要塞を築いたことを知り、すぐにそこへ向かうのだった。
雪の女王(白青)
登場人物
- ヒルダ — 3人の魔女姉妹の1人。彼女が操る吹雪のように飄々としていて冷酷である。
- シャレー — ローラン湖のマーフォークの指導者で、ヒルダが氷の城を築いた際に湖底に閉じ込められた。
物語
忌まわしき眠りの創造に協力した見返りとして、ヒルダはタリオンから吹雪、雪、氷を生み出すことができる冬の王冠を贈られた。
彼女はダンバロウの最果て、ローラン湖の上に氷の王国を作る。
彼女の氷の魔力は住民にとって問題で、地元の湖を凍らせ、マーフォークを氷の中や下に閉じ込めてしまう。
タリオンが贈った贈り物を探しているケランとルビーは、氷の王冠を探してヒルダの凍てつく王国にやってくる。
彼は氷の精霊の守護者たちと戦う。
危機に追い込まれた中で、彼は自分が霊気の光で武器を作ることができることに気づく。
彼は光り輝く刃を生み出し、精霊を打ち倒す。ケランはヒルダにたどり着く前に倒れてしまう。ルビーは彼を城門近くまで運んだ。
その優しさから、ヒルダはケランの額にキスをする。彼女の祝福により、ケランとルビーは寒さから守られるのだった。
白雪姫(白黒)
登場人物
- ネヴァ — 忌まわしき眠りが彼女を襲ったとき、ガラスの棺に封印された貴族の若い娘。
- エリエット — 3人の魔女姉妹の1人。見栄っ張りで支配的。
物語
忌まわしき眠りが大地を覆い、その魔法の影響を受けたネヴァは、ヴァントレスの魔法使いたちが眠りの効果を研究している間、ガラスの棺に入れられて守られることになる。
一方、魔女姉妹のエリエットは、タリオンから贈られた魅惑のリンゴを使い、侵略が撃退された後も忌まわしき眠りの呪いを維持する。
ネヴァは夢の世界で悪夢につきまとわれ、その中には現実世界で彼女を追っていたファイレクシア人に似たものもいた。
一方、エリエットはアーデンベイル城趾を占拠し、彼女を倒しに来た騎士たちに魔法をかけ、忌まわしき眠りの呪いにかかった者たちを操り人形のように操る。
ネヴァは、謎の霊的訪問者の影響により、悪夢から逃れることができ、命を救われる。
エリエットはローアンに弟子入りするよう説得する。ケランとルビーが誘惑のリンゴを手に入れようとアーデンベイル城に現れたとき、彼らが対面したのはローアンだった。
1人の魔女でも十分に手強い相手だが、二人はプレインズウォーカー、アショクにも立ち向かわなければならない。ウィル・ケンリスの助けを受けて、彼らは絶体絶命の窮地を脱することができた。
ケランは、実の父親がエルドレインのどこか遠くにいるのではなく、まったく別の次元にいる可能性があることを知り、父親を探す旅に出るのだった。
さて、ここからは大きな物語からは独立した5つの物語の話になる。
ハーメルンの笛吹き男(黒赤)
登場人物
- トーテンタンズ — 生活費を稼ぐために奮闘するアーティスト。自暴自棄になった彼は悪に走ることになる。不気味で執念深い。
- 駆け抜け侯 — エッジウォールの地下に住む悪魔のようなネズミ。残酷で狡猾。
物語
トーテンタンズは、生活費を稼ぐのもやっとの売れないミュージシャンだった。
エッジウォールの街に出ていたとき、彼は地下の下水道に落ち、ネズミに導かれて駆け抜け侯のもとへ向かった。
駆け抜け侯はトーテンタンズに力を、特に彼の音楽では決してできなかったような聴衆を魅了する能力を授けた。
その代わり、トーテンタンズは犠牲者を下水道に誘い込み、駆け抜け侯たちの群れの餌にしなければならない。
トーテンタンズはその音楽で、不運なエッジウォールの市民たちを地下街へと送り込む。
駆け抜け侯とその一族は勢力を拡大し、やがてネズミが街に溢れるようになる。
当初、エッジウォールの人々は駆け抜け侯に出し抜かれていた。
町の人々はネズミに対処しようと最善を尽くし、やがて市民は団結してトーテンタンズのパイプを盗んで下水道を襲うと、その邪悪な魔力を逆に駆け抜け侯とトーテンタンズへと向けて、味方のはずのネズミの大群に襲わせる。指導者を失ったエッジウォールのネズミたちは元の生活に戻ったが、駆け抜け侯が本当にいなくなったのかどうかは誰にもわからないのだった。
美女と野獣(緑白)
登場人物
- アーモント卿 — 優しさと美しさで名高いアーデンベイルの騎士団長。不正を見過ごすことはできない。
- イェナ — 人狐・エルフの指導者。不信感が強く、プライドが高い。
物語
アーモント卿はファイレクシアの侵略を受けた王国を癒す方法を探しており、忠実な騎士たちとともに僻境の奥深くへと旅立つ。
僻境で、彼女はまったくの偶然から、古代のエルフの血統が住む赤歯砦にたどり着く。
そのエルフたちは夜になると人狐に変身する呪いをかけられていた。
アーモント卿はこの謎を解き、呪いを解くことを誓う。アーモントの意に反して、彼女の騎士の中には自分たちの生き残りを考え、人狐と戦う者もいた。
人狐の指導者、イェナはアーモントの優しさに好意を抱き、呪いを解く魔法のバラのことを告げる。
近くの小高い丘で、アルコンが守っているという。アーモントとイェナは、薔薇の花を探しに小高い丘へ向かうのだった。
魔法使いの弟子(青赤)
登場人物
- ジョハン — 師匠が塔を離れた後、大混乱を引き起こす愚かな弟子。
- ガドウィック — ジョハンの師匠で、物語には登場しないが、『エルドレインの王権』でカード化されている人物。強力で神秘的。
物語
ガドウィックが謎の魔法使いの仕事でケアヴェリンを去った後、ジョハンは魔法使いの領地を支配する複雑な仕組みを維持しようとする。
失敗して、塔中に無数のエレメンタルを解き放つことになる。さらに悪いことに、火のエレメンタルと水のエレメンタルが喧嘩を始めた!
ジョハンは、エレメンタルを瓶詰めにしようとしたり、
彼らを打ち負かす方法を研究したり、
家具を動かして反撃しようとしたりするが、すべて失敗に終わる。
彼は塔の窓から逃げるしかなかった。
そして塔は、水と火の壮絶な戦いの中で爆発するのだった。
ヘンゼルとグレーテル(黒緑)
登場人物
- グレタ — 甘歯村の恐怖で兄を失った凶悪な魔女狩り師。
物語
幼い頃、グレタと弟は甘歯村に誘われた。
そこで彼らは、お菓子で作られた凶悪な生き物の数々に出会った。
その出会いは恐ろしいものだった。グレタは逃げ延びたが、弟は残念ながら逃げられなかった。そして今、彼女は復讐のために戻ってきた。
グレタは斧を手に村を襲撃し、キャンディモンスターを左右になぎ倒し、すべての活動の背後にいる魔女を倒そうとする。
戦いの最中、彼女は村で立ちつくしている少年を発見する。彼女は彼を救い出し、新しい相棒とともに脱出し、かつての自分のような捕らわれていた人を救うことができたのだった。
シンデレラ(赤白)
登場人物
- アッシュ — デルヴァーホウに住むエンバレスの難民。養父母は鍛冶屋をしている。
- ゴドリック — 美形で優雅な男だが、実はドラゴンが変身している。
物語
アッシュはいつもデルヴァーホウで開かれる大舞踏会に出席したいと思っていたが、ほとんどの人間は許可されていない。
彼女は一計を案じる。甲冑で変装して忍び込み、楽しいひとときを過ごすのだ。
ネズミが彼女が鎧を手に入れるのを助けてくれる。パーティー会場に着くと、ハンサムなゴドリックが彼女を出迎え、ダンスに誘う。
突然、レッドキャップとオーガが襲ってきた!
ドワーフたちは、焼き串からパイまであらゆるものを使って反撃に出る!
彼女は勇敢に立ち回り、レッドキャップの攻撃からゴドリックを守った。
変身したゴドリックがその力を発揮し、竜魔法の華麗な技で招かれざる客を追い出す。
真夜中、アッシュは出発しなければならないが、慌てて床に叩きつけたヘルメットをうっかり忘れてしまう。おそらく、どこかの美形がそれを使って彼女を探し出すことだろう。
めでたしめでたし
以上が、このセットで語られた10個のおとぎ話である。さまざまな物語のさまざまなカードの瞥見を楽しんでいただけたなら幸いである。いつもの通り、今日の記事や私が語ったカードや物語、『エルドレインの森』全体についての感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『ドクター・フー』のプレビューを始める日にお会いしよう。
その日まで、あなたがあなたのゲームでのおとぎ話の組み合わせを楽しめますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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