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メカニズムレビュー
鍛冶友浩の「イニストラード」案内
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メカニズムレビュー
By 鍛冶 友浩
Welcome to Innistrad!
たくさんのアンデッドが蠢き、銀色の月が輝くイニストラードの世界へようこそ!
プレリリースがもうこの週末へ迫ってきているが、みんな参加する準備はできているかい?
ここは元気なネズミと愉快な仲間たちがいる夢の国じゃないから、ちょっとしたシールドトーナメントに参加するのも注意が必要だ。
なので、ここでは最近とても充実してきた翻訳記事も読みながら、キーワード能力とストーリーのおさらいしていこうと思う。
ストーリーは、カーンの創りだした一面金属に覆われた次元を、異物であるファイレクシア軍が侵略していく過程を描いていたミラディンの傷跡ブロックから離れ、
どこかラヴニカにあったギルドの都に似た世界観を持ち、まるでホラー映画の中にいるような吸血鬼、アンデッド、狼男たちと、それに立ち向かう勇者との戦いを描いた次元であるイニストラードへとやってきた。
この新しい大型セットには、7月に発売された基本セット2012とは異なり、イニストラード特有のメカニズムがいくつか存在する。
それぞれ、「格闘」、「呪い」、「陰鬱」、帰ってきた「フラッシュバック」に、そして誰もが予想しなかったであろう「両面カード:変身」だ。
☆格闘
古くからマジックをプレイしている人たちにとっては、何を今更という感があるのかもしれないが、この格闘という言葉は新しくても、過去には似たような能力が登場していた。
実は、先日行われたプロツアー・フィラデルフィアのモダン構築ラウンドの成績優秀者デッキリストでも見かけることができた。それは、《聖遺の騎士》のサーチ用にデッキに1枚忍ばせていた、シルバーバレット用の《闘技場》だ。
1 《森》 1 《平地》 2 《寺院の庭》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《聖なる鋳造所》 1 《活発な野生林》 1 《地平線の梢》 1 《ドライアドの東屋》 4 《燃え柳の木立ち》 3 《乾燥台地》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 2 《地盤の際》 1 《幽霊街》 1 《闘技場》 -土地(25)- 4 《貴族の教主》 4 《カヴーの捕食者》 3 《タルモゴイフ》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《聖遺の騎士》 1 《永遠の証人》 -クリーチャー(18)- |
4 《失脚》 3 《罰する火》 4 《爆裂 // 破綻》 1 《内にいる獣》 1 《焦熱の裁き》 4 《緑の太陽の頂点》 -呪文(17)- |
1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《強情なベイロス》 2 《悪斬の天使》 3 《流刑への道》 2 《原基の印章》 1 《焦熱の裁き》 1 《内にいる獣》 1 《減衰のマトリックス》 2 《荒廃の思考》 1 《ボジューカの沼》 -サイドボード(15)- |
通常、緑という色はクリーチャーを除去するのはとても難しい。M12で言えば、貧弱なサイズなのに強力な能力を持った《凄腕の暗殺者》1枚に敗れた経験のある人も多いのではないだろうか。
ミラディンの世界ではアーティファクトが主という環境であるという点や、ライフでマナコストを代用できた《四肢切断》などで、システムクリーチャーへと干渉することもできたのだが、なかなかそうもいかないのが常だった。
しかし、そういったインスタントなどの呪文による除去とは異なり、この「格闘」はクリーチャーを資本とした除去を作る能力だ。戦場を支配するのは、暗殺者並に簡単だろう。
イニストラードのパーマネントでは、《夜明けのレインジャー》の夜の面、《黄昏の捕食者》のみが持つ能力だが、キーワード化されたことで、今後の発展にも期待が持てる。
ただ、格闘はあくまでクリーチャー同士の擬似戦闘なので、感染を持ったものと勝負するには注意が必要だ。
☆呪い
プレイヤー自身にエンチャントするカードは今までにも数枚登場しているのだが、それぞれマナコストが重かったり、どう使っていいかわからない能力が多く、活躍の機会を逃していた。
だが、今回のセットに収録されている6枚はコスト対効果を考えても申し分なく、青にいたっては墓地を肥やすことに意味のある環境なので、敢えて自分に呪いをかけることもあるかもしれないスペックを持つ。
ちなみに、リストに目を通していて気がついたのだが、赤に呪いカードが最も多く3枚、黒に2枚、そして青にいたってはたったの1枚だった。
《苦心の魔女》というカードはあるものの、この枚数配分はとても意外に感じられたのだが、さらに続くセットでも追加されるのだろうか?
ちなみに、このエンチャント(プレイヤー)というカードタイプは、あのタマゴが割れた様なシンボルマークで、銀枠のおふざけセットのアングルードが初出だったりもするのだが、このあたりの詳しい話は 『来いよイニストラード その2』で読むことができる。
☆陰鬱
マジックにおけるゲームの基本といえば、クリーチャーによる戦闘、その攻防をエキサイティングにするスパイスとしてのコンバットトリックだ。
それを中心にセオリーも作られていて、クリーチャーは戦闘の後で召喚することがとても一般的なのだが、この陰鬱は防御側プレイヤーに相打ちをとることをためらわせる。
ただでさえ、青にはスカーヴと呼ばれる縫合されたゾンビが、黒にも《グール呼びの詠唱》のような墓地を活用するカードが豊富なイニストラード環境において、
さらに《ホロウヘンジのゴミあさり》《モークラットのバンシー》といったクリーチャーの死亡がアドバンテージにつながるカードが存在してしまうと、能力を活用させないようにするためにはひたすらにダメージを食らうことになってしまう。
そんなことではたった20点のライフを守り続けるのは不可能で、そんな複雑になった戦闘から逃げ出したプレイヤーはすぐにでも墓地へ叩き込まれることになるだろう。
また、M12で新しく「死亡」という言葉が定義された背景には、この陰鬱も関係していたことが前述の翻訳記事『来いよイニストラード その2』でも取り上げられているので、興味があるかたはどうぞ。
☆フラッシュバック
アラーラの断片にはサイクリング、ゼンディカーにはキッカーが、そしてミラディンの傷跡には刻印が再録されたわけだが、ここイニストラードではフラッシュバックが帰ってきた。
このメカニズムが初出のオデッセイの時、単発であるはずの呪文が再利用できるなんてと驚いたが、今回は簡単にシナジーを形成する《ルーンの反復》いう追放されたカードを対象にとっているものさえ現れた。
そしてイニストラードの注目カードである《瞬唱の魔道士》も、墓地の呪文へとフラッシュバックを与えるクリーチャーで、これは新しくいカードアドバンテージの獲得方法だ。
《記憶の壁》のように、先出ししてマナを構えることはできないが、さすがはTiago Chanのインビテーショナルカードといったスペックだ。
また、肝心のフラッシュバック呪文も、ただただ強力な《小悪魔の遊び》といったカードから、《捨て身の狂乱》といった2色のマナが必要なものや、リミテッドでこそ活躍の機会は限られそうだが《墓場の浄化》《記憶の旅》といった旧オデッセイの墓地対策の色違いリメイク、そしてミラディンの世界へ喧嘩を売った《古えの遺恨》まである。
手札がなくなっても墓地から呪文をプレイできる選択肢があるというのは、なんと幸せなことだろうか。
☆両面カード:変身
そして最後の両面カードが発表されたときには、マジックプレイヤーならば誰もが驚愕したに違いない。
まず、そもそもルールがよくわからず、ライブラリーはどうなっちゃうの?という疑問でいっぱいだったので、ここでおさらいしよう。
詳しい説明はここに目を通していていただきたい。
両面カードのルール
ここでプレリリースでトラブルにならないように簡単に注意事項をまとめると、
・デッキに入れるときは、裏が不透明のスリーヴかチェックリストが必要
スリーヴを用意せず、オリジナルの両面カードを他のカードと混ぜてシャッフルしてしまうと、当然すぐにどれがどれなのかが分かってしまう。
なのでこのような制限があるのだが、個人的には代用カードを使って勘違いしたことがままあるので、裏が不透明のスリーヴを用意することをおすすめだ。
ただ、スリーヴが透明だったり、使用が面倒なプレイヤーにも、「チェックリストカード」というもので対応できる仕組みになっているので問題なくプレイ可能だ。
そして、
・変身は前から後へとエンチャントやカウンター、その他の効果を引き継いで行われる
ということも覚えておきたい。
このカードはタイムスパイラルのタイムシフト枠の様に、必ずパックに1枚入っていることになっているらしいので、プレリリースに参加するプレイヤーは少なくとも与えられたパックの枚数の両面カードに遭遇することになるだろう。
新しいルールでの勘違いによってゲームに不利にならないことを祈るのみ。もし、わからないことがあったら、必ず会場のジャッジに確認をしてから解決してほしい。必ず助けになってくれるから。
また、自力で知識を深めたい場合には、「よくある質問(FAQ)」が役に立つ。「マジックのセットのよくある質問集(FAQ)」から、「Innistrad」の欄、「JA」のリンクをたどるとダウンロードが可能だ。
それではみなさん、最新のセットを楽しんで!
プレリリーストーナメントの会場を探すには、イベント検索が便利ですよ。
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