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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:絶対敗北?《コバヤシマル・シナリオ》で勝つ!(スタンダード)

岩SHOW


 クールを追い求める者はマジックに行きつく……今週もこの時間がやってきた、クールなカードやデッキについて語る金曜日が……今回は『マジック:ザ・ギャザリング | スター・トレック』の話から始めようか。プレリリース期間がスタートし、もうすぐ公式発売日もやってくる2026年最後のセット……まず題材がクールだ。

 SFドラマを牽引してきた、ジャンルを代表するコンテンツ……宇宙開拓の物語にクールさを感じないわけがない。筆者も高校生の頃に深夜放送でシリーズを視聴して「ああ、夜中にSFを見ている俺は今最高にクールなことをしているに違いない」と浸ったものだ……サブスクで初期の作品も視聴し、後世の作品のルーツ的なものを感じつつ、レトロでありながら古臭くない世界観にもクールさを感じていた。そんな『マジック:ザ・ギャザリング | スター・トレック』のカードリストを眺めていると……。

 

 気になるカードを発見。青い神話レアのエンチャント、《コバヤシマル・シナリオ》。アップキープに能力が誘発し、未選択のモードが解決されていく、英雄譚的な動きを見せる作りになっている。

 対戦相手の3マナ以下のクリーチャーをバウンス……時間稼ぎになったり攻撃を無理やり通したりができる。2ドロー……これは説明するまでもなく強い。カード1枚が2枚に化けているのだから単純にアドバンテージを得ている。さらに2/2の士官も生成……カード1枚がパーマネント2つと手札2枚になるのだから、これはお得!即効性がないにしても、この積み重ねたアドバンテージで後半戦は優位に……と思いきや、最後はゲームに敗北するという、このゲームでも最大のデメリットが待ち受けている。

 問答無用で敗北!勝利が得られないのであれば、ここまで積み重ねたものも意味がない……しかし、マジックプレイヤーはこういうものにこそクールさを感じるのだ。最後の敗北の誘発を……打ち消す?ゲームに敗北しないカードを使って乗り越える?誘発する前に破壊・生け贄・バウンスで戦場からなくす?このシナリオは、敗北が付きつけられた状況でプレイヤーがどう工夫するのかを試すテストだ。そして……

 

 同セットには新カード《金儲けの秘訣》がある。対戦相手のパーマネントを奪って代わりに3ドローを提供するか、あるいはこちらのパーマネントを押し付けて3ドローいただくかというモード選択式のソーサリー……トークンとか適当なものをプレゼントしてお代を頂戴するという使い方がリミテッドで強いだろうが……これで《コバヤシマル・シナリオ》を差し上げたらいかがかな?対戦相手はアップキープにいきなり敗北……クールな一撃必殺コンボの完成だ。

 同一セット内で完結している、しかも青単色のコンボとは実にクールだ。このパーマネントを押し付ける動き、往年の名デッキを思い出す……。

藤田 剛史 - 「ネクロ・ドネイト」
グランプリ京都2000 優勝 / エクステンデッド (2000年11月11日〜12日)[MO] [ARENA]
4 《宝石鉱山》
1 《真鍮の都》
4 《Underground Sea》
1 《地底の大河》
4 《泥炭の沼地》
2 《裏切り者の都》
7 《沼》
-土地(23)-
 
4 《モックス・ダイアモンド》
4 《Demonic Consultation》
3 《吸血の教示者》
3 《渦まく知識》
4 《強迫》
4 《意志の力》
3 《紅蓮破》
1 《炎の嵐》
3 《寄付》
4 《Illusions of Grandeur》
4 《ネクロポーテンス》
-呪文(37)-
4 《無効》
3 《紅蓮操作》
1 《炎の嵐》
1 《紅蓮破》
3 《誤った指図》
2 《秘儀の否定》
1 《赤の防御円》
-サイドボード(15)-

 

 

 時は昔、26年も前のグランプリ京都にて優勝した「ネクロ・ドネイト」。ドネイトとは寄付、そのまま《寄付》のことである。対戦相手にパーマネントのコントロールを押し付けるこのソーサリーを用いて寄付するのは……《Illusions of Grandeur》。カード名がすでにクールだな。

 このエンチャントは、戦場に出た時に20点のライフを得られるという強烈なことが書かれている。青でライフゲインなど、今現在のマジックでは考えにくいものだし当時としても異色の存在だ。Illusions、即ちイリュージョンの名が示すとおりにそのライフは幻であり、このエンチャントが戦場を離れると20点のライフを失うことになる。累加アップキープという能力のせいで、毎ターン2マナずつ維持コストが上昇していく……いずれはこれが支払えなくなって、折角得たライフも一気に消し飛ぶ……そんなエンチャントを対戦相手に押し付ければ、コチラが20点のライフを得て向こうが維持に四苦八苦してくれる。

 《紅蓮破》で即破壊してやれば即座に20点ルーズ。このクールすぎるコンボに、《ネクロポーテンス》を搭載したのが「ネクロ・ドネイト」。ライフを支払ってカードを引く、驚異のドローエンジンに、Illusionsで得た20点のライフを注ぎ込んで一気にコンボパーツを揃えるという、わがまますぎる構成……時を経た今見てもクールさは色褪せない……(ついでに出典元が自分の9年以上前のコラムという……これもまたクール、かな)。

 

 そんなノスタルジック・クールな過去に浸りつつも、今現在そして未来に目を向けるのがクールなプレイヤーの定め。スタンダードで「ネクロ・ドネイト」よろしく、カード2枚で勝てるコンボが生まれそうなのだ……デッキを組まないわけがない。

 そして現スタンダードにはすでにそんなコンボが存在している。《悪魔の契約》……《コバヤシマル・シナリオ》のデザイン元になったと言える1枚で、これはドロー・手札破壊・4点ダメージ&4点回復・そして敗北と4つのモードを選択していくエンチャントだ。これもやはり放置しておくと自身に牙をむくので、赤い《寄付》こと《無害な申し出》でささっと引き取っていただく。ドネイトするべきカードが2種類8枚体制になり、寄付系呪文にも新しいものが増える……これらを併せてデッキを作らないという選択肢は……クールじゃないぜ。

岩SHOW - 「コバヤシマル・ドネイト(仮)」
スタンダード (2026年10月29日)[MO] [ARENA]
3 《湿った墓》
1 《血の墓所》
1 《蒸気孔》
4 《難破船の湿地》
1 《憑依された峰》
3 《嵐削りの海岸》
2 《グルームレイクの境界》
1 《ブレイズマイアの境界》
1 《リバーパイアーの境界》
1 《湧霧の村》
3 《島》
2 《沼》
1 《山》
-土地(24)-

4 《切望の隼》
-クリーチャー(4)-
3 《塔の点火》
4 《逃げ場なし》
2 《勢い挫き》
1 《今のうちに出よう》
2 《仕組まれた爆薬》
2 《鏡に願いを》
4 《無害な申し出》
4 《金儲けの秘訣》
4 《コバヤシマル・シナリオ》
4 《悪魔の契約》
2 《強欲の計略》
-呪文(32)-

 

 

 というわけでざっくりと、次期スタンダードで組めるドネイトデッキのたたき台を作ってみた。《コバヤシマル・シナリオ》か《悪魔の契約》を寄付して、対戦相手を強引に敗北させることを狙う。寄付手段は《無害な申し出》《金儲けの秘訣》そして……《切望の隼》を表向きにした時の能力も用いる。

 《切望の隼》はコントロールを譲ったパーマネント1つにつき1ドローできるので、《逃げ場なし》などの仕事を終えたカードを相手に譲ってコンボパーツを引きに行くという動きも狙える。そしてこの隼と組み合わせられることの多い《強欲の計略》……3ドロー、コウモリ3体、6点回復と莫大なアドバンテージをもたらすものの、ターン終了時にそれらのリソースを少しずつ奪っていく……一時的に得をして段々と首が締まっていく強烈なデメリット持ちのエンチャントだ。非常に使いにくいこのカードを、隼で提供することで自身は難を逃れて美味しいところだけいただく……性格の良いコンボだ。

 これらの相手に押し付けたいパーマネント……《鏡に願いを》と組み合わせるのも面白い。《勢い挫き》などをコストにして唱えてコンボパーツをサーチしたり、時には敗北が迫るシナリオや契約をこれで強引に破棄!《塔の点火》とともに緊急脱出装置として、デッキに忍ばせておきたいね。これが皆のデッキ構築欲に火をつけるサンプルになれば……最高にクールな出来事だ。『マジック:ザ・ギャザリング | スター・トレック』のリリース後に注目を浴びることになるデッキ、最高にクールなリストを組み上げるのは……君かもしれない。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Let’s donate a scenario!!

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