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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド・サクリファイス:進化したリスト、1枚挿しの味わい(スタンダード)

岩SHOW


 デッキの進化を見届けるのもマジックの楽しさだ。少しずつでも確実に変わっていく構成、そして時代が進んでも変わらないもの……そして新たな定番構築が生まれ、またそれが塗り替わっていく……進化の立会人になるのはマジックをプレイする上での醍醐味なのである。つまり、どんなフォーマットでも長くプレイしてほしいってこと。

 

 スタンダードに「ジャンド(黒赤緑)サクリファイス」というデッキがある。サクリファイスは生け贄を意味し、パーマネントを生け贄に捧げるというマイナスのアクションをプラスに変換して勝利を目指す、コンボ要素を持ったデッキがこのアーキタイプに分類される。現スタンダードのサクリファイスデッキもこの凡例に倣い、これはアーティファクト・トークンの生け贄を狙っている。

 アーティファクトをサクる(生け贄にする)ことで2点ダメージを発生させる《生体工学の専門家》、そして同じくトークンをサクることで1点ダメージを与える《サックビル=バギンズ一家》を用いて、対戦相手のライフを狙うのが「ジャンド・サクリファイス」の狙い。《強欲な掠め盗り》などの死亡することでメリットが発生するクリーチャーなどをバギンズ一家でサクり、それにより得た宝物などのアーティファクト・トークンをさらにサクッて……一見微々たるダメージに見えるが、専門家を複数体とバギンズ一家と、並ぶことでトークン1つがダメージ3点分や5点分として計算できる。こうなるとあっという間にライフを溶かしていく恐ろしいシステムの完成だ。

 このアーキタイプは『マジック:ザ・ギャザリング | ホビット』リリース後に一気に数を増やし、Magic Onlineなどのトーナメント結果にその名前がズラリと並んだものである。段々と環境理解と他のデッキの進化も経て、その数は落ち着いていった……『リアリティ・フラクチャー』環境ではライフを回復するデッキも増えたことで、一時のように簡単には勝てなくなったということだ。ただ、システム完成時の強さはいまだに健在!デッキが世に出た当初と比べて、その構築も大きく変化した。では、その進化の結果を見てみよう。

katuo079595 - 「ジャンド・サクリファイス」
Magic Online Standard Challenge 16 トップ8 / スタンダード (2026年10月21日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町》
3 《血の墓所》
3 《踏み鳴らされる地》
3 《草むした墓》
4 《花盛りの湿地》
2 《ブレイズマイアの境界》
1 《沼》
1 《山》
1 《森》
-土地(22)-

4 《遺伝子送粉機》
4 《強欲な掠め盗り》
4 《生体工学の専門家》
4 《サックビル=バギンズ一家》
4 《影の帯の盲信者》
2 《財宝使い、マグダ》
1 《壮大なる者、スマウグ》
1 《獰猛な戦士、ウルヴァリン》
-クリーチャー(24)-
2 《報いの呪詛》
2 《塔の点火》
4 《陽気な哀歌》
4 《妄執の追跡行》
2 《寒き霧まく山なみ》
-呪文(14)-
4 《強迫》
1 《受け継ぎし地の開墾》
1 《シードシップの衝突》
4 《戦略的裏切り》
1 《報いの呪詛》
1 《巨大焦がし大口》
1 《ゴリラのゲリラ》
1 《復讐の追跡者》
1 《デリアン・フェル教授》
-サイドボード(15)-
(Magic Online より引用)

 

 

 「ジャンド・サクリファイス」は一時期《腐敗口のバイパー》を用いるリストが主流派になっていた。アーティファクト・トークンを並べてこの大型クリーチャーのコストを支払い、専門家らでライフを削りながらバイパーの能力で相手を攻める……しかし最近では今回のリストのようにそれを用いない形が主流派だ。

 《陽気な哀歌》を用いるのがキーで、このソーサリーをフル活用する。2つのモードを搭載し、片方はカードをサーチして墓地に置くというもの、もう1つは墓地からマナ総量4以下になるようにクリーチャーを最大2体リアニメイト。これを用いて専門家やバギンズ一家、サクるためのエンジンになる《影の帯の盲信者》といったコンボのためのキーパーツを仕込み、まとめて並べるというアクションが狙える。対戦相手の盤面がクリーチャー不在になったからといって、油断はできない。哀歌1枚で必要なパーツが揃い、一気に逆転のフィニッシュへ!

 

 《陽気な哀歌》を採用したことで、デッキの柔軟性が増しているのも注目ポイント。特に4マナのクリーチャーを搭載しているところがこのデッキの面白さを増幅させている。4マナ以下であれば1体でもリアニメイトできるので、ジャスト4マナのクリーチャーをサーチして埋めて釣り上げることで盤面に大きなインパクトを与えることが可能だ。

 《壮大なる者、スマウグ》はパワー4で飛行&速攻、そして攻撃時に能力が誘発して、宝物の数だけのダメージを与える。《強欲な掠め盗り》やバギンズ一家の能力で宝物を生成することはもともと得意、そこに追加で《財宝使い、マグダ》や《寒き霧まく山なみ》といった宝物生成手段が豊富になっている。これらを絡めれば、スマウグで大ダメージを飛ばして除去したり相手のライフを吹き飛ばすことも可能だ。

 そして《獰猛な戦士、ウルヴァリン》、彼もまた速攻持ちであり、戦場に出ればクリーチャーと格闘を行える。相手のクリーチャーを潰しつつ、ダメージを受ければそれまでに受けたダメージがチャラになるというオンリーワンの能力を持っており、直接的な破壊や追放を行えないデッキにおいては、除去するのに手を焼く存在となる。ウルヴァリンは自身のコントロールするクリーチャーとも格闘を行えるので、《強欲な掠め盗り》を潰して強引に宝物トークンを得るというプレイも可能。

 これらの4マナ速攻持ちを哀歌でサーチして、臨機応変に立ち回る!1枚挿しの伝説クリーチャーを上手く運用するテクニックで、デッキの味わい深さが増している……!

 より柔軟度が高いリストが主流となった「ジャンド・サクリファイス」だが、この構成もまた変化していくのかもしれない。『マジック:ザ・ギャザリング | スター・トレック』の新カードが変化をもたらすかもしれないし、もっと先のセットでそれが起こるかもしれない……未来は誰にもわからない。だからこそ、デッキの進化は常にその目で確かめよう!

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