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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:何もかもがクールなコンボ、ソウルトレーダー(モダン)

岩SHOW


 マジックはただのゲームじゃない、クールなコンテンツだ。このクールさを伝えるために、毎週お届けしているのが今週のCool Deck。筆者が独断でクールだと感じたデッキやカードをクールに語り尽くすコーナー、ここで紹介するデッキの多くは……コンボデッキである。アグロやコントロールなどにもクールなリストはあるのだが、やはりコンボはマジックの華。華麗に立ち回り、複雑なルートを完走すれば勝利。コンボ特有の何もできずに散る姿もそれはそれでクールな美学を感じる。

 というわけで今回もクールなコンボデッキを紹介しよう。コンボにもいろいろあるが、僕がビビッとくるクールなヤツは……複数のカードを組み合わせることで、デメリットを持つカードのそれを帳消しにし、本来有限のものを無限に昇華させる…そういったコンボこそ最高にクールに感じるね。単体ではそれほど目立たないカードが、肩を並べることで対戦相手を打倒する一手に……これぞコンボの醍醐味、真骨頂。

 今回のコンボは一見すると玄人好みな逸品だ。カードプールが広大なフォーマット、モダン。デッキの多色化も容易であり、様々なコンボが成立する環境だ。そんなモダンのたまらなくシブいコンボデッキが……これだ。

Rado Rakotoarimanana - 「ソウルトレーダー」
Urza Series トップ4 / モダン (2025年10月18日)[MO] [ARENA]
2 《新緑の地下墓地
2 《血染めのぬかるみ
2 《湿地の干潟
1 《汚染された三角州
2 《草むした墓
2 《地底の遺体安置所
1 《ファイレクシアの塔
3 《密偵長の大霊堂
4 《
-土地(19)-

4 《縫い師への供給者
4 《墓所這い
4 《マリオネットの見習い
4 《オークの弓使い
3 《恐血鬼
1 《影の帯の盲信者
4 《巣穴の魂商人
3 《ボガートの獲物さらい
2 《威名のソルジャー、セフィロス
-クリーチャー(29)-
3 《悪意の閃光
4 《発掘
4 《出産の儀
1 《黄泉帰る悪夢
-呪文(12)-
2 《致命的な一押し
1 《毒の濁流
2 《毒を選べ
1 《再利用の賢者
2 《選別の儀式
2 《大爆発の魔道士
2 《思考囲い
2 《苛立たしいガラクタ
1 《リスの将軍、サワギバ
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 ほぼ黒単に緑を足したカラーリング、そしてデッキリストに並ぶカードのビジュアルが……ちょいグロで最高にクールなリストの登場だ。キーカードは《墓所這い》。他にゾンビをコントロールしていれば、これを墓地から唱えられる。1マナでパワー2、ブロックには参加できないが攻撃要員としては優秀なクール・ゾンビであるが、この墓地から唱えられるという能力を活かすのがこのコンボの特性。

 《墓所這い》の相方を務めるのは《巣穴の魂商人》!このゴブリンは他のクリーチャーを生け贄に捧げることで、宝物トークンを生成する。その名の通り魂を使って商売をする恐ろしいやつなのだが、これのタイプには意外なことにゾンビも含まれている。なので墓所這いを生け贄にして宝物を作り、その宝物を使って得たマナで墓所這いを唱え…とループを形成することが可能だ。このコンボの名は魂商人から「ソウルトレーダー」と呼ばれている。名前もクールすぎるぜ。

回転

  ※《マリオネットの見習い》にはテキスト訂正がございます。詳しくはこちら


 上記の2枚が揃ったところで、ゲームに勝てるわけではない。ただ単にゾンビが宝物になり、宝物がゾンビになり……それが延々と繰り返されるだけ。なんだったら魂商人の起動には1点のライフの支払いが必要で、このループには限りがある。ただその限界を乗り越える手段、及びループを勝ちに繋げる手段が並ぶことで「ソウルトレーダー」は瞬殺コンボとして完成する。《マリオネットの見習い》はクリーチャーかアーティファクトが戦場から墓地に落ちることで能力が誘発、対戦相手のライフを1点失わせる。こちらが1点失えば相手も1点を失うというループになり、コンボ完成の時点で相手よりもライフが上回っていれば勝利となる。見習いが複数体並べばライフが少々下回っていてもOKだ。

 あるいは《威名のソルジャー、セフィロス》であれば、クリーチャーの死亡により対戦相手のライフを失わせるだけでなく、こちらは同じライフを得られるため、これにより無限ループの完成だ。ソウルトレーダーコンボ以外にも、《影の帯の盲信者》や《ファイレクシアの塔》《黄泉帰る悪夢》などなどでクリーチャーを生け贄に捧げることでも対戦相手のライフを削ることができて、セフィロスはコンボパーツを引き込むための手段であり、変身すればライフを削る速度が大幅アップしてフィニッシャーにもなる。《縫い師への供給者》《恐血鬼》といった面々を生け贄にして、ライフを詰めながらループ完成に持っていく動きはクールとしか形容できない。

 黒単色で成立するコンボだが、ここに緑が添えられている理由……それは《出産の儀》。ターン終了時にライブラリーの上から7枚見て、その後にクリーチャーを生け贄に。その生け贄にしたクリーチャーのマナ総量+1以下のクリーチャーを、その見たカードの中から戦場に出せるという、クリーチャーの入れ換えを行うエンチャントである。生け贄であるためデッキのパーツ全般と相性がよく、もしこれによりパーツが揃ったら……そのままターン終了ステップに無限ループ完成で勝利!なんてクールすぎるムーブも。色を足すに値するエンチャント、モダンのマナ基盤を用いて使わない手はない。またそうして緑を足すのであれば、サイドボードの選択肢も増える。《毒を選べ》《選別の儀式》など黒単では対処が難しい類のパーマネントを除去して、相手の妨害とコンボの完遂を目指すべし。

 「ソウルトレーダー」、デッキ名もビジュアルもコンボ内容も、どれもクールな逸品だ。簡単に決まることもあれば、難航することも多々あるだろう。しかしそういった塩梅こそがクールに感じられるもの。そういう良さに気付いた時、あなたもマジックのクールさに肩まで浸かっていると、胸を張って思っていただきたい。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Complete the combo‼

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