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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

果敢デッキの革命、コーリ鋼の短刀!(スタンダード)

岩SHOW
 

 『タルキール:龍嵐録』では『タルキール覇王譚』以来の登場となる5つの氏族がメインのテーマとして扱われ、それぞれに新しいキーワード能力及び能力語を引っ提げての再登場となった。その中でもジェスカイが担当する“疾風”は「各ターンに2つ目の呪文を唱えるたび」に誘発するもので、これまでも似たような挙動を見せるカードはあったのだが。この度能力語として名前が与えられたものになる。

 1ターンに2回の呪文ということは、唱えるための手札などのリソースとそれらを唱えるためのマナなりのコストが必要になる。いつ何時でも簡単に達成できるというものではないため、達成できた時にはそれなりのボーナスが得られる。《コーリ山の重鎮》などはなかなか強力なクリーチャーで使ってみたくなる性能をしている。

 

 そんな疾風能力持ちの中でも話題の中心、注目を大いに集めているのが《コーリ鋼の短刀》だ。+1/+1修正とトランプル・速攻を与えるナイス装備品だが、重要なのはそこではない。この装備品は疾風の条件を達成するとモンクを生成。これは1/1といえど果敢を持つため打点は見た目よりも期待できる。そしてこうして生成したトークンにこの短刀を装備させられるため、速攻を持ったモンクがすぐさま殴りかかれるという……これってかなり強くないか?とリリース前から期待されていた1枚だ。

 そして実際にこのセットがリリースされ……《コーリ鋼の短刀》、早速躍動!今回はこの短刀で疾風を狙っていくデッキを紹介しよう!

kaffeekaethe - 「イゼット果敢」
Magic Online Standard Challenge 32 トップ4 / スタンダード (2025年4月11日)[MO] [ARENA]
4 《シヴの浅瀬
4 《尖塔断の運河
4 《リバーパイアーの境界
1 《眠らずの尖塔
3 《
4 《
-土地(20)-

4 《僧院の速槍
4 《精鋭射手団の目立ちたがり
-クリーチャー(8)-
4 《選択
3 《手練
2 《優雅な連続技
2 《食糧補充
4 《巨怪の怒り
3 《この町は狭すぎる
4 《塔の点火
2 《呪文貫き
4 《嵐追いの才能
4 《コーリ鋼の短刀
-呪文(32)-
2 《除霊用掃除機
2 《石術の連射
2 《魔女跡追いの激情
2 《否認
2 《下支え
2 《間の悪い故障
1 《食糧補充
2 《叫ぶ宿敵
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 というわけでスタンダードのイゼット(青赤)カラーの果敢デッキの登場だ。そもそも果敢の初出は『タルキール覇王譚』であり、このセットでのジェスカイの担当能力だった。そこから基本セットに採用されどんなセットでも目にするごく一般的な能力となったわけだ。この果敢をメインテーマにしたデッキはイゼットでよく組まれるものだ。軽くて果敢やそれに準ずる能力……即ち非クリーチャー呪文だったりインスタント化ソーサリーを唱えることでパワーが上昇する面々を繰り出し、それを強化して殴るという手数で押す、アグレッシブなデッキのバリエーションである。

 果敢デッキの顔とも言えるのが初代タルキールにてデビューし、今日のスタンダードやその他フォーマットで今なお輝き続ける《僧院の速槍》だ。この速槍や《嵐追いの才能》のカワウソなど軽い果敢持ちを最速で繰り出し、《選択》《手練》などで手札を消費せずにその能力を誘発させパワーを上昇、相手のクリーチャーを除去して殴り《巨怪の怒り》でぶち抜く……そんな動きを狙うデッキにおいて、クリーチャーをどれだけの数採用するのかというのは、常に重要なポイントになってくる。

 果敢を誘発させるために非クリーチャー呪文はタップリ必要だが、クリーチャーが居なければそもそもダメージも何もなく、効果の薄い呪文の束になってしまう。だからといって果敢持ちばかり採用すると、今度はクリーチャーばかり引いてしまい、果敢という能力がインクの染みと化してしまう……二律背反に対するアンサーとして《コーリ鋼の短刀》はまさしくうってつけ。これが加わったことでクリーチャーの数を確保しつつ、非クリーチャー呪文の枚数は削らずに済むのだ。短刀が果敢を誘発させつつ、クリーチャー複数体の役目を兼ねる、果敢デッキに革命が起きた!

 

 この短刀と相性が良いカードはあげていくとキリがないが、《精鋭射手団の目立ちたがり》との組み合わせには要注目だ。目立ちたがりは今更どうこう言うレベルではない、その強さが知れ渡った1枚。短刀はこれのパワーを2上昇させるという点でもう愛称うんうんの域を超えているわけだが……さらに注目すべきは目立ちたがりの方が短刀の疾風を効率よく誘発させられるというところ。目立ちたがりは計画コストを払って追放しておくことで、後のターンにマナを支払わずに唱えられる。これの打点は重要であるため、果敢デッキではとりあえず2ターン目にプレイすることもあれば、後々のことを考えて計画しておくこともある。マナを払わずに唱えられるということは、1ターンに2回の呪文という疾風の条件を簡単に満たせられる。2マナしかない状況下でも短刀を出してから目立ちたがりを唱え、モンクと揃って速攻2体で攻撃という動きが可能になるわけだ。最終的には目立ちたがりに短刀を装備させ、トランプルで相手の飛行を突き抜けてダメージを通す、なんて展開もあるだろうね。

 《コーリ鋼の短刀》は可能性に満ち満ちた、かなりのパワーカードのようだ。果敢デッキのみならず様々なデッキで採用に値するものであり、そしてスタンダード以外のフォーマットでも大いに暴れうる。悩んだら短刀を手に、果敢に戦うデッキを組んでみよう!

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