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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・エネルギー:そっくりなあの2枚、レアの方の実力やいかに(モダン)

岩SHOW


 『タルキール:龍嵐録』、この新セットにはめっちゃ似てるカードがある!と一部で話題に。どの2枚かというと……

 

 《栄光の旗手》と《勝利の楽士》、どちらも白のクリーチャーで2マナとカードとしても似てる上に、イラストの構図や色合いもかなり似通っている。それもそのはず、この2枚は同じアーティストが手掛けたもので、意図してこのように描かれている。

 アートをよく見ると、旗手の向こうには琵琶のような楽器を手に歌う楽士の後姿が見られる。楽士の背後には旗を大きくなびかせる旗手の姿が……というわけで、これらのカードは同じシチュエーションを別の角度から描いたものである。旗手と楽士が揃い、勇壮に旗を振り戦いの歌を吟じ、視覚と聴覚の両方で戦士を鼓舞する……マルドゥ氏族が戦いに赴く前の光景なのだろう。2枚のカードのイラストが繋がって1つになったり、あるイベントの前後が2枚のカードに描かれているといったことはこれまでのセットでも見られたが、同一の状況を別アングルから描いているものはマジックのアートの歴史でもかなり珍しい。こういうの、素晴らしいね。

 カードとしても《勝利の楽士》はプレビュー段階から高い評価を得ている。あなたのターンの間、対戦相手は呪文を唱えられない──《堂々たる撤廃者》を思わせる、強力な妨害能力持ちだ。撤廃者は能力の起動も許さないのだが、楽士はそれを許す代わりにタフネスが3と高く色マナの要求も1つのみと使いやすい。そしてさらに今セットの新能力、応召持ちである。このクリーチャーが攻撃すると、戦士が2体加勢して攻撃に参加してくる。単純にその与えられるダメージを見れば3点相当で、これは攻撃的でありかつ対戦相手をしっかりと妨害する、かなりイカした2マナクリーチャーなのである。

Bartosz Filipowicz - 「ボロス・エネルギー」
3City League (TDM) #1 トップ4 / モダン (2025年4月8日)[MO] [ARENA]
4 《乾燥台地
4 《溢れかえる岸辺
3 《沸騰する小湖
3 《聖なる鋳造所
1 《優雅な談話室
1 《灼陽大峡谷
3 《栄光の闘技場
2 《平地
1 《
-土地(22)-

4 《魂の導き手
4 《オセロットの群れ
3 《敏捷なこそ泥、ラガバン
4 《ナカティルの最下層民、アジャニ
4 《勝利の楽士
4 《火の怒りのタイタン、フレージ
2 《歴戦の紅蓮術士
-クリーチャー(25)-
4 《電気放出
4 《静牢
3 《ゴブリンの砲撃
2 《鏡割りの寓話
-呪文(13)-
3 《血染めの月
2 《減衰球
2 《黒曜石の焦がし口
1 《除霊用掃除機
2 《石のような静寂
3 《スレイベンの魔除け
2 《摩耗 // 損耗
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 この《勝利の楽士》を採用したデッキ例として、モダンの「ボロス(赤白)エネルギー」をご覧いただこう。軽量クリーチャーで1ターン目からガンガンと攻めるこのデッキは、エネルギーという要素を用いてその攻めを後押しする。《静牢》《電気放出》といった軽くて優秀な除去を備えており、これらのためにエネルギーを補充する要員である《魂の導き手》がデッキの最重要パーツの1つになっている。導き手はクリーチャーが戦場に出ることでライフとエネルギーをもたらす。これは即ち、楽士の応召能力と相性が抜群ということ。攻撃してトークンを生成、それによりエネルギーを得て、そのまま導き手の能力にそれを注げば、効率よくクリーチャーを天使に強化してしまえる。そしてこの間、対戦相手が呪文を唱えてくることはない。心置きなく最大効率の攻撃を狙っていけるわけで、元々最強クラスの攻めのデッキがよりえげつないものにランクアップ!

回転

 

 さて、応召という能力で生成された戦士・トークン。これはターン終了時、遅延誘発する能力により、生け贄に捧げられてしまう。1ターン限りの助太刀なわけだが、これを素直に生け贄にするのは勿体ないではないか。というわけでトークン生成を得意とするエネルギーデッキの定番カード《ゴブリンの砲撃》と組み合わせる!ターン終了時に去ってしまう戦士をこれでブン投げてダメージに変換だ。もちろん、そこまで待たずとも出てきたトークンを即投げたって良い。そうやって相手のブロック役を処理してより安全に楽士やその他のクリーチャーを通していくと、自ずと勝利が近づいてくる。

 また、《オセロットの群れ》は《魂の導き手》などによりライフを得るとターン終了時に能力が誘発する、トークン生成役である。この猫はパーマネントを10個以上コントロールしている都市の承認を得た状態にあると、そのターンに生成したトークンを同じ数だけ追加で生成する。これにより楽士が生成した2体の戦士がさらに追加されることになる。これらの戦士は応召能力で作られたわけではないため、そのまま戦場に残ってブロックなりなんなりにまわすことができる。また《ナカティルの報復者、アジャニ》の[0]能力との相性も……なんか言い出したらキリがなくなってきたな。

 額面で見て《勝利の楽士》と相性の良いカードは「ボロス・エネルギー」にびっしりと揃っている。果たして2マナ圏をこの新顔に任せるべきか否か?今後実戦でそれが試されていくことになる。結果はどうなるかはまだまだわからないが、とりあえず新カードということでこの楽士をモダンで目にする機会は多くなるだろう。クリーチャーが戦場に出ることで何かが起こるカード全般と好相性なのを買われて、他のデッキや他のフォーマットでもこの楽士は楽曲を奏でて回ることが予想されるので……インスタントを構えて戦うデッキは要注意だな!

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