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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴルガリ墓地アグロ:死者も戦力なり(スタンダード)

岩SHOW
 

 タルキール次元の死生観は氏族によって異なる。たとえばアブザン家……この氏族は祖先を崇拝し、その霊と交信する。死後精霊となった祖先はこれに応えて力を貸し、同じ氏族の仲間を守護したり敵対する勢力に攻撃したりする。死者は魂となり人々を支えるアブザンがある一方で、スゥルタイ群は死者をアンデッドとして蘇らせ、これを労働力として用いる。死者は建設や食糧調達などありとあらゆる仕事を課せられ、スゥルタイの上流階級の暮らしを支えるためにこき使われる。タルキールでは争いが絶えないため、労働力に変換するための死体に悩むことはない。

 死者に敬意を払うアブザン、そういったものは持ち合わせず合理的に用いるスゥルタイ。この感覚の違いはカードにも反映されている。クリーチャーの死亡や、墓地のカードに関するカードでもそのデザインの方向性は大きく異なる。

Martin Nordlund - 「ゴルガリ墓地アグロ」
地域チャンピオンシップ予選(スウェーデン・シェルレフテオー) トップ8 / スタンダード (2025年3月22日)[MO] [ARENA]
3 《ラノワールの荒原
4 《花盛りの湿地
4 《ウェイストウッドの境界
4 《地底の遺体安置所
4 《
1 《
-土地(20)-

4 《かじりつく害獣
4 《陥没穴の偵察
4 《迷いし者の魂
4 《瓦礫帯の異端者
1 《屑鉄撃ち
1 《強情なベイロス
4 《ベイルマークの大主
2 《苦難の収穫者
4 《虚ろなる匪賊
4 《鞘破りの群れ
-クリーチャー(32)-
4 《やり場のない悔恨
4 《豆の木をのぼれ
-呪文(8)-
1 《切り崩し
1 《沼地の晩餐会
2 《大洞窟のコウモリ
1 《強迫
2 《強情なベイロス
3 《再利用の賢者
3 《屑鉄撃ち
2 《飢えた亡霊
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 現スタンダードの墓地利用デッキと言えば、先のプロツアーでも活躍を見せた「ゴルガリ(黒緑)墓地アグロ」。切削や諜報を用いてライブラリーから墓地にカードを落とし込み、墓地のクリーチャーの枚数を増やすことで《虚ろなる匪賊》《鞘破りの群れ》《やり場のない悔恨》といったカードのコストを軽減、それらの効果の大きいカードを低コストで序盤から唱えることを狙った攻めの墓地利用デッキだ。1・2マナ程に軽くなった大型クリーチャー及び除去はそれだけでも強力だが、さらに《豆の木をのぼれ》と組み合わさることでアドバンテージも持たすのだから極悪だ。墓地利用デッキの常として墓地対策がキツイ……と思いきや、《鞘破りの群れ》は追放領域も参照するし、《ベイルマークの大主》などで立て直せることもあって、対策手段の上から勝てるというのもこのデッキの魅力だ。

 さて、このアーキタイプに『タルキール:龍嵐録』の新カードの採用を検討してみよう。冒頭で触れた通り、この次元の独特な死生観ならではのカードが墓地利用デッキ好きの心を満たしてくれることになるかな?

 

 今回のスゥルタイは相続という新能力を担当。これを持つカードを墓地から追放することで、他のクリーチャーにそれの能力を与えるなどのボーナスを得られるという作り。なかでも注目の1枚は《カルシの帰還者》!これは3マナ3/3で飛行・接死・絆魂と3つのキーワード能力を持つ……強くねぇかオイ?

 そして、もしこれが破壊されたり打ち消されても、墓地から相続能力を起動することで、他のクリーチャーにこのキーワードをカウンターという形で与えることが可能。手札に来たら普通に唱えて戦力に、《ベイルマークの大主》や《かじりつく害獣》といったカードで墓地に落ちた場合にも相続で盤面の強化に役立ってくれるという寸法だ。《虚ろなる匪賊》や《鞘破りの群れ》がよりブロックされにくくなり、しかも絆魂を持ってえげつないほど強くなる!《迷いし者の魂》なんか対象に取ったらもう激ヤバだ。この帰還者は検討に値する1枚に違いない。墓地利用関係なくとも強いこと書いてあるんだもんなぁ。

 

 そして墓地にクリーチャーカードが多数置かれるこのデッキと相性抜群とも言えるカードがもう1つ、《倒れし者の報復者》!これは応召というマルドゥ族のメカニズムを備えたカードである。攻撃時に1/1の戦士を攻撃している状態で生成し、そのトークンはターン終了時に生け贄となる。使い捨てのクリーチャーを繰り出すわけだが、この報復者が生成する戦士は墓地のクリーチャーカードの枚数を参照する。クリーチャーが30枚を超える墓地アグロ、10枚以上が落ちることもザラ。このカードは尋常ではない数の戦士を突撃させることになるだろう。墓地カウント枠の追加戦力として、期待の持てる1枚だ。3マナという現実的なコストなのも嬉しいね。

 

 《キシュラ村》もこういうデッキにとっての良いアクセントだ。諜報2を行う、言ってしまえばただそれだけで地味な土地ではある。しかしこういうカードがあるとないとではデッキの勝率というものは変わってくる。サイドボード後に一度墓地を追放されてしまった後、対抗策にパーマネント除去などで対処して、さあ再スタートだというタイミングで土地が墓地を肥やしてくれるなんて、有難すぎる!デッキに複数枚入るようなタイプのカードではないが、1・2枚潜ませておくとアドリブ力が増す。地味シブだが、確実な恩恵をもたらすグッドカードだと思うね。

 こういった新カードが参入し、墓地を利用するゴルガリがどのように変化するのか、とても楽しみだ。青を加えてよりスゥルタイに寄せた構築というのも面白そうで……墓地が増えれば夢が拡がる。死者を墓地で眠らせずに戦力にする、スゥルタイ・イズムでデッキを組もう!

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