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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス地獄界:性格の良いデッキ(スタンダード)
意地悪なヤツやワル巧みしているやつを「良い性格している」と評する台詞、なんらかの作品で耳にしたことがあるだろう。それは誉め言葉なわけだが……皮肉を込めているのは説明するまでもないだろう。マジックでもこの性格の良さというのを突き詰めていくと、良い結果に繋がるものだ。
マジックで最も嬉しい瞬間、カードを引く時。この至福のひと時を苦痛に満ちたものに出来たら……そんな性格の良い人が作ったであろう1枚が《地獄界の夢》。対戦相手がカードを引くと1点ダメージを与える。何事もタダではやらんぞと、チクチクライフを詰めていくエンチャントだ、カードを1枚引いて1点……毎ターン1点与えるだけと言えば規模がしょぼく思えるかもしれないが、昔のマジックは今よりもずっとゲームの進行がゆるやかだったため、ゲームが長引けばこれの1点がズンズンとのしかかってくる。ドロー呪文を唱えてもダメージが伴うので、この嫌がらせっぷりにそそられたプレイヤー達がこの1枚を求め、一時期は大変な人気を誇ったとか。
そんな地獄界系カードの系譜に名を連ね現在進行形で活躍しているのは《黙示録、シェオルドレッド》。地獄界がクリーチャーというより対処しやすいものになったら、その威力が倍に。対戦相手がカードを引くたびに2点ライフを失う、これぞ究極の嫌がらせ。すっかりお馴染みのパワーカード代表だが、最近このシェオルドレッドの仲間が増えたのをご存じだろうか。同系統のカードを集めて、地獄界デッキまで組むことができるという……そのサンプルとなるリストを発見したので、ここに紹介させていただこう。
4 《黒割れの崖》 3 《大音声の劇場》 3 《悪意の神殿》 2 《鋸歯の痩せ地》 4 《沼》 4 《山》 -土地(20)- 4 《剃刀族の棘頭》 4 《這いまわる落書き屋》 4 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《真面目な身代わり》 -クリーチャー(16)- |
3 《鋼と油の夢》 3 《噴出の稲妻》 3 《稲妻の一撃》 3 《大群への給餌》 3 《英雄の破滅》 3 《胸躍る可能性》 3 《限りない強欲》 3 《精神迷わせの秘本》 -呪文(24)- |
2 《討伐》 2 《保安官を撃て》 3 《金屑の嵐》 2 《魂標ランタン》 3 《安物盗み、チビボネ》 3 《深淵の収穫者》 -サイドボード(15)- |
「ラクドス(黒赤)地獄界」!カードを引くならお命頂戴がこのデッキのモットー。対戦相手がカードを引くたびにダメージを与える《剃刀族の棘頭》と《這いまわる落書き屋》、そしてシェオルドレッドの組み合わせで、相手がカードを引くたびにゴリゴリとライフをすりつぶす!このデッキが最近一部のマニアの間で組まれるようになったのは落書き屋の参入によるところが大きい。落書き屋はこちらのアップキープに全プレイヤーがカードを1枚引く。ただでドローをあげているので、あまり得した感じがしないかもしれないが……そこはドロー=ダメージにする能力でカバー。地獄界系クリーチャーを複数体並べて、この落書き屋で強引に引かせれば、対戦相手のライフはみるみる削れていく。どうしたんだ、欲しかったカードだろう?遠慮せずに引きなよ!そうオススメしながらライフをえぐり取っていく、最高に性格の良いデッキになっている。爽やかだよな!
1枚引かせるだけではこちらもけち臭い、どうせなら3枚引いちゃいなよ!というわけで《限りない強欲》がこのアーキタイプの決め手だ。これのモード2つあるが、1つは対象のプレイヤーにカードを3枚引かせ3点のライフを失わせる。自分を対象にしてドローしても良いし、地獄界が並んでいれば対戦相手に向けてぶっ放し、3枚引かせてザクザクにぶった切ってあげるのが気持ち良い。10点以上のライフを失わせることも決して高いハードルではなく、この悪意とロマンに満ちたデッキを成立させている重要パーツだ。
ロマンに溢れるデッキリストだが、土地の枚数はかなり少ない。落書き屋らで引いてくるので最低限の枚数に留めているのだろうが、個人的には3枚目の土地を引けるかも危うく感じたので、少し増量することをオススメするよ。
4 《硫黄泉》 3 《ブレイズマイアの境界》 4 《黒割れの崖》 3 《大音声の劇場》 2 《魂石の聖域》 4 《沼》 4 《山》 -土地(24)- 4 《剃刀族の棘頭》 4 《這いまわる落書き屋》 4 《黙示録、シェオルドレッド》 3 《真面目な身代わり》 1 《ランクルとトーブラン》 1 《ドラゴン魔道士》 -クリーチャー(17)- |
4 《鋼と油の夢》 2 《苦痛ある選定》 2 《大群への給餌》 1 《溶鉄の崩壊》 4 《サザキャップの醸造》 4 《限りない強欲》 2 《精神迷わせの秘本》 -呪文(19)- |
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というわけで土地の枚数を増やしつつ、呪文のチョイスもいじくってみたサンプルリストをオマケで紹介。せっかく対戦相手がドローすることを肯定するデッキなので、自分も対戦相手もどちらにもカードを引かせられる《サザキャップの醸造》を採用しない手はないだろう。これ1枚で最後の一押し、ゴリッと大ダメージに繋げられる可能性がありデッキのロマン度をさらに上昇させよう。《ランクルとトーブラン》は発生源一つがそのターンに対戦相手に与えるダメージを2点も上昇させる。これで1ドローにつき3点ダメージなんてぶっ放せば、ライフなんぞ一瞬で溶けてなくなってしまう。これは《美術家の才能》のレベル3でも同様の現象が発生するね。そして究極のロマン《ドラゴン魔道士》!これの攻撃が通れば各プレイヤーは7枚ドロー……消しとべぇぇぇッッ!
マジック黎明期に高い人気を博した《地獄界の夢》。その能力は最新のカードらに引き継がれている。マジックのルールがどれだけ変わろうとも、カードを引くというアクションは決してなくならずどんな時代でもプレイヤーが求めているもの。それを逆手に取る極悪カードで、対戦相手のライフをチクチクと蝕む!これぞ悪魔的、魔性のデッキ。全国の性格の良い紳士淑女に、ぜひとも遊んでほしいアーキタイプだ。
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